固有振動 (vibration of normal mode) とは、物体を自由に振動したときに観測される、その物体固有の振動のこと。固有振動姿態(固有モード)を与える振動。固有振動の周波数のことを固有周波数という。
損失のない振動系の場合、自由振動は固有振動の合成として表される。
例:弦の振動における固有振動
張力Tで張られた線密度
の一様な弦の振動は、つぎの波動方程式で表される。
ただし弦は
方向に振動するものとする。 この偏微分方程式の解は、
として、
だけの関数、
だけの関数の積で与えられることがわかっている。これを前式に代入すると、
という関係が得られる。この両辺が等しいためには、両辺がある定数に等しくなければならない。その定数を
とすると、
,
の2式が得られ、2式を解くことによって
が導かれる。ここに
境界条件として
と
で
であるとすると、
が得られる。ここで
はm次の
固有値 (eigen-value) といわれ、この各固有値で表される姿態を
固有振動姿態(
固有モード)という。
この変数
で表される振動の一つ一つを
固有振動といい、自由振動の振動姿態は、固有振動の重ね合わせで表わされる。したがってこの場合の弦の自由振動の一般解は次式となる。
参考文献
- 基礎音響工学 (コロナ社)
- 音響用語辞典 (日本音響学会編、コロナ社)
最終更新:2009年01月23日 02:34