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+「あれ、みくるちゃんじゃない?」 +「あ、涼宮さん」 +場所は近所の本屋さん。 +お料理の本を買いに来た私は、目的の本を手に持ちレジに並ぼうとしたところで +同じようにレジに並ぶ涼宮さんと出会った。 +その手には、『未来人は既にこの時代に来ている!』というタイトルの怪しげな本が握られていた。 + +お互いに会計を終わらせた私たちは、喫茶店でお茶をすることにした。 +話題はもっぱら未来人のお話。 +なんでも涼宮さんは『未来人は既にこの時代に来ている!』を少し立ち読みしただけで +とても気に入ったらしい。 +「やっぱり未来人はいるのよ。間違いないわ!」 +大きな瞳を輝かせて、涼宮さんは断言した。 +確かに、間違いはないんですけど。 +「あのー、涼宮さんはどうしてそんなに未来人に会いたいんですかあ?」 +「そんなの決まってるじゃない! 面白いからよ!」 +テーブル越しの私に、乗り出すように顔を近づけて話し始めた。 +「だって、そうじゃない? 未来人よ! すごく珍しいわ!」 +「で、でも未来人って普通の人じゃないですか?」 +それは私が以前から疑問に思っていたことだった。 +「宇宙人や超能力者は、その、私たちには出来ないようなすごいことをできると思うんです」 +「それで?」 +「で、でも未来人は、住んでる時代が違うだけの普通の人で、 +会えてもすごくないかもしれないじゃないですか」 +私は、彼女や彼とは違う。 +ただ違った時代から来ただけのただの人で、向こうの時代じゃ珍しくもない普通の人。 +もしも、正体が知られてしまったとき、真っ先に涼宮さんにいらないと言われるのは私じゃないか。 +ずっと、そう思っていた。 + +涼宮さんは何も言わず、なにかを考えるような難しい顔をしていた。 +時間にしては数秒の沈黙だけど、私にはすごく長いものに感じた。 +やっぱり、未来人はいらないわね。そう言われるような気がして。 +「みくるちゃん」 +「ひゃ、ひゃい!?」 +「やっぱり、未来人には一刻も早く会うべきよ!」 +「へ?」 +しかし涼宮さんが口にした言葉は、私の想像とは正反対だった。 +「だって、普通の人ですよ?」 +「普通の人が昔なんかに来たら、きっとすごく心細いじゃない? +だからこそ、我らSOS団が発見して仲良くなってあげないとね!」 +涼宮さんの思いもよらぬ考えは、私には衝撃で、同時に、心の底から安心できるものだった。 +私はいらなくない。 +もしも正体が知られてしまっても、涼宮さんは私と一緒にいてくれるんだ。 +それは私にとって、ずっと思い描いていたことで、ずっと不安なことだった。 +「どうしたの? みくるちゃん、さっきからちょっと変よ」 +だからだろうか、いつもより気が軽くて、とんでもない質問をしてしまったのは。 +「あ、あの、もう一つ聞いていいですか?」 +「なに? みくるちゃんになら何でも教えてあげるけど」 +「私がもし、未来人だったら今よりもっと仲良くしてくれますか?」
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