むかしむかしある所に、一つの国がありました。 その国はとても平穏な国で、 これといって珍しいものはありませんでしたが 人々は争い事もない平和な毎日に満足していました。 ある日、その国に一人の少女がやってきました。 その少女は国の何処もかしこも見て回り、ぽつりと呟きました。 『まあ。なんてつまらないところなの』 そのたった一言で、 平凡な世界は彼女が望む"面白い"世界に変わりました。 いたる所に人の言葉を話す動物や、奇妙な形をした生き物が現れ、 突然姿を現した王様は人々を支配し、 その機嫌一つで多くの罪のない者たちを処刑したのです。 平穏な日々は、少女のたった一言に消え去りました。 人々は、自分たちの苦境に嘆きながら、 全てを狂わせた来訪者への憎しみを、ひたすらに募らせていったのです。