ハード音源

ハードウェア音源

ギターにせよピアノにせよドラムにせよ、それだけでなく机、椅子、声、風、鳥の鳴き声などこの世のあらゆるものはハードウェア音源になりえます。もちろんこれはマイクなどで適切に録音できればの話です。それらについては録音機材で説明をしたのでそちらに譲るとして、ここではハードウェアシンセサイザーについて説明します。

シンセサイザーって何?

1900年初頭あたりから、電気電子技術の発達とともに、「電気回路で色々な音を出してみたい!」という欲求の元に作られたのがシンセサイザーの始まりです。つまり現実にはない音を、当時の最新技術を使って色々と作ってみようという試みがシンセサイザーの出発点でした。ですから広く言えば、何も受信していないラジオの雑音なんかもシンセサイザーと言うこともできます。なんにせよ、それまで音は録音するなり演奏するなりでしか扱えなかったところに、音を新たに作るという手法が加わったことによって、ぐっと音楽の可能性が広がったといえます。

アナログ音源とサンプリング音源

現在使われているシンセサイザーの方向性は大きく分けて二つになります。
一つは本来のシンセサイザーの機能である、発振回路を用いて新たな音を生成するシンセサイザーです。一般的にアナログシンセと呼ばれるものがこれです。ですから出てくる音は実社会で聴こえてくる音とは基本的に無関係です。が、フィルタリングや合成によって「○○っぽい音」などがよく作られたりします。一昔前の日本ではPSG音源、FM音源なんてのがPCゲームなどを通じて流行りました。ピコピコなシンセサウンドには、今でも独特の味があるものです。
もう一つは実際に楽器や物や自然が発する音を録音してデータ化し、それを利用して音を出す音源です。実際の音をサンプリングして利用しているのでサンプリング音源と呼ばれます。特に昔はPCの機能も今ほど高くなく、サンプリングされ音には圧縮がかかり、また用途に応じてフィルタリングされて出力されていました。「容量20Mの大容量ピアノ音源!」なんて今となっては理解不能なキャッチフレーズなどもあったようです。当初はもちろん生の音に近づけることを目標にしていたようですが厳しく、その後、そのフィルタリングされた音にも味があることが認められ、積極的な「音作り」にも力が入れられるようになりました。いわゆる生音と電子音のハイブリッドな手法がどんどん広まっていったのです。

ハードウェア音源とMIDI

今では打ちこみやソフトでの楽譜入力の代名詞のようになっているMIDIですが、そもそもは多種多様なハードウェア音源を、演奏者がきちんと目的通り鳴らすために生まれた規格、プロトコルでした。演奏者は機械と違って、周波数いくつだ、とかここの回路のゲインがと指定することはできません。できるのはピアノのような楽器を弾いて音の長さ、強さ、タイミングなどを指定したり、楽譜を書いてそれを機械に読み込ませることぐらいです。つまりMIDIはそのような人間の音楽的な活動と、ハードウェア音源の機械的な動作の橋渡しの役目として生まれてきたものなのです。このようにMIDIのプロトコルは人間の音楽活動に必要な情報を記録し、それが機械に伝えられるように設計されています。そういう目的によって生まれた規格だからこそ、今でも楽譜入力と音源制御の手法として根強く生き残っているのでしょう。

DTMの代名詞だったSCとMU

一昔前の日本のDTMといえば、RolandのSC系と、YamahaのMU系の音源を使ったSMFフォーマットのmid拡張子ファイルのことでした。GM規格というどの音源でも共通なプロトコルに加えて、RolandはGS規格、YamahaはXG規格などの独自の拡張規格を提唱してシェアを競っていた、今となっては微笑ましい歴史のある系列です。(今はSONARとCubaseに競争がシフトしてますがw)
当時は大ヒットしたSC88という音源が、いわゆるMIDIの標準的な音源で、さらにそれに音色やインサーションエフェクトを追加したSC88-Proなどが続きました。ショップに行くとたいていこれのデモ音源が鳴って、ミュージ朗なんかが動いていたものです。一方MU系はMU100などで対抗していましたが、なかなかシェアを伸ばすには至らなかったようです。当時はmp3で公開などということができなかったので、同じ音源を持っていないと同じように鳴らない、ですからきちんとデータを鳴らすために同じ音源への一極集中ということが起こっていました。
そのうちPCの技術が高まり、ネットワークの発達でmp3を配布することによってデータ再生に音源がいらなくなったこと、そしてDAWの台頭によって、これらの音源はシンセサイザーの一つという位置づけに収まり、Rolandの出したSonicCellを最後にオールインワン型のハードウェア音源は終焉を迎えることになります。

音ネタとしての音源へ

総合音源としてのハードウェア音源の役割はPCとDAWによって完全にその役目を終了しました。そのかわりソフトウェアでは再現が難しかったり、面倒であったりというような音色を出すという飛び道具的なオリジナリティでの生き残りが始まりました。つまり多様なトラックと音色の中の「あの音色!」を出す音源の一つとして、DAWのシステムの一つとして統合されようとしています。しかし、データのやりとりの煩雑さや、実空間の場所をとること、リアルタイムでしか制御できないなどの問題点が残っているため、いずれソフトウェアに置き換わっていくものと思われます。



こっから先はフリーダムw

小生が最初に買った音源はSC55-mk2という、PC-98の後ろの拡張スロットに挿すボード。同時発音数32で音色数100ちょっと、リバーブなどのエフェクトはなしという機種でした。当時はそれでも「おおお!PCからちゃんとピアノの音が!」などと感動したものです。MusicStudioProducerの初期バージョンが当時でており、それをWindows3.1上でぽちぽちやっていた記憶があります。
その後、数年たってSC8820を秋葉原で購入しました。ちゃんと最初から最後まで一通りの機能が揃っている音源を最初に買ったのはこれです。当時はSC88-Pro全盛期だったので、それ用の音色と機能しか使わず作曲していました。互換性はかなり高かったように記憶しています。お手本は九十九百太郎氏のHyperDuelやThunderForceの曲でした。
その後、S.S.H.氏の曲を知りMU2000に魅せられます。MU2000の音は非常にクリアで、またリバーブなどのエフェクトもかなり高品質でした。またディジタルアウトがあったのも、なんか高級感があってよかったですね。今はもう使いませんが、少し前まではバリバリ現役で使ってましたし、ちゃんとコンテストや市販CDにも耐えうるパフォーマンスを発揮していたと思います。個人的にBrightnessやAtomosphereのキラキラ系音色が、この音源は独特のヌケと存在感があって重宝しました。今GoliathやIndependence、SampleTankなどで似たような音色を探していますが、なかなか思い通りの音色が入っていなくて困っていますw
最終更新:2010年03月25日 15:37
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