第一回:分子生物学とは?遺伝子の発現,単遺伝子での発現調節...etc
- 分子生物学とは?
分子レベルでの生物の理解を目指す.
- 同じ遺伝子の生物が何故異なった生育を示すのか
何らかの要因(光などの環境要因,葉・根などの器官の種類)がセントラルドグマに影響して遺伝子発現を調節した?→この場合,調節されうるのは転写.翻訳はほぼ自動的に進むため.
他の要因は?
他の要因は?
- 単遺伝子の発現調節
一つの遺伝子に着目すれば,発現の調節方法は2つ挙げられる.
- 転写の調節
- タンパク質の活性の調節
後者はプロテインキナーゼ(タンパク質リン酸化酵素)によるものが代表的.
両方が同時に起こることも当然ありうる(リン酸欠乏時に活性化されるPEPカルボキシラーゼなど).
両方が同時に起こることも当然ありうる(リン酸欠乏時に活性化されるPEPカルボキシラーゼなど).
- その他
第二回:細胞を構成する要素,糖,アミノ酸,タンパク質,核酸,DNAのトポロジー
糖
- 糖の定義
- Cが3個以上ある
- アルデヒド基(-CHO)またはケト基(-CO-)を持つ
- 水酸基(-OH)を持つ
- 糖の構造
一般的に糖は環状構造を持っている.
1位の炭素の水酸基の位置によりα,βに分けられ,これが化学的性質を分けることもある.例えばアミロースとセルロースはいずれもグルコースがグリコシド結合によって直鎖状に重合したものであるが,アミロースはα-グルコースがα-1,4結合をしたもの,セルロースはβ-グルコースがβ-1,4結合をしたものである.(cf.α,βの区別の仕方)
1位の炭素の水酸基の位置によりα,βに分けられ,これが化学的性質を分けることもある.例えばアミロースとセルロースはいずれもグルコースがグリコシド結合によって直鎖状に重合したものであるが,アミロースはα-グルコースがα-1,4結合をしたもの,セルロースはβ-グルコースがβ-1,4結合をしたものである.(cf.α,βの区別の仕方)
- ペクチン
細胞壁に含まれる多糖.
ペクチン類は様々な種類の多糖類から構成され,細胞壁中で複雑な構造をした非常に大きな分子として存在している.
酸性残基を持つため,カルシウムによる架橋結合を形成できる.
非常に複雑な様式で結合した10種以上の単糖からなるラムノガラクツロナンⅡ(RGⅡ)と呼ばれる複合多糖では,ホウ素のジエステル結合により架橋が形成される.
(参考資料:テイツ・ザイガー 植物生理学)
ペクチン類は様々な種類の多糖類から構成され,細胞壁中で複雑な構造をした非常に大きな分子として存在している.
酸性残基を持つため,カルシウムによる架橋結合を形成できる.
非常に複雑な様式で結合した10種以上の単糖からなるラムノガラクツロナンⅡ(RGⅡ)と呼ばれる複合多糖では,ホウ素のジエステル結合により架橋が形成される.
(参考資料:テイツ・ザイガー 植物生理学)
- 糖のエネルギー状態
アミノ酸,タンパク質
アミノ酸は親水性と疎水性のものに分けられる.基本的に価電を持つアミノ酸は親水性である.
タンパク質が親水性となるか疎水性となるかはそれを構成するアミノ酸の性質に左右される.
タンパク質が親水性となるか疎水性となるかはそれを構成するアミノ酸の性質に左右される.
- 等電点
- タンパク質の高次構造
核酸
DNAのトポロジー
- DNAの高次構造
第三回:RNAの機能,DNA末端の問題,突然変異
RNAの機能,構造etc
- tRNA:生物種によりコドンの使い方が異なる場合がある.
- リボザイム:酵素活性を示すRNA.RNAワールド仮説の根拠.
- mRNAの構造:5'側にキャップ構造,3'側にポリA構造を持つ.
- 半保存的複製:メセルソン・スタールがN15(重窒素)を用いた実験で発見.
- DNA複製フォークにおける合成
- リーディング鎖:5'→3'方向にそのまま合成できる.
- ラギング鎖:短いDNA断片(岡崎フラグメント)が合成され,DNAポリメラーゼⅠがそのプライマーを分解(DNAポリメラーゼⅠのエキソヌクレアーゼ活性)し,これを繋げてDNA鎖とする.
- クレノーフラグメント:DNAポリメラーゼⅠを制限酵素処理して3'→5'エキソヌクレアーゼ活性のみとしたもの.粘着末端における3'側の突出配列にエキソヌクレアーゼ活性を示して平滑末端とすることができる.5'側の突出配列を平滑末端とするときにはT4DNAポリメラーゼを使用する.
DNA末端の問題
- テロメア
DNAを合成するにはプライマーが必要だが,プライマーは合成のたびに切られるので合成されればされるほど染色体の末端,すなわちテロメアは切られて短くなっていく.これは動物の体細胞における細胞の寿命と関連する.
- テロメアーゼ
テロメアを修復する酵素.動物細胞でテロメアーゼが活性を示すのは生殖細胞とガン細胞のみ.
突然変異
突然変異は10^-8の確率で発生する.塩基の欠失,置換etc
- ミスセンス変異:点変異によって一部のアミノ酸が変わり,タンパク質も違ったものになってしまう.
- ナンセンス変異:点変異によって一部の配列が終止コドンになり,そこでタンパク合成が終わってしまう.
- 紫外線による変異:チミンの二量体ができる.これはアデニンと結合できないので複製,転写が停止する.これを修復するのはフォトリアーゼという酵素で,可視光により活性化する.
第四回:転写制御,翻訳,RNAi
転写
- シス因子とトランス因子
ORFの上流にあって転写を制御する因子をシス因子,ORFとは別の部位にコードされているタンパクで,転写制御に関わるものをトランス因子と呼ぶ.
- 一度の転写で作られるmRNA数による区別
- モノシストロニック転写:真核生物で行われる.一回の転写で一つのmRNAが作られる.
- ポリシストロニック転写:原核生物で行われる.一回の転写で複数のmRNAが作られる.
- DNA合成と比べたときの転写の特徴
- プライマーが必要ない
- ポリメラーゼがRNAポリメラーゼである ...etc
- mRNAの構造
- 真核生物においては5'側から「キャップ構造-ORF-PolyA」という構造になっている.
- キャップ構造:[m7G(5')pppN-]という構造を5'端に持つ.翻訳のとっかかりとしての働き,翻訳の安定化に関わる.
- PolyA:翻訳の安定化に関わる.
- CoTC配列:PolyAの下流にあり,mRNAとなる際にリボザイム活性を示してRNAポリメラーゼⅡによる転写を集結させる働きをする.
- 真核生物においては5'側から「キャップ構造-ORF-PolyA」という構造になっている.
- エディティング:RNAに本来とは異なる塩基が出現したり塩基の挿入,欠失が起こるが,その詳しい機能,意味は不明.
- スプライシング:イントロンを切断し,成熟mRNAを合成する核内の反応.行われる場所はスプライソソーム.8割方は1種のプレmRNAから1種の成熟mRNAの合成が行われるが,1種のプレmRNAから複数種の成熟mRNAが合成される選択的スプライシング,複数のプレmRNAから複数の成熟mRNAの合成されるトランススプライシングも行われている.
翻訳
- 調整は弱い.真核生物ではeIF4Gという翻訳開始ファクターが補助する.
- 一般的にリボソームが最初に結合した部位の下流にある開始コドンから開始される.
- リボソームはキャップ構造の他にIRESという部位にも結合できる.
- CoTC配列を外し,IRES部位を入れてやれば,一つのmRNAから複数のタンパク質が翻訳できる,すなわち一度の転写で複数のmRNAが転写できる,ポリシストロニックな転写を真核生物に行わせることも可能である.
RNAi(RNA干渉)
- 切断された二本鎖RNA(siRNA)にタンパク質群の結合したRISCによってmRNAの分解や翻訳の阻害が起こる現象.
- ターゲット遺伝子とそのアンチ鎖によりsiRNAを合成し,それによってターゲット遺伝子の翻訳制御を行う手法をRNAi法と呼ぶ.