ウェーバーの法則

ウェーバーの法則 とは、刺激の物理量をS、その弁別閾をΔSとすると、

 \frac{\Delta S}{S} = C  (= consant) 

となるという法則で、Cをウェーバー比という。ドイツの生理学者E.H.ウェーバーが提唱した。ここでいう弁別閾とは、ある刺激に対し、刺激の性質をわずかに変化させたとき、その違いが検出できる最小の刺激差異のことをさす。

ウェーバー比は各感覚ごとに異なり、刺激閾付近や刺激頂付近では成り立たない。ウェーバー比は相対弁別閾ともよばれる。

例えば音の強さの弁別において、ごく低い周波数を除いて、50phon以上ではウェーバーの法則がほぼ成り立つ(ΔI/I = 一定)。

関連する法則として、フェヒナーの法則と、スティーブンスのベキ法則がある。

フェヒナーの法則

ウェーバーの法則とほぼ同年代に、G.T.フェヒナーは、フェヒナーの法則を発表した。この法則によると感覚の変化δRと刺激の物理量Sの間に

 \delta R = c\frac{\delta S}{S}

が成り立ち、感覚Rに対して

 R=c\log_eS+A 

が成立するというものである。ウェーバーの法則が弁別閾と刺激の物理量を関連づけるのにとどまっているのに対し、フェヒナーの法則は、刺激に対する感覚の変化、つまり心理尺度を構成している点に大きな違いがみられる。しかし、フェヒナーの法則が必ずしも物理量と感覚量の関係をよく表しているわけではない

スティーブンスのベキ法則

そこで、1950年代になってS.S.スティーブンスによって、スティーブンスのベキ法則が提唱された。これによると、感覚的な大きさφ、刺激の物理量Sに対して

 \phi = KS^a 

が成り立つ。ここで、aは感覚の種類によって異なる定数であり、例えば音の大きさ(ラウドネス)と音の強さ(インテンシティ)の関係では a=0.3をとる。したがって、音の強さが10 [dB]増加すると、感覚上の約2倍に相当する。

これら3つの法則は、それぞれに成立する範囲が異なっているため、その性質の違いを理解しながら適用することが重要となる。

参考文献

  • 聴覚と音響心理 (コロナ社)

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最終更新:2009年01月22日 17:11
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