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715の小説一作目


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プロローグ

なんでもなく、そこらじゅうによくある話だ。
俺は本屋でバイトをしている。
今日はいつも通り古い月刊誌を取っ払い、新しい月刊誌を山積みにして置いておく
新刊を並べたり人気のあるものは山積みにして、一通りの作業を終えて俺は一旦休憩室へ行く。
仕事の中での楽しみといえば休憩室・・・・・・といっても在庫置き場の片隅に作られた小さなちゃぶ台の置かれた場所なのだが・・・・・・。
そこで仕事の合間休みながらいがらしみきおの漫画、ぼのぼのを見るのが楽しみだったんだ。
しかしそんな日常は店長(自称お兄さん、通称おっさん)の一言が俺の日々を崩壊させた。
「あ~非常に言いにくいんだが・・・・・・」
昼休み、飯を食い終えてぼのぼのの一巻から読み返そうとページを開いたところで急に呼ばれた。
何の話だ?俺はぼのぼのを読まなきゃいけないんだ!早く開放してくれ・・・・・・。
「君今月で解雇ね」
―――は?その言葉は短く酷い、おっさんはさわやかな笑顔とともに俺を切り捨てるように言い切った。
一瞬のことに俺は戸惑った。たとえるならばセイバーと初めてであったときの衛宮氏の心境に近かったかもしれない。
「え?ちょっとまってくださいよ!今月って・・・・・今日で終わりじゃないですか!!」
そう、今月は今日で終わり、言葉だけ聞けばまだ少しは日時が残ってるように思えたものの
冷静になればそれはすでに今日までという言葉を言い換えただけであり、それと同じ意味を持つものは、
今日の営業時間終了までが俺がこの店の休憩室でぼのぼのを読むことを許された時間だったのだ。
そうして思考を働かせている間にもおっさんは言葉を続ける。
「君はちゃんと働いてくれてはいるんだがねぇ・・・・・・。私と君では話が合わなくて正直退屈なんだよ」
―――おっさんは手短に、そして納得のいかない理由で俺をクビにした。
しかしそんな理由で止めるわけにもいかない、なぜならコッチだって生活がかかっているんだ!
こんな理由で止めさせられてたまるものか。
「退屈って何がですか!それに話が合わないってどんな話のことですか?」
このときの俺はきっと相当必死な顔をしていたんだろうなと後になって思う、
俺の言葉に対しておっさんはさらにわけの分からないことを聞いた。
「いやだって君ガンダムしらないし、他の子は知ってるのに君とだけ話が合わないんだもんなぁ。
山田君とか三井君とかその他の子はガンダムに詳しいのになんで君だけガンダムが分からないのかなぁ」
・・・・・・いやいやいや!別に知らなくてもいいでしょう!それに他の子って俺以外皆女性であってさらに腐女子という
脅威のステータスを装備している。その人たちと話が通じるおっさんこと店長と話が通じるわけがない。
それに俺はロボットアニメとかよりはどっちかっていうと美少女ゲームとかの方が好きなんだ!
「なるほど、君は美少女ゲームが好きっと・・・・・・」
おぉっとうっかり声に出してしまったようだ。その後、店長とはガンダムについての話が突然切れて
どの美少女ゲームが良いかという口論に切り替わり、最終的に俺から
「どうしてあんたはタイプムーンのすばらしさがわからんのだ!!こんな店こちらから願い下げだ!」
・・・・・・っと自ら終止符を打ち込み、出て行こうとした間際がしっと肩をつかまれ
「とりあえずお金くらい渡しておかないとしばらくの間生活できないだろう?」
そういってやけに分厚い封筒を渡してきた。
店を出てからあけるとそこには・・・・・・ガンダムのDVDが一つと店長の言ってた美少女ゲームが入っていた。



 
第一幕一章~~~きつね~~~



仕事・・・・・・もといバイトを止めさせられた帰り道、ポツポツと雨が降ってきた。
家まではまだ1時間ほどかかる。俺の家は小さな2階建てアパートの一室で月1万円のアパートである。
玄関に入るとすぐ目の前に扉があり、そこをあけると居間兼俺の私室兼台所を兼ねた部屋があり、
トイレと風呂場も一応ある。
ザァーー・・・・・・雨が少しずつ強くなる。
周囲に雨宿りできそうなものはないし、自転車もない、そしてなにより傘がない!
店長ことおっさんからもらったDVDと美少女ゲームをぬらすわけにもいかない。
ちなみに、封筒の中にはさらに4万円と私と話が合いそうになったら戻っておいでというなんとも自分勝手なメモがあった。
ザァーザァー・・・・・・徐々に威力を増す雨、チクショウ俺になにかうらみでもあるのかよ!
そんなことを思ったとたん、極小の雨粒が大粒へと変わり、雨具のない俺を打ち付ける。
たとえるなら某英雄王様の使う宝具並みの量であろうか・・・・・・。
とりあえず俺はのこり50分ほどかかるであろう長い道のりを歩く速度を上げて行った。
―――それからどれだけたったろうか?すでに50分は過ぎている気がする。
もう体中びしょぬれだ、水分の塊だ、アイアムウォーター!
ふとあたりを見回すとそこは見慣れない道だった。
そういえばさっき道に迷ったんだったか・・・・・・。
相当疲れが溜まっているらしい、家に着いたらまずは着替えてシャワーを浴びてそのままベッドにダイブだな。
それからもうしばらく歩くと見慣れのある某7-11コンビニが見えてきた。
このコンビニがみえれば我が家はすぐそこだ!
おぉ・・・・・・相変わらずボロボロで変わりのない我が家が見えてきた。
ずぶぬれなことなんてどうでもよくなった。ただひたすらに鉄製で出来た2階への階段を駆け上がり
―――”ちゃりん”と小さい金属製の小物が落ちる音がした。
ちょうど2階にたどり着いたのと同時だったんだ。恐る恐る下を眺める。
そこにはきつねのマスコットのついた我が家の鍵が水溜りに落ち、ゲートオブバビロン級の雨に打たれていた。
この瞬間なんとなく200人くらいに謝りたくなったが気のせいだろう。
―――自然と目から汗を流しながら下へ駆け下り、水溜りに落ちた鍵を拾い上げ、今度はしっかり握り締める、二度と落とさないように。
そして一気に駆け上る、今度は大丈夫、鍵は落ちることはナイ、店長ことおっさんからいただいた品も濡れてない!
もう大丈夫だろう、これで失敗する要因があるはずがない。・・・・・・と信じていた俺が居た。
2階まで駆け上がると自分の家の扉前で足を前に出して踏ん張り停止しようとする。
しかし今日の雨が災いした。俺は家の前で止まることなくそのまますぅーっと滑ってゆく、
この鉄製の床は滑り止めのようになっているはずなのにソレを関係ないといわんばかりに滑ってゆく。
そして一番奥までいった、このスピードなら目の前の鉄柵にぶつかって・・・・・・ガシャン!
音を立てて俺は鉄柵にぶつかった、握り締めた拳が解かれる、宙を舞う狐のマスコットそして下の大きな水溜りに見事にダイブした。
そのまま1分ほど俺はそこに倒れていた・・・・・・。幸い、ガンダムのDVDと美少女ゲームは無傷だった。
結局また目から汗を流しながら1階へもどり鍵を拾い上げ、階段を一歩一歩慎重にのぼって行くのであった。
こうしてやっと家に入ることができた。狭い玄関とずいぶん長い時間であってなかった錯覚に陥るがそれでも数時間ぶりということを思い出す。
玄関の靴置き場には俺のではないもう一組の靴がある、だれか着ているのだろうか?
俺は玄関の目の前にある扉を開けて・・・・・・
「ただいま」
只一言、その言葉を先客に聞こえるように言った。


第一幕2章~~~襲撃~~~

「ただいま」
只一言、その言葉を先客に聞こえるように言った。
ソレと同時にテレビから大きな歓声が聞こえた
”ゴォーーーール!!日本1点目を収めました!!”
どうやらサッカーのようだ、たしかちょうど世界杯の時期だったな。
「うぉっしゃぁ!!いいぞ日本!その調子でがんばれーブラジルなんかにまけるな!」
―――唐突に元気でやかましい声量の歓声が聞こえる。
声の主はベッドの上で力一杯のガッツポーズをした後ビールを飲み、俺の存在に気がつけば
「・・・・・ぉ?おかえりぃ~お邪魔してるよ~」
―――先ほどの歓声からは想像できないくらい間の抜けたように言い片腕をひらひらとこちらへ向けて振る。
この女の名は鷹獲 音月(たかえ ねつき)、俺の幼馴染であり同じ学校に通っている。
身長は俺より低く、だいたい165くらいだと思う、髪は昔はとても長かったが今は肩辺りまでしか伸びてない真っ直ぐですらっとした黒髪
ちなみに胸は自称ある、とのことだが正直あやしいものだ。ちなみにビールを飲んでいるが未成年である。

とりあえず俺は持っている荷物(ガンダムのDVDと美少女ゲーム)を押入れ深くに入れてからふと疑問が浮かんできた。
「・・・・・・おまえなんでここにいるんだ?」
そう、こいつにここの鍵を渡した覚えはないし会うのも学校だけで会話もそんなにしていなかった。
ついでに言うと我が家に酒という類は存在しないからこいつが持ってきたものだと思う。
「えっと鍵は前に君のお母さんからもらってたし、あとここにいるのは家出してきたから~」
―――なんと驚愕の事実、我がママンは息子の家の合鍵を他人に預けるような人間だった!!
じゃなくて・・・・・・
「家出って、何でだよ。おばさんがなんかしたのか?あとどうして母さんがお前に鍵渡してるんだよ」
俺は不満気に晩飯を作りながらたずねる。今日は一人多いし、量が作れてくどくないやつがいいなぁ。
料理に悩むなど何ヶ月ぶりだろうか、いつもなら適当にやれパスタだやれエロゲーだやれうどんだやれエロゲーだと簡単に決まるんだが・・・・・・。
まったく・・・・・・どうしたものか、そんなことを悩んでると無理な笑顔をしながら音月は言う
「あはは・・・・・・、ちょっと親から見離されちゃってさ~、この前のテストで酷い点数取っちゃってさ」
その言葉にはどこか悲しみと悔しさ、辛さと絶望といった負的感情が渦巻いていた。
さらに彼女は言葉を続ける。どこか愉しげに小さく笑みをこぼしながら・・・・・・
「だからとりあえず自分の部屋にあるものは必要なもの意外おいてきてコッチに持ってきて、ついでに親のお金奪ってきたから
 私はもう犯罪者なんだ、だからもう家には帰られないんだよ・・・・・・?」
その言葉は昔までのこいつではない気がした。小さいころのこいつは俺よりも勉強なんかできなかったが運動に関しては俺を凌駕した。
最近のこいつとはあまり話していなかったからどんな奴になったかは噂でしか聞かなかった。
ある人は言う”彼女に運動神経で右に出るものは居ない”と
ある人は言う”彼女の学力は全国中20位に入るくらいだ”と
ある人は言う”とても親切でかわいらしく思わず掘れてしまいそうだ"と
ある人は言う”萌えだ!とにかく萌えだ!あの人に萌えずして他に誰が居るのか!!”と
つまり昔の運動性能+学力がついたわけだ。そしてその背景をまた違う噂で聞いた俺が昔との違いに辛くなった。
ある人は言う”彼女の父親の会社が倒産し、学校に進学するお金だけなら残っているらしくそれで最高なところへ行かせたい”と
ある人は言う”彼女の両親が高校に入ってから彼女に対して厳しくなった”のだと
ある人は言う”やっぱ彼女のドジッ子なところとか誰にでも笑顔で手伝ってくれるところとかが萌え何ですよ!”と
―――前者の噂に関してはがんばっているなぁという感想だけであったのだが
後者の噂に関しては、俺の母が言っていた。
なんでもこいつの父親の会社が高校入学と同時に倒産し、共働きで昼夜問わず働いているらしい
そしていつも家にはこいつ一人、両親が居る日があってもそれは安らぎなどではなく、只ひたすら奨学金などを受けれるように
ひたすら勉強をさせられ、たとえるならば移動用バギーに戦車砲を取り付けるくらい無理があったのだろう、元々勉強などあまりしなかった彼女だ
突然の両親の変貌に驚き、遊ぶことの出来るのは高校で、それでも休み時間くらいしか安らぎが無かったのだろう
「ちなみにテストの点数は?」「あまり覚えてないけど殆ど9割がたとってるよ」
これを悪いという両親、昔は5割でもこいつをほめていたあの人たちが・・・・・・
会社倒産というだけではない何かがきっとあったのだと思う、負の感情を表に出し続けるような何かが


第2幕1章~~~一匹のぬこ~~~

「・・・・・・それじゃ一通り落ち着くまで置いてやるけど、そのうちちゃんとおじさんおばさんに顔だしてやれよ?
 金とったくらいd「もういいの!!」」
一瞬時が止まった。・・・・・・そして時は動き出す。
「わかった、だけど最低条件としてバイトでもして金いれること、俺今バイトやめさせられたんだからまた働き口探さないと。
 それだけは絶対条件だ、じゃないとお前養うだけの金なんて俺ないからな?」
ため息混じりに笑顔を作って俺は言う
彼女は顔を伏せたまま目から涙をこぼしつつ
「うん、分かった」
そして世界杯の実況が聞こえた
”ブラジルゴォーーール!!日本点をとられました!!”
彼女が豹変する先ほどまで赤くしてた顔は別の意味で赤くなり
「なにぃー!?日本しっかりやれよ!!」
となんとも二重人格のような感じで叫ぶのであった・・・・・・。
ちなみに晩御飯は野菜炒めと白い御飯に鮭の切り身を焼いて二人で食べました。

―――翌朝、朝食は白い御飯とハムエッグ、キャベツ千切りにしミニトマトを添えた簡単なもの
狭い部屋での朝食を終えて俺らは学校へ向かう、途中コンビニでバイトを探すために仕事探しの雑誌を買う
さて・・・・・・どこのバイトにしたものか、なんて悩んでいると友人Aが現れた
「よぉっす!・・・・・・あれ?なんでお前が音月ちゃんといるんだ?」
友人Aはしばらく悩むと突然はっとした表情で
「音月ちゃんが汚されたぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう叫んだ、それと同時に友人B,C,D,E,F,G,Hが現れ、合体してキング友人になるのかと思ったくらいこちらに密着してよってくる。
「よしとりあえず話を聞こうか」「詳細kwsk!!」「別に理由を聞いてもかまわんのだろう?」「汚したとはどういう意味かね?」
その他色々と、そして続々と友人I,J,K...と集まってくるのであった
俺は助けを求めて音月のほうを見た、すると音月はくすっと笑みをみせた
よしこれで助かった!と思ったが次の瞬間出てきた言葉によって俺に死亡フラグが立ちかけたのであった
「別に一緒に来るくらいで騒がないでよ~ただちょっと幼馴染で今同棲してるだけなんだから」
―――時のデュレイ、俺の周囲の時間は遅れていた。俺はその隙に逃げればよかったのだろう
しかしなぜか友人Aが俺の腕をがっしりとつかんでいるのであった。
友人Aが口を開いた・・・・・・。さようなら母上様、私は今宵で華と散るかもしれません。
「・・・・・・OKOK~幼馴染までは俺は知ってるが同棲とはどういうことかね?返答によっては同志300名ほどであんなことやこんなことをしなければならないのだが」
あんなことやこんなこととは何のことだろうか・・・・・・
只一つ気がかりなのが友人軍団の中にホモで有名な佐々木君が居ることだ。
もしかして掘られる?そんな不安を頭にのこして再び音月に助けを求める。
音月はまた安心するような笑みを見せてから
「そんなこと・・・・・・こんな公衆の面前で言わせないでくださいAさん」
―――ととどめのエクスカリバー(約束された絶望の剣)をぶちかます
目の前の友人Aは口をあんぐりとあけてこちらを見据え、嫌な予感たっぷりの笑顔で
「お前との仲はどうやら今日までのようだな、最後に杯を交わして友情を壊そうじゃないか?」
待て・・・・・その後俺を掘る気か!?最終兵器佐々木を使って俺を掘る気か!!
「ま・・・・・・まて!落ち着け!話せば分かる!音月もそんな誤解を招くようなことを言うな!」
俺は必死になって自分の身の安全を守ろうとする良く見れば最終兵器佐々木は俺を見ている
止めてくれ!俺はこの高校に入学した当時同じクラスだったこいつに精神的虐待を何度もされたんだ!!
そう・・・・・・奴はホモであると同時にSなのだ!磁石のS極ではない!サド!攻め!のSなのだ!!
「違う!こいつが泊まっているのは認めるが幼馴染の俺の家にくるくらいなんでもないじゃないか!
 そう!ただたんにこいつが泊まりにきただけなんだ!」
ほかの奴らは「幼馴染ならあるかもな~」なんていって少しずつ戦意を和らげる・・・・・・が友人Aは違った。
「そうか・・・・・・たしかに幼馴染とあればそれなりに親しい、泊まりにくるのもOKだ。
 しかし良く考えようか、だとすればお前の住んでる場所は確かひとつしか部屋のない場所だ。
 つまりお前は音月ちゃんと寝たってことかぁぁぁぁぁぁあぁ!?」
友人Aは対味方用宝具を使ったようだ、ランクはA級だろうか?戦意が著しく向上している。
―――その後俺は散々な目にあったが音月に助けられ、身体的ダメージや掘られることは無かった。
そして放課後、なぜかしらんが大雨なんだこれが
ちなみに天気予報では今日の天気は晴れ晴れしてユカイになるくらいの天気ですとも言っていたのに
なぜか大雨なんだ、ちなみに傘は一つ、ああコレは相合傘イベントですか?
まぁ別にいいだろうなんてちょっと調子に乗りながら玄関へ行き、音月を待つ。
すこししてから音月がやってくる。なんかすごく幸せそうな笑顔でやってきた。
「おーい!」
彼女の声が聞こえる。いつの間にか幼馴染とは別に見えてくるあたり俺もゲームのやりすぎだなぁと実感できる。
―――ザァーザァー・・・・・・雨はやむ様子を見せず降り続ける。
傘は一つ、結局二人で相合傘をしながら帰り道を歩む、途中何人かに殺気を放たれた気がした。
さてそんな帰り道ふと気になる声がした・・・・・・”みぁ~”小さな子猫のような声
すこしあるけばダンボールに猫というありがちな物があった。
音月がそこでしゃがむと子猫とじゃれあう
―――何故動物を飼う人は突然捨てるのだろうか?
次住むところでは飼うことが出来ないからなのだろうか?
それなら引っ越さなければいいのだが、仕事が無いのだろう。
そうすれば同じこと、どっちにしろ子猫は死す。
そもそも生命に鎖をつないで飼うなんて行為が許せるものではないと俺はいつも思っているわけなのだが。
「・・・・・・この子、あのアパートで飼えないかな?」
突然彼女は口を開いて言う、悲しげな雰囲気が漂いつつ
俺はしばし悩む、アパート自体はペットOKなので問題ないのだが俺の思想的な問題が・・・・・・
「君の考えは分かるけど・・・・・・このまま死ぬのよりは生きてたほうがいいと思うんだ。・・・・・・だめ?」
―――何を迷う?どうしてそんなに選択肢を作りたがる?
答えなんて一つじゃないか、生か死かなど答えはすでに決まっている。
俺も一緒にしゃがんで子猫に触れる。つめたい、濡れてる、どうして?
こんなになるまでこの子はここにいたのか・・・・・
だれか他に人はいないのか?いや多分ここを通り過ぎた人は
”かわいそうだけどきっと他の人が何とかしてくれる”そんな甘い考えだったに違いない
俺は猫を音月に預けると、鞄からスポーツタオルを取り出し、音月に渡す。
「それにくるんでやったほうがあったかいだろ?つれて帰ろう」
そういうと音月は笑顔でこちらをみて「うん!」と元気良く言う
そして俺達は歩き出す。俺は願うのであった。幸福が突然終わるということが無いように
”神様神様、慈悲深いのであればこのひと時を永遠にしてください
 どうかこの物語に終焉など持ち込まないでください
 どうかお話の世界のように「転」がくることが無きよう、私は切に願います。”
しかしこのこと自体がすでに「転」なのだとは俺は知らなかった。


第二幕2章~~探し人~~

今日は雨なのである。
ねこを拾ってから数週間、しつけはスムーズに進み、今に至る。
両方が学校なのでいつも家には猫一人だけなのだが、
そんな心配も帰って来てねこを見れば忘れるのであった。
さてバイト探しのほうはというと・・・・・・とりあえず猫のことがあるので音月は内職を
俺はまた違うバイトをしている。
――昨日、テレビで家出娘の事がやっていた。
名前は鷹獲 音月さん17歳、普段は家でおとなしかったのにある日姿を消したらしい。
そして学校にも来なくなったとか・・・・・・。
さらにソレより前に、音月が居ないときだったのだが、音月の両親が尋ねてきた。
ただ一言「音月をしらないか?」と
俺は一日しか泊めなかったということにしてあり、次の日家に帰るといっていたと告げた。
しかし両親のほうは諦めず1時間くらい家の前にいた。
流石に夜になると帰ったのだが、音月はその日俺の家に来ることは無かったのであった。
――そして今も行方は不明なのだった。
学校にもあれから来ていないらしく、俺は最後の選択肢である音月の家を訪ねる。
・・・・・・抵抗はあった、しかしやらねばならないのだろう
俺は鷹獲家の前につくと深呼吸をして、”ピンポーン”とチャイムを押した。
がちゃりといってドアが開く、そこにはつかれきった鷹獲おばさんがいた。

「まだ音月は帰ってないんですか?」
俺はそのまま上げてもらい、おばさんと話す。
どうやらこっちにも戻っていないらしい・・・・・・当たり前か、あれだけ嫌っていたのだから。
今はおじさんはいないようだった。事の真相を聞くべく、覚悟してたずねる。
「・・・・・・音月の事なのですが、最近までうちに頻繁に泊まりに着ていました。
 理由を聞いても答えてはくれません、そして家にも帰りたくないなどといっていました」
いうなればその家に帰りたくないが理由なのだろうが、そこはすこしぼかして言う、
おばさんは表情を変えずに「そう・・・・・・」とつぶやいた。
「高校1年生になったあたりに夫の会社が倒産してね。すごい大変で、だけど音月は良い場所へ行かせたいなんて思ってね。
 それでお金は残しておいたの・・・・・・。でもね?どうしてなのか、音月は家出したの、1000万円という大金をもって」
家を出るときに音月が居たら私達が心配してたって伝えておいてと頼まれたがその音月がいないのだ。
さて、音月は今どうしているのだろうか?
――家に帰ると猫が一匹だけしか居なかった。
みゃぁとなく猫の声だけが部屋の寂しさを満たす・・・・・・いやむしろ強調しているかもしれない
俺は耐えられなくなりテレビのスイッチを入れる
”今回のオリコンの1位から3位すべてのアーティストがきつねえという驚きの結果に”
チャンネルを変える
”本日のゲストはこの方!オリコン上位を占めたきつねえさんです!わーわー”
チャンネルを変える
”某CD店のきつねえのCDを大量購入して品切れにした少年の供述です「むしゃくしゃして買った、後悔はしてない」”
チャンネルヲカエル
”昨夜、元コスプレ衣装制作会社社長、現無職の鷹獲 正和さんが銀行強盗で逮捕されました”
チャンネルを変え・・・・・・戻す!!
”専門家が言うには、自身の会社の倒産と、娘の失踪、さらに先日現金1000万円を何者かに盗まれたことにより
 精神的にも生活面でも苦しくなり、このような犯罪に走ったとのこと”
”なんとなく新聞ジャーナリストの間宮五郎さんをお呼びしております、五郎さんよろしくお願いします”
”はい、なんとなく新聞の間宮です、今回の事件注目する場所はずばり娘さんの失踪と会社の倒産という点でしょうね”
”ほほぅ・・・・・・そこにはどんな意味合いがこめられているのですか?”
”はい、今回の容疑者正和氏はコスプレ衣装製作会社の社長だったこともあり、元会社員の男性にインタビューしたところ
 常に萌え分を補給しないと人格が変わるとの事であり、会社がつぶれても娘さんが居ることで正気を保っていたという噂があるくらいです”
”正和氏の銀行強盗の動機とは?”
”はい、1000万円という生活資金と娘さんの進学費が無くなった今、どうしてもお金が必要になります
 そこで一番すばやく大金を得ることはなにか?ということの答えが銀行強盗だったのだと思います。”
”なるほど、そこま”
――そこで俺は電源を切った。
・・・・・・それは唐突に、そしてじわじわと、鷹獲家の幸福の日々を崩していったのである。
全てのきっかけは会社の倒産なのだろう、しかし鷹獲パパがコスプレ衣装会社社長というのは初めてしった。
以前聞いたのはあまり有名じゃないけどそこそこ大きい服屋という話だった。
服屋ということもあって学校祭等で使う衣装も全部注文してたっけなぁ・・・・・・
・・・・・・さて、感傷に浸るのはコレくらいにして、あいつの分の飯を作ってやらなきゃ
――そしてその日も音月は帰ってこなかった。

学校の昼休み、友人Aとの男同士の昼食。
「夏にMブラの家庭用が出るらしいぜ」
俺はその情報に耳をぴくっと反応させ
「ソレは本当か!マイフレンド!」
友人Aはニヤリと笑い
「おおそうだともマイフレンド!しかもとある店ではすでに予約がはじまっているのだよ」
俺は先行予約してそうな店を脳内検索し、一件に絞り込んだ
「まさか・・・・・某アニメ店長の店か?」
友人Aはまたもにやりと笑い
「そのとおりだ。流石この地域全てのゲーム、アニメショップと本屋を知り尽くした男だな」
俺はっふっふっふと誇らしげに笑う、正直いってこんなこと自慢できることでもない気がするのであるが、
そんな会話を20分ほど続けると友人Aが話を切り替えた。
「ところでよ・・・・・・音月ちゃんどうしたんだ?」
俺は同人誌を読む手を止める・・・・・・。
「・・・・・・しらない、俺の家にも実家にも帰ってないみたいだ」
――そう、この学校に今音月という人物は存在しない、
何処へ消えてしまったのだろうか・・・・・・。
「そうか、いやこの前音月ちゃんを見かけたんだけどよ、”なんかやたらと怖い目”をしてたんだよ」
――ぇ?怖い目?あの温厚な音月が?
ありえないありえないそんなことありえない、友人Aとて中学時代警察と日常会話が出来るくらい警察に厄介になった悪ガキだ。
そんなこいつが恐れるほどの目?
「いやなんていうかよ・・・・・・あれは戦意の恐怖じゃなくて不気味な恐怖だな。
 かわいい子があんな顔してちゃ似合わないって音月ちゃんに今度会ったら伝えといてくれよ?」
俺は事実を心の中で否定しながら、友人Aの言葉にああ、とだけ返事をする
心の中で「ありえないありえないありえない...」そう繰り返しながら

学校も放課後になると部活動の生徒だけになり、残りの生徒はバイトか帰宅だろう
俺は帰路をゆっくりと歩く・・・・・・"人を探しながら”
ゆっくりと歩く・・・・・・”未だに否定を心で詠唱しながら”
目の前に見知った人がいた・・・・・・”誰?誰?誰?誰?誰?誰?”
「・・・・・・よぉ」
そこに居たのは友人Aだった。何故こいつがここにいるんだ?
こいつの家は違う道のはずなのに・・・・・・
”何故?何故?何故?何故?何故?”
「・・・・・・おい、お前も昼休み言った時の音月ちゃんみたいな顔してるぞ」
その比喩はようは正常ではない異常な顔
普段では見ることの出来ない恐怖の表情
「・・・・・・すまん、考え事してた」
俺は冷静を装う、しかし詠唱は止まらない
その速度は徐々に上がってゆく
「冷静になれよ、彼女が突然消えたくらいでうろたえちゃ音月ちゃんが不安になるだろ」
か・・・・・・彼女!?そんな俺はあのそのえーと
突然の友人Aの不意打ちで俺の詠唱は切断される。
「か・・・・・・彼女とかじゃなくて!えっとその・・・・・・あ~と」
友人Aはックックと笑いながら
「分かった分かった。お前達は立派なカップルだよ。とりあえず音月ちゃんを泣かせるようなことだけはするなよ?
 以上先輩も後輩も同級生も含めた全音月ちゃんLOVEの男子生徒諸君代表からの言葉だ。泣かせたら死ぬと思えよ」
と実に楽しそう笑う友人A、なんだか気分が晴れた気がした。
友人Aに「ありがとな」と感謝を伝えれば「おう、いいってことよ」と返してくれる
こんな友人関係があるのも素敵なものだ。
気分はすっかりよくなり、家に帰るととりあえず食事の支度をする。
今日はサラダとからあげあたりでよいかな・・・・・・?
もう一人がいないので確認の取りようが無いのだが、
”がちゃり”そんなことを考えていると扉が開いた。
「ただいまー」明るく元気な声で我が家のお姫様が帰宅したのだった。
子猫は彼女を出迎えに、俺も送れて玄関に向かう、
「あはは、猫ちゃん~ただいま~」
と猫とじゃれあっている様子の声、なんだ・・・・・・友人Aの見た音月は気のせいだったのではないか?
そして俺も玄関に出て音月との久々の再開を果たす
「おかえ・・・・・・り?」
――そこには友人Aの言ったとおり、不気味な恐怖、焦点の合ってない瞳がこちらをぎょろりと見つける。
その目はまるで得体の知れない化け物のように、或いは獲物を見つけた獣のように
「ただいまぁ~、ごめんね~心配かけて、私の家にも一度来たんだって?」
目は変わらず、口元だけで表情を構築する、彼女のいつもの笑みに使われているであろう口元のパーツと
普段・・・・・・この何年もの中で一度も使ったことのないパーツが組み合わされたソレは
息が出来なくなるほどの恐怖だった。・・・・・・俺の心は再び詠唱を始めるのだった。
”どこで壊れたのか、どこでフラグが起ってしまったのか、どうして次のルートに入ってしまったのか
 永遠に見たくないと何かを望んでいた、その答えが今わかった。
 物語の世界でしかありえない、そんな事柄が少しずつ、自分の周りで回ってる
 ついに「転」を迎えてしまった。俺はもう、「結」を迎えることを余儀なくされた”



第終幕1章 ~~ブラッド~~


俺はしばらく学校もバイトも休むことにした。
学校のほうは風邪ということで3日ほど
バイトのほうは両親の旅行中に姉がインフルエンザにかかったので看病ということにしておいた。
――1日目
音月のほうは我が家の子猫と戯れている。
目の色は気がつけばいつものものになっていた。
さて・・・・・・、あの夜から変わったことなのだが、音月がやたらと一緒に寝たがるのだ。
まるで俺を抱き枕か何かのようにして
――そして次に音月の荷物を整理していたらおかしなものを見つけた。
それは小さくて薄い箱・・・・・・タバコの箱の側面部分の幅を半分にしたくらいの箱。
その箱には”BLOOD”という文字が書かれていたのだ。
パソコンでそのことを調べた。少しずつだが手がかりがつかめてくるのだった。
まず一つとしてこの箱はどうやら世間一般でいうイケナイお薬の一種だ。
症状として幻覚・快楽作用、目の焦点が合わなくなる。
さらにこの薬はまだ警察側にすら情報が入っていない物なのだ。
そして入手方法はバイヤー等を通したわけでもないらしく、インターネットで取り寄せられる。
使ってるうちに使用する量が増えることはなく、非常に安い、そして人体に有害でもない。
音月がどこでこれを手に入れたのかわからない、そして何故使用するに至ったのかがわからないでいた。
とりあえず情報収集を終えて同人情報を集めていると音月が服の裾をくいくいっと引っ張って
「ねぇねぇ、ちょっとパソコン貸して貰ってもいい?」
俺は仕方なく今開いているものをお気に入りに保存してから席を譲る。
席を譲った後、音月は「ありがとう」とかわいらしい笑みで答えた。
さて俺は・・・・・・
――昼食にそうめんをゆでたあと、俺は内職の作業を始める。
さすがに収入が無いのは不味い、只時間はあるからそれなりに稼ぐことは出来る。
音月についてだが、あいつは昼飯を食べると外出するようなのだ。
そして午後6時には帰ってくる。
聞いた話ではバイトを再開したのだとか。
どうやらソレはウソではないらしいのだ。日雇いのバイトらしく毎日お金をもらってくる。
だが持ってくるお金はどう考えても少なく・・・・・・3千円を越えたことは無かった。
多分自分の懐に入れているのだと思うのだが。
さて俺は音月が帰ってくるまでにBLOODについて調べようか
そして再びパソコンを起動する。
先ほど調べたサイトのURLは覚えている。
アドレスをカタカタっと打ち込むと情報が出てくるのだった。
さて先ほどは時間が無くてしっかり見れなかったのだが俺が見ていたのは初期の症状らしい
そして中期(大体1~2週間)の症状を確認して一瞬だが冷や汗が出た気がした。
■BLOOD 中期症状:幻覚・快楽・衝動作用、過剰思考 
注意:この時期に入ると使用当初のような不気味さはなくなり、摂取してるのかどうかも分からなくなります。
   さらに幻覚作用も強いものではありませんがここに書かれた衝動作用と過剰思考というものがこの時期では注意すべき点であることは明確です。
   まず衝動作用というものは何かをしたいと思ったときのしようという気持ちが非常に高ぶることを指します。
   さらに過剰思考というのは思ったことが数段階ランクアップするということです。
   分かりやすいものを言うと、人が邪魔だなぁという思考が皆消えてしまえばという思考になり
   皆消してしまおうという行動に切り替わるという物なのです。ここは非常に注意が必要な点で・・・・・・

――つまりだ、もし音月が注意をされたとしよう、音月が注意をした人をうざいなぁと思うと自然にスイッチがはいり
ウザイが居なければいいのにという相手の存在を否定するものとなり
存在否定がそのままいないほうがいいならいっそのこと"消して”しまおうという存在消去につながるのだ。
いまの音月はまだ中期ではないかもしれないが、もしなったとしたら・・・・・・。
止めよう・・・・・・そんな考えはいらない考えだ、必要ない思考回路だ。
”カットカットカットカットカットカットカットカット”
マイナスの思考を断ち切り、さらにスクロールをしてゆく

末期症状:快楽・衝動作用、過剰思考、見血衝動
中期のものから幻覚が抜け、新たに見血衝動(けんけつしょうどう)が追加されます。
この衝動というのはその名のとおり”血を見たいという強い衝動”が起きるものです。
やがてそれは殺人へとつながる非常に危険なものです。
しかし末期症状は中期と違い摂取量によって決まるので、少量の使用ならば中期症状と変わりありません。
ですが、この末期症状のBLOOD特有の衝動こそが”BLOODを冠とするこの薬に居る真の悪魔”なのです。
最後に、このサイトを見ている方々へのお願いですが、決してBLOODをためそうなどと思わないでください。
この薬は最近生まれたばかりの新しいタイプの物なので、治療法がまったく見つかっていないのです。
以上BLOOD元患者より・・・・・・。

俺は読み終えると同時にサイトを閉じた。
精神かく乱等はないもののこの薬は別の意味で恐怖の薬なのだ。
――気がつけばすでに4時、飯の仕度をしなくては・・・・・・そうだ、今日はカレーにしよう。
・・・・・・6時ごろ、いつもと変わらず音月が帰ってきた。
そういえばこいつの母親から伝言たのまれていたっけか・・・・・・。
「おーい音月~?この前お前の家いったときにお前の親から伝言頼まれたんだけど」
時がわずか一秒にも満たない間停止した・・・・・・。
「ふぅん・・・・・・それで?あとなんで私の家にいったの?」
俺は威圧されつつ、短めに答えるのだった。
「心配してるからかえってきてくれだってよ。お金のことはいいからって、あと俺がお前の家に行ったのはお前の事が心配だったからだ」
と自分ですこし恥ずかしいなぁと思う台詞を言う、しかし音月の表情は変わらず・・・・・・
「うん、わかった。近いうちに顔を出しておくね。でもお金の事は許したなんて信じられないよ。
 キミも知っているでしょ?お父さんがどんな仕事の人かって、お母さんはほんとに許してくれると思う。
 だけどあの1000万円はお父さんがコスプレの衣装を買うために残しておいたものなんだよ?
 ニュースでは1000万円の盗難と私の家出は別の事件になってるけど・・・・・・たどり着くものは同じなんだよ?
 つまり私という邪魔者を排除するために別々の事件として人手を増やしただけなんだよ?
 そして銀行強盗もコミケのためのお金を手に入れるためなんだよ。
 私の事なんて邪魔なゴミとしかどうせ考えていないんだよ」
悲しげに音月は言う、悔しさ交じりに音月は言う、恨みがあるかのように音月は言う
自分の父親は自分の存在を否定しているのだと音月は言う
俺は何も言えずにいた・・・・・・、ただそんなことはないといおうとしてもいえないで居たのだ。
さらに音月は口をあける、しかし今度は小さな笑みを見せて
「でもキミが私を心配してくれたのはうれしいなぁ・・・・・・。ねぇねぇ、私の事どう思ってる?」
唐突の質問、ここは照れるべきなのだろうか・・・・・・。
俺は口ごもりながらであるが音月を見て
「えっと・・・・・・す・・・・・・好きだよ?純粋に恋愛感情としてね」
そんなことを言うと音月はうれしそうに俺を見て
「ほんと?それなら両思いだね!もし嫌いなんていわれてたら”殺しちゃった”かもしれなかったし」
その言葉が俺の背筋を凍らせる。”殺しちゃったかもしれないかった”どういう意味でのことなのだろう?
理解しているはずなのに、なぜか理解できなかった。
「・・・・・・ぇ?それはどういう意味で?」
恐る恐るであるが聞いた。やはり俺は「結」まで行かねばならないのか・・・・・・。
音月はにやりと、口元だけの笑み、それは文章でなら恐怖にはならないと思っていた。
しかしその目は俺を食ってしまおうかとにらみながら悩む獣のようであった。
「ぇ?手に入らない宝物は他の人にとられないように廃棄するんだよ?
 でもそれは最終手段、どうしても手に入らなかったときの話だよ?
 でもキミは私が好きで私はキミが好きなんだから・・・・・・”殺さなくてもいいんだよね?”」
その言葉は聴いてはいけなかった「結」へのフラグだったのかもしれない・・・・・・。


――2日目
特に何もない、穏やかな一日なのだった。
只・・・・・・音月が帰ってくる時間が8時を越えたこと以外は・・・・・・。
他に異変があるとすればパソコンの履歴に俺の見たことのないURLがあった。
たぶん音月が開いたのだろう。好奇心から、そこを開く。
”ページが許可されていません”
そう表示されたのだった。何のページなのかは少し気になるが別に問題は無いだろう。
しかしその答えはすぐに明らかになるのだった。

――3日目
音月は今日何故か何処にも出かけなかった。
俺は内職をある程度すすめると飯の準備をしようと立ち上がる。
「あ、御飯なら私が作るよ~」
っと、この生活ではじめて聴いた言葉だった。
それなら任せようと思い
「ん、それじゃ任せた」
とだけ言ってベッドに仰向けになる。子猫が俺の上に飛び乗ってきて腹の上で丸くなるのだった。
思えばここ最近無駄に考えすぎていた気がする。明日からは学校があるんだ。今日は疲れをゆっくりと取ろう。
・・・・・・しばらく眠っていたようだった。
部屋によい匂いが漂う、これは良いカレーですね。
そして俺がゆっくりと起き上がり音月に「おはよう」と寝起き顔のままで言う
音月は小さく笑い「おはよう、もう御飯たべる?」とたずねてくるのであった。
小さく腹が鳴った、良いカレーの匂いが俺の食欲を刺激する。
「ああ、食うわ、持ってきてもらえる?」
とたずねると音月は「いいよ~」と楽しそうに言う。
そんな前とかわらない日常風景に俺はどこか安心すると同時に、部屋の隅にあるダンボールが気になった。
「ん?そのダンボールはどうしたの?」
俺が興味本位で尋ねる。音月は一瞬動きを止めて。
「それ、私がインターネットで買った下着とかなの、勝手にやってごめんね?
 でも私ちょっと騒がれてるし、出歩くのも危ないかなぁって」
なるほど納得した、確かに今の音月は警察の捜索が続けられている。
さらに一時期噂になったくらいで、俺達の通っている高校付近では有名な人物なのだ。
それがあたりを出歩くなんて・・・・・・。
――ソレは紛れもないウソだ。ここに居る人物なら分かるほどのウソだ。
だって音月は・・・・・・
「でも音月、昼間外出してるよな?」
音月はちゃぶだいの上にカレーを置くと同時に停止した。数秒後、それは俺から見れば作られた笑顔で、
「だって衣服類は着合わせするとき変装とか脱がなきゃいけないし・・・・・・。だから、ね?」
と返す、怪しい”こいつは何かを隠しているはずだ”。何を隠しているのだろう”俺にすら言えない隠し事”。
”何故隠す?何故言えない?ソレはやはり・・・・・・俺が信じたくない物と関係しているのか!!”
心が静かに暴れだす。しかし何とか抑制するのだった。
――俺はカレーを一口食べると「うまいよコレ」と感謝の意をこめて満点の笑顔で言う
しかし音月は表情を変えずに「おいしいの?」と返してくる。
俺は疑問を持たずに(ソレはもってはいけない疑問だ)
「ああ、おいしいよ」
と安心させるための笑顔を見せる。
音月はそれでも表情を変えてはくれない。
そしてこちらの目を見て
「ねぇ?それは本当にカレーの味がちゃんとした?別のものの味がしなかった?」
表情を変えずその声は感情を持たず。
多分久々の料理に不安なのだろう(その目を開いて目の前をミロ)。
俺だって何ヶ月も料理しなければおいしいものが作れるか不安だ(それはおいしいおいしくないではなく、ちゃんとソレの味がしたのか?ということ)。
「大丈夫だって!ちゃんとしたカレーだよ」
とにかく安心させようと、俺はこの物体をカレーだと認めようとする。
視界の端に見えるカレーと呼ばれた物は、
”お米の代わりに大量のカプセルが混入していた”
・・・・・・決して見てはいけないものだったのに、俺は見てしまったのだった。
音月はこちらを見ながら
「おいしい?おいしい?おいしい?おいしい?おいしい?」
何度も同じ言葉を繰り返す。
突如体調に異常をきたす。
本来体に入れてはいけないものをすくって食べたのだ。
ガツガツガツガツ何度も何度も。
「ア・・・・・・アァ・・・・・・音・・・・・・つきぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
突如脳のブレーカーが落ちた。
おちた、ついに落ちた、そして墜ちた、やっと堕ちた。
暗い暗い闇の奥底にある世界へ堕ちた。
日常を繰り返すために必要な物が改変されてゆく。
幸いだったのは、少量ではなく過剰摂取したための拒否反応が大きすぎて症状が出る前に倒れたということだろう。
そして次に目がさめればそこは”音月の見る世界なのだということを知る”

――4日目
なんとも不思議なものだ、だってアレだけの量を摂取したのだ。
なのに俺には幻覚すら起きない。ただ以前と違うというのは・・・・・・"体がまともに動かない”ということだけ
ベッドの中で意識のみがある。「・・・・・・おきて」
だれか知ってるけど知らない声が聞こえる。
あれは誰だっけ?俺が好きといった女の子だっけ?
それとも・・・・・・俺が今しゃべっている言葉だっけ?
あーあー分からない分からない分からない
視界に写るのは只一人の女の子。
それは確かに俺が知っているはずの人間(それは本当の記憶か?)
俺を救ってくれたのだろうか?(ち・・・・・・チガウ、こいつは・・・・・・)
「ぁ・・・・・・やっと起きたね。」
クスクスと嫌な笑い方をする。キミは本当にそんな笑い方をする子だっただろうか?
「キミが一杯食べたアレはね?私がいつも使ってる奴じゃなくて
 ”もっと強力な威力をもったやつ”なんだよ」
だからまともに動けないでしょ、とこいつは笑う
見下して笑う、こいつはこいつじゃない、俺の知ってる者じゃない。
「ァ・・・・・・ァ・・・・・・」
声は出ない、身体機能を強制遮断させられた気分だ。
必死に抗う俺を見て彼女は笑う、笑う、笑う、その手に小さな箱をもって、
彼女は笑う、俺を見下して笑う、左手に水の入ったコップをもって、
儀式はもうすぐだ、俺を引きずり込む準備は万端だ、だれも止めてはくれやしない。
「ァ・・・・・・ヤァ・・・・・・メェェェェェェェ」
声は擦れ擦れに、まともには決してでない。
彼女はそんな様子の俺を見て笑う、そこにいるのはやっぱり、昔の彼女ではなく変わっちゃった彼女なのだった。
「今すぐにコッチに引きずり込んであげるからね」
ゾクリと、俺は素直にこの目の前にいる女の子に恐怖を覚えた。
体は動かない、動かない、動かない、動いてよ、お願いだから、助けてよ、お願いだから、他の人間なんてどうでもいいから!!
今一瞬考えてはいけないことを考えた。他の人がどうなってもいいから?そんなことを言ったら絶対に彼女は怒るだろう。
鷹獲 音月はどこにいるんだろう?そういえば行方不明になったっていってたな。
ああそうか・・・・・・もうあの子の両親が探している鷹獲 音月はこの音月じゃないんだ。
昔の音月なんだ。だからそう・・・・・・俺をいけにえにしてこのアパートに封じ込めたんだ。
音月が小さな小さな”BLOOD”と書かれた箱を開ける。
彼女が箱の中身を口でくわえて取り出す。
小さな袋が3個、小さなカプセルがそれぞれに5個ずつ入っている。
音月はそのまま右手にもっていた箱を落とし。くわえていたソレを右手に持つ
「ねぇ・・・・・・心の準備は大丈夫?もしかしたらもう戻れない今へのさようならは済んだ?」
彼女は冷たく言う、それはまるで処刑の言葉のように。
「えっと、飲み込むことくらいできるよね?」
そう言うや否や音月はカプセルを数個口に放り込み、水も口に含む。
そして、顔を近づけ、ソレを口移す。
・・・・・・やめてくれ、もうやめてくれ、これ以上俺の記憶にある音月を壊さないでくれ!
俺の思いもむなしく”ソレ”は俺の口に水ごと移動する。
音月の舌が俺の口の中に送られた”ソレ”を奥に押し込む”もう逃げられないようにと”。
一個、また一個とカプセルは俺の喉を通り、胃へと無事送られる。(さようなら、今までの世界よさようなら)
水を飲み込んだときにはすでに、”口の中には何も異物は存在しなかった”。
「ようこそ、私と同じ世界へ」
――彼女は俺に対して歓迎する。平和な日常から薬という快楽の世界へきた新たな住人に対して・・・・・・。
幻覚作用の一種なのか、無数の声が聞こえる。
”ようこそ””こんばんわ””よろしくね””あははははははははは””助けて助けて助けて助けて助けて”
「助けて助けて助けて助けて助けて」
気がつけばまともにしゃべれるようになっていた。
そしてずっとつぶやく助けを求める声
音月は気味悪く笑う・・・・・・。
「あはははっ、まるで・・・・・・”始めのころの私みたい”」
それは先ほどまでの歓迎と違いざまぁみろというような感じなのだった。
――あれから数時間が経過した。空耳も目障りなモノも消えた。
今はいつもの日常だ。音月と暮らしていた平和な日常だ。
その音月は今、晩御飯を作っているのである。
音月が得意とするのはカレーやシチューといったルーを使うもののようだ。
匂いから判断するに今日はシチューなのだろう。
・・・・・・一方、俺は今日の事を整理していた。
ふと鏡で己を確認する。疲れた表情ではあるが、決してソレはおかしくもなんともないものなのであった。
さっきは鏡を見るということができなかったから自分がどんな顔をしていたのか分からない。
ただ言えるのは・・・・・・それは人のするものではないということなのだろう。
そう推測できるのは前例があるからなのだが・・・・・・。
今日も一日が終わる。なんだかやけに長い日だった気がした。
非現実的すぎるこの日々、もしかしてこれは夢なのでは?と現実逃避したくなる。
だがそれが考えられるなら逆もある”あの日々の方が夢であったのではないのか?”
そんなこと考えたくもない、アレにより生まれつつある自分が囁いた。
”もう諦めろ、薬を植えつけたその時から、お前は帰ってこれない場所にはいったんだ。
 なら後は簡単だ、俺を認めて「二人で」生きて行こうじゃないか”
虫の戯言が聞こえる。「認めてしまえ」「いい加減未練を断ち切れ」「薬を求めろ」
しかしそんな戯言問題ない、所詮ただの虫の言葉だ。
「俺は決して消えるわけにはいかない、今までの世界でいきてやる」
これが俺の答えなのだった。
”慈悲深い神様よ、見てるかい?俺はあんたを信じることをもうやめるよ。
 これが信じた結果だからな。そして「結」は終わりに繋がるのだった」



第終幕最終章~~さようなら今までの世界、こんにちわ壊れた世界、そしてさようなら二つの世界~~~


――翌日、俺は午前6時ごろに起床したのであった。
後遺症はなんともない、薬だって飲みたいとも思わない
あんな気持ち悪い思いをするのなら、俺はそんなもの必要ない。
・・・・・・”ドクン”と鼓動する。突然感覚が薄れて行き、倒れそうになる。
”認めろ認めろ認めろ認めろみとめ「でてくるな!!!」”
ふと、目の前にある電源のついていないテレビをみた、それは鏡のようになっており
俺の”醜い”俺の”怒り”俺の”叫び”俺の”助けを求める声"
その全てを移していた。
今の声で起きたのか隣で寝ていた音月が目をこすりながら・・・・・・
「ん?どぅしたの~?」
とかわいらしくそしてやすらぐしぐさでたずねてくる
髪の毛なんかは寝癖がついてところどころはねている。
「・・・・・・なんでもない」
俺は下を向きながらすこしの拒絶を混ぜて返答する。
音月はしばし悩んだ後、合点がいったように頷いて。
「ああそっか~・・・・・・”聞きたくない声でも聞こえた?”」
俺は答えない、そうだ、こいつは何でも知っているんだ。
この薬に関しては・・・・・・。
「うんうん、嫌な声は聞きたくないよね?聞きたくなかったらそこのダンボールを開けるといいよ
 そして”そこにあるものを口に放り込んで飲み込むといいよ”」
その言葉だけで俺はダンボールの中身を理解した。
つまりあれはBLOODなのだ。そして今の言葉からすると
初回に摂取したBLOODは気持ち悪いものなのだ。
そして幻聴が次々と聞こえてくる。その幻聴を抑えるのが同じ薬であるBLOODなのである。
しかしその副作用として起きるものが先日分かった症状なのだ。
現在午前7時・・・・・・そろそろ学校へいこう、無断欠席をしてしまったから事情も説明しなければ。
俺が準備を始めると音月が不思議そうに見ながらたずねてくる
「?なにしてるの?」
「学校だよ学校、ほら、昨日無断で休んじゃったし」
勉強道具をまとめると朝食代わりにカロリーメイトを二つ手にとって
「それじゃ俺はいくから、帰りは大体4時くらいな」
そういって玄関に向かう
「まってよ」
突然後ろから呼び止められる。
「ん?どうした?」
俺がそう問うと音月は悲しげに
「どうして学校なんかに行っちゃうの?そんなの休もうよ。
 キミまで私を置いて行っちゃうの?君まで私を否定するの?」
音月が過剰反応する。”また私をいらないというのか?”と
「いや只単にいつもどおり学校に行こうとしているだけだよ。
 どんな風になっても俺はお前が好きだし嫌うわけ無いじゃないか」
自分は優しくこの言葉を言ったつもりだった。だが・・・・・・彼女にはどうとれたんだろうか?
「・・・・・・そう、私が一番じゃないんだ・・・・・・。
 どうして?こんなにがんばってるのに?なんで?
 そうだ・・・・・・私が1番じゃないなら、私より上にあるものを”消せば”いいんだ」
音月は一人でぶつりぶつりとつぶやき始める。
俺はそんな音月をほぉっておいてただ「いってきます」とだけ言ってその場から去った。
――久しぶりの学校だ。なんとも開放された気分になる。
ここ最近は非日常ばかりだったからずいぶんと快適な日常を得たような気分になれた。
友人Aとも久々に会話をし、多くの事を話した。だが、音月についてはいまだ行方が分からないということにして。
・・・・・・放課後なのだが、とある女子生徒に呼ばれた。
なにか呼ばれるようなことをした覚えもないのだが・・・・・・。
そして屋上に着てみればそこには女子生徒がいた。
俺を見つけるや否や駆け寄ってくる。
俺は何で呼ばれたのかという理由を尋ねるが顔を俯かせてしばし黙る。
そして・・・・・・俗に言う告白というものをされたわけなのだが当然断った。
だってそうだろう?たとえ今は行方不明の恋人でも何時か帰ってくると信じて待っているのだから。
もし帰ってきたとき俺が別の人と一緒ならアイツは当然嫌がるのだろう。
帰り道、新作漫画を購入して家にかえる。
――結論からいうとそこに音月は居なかった。
部屋にはBLOODが散乱していた。
あの後何があったのか想像もしたくない。
子猫はベッドの下に隠れている。
俺は散らかっているものを片付ける。
結局また音月は帰ってこなかったのだった。

――朝起きると連絡メールが携帯に届いていた。
内容は学校が臨時休校という連絡らしい。
理由は分からないが・・・・・・。
さて、ニュースでも見ようかとテレビの電源をいれる。
”昨夜、――高校が何者かによって全焼しました”
つまりこういうことだ、臨時休校の理由は、学び舎自体が消滅してしまったからなのだった。
続けてニュースを見る。
”現在犯人を特定することはできておらず。グランド一帯までもがガソリンなどによって焼かれたとのことです”
”さらにグランドには地上絵のように「血」と描