標本化と量子化

標本化(sampling)とは、ある連続信号を時間軸上の離散点ごとに抽出し、数列として並べ直すことで、量子化(quantization)とは、データのもつ量を整数化、もしくは量子の整数倍にすることをいう。

また、アナログ信号をディジタル信号に変換することをA/D変換といい、逆にディジタル信号をアナログ信号に戻すことをD/A変換という。

標本化定理

標本化元となるを信号(原信号)g(t)、標本化関数をs(t)とする。ただし標本化関数とは、離散値x_nに対してのみ1を返し、その他のxに対して0を返す関数をいい、一般に

s(t) = \sum_{n=-\infty}^{\infty} \delta (t-nT) 

が用いられる。さらに、標本化によって得られる信号p(t)、すなわち

 p(t) = g(t)s(t) 

を考える。このとき、標本化周波数(サンプリングレート)f_s

 f_s = 2W 

であったとき、

|S|Wを満たす周波数Sについて、 p(t)の周波数スペクトルは g(t)のそれと一致する

ということを保証した定理を、標本化定理という。つまり、原信号のもつ最大周波数f_{max}に対して

 f_s  2f_{max} 

の条件が満たされるとき、原信号の復元を保証する定理である。この条件を、ナイキスト条件という。

これに基づいて、例えば電話は f_s=8kHz、CDでは f_s=44.1kHz に設定されている。

A/D変換

A/D変換とは前述した標本化関数によって原信号g(t)を離散化し、その出力信号を量子化することが主な機能となる。その際、ディジタルデータはビットと呼ばれる2進数データで表されることが多い。

D/A変換

標本化定理によると、サンプリングされた信号p(t)は、

-\frac{f_s}{2} < S < \frac{f_s}{2}    ------★

を満たす周波数Sにおいて、原信号g(t)と同じ周波数スペクトルをもっている。すなわち、p(t)のフーリエ変換をP(\omega)g(t)のフーリエ変換をG(\omega)とし、★をバンド幅にもつ矩形窓をW(\omega)とすると、

P(\omega)W(\omega) = G(\omega) 

が成り立つ。従って畳み込み定理より、

(p*w)(t) = g(t)

が導かれる。ただし、窓関数W(\omega)が矩形窓であるので、w(t)はそれを逆フーリエ変換したsinc関数となる。この(p*w)(t)を特に補完公式ということがある。

この原信号復元の処理を行うのがD/A変換である。ただしsinc関数は収束が遅いため、復元の方法には様々な方法がとられている。

量子化誤差

ディジタル回路においては、データを表現できるビットの数は有限であるため、量子化を行ったデータでは最小桁において丸め誤差が発生する。
したがって、用途に応じてできるだけ高いビットレート(量子化レート)に設定する必要がある。

参考文献

  • ディジタル信号処理 (森北出版)
  • 音響用語辞典 (コロナ社)
  • 標本化定理 - Wikipedia

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最終更新:2009年01月22日 13:23
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