電気信号に変換された音声や音楽信号を音響信号に変換し、広い空間に音波を放射する電気音響変換機。スピーカ自体にアンプを内蔵する場合、アクティブスピーカということがある。これに対してアンプを内蔵しないスピーカをパッシブスピーカと呼んだりする。
スピーカの分類
駆動方式、振動板の形状などによって、様々な形態のものがある。
振動板を介するもの
電気振動を一度機械振動に変換したあと、振動板を振動させることによって音波に変換するものである。スピーカーとして一般的なのはこのタイプで、その駆動方式により以下のような種類がある。
- 動電型(ダイナミック型)
- 永久磁石による磁極の間にコイルをはさみ、コイルに電気信号を流すと、コイルが電磁石の働きを行い、フレミング左手の法則にしたがって振動を行う。このコイルに振動紙(フィルム膜、金属膜)などが付けてあり、音波に変換するという構造である。電気信号以外の動力電源を必要としない。
- 静電型(コンデンサ型)
- 静電力を利用するもので、向き合わせた2つの金属板に、バイアスと呼ばれる直流電流と電気信号を流すと、金属板が互いに引き合い(離れ合い)振動が起こる。片方の金属板が直接振動板となるものをシングル型、金属板の間に振動板を挟むものをプッシュプル型という。ダイナミック型に比べ振動板全体に均一に振動が伝わるので、分割振動が起こりにくく、過渡応答がよい。しかし、駆動にバイアス電流が必要となることや、高出力に向かないこと、指向性が鋭くなることなどがデメリットとなる。
- 電磁型(マグネティック型)
- 永久磁石を用いず、電気信号をコイルに流し、薄い鋼板を振動させるものを電磁型という。初期のスピーカに用いられていたが、重く、感度もあまり良くない。
- 圧電型(ピエゾエレクトリック型)
- クリスタル、セラミックなどの特殊な物質に電流をかけると、伸縮、湾曲する。この現象を圧電効果(ピエゾ効果)といい、この原理を用いて振動を起こすスピーカを圧電型という。他の手法と比べ、コイルや電磁石を必要としないため、スピーカーの寸法を軽く、小さくすることができる。
また、振動板の形状によって、コーン型、ドーム型、平面型、リボン型などに分類される。
振動板を介さないもの
前者に比べ、数は少ない。
- 放電型スピーカ
- イオンの放電音を利用したもので、低い周波数は再生できない。過渡応答が優れている。しかし、装置が大掛かりになることや、湿度の高い状況下においてオゾンの発生などが懸念されている。
- 空気流スピーカ
- 空気流を用いたスピーカ。
評価指標
スピーカを評価する指標として、インピーダンス、周波数特性、指向性などがあげられる。
スピーカに要求される基本性能としては、十分な音響出力が得られ、再生可能な周波数帯域が広く、非直線なひずみが少ない(周波数特性がフラット)、耐久性があることなどがあげられる。
参考文献
最終更新:2009年01月22日 12:47