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社会現象には、社会そのものの分析が必要である。社会における緊張、圧力、潮流、転換、変動の分析である。この方法こそ、そもそも社会学がとるべきアプローチであり、すでに十九世紀初めに明らかにされたことだったのではあるまいか。


 歴史家、経済学者、哲学者の中には「社会」は曖昧な存在であって規定することはできないという者がいる。まったくその通りである。だが、規定できないということでは、歴史、経済、哲学、国家、科学、詩のいずれも変わらない。それどころか、思索し、論じ、書く値打ちのあるものは、すべて規定できない。
 しかし現実には、統計的には八〇パーセントの確率かもしれないが(そのゆえに論理的には厳密さを欠くかもしれないが)、それらのもののすべてが、それぞれ意味のあることを明らかにしている。
 本書は、特異な動物たる人間の環境として社会をとらえる。通常、学者たちが扱う歴史なるものは、人間環境の表面で生起する個々の事件にすぎない。他方、哲学体系としての「イズム」は人間環境を包む大気である。しかるに、社会とは人間環境の「生態」である。