New 132   ◆Mare/GPJwg [sage] 06/08/05(土) 14:53:53 ID:???
まれすけの場合Ⅰ


「あちぃな」
少しでも気を許せば足を取られるかのように岩が点在する道。
全身迷彩を着込んだ男が汗を玉にして歩いている。
まれすけである。

オフ会が決まる前、影瑠にMSNで持ちかけられたゲーム、
マレカノが横でいびきをかいている中で適当に了承した殺し合い。
唐突すぎて、誰がどう見ても冗談にしか見えなかった。
「まさか、本気だったとはな」

人ひとり入るのがやっとな岩壁の洞穴にマレカノを押し込み、完璧にカモフラージュしてきた。
幸いにも、マレカノの武器はマチェットだったので自分の身くらいは守れるだろう。
その時やいのやいの何か言っていたのは無視して、まれすけは道を行く。

「んで、俺は大福でどうしろと。マレカノのマチェット借りてくればよかったかなー」
あきれながらも食料の他にバッグに入っていた大福のパックを手に取る。
「まあ、いざとなりゃ素手で素人には負けねえだろ。
 引退してずいぶん経つが、昔は全学連の糞どもと――」
無駄な独り言。そしてただでさえ貴重な食料――もちろん大福である――を、
一種の怒りを抑えるために一つ口へと放り込んだ。

ガリッ

「って……!!」

口に強烈な違和感を感じ、思わず吐き出す。

地面に転がったのは、アンコにまみれた一つの鍵であった。

鍵でロッカーを開けた中に鍵かよ、まれすけは影瑠の悪趣味ないたずらに閉口したが、
すぐにバッグの中を再度かきまわしはじめた。
鍵があるということは、錠があるということである。
そして、必ずそれを導くための道標が。
「あった」

 New 133   ◆Mare/GPJwg [sage] 06/08/05(土) 14:54:51 ID:???
まれすけの場合Ⅱ


「あれ……か」

《5-A リンゴの木の下》

バッグの内側側面、ポケットに入ってあった小さく折りたたんである紙に書かれていた場所。
うっそうとした森の中、一帯だけ雑草すら生えてなく、そこから一本だけ生えているリンゴの木。
「これは不自然すぎて笑えるな」
誰かがアンブッシュしていたら、単なる的になってしまう。
もし貸与された中に銃やボウガンなどの飛び道具がなければ杞憂であるが、
誰がどんな武器を持っているか分からない現状では危険な賭けである。

だが、しかし――

「悲しいけど、行かないわけにもいかないんだよねぇ」

握りこぶし大の石を放るや否や、まれすけは飛び出す!

ダダッダダダダダッ!!

空気を切り裂く衝撃音に、森の動物たちが騒ぎ出す。
しかし、銃弾は石に反応したのか、まれすけは無傷で木の下にたどり着く。
もちろん狙らわれている方向と自分の間に木を従えて。

「これか!」
木の窪みに重箱ほどの箱を見つけたまれすけ、それを手に取り間髪を容れず走る。
自分が狙った獲物は無機物と気づいたか、照準をまれすけと修正し始めた無数の銃弾。
しかし、それはまれすけに当てるには少々狙いが甘かった。
「トリガーハッピーになってたんじゃあたらねぇぞ!」
まれすけは意気揚々と森の中へと逃げおおせたのであった。

 New 134   ◆Mare/GPJwg [sage] 06/08/05(土) 14:56:15 ID:???
まれすけの場合Ⅲ


「さてさて……。死の危険を冒してまで手に入れたプレゼントは何かな」
身近な岩に腰を下ろしたまれすけは、箱をあけるため鍵を挿す。
目に見えない襲撃者から逃げた後、まれすけはさらに数十分歩き続けていた。
念のため、ではなく、確実に安全を確保するためである。
銃器が貸与されていると分かった以上、やりすぎということはないのだ。

パカッ

「ん……。ん?」
箱に隙間なく並んでいたのは、10センチ程度の球体のもの。
しかし、まれすけはわかっていた。
それが手榴弾の詰め合わせだということに。
そしてまた一枚の紙を発見する。

《がんばってね♪》

それをみて、無表情のままやおら立ち上がるまれすけ。
右手でクシャクシャにつぶした紙を捨て。

「……ふんっ……。クク……ハハハ……ハハハハハハハハハ!!!
 わかったよ、やってやろうじゃねえか。
 全員ぶっ殺してやる。影瑠勢力も反影瑠も。
 最後に生き残るのは“マレカノただ一人”だ!!」 

 New 204   ◆1DJTEKKON. [sage] 06/08/06(日) 00:11:12 ID:???
「TEKKONの場合② -遭遇-」


「まったく冗談じゃないぞ」
とブツブツ言いながらTEKKONは夜道を歩いている。
先ほどまで自分の「武器」である盗聴器を使い色々聞いてたのだが、
肝心のバッテリーが予想以上に減るのが早く、後の事を考えたら中断せざるを得なかった。
これまでの情報収集活動でわかったことは、

①「まれすけが影瑠側の人間」である事。
②特に大人数で集まっている様子は無いらしい。だけだ。

ちなみにUMAがのんきに鼻歌歌ってるのと、軍師が「オイサ!オイサ!」と
叫びながらどこかを走ってる事も把握しているwwwww
「さて、どうしたものかな…」
と考えながら当ても無く彷徨ってると、目の前に今までと違う景色が見えてきた。

「これは…民家?」
目の前に見えるのは古びた木造の民家。人が住んでいる雰囲気は微塵も感じない。
いわゆる『どうみても廃墟です。本当にありがとうございました』って奴だ。
「ここで武器や食料が手に入るかも。しかし、誰かいる可能性もあるしな…」
TEKKONは少し悩んだ後、勇気を出して中に入る事にした。
細心の注意を払いながら家の中に入る。目標は食料と武器があると思われる台所だ。
夜の廃墟の中に入るのは本当に怖い。このような状況じゃない限り入る事はないだろう。

「お、台所はここか」
何とか目的の場所にたどり着いたTEKKONはまず武器の確保に走った。
まだ十分に使える【包丁】を見つけ、右手に握ってブンブン振ってみる。

その時、後ろに人の気配を感じた。
「!!!!!??????」とビビリながら振り返る。

 New 205   ◆1DJTEKKON. [sage] 06/08/06(日) 00:11:59 ID:???


そこには無言で立っている長い髪の女性がいた。


「ヒッ!!!」
思わず叫びそうになるのを必死に堪える。
しかし、不思議なのは彼女の方だ。こっちは仮にも右手に包丁を持っているのに
彼女は何も感じてないように普通に立ってるだけなのだ。

「あ、自分は名無しサンプリングだけど、君は誰なの?」
「…」

こいつは自分の声が聞こえてるのか?と思えるくらい無反応だ。
長い前髪から微かに見える眼でじっと自分を見つめるのみ。
「こ、この包丁は自衛の為だけに使うだけで君を襲う気はないから!」
と言い訳はするものの、彼女が敵の可能性を考えたら包丁を降ろす事も出来ない。

短いような長いような。不思議な時間が二人の間に流れた…

「…うん。君は敵じゃないみたいだね。ごめんね。自分はここから出るから」
「…」

長い髪の女性はやはり反応しない。まったく不思議な人だ。
「お互い大変だと思うけど、頑張ろうな。死なないでね」
という台詞を残し、こうしてTEKKONと謎の女性は別れた。

そして新しい武器である包丁をバッグにしまい。更に夜の道を歩く…


 New 209  ブラホ○ ◆6464Q.3rTs [sage] 06/08/06(日) 01:49:08 ID:???
「ブラホの場合② -遭遇-」

ブラホには心に決めている事があった。
それは、この殺し合いには参加しないこと。つまり影瑠とその手下達を攻めるという事。
しかしそれには多量のリスクと、大勢の仲間が必要だ。
同じ様に殺し合いをせずに生き延びようと考えている仲間を見つけなくてはならない。



ブラホはしばらく闇に紛れて走った後、一軒の民家に入った。
中は荒れ果てていて、歩くたびにゴキブリが蠢き回る。
ブラホは喋るという行為をほとんどしないためか、耳や目で情報を読み取る能力に長けていた。
今この物騒な民家には自分以外に人間はいない、それぐらいの事は耳を澄ませればわかった。

そしてブラホは壊れたテーブルに腰掛け、今後の事を考えた。
これからどうするのか、最終的にどうしたいのか。
しかし長々と考えて、いつまでもこの目立った民家にいたのではいつ誰の襲撃に会うかわからない。
さながら、このあまりにも目立つ廃墟がゴキブリホイホイにも見えてきた。

ブラホは虫の入ったガラスケースで圧迫されたバッグの中から地図を取り出すと、
目標とする場所を探しはじめた。

地図にはこの島の情報が事細かに書き込まれていた。
ヒョウタンのような島の全景、様々な建造物、そして区域分けをする縦横の線。
するとその中に、まるで自分のためにあるかのような施設を発見した。
その施設の名前は昆虫研究所。

 New 210  ブラホ○ ◆6464Q.3rTs [sage] 06/08/06(日) 01:49:16 ID:???
ブラホは地図をしまうと、早速昆虫研究所へ向かおうとした。
しかし、ブラホには1つ気がかりな事があった。

それは、この地図を手にしているのは参加者全員であり、
また、会場の軍師やよろずやを見てそれぞれの武器や衣装などが
その人の特色に合った物である事に大半の人は気付いているであろうという事。
つまり、自分が昆虫研究所に行く事は、ある程度予測されているのではないだろうか、とブラホは考えた。
飛んで火にいる夏の虫…そんな言葉が脳裏をよぎった時、ゴキブリの動く音が聞こえた。

ゴキブリの足音に混じって、廃材を避けながら歩く人の気配。ブラホは自分の気配を消し、
その人物の方に全ての注意を払った。
そして、その歩調や、手や腰にバッグ以外何も携帯していない事から、
怯えた様子である事、少なくとも凶悪な武器は持っていない事が、確信はできないが読み取れた。

その人物は台所に入っていった、どうやら何かを物色しているようだ。
概ね武器や食料でも探しているのだろう。
この人物が武器を持っている可能性は0ではないが限りなく低い。
ここは一か八か、接触してみよう、そうブラホは決断した。

 New 211  ブラホ○ ◆6464Q.3rTs [sage] 06/08/06(日) 01:49:21 ID:???
まさにそう決断したその時であった。その人物は台所で何かを見つけ、右手でブンブンと振っている。
…包丁だ。

しかしブラホは逆に安心した。
もし銃器系の武器を持っているのならば、こんな所に入るのに銃を構えていないはずはないし、
刃物系の武器を持っているのならば、今更薄汚れた包丁など振り回さないだろう、と。

大方この人間も自分と同じような使い辛いモノを渡されたのだろう、そんな事を考えていたその時、
その人物がこちらの気配に気付いたのか急に振り返った。

「ヒッ!!!」

その人物はヒドく驚いた様子だった。思わずその人物の驚きようにこちらが驚いてしまうほどであった。

「あ、自分は名無しサンプリングだけど、君は誰なの?」
その男はどうにか平静を装い、自ら名乗り始めた。
この様子では包丁を自分に向ける事は無いな、ブラホはそう思った。
そして、そのブラホの考えは当たっていた。

しばらくすると、名無しサンプリングと名乗った男は幾つかの台詞を喋り、「死なないでね」と言って去っていった。
話の内容から、どうやら一緒に行動する気はあまり無いようだった。



ブラホは自分が少し嫌になった。このような極限状態でも何も喋らない自分、
優しい言葉をかけられても表情すら作らない自分が。

ブラホは軽く肩でため息をつくと、昆虫研究所へと向かった。
外に出た時にはもう名無しサンプリングの姿は見えなくなっていた。

 New 215  名も無きリスナー [sage] 06/08/06(日) 02:03:25 ID:???
影瑠は今まで味わったことのない愉悦の中にいた
自分の指示で大勢が殺しあうゲーム

「誰かハッピーエンドへの道に気付くかな?w」

参加者にとってのハッピーエンド、それは影瑠にとっては死である
だが、あえてそれにつながるピースは用意した
自分の命なんてどうでもよかった
ただ、混沌とした中で誰がどう動くのか
それをみていることがたまらなく楽しかった


 New 269  UMA ◆u.YAJIUMA. [sage] 06/08/06(日) 14:56:12 ID:???
『UMA視点②―とびだしてみたはいいけれど』

「~♪」
暗い夜道をマイク片手に歩き始めてしばらくたった。
とりあえず事故を探してなるべく楽そうな道を選んで歩いてみてはいるが…
「見つける方法考えてねえ~♪」
…歌にしてもどうなるわけでもないんだよなぁ。
なんとかして合流したいよなぁ…
そう思ってても具体的な方法が思いつかないので歩き続けるわけなんだけど。
しかし平坦な道を選んでいるとは言ってもまぁそこは舗装されていない道。
このまま歩き続けていたら俺の体力がもたなくなるのもそう遠い話ではないだろう。
「なんで歌ってるんだろうね俺は~♪」
歌いながら歩いているもんだからのども渇くし。
…歌うのやめればいいじゃんっていう話なんだけどただただ歩くのも面白くなくてなぁ…
「それにしてものどが渇いた~♪…ってことで」
バックから水を取り出すために足を止めてバックの中を見る。
「水~♪水~♪」
ペットボトルの水がバックの中に入っているのを見つける。
こういう時はペットボトルじゃなくて水筒が普通じゃないのかとは思ったけど別にそれはあまり関
係ない話だろう。
すぐ近くに大きい木が見つかったのでそこの下に座って少し休むことにした。

 New 270  UMA ◆u.YAJIUMA. [sage] 06/08/06(日) 14:56:33 ID:???
「いろいろと考えなきゃいけないことはあるんだよなぁ」
夜空を見上げながら俺はそうつぶやく。
そう。
すぐに殺される危険性はないって俺は思ってる。
その思いは出発した頃よりも強い。
鼻歌歌いながらゆっくり建物から出てきたのに殺されてないっていうのが一つの証拠。
今考えると鼻歌歌いながら歩いてたっていうのはそれなりに正解だったような気もしている。
お気楽な自分マジありがとう。
「しっかし」

 New 224  音虚 ◆NEKO//odew [sage] 06/08/06(日) 02:50:41 ID:???
簡単にまとめたw


音虚の場合① ~メイドロボ~

「ったく、影瑠のやつ何考えてるんだよ・・・」
「今回はメイドロボのお披露目を兼ねてるんじゃなかったのか?」
「まったく、プロトタイプをわざわざ持ってきたのに・・・(ぶつぶつ」

俺が今回聞かされていたのは、影瑠板メイドロボ試作品のお披露目を
このオフ会で行うから、試作品をもって来てくれと言うことだった。

「こっちは寝る時間惜しんで作っていたというのに、何が殺し合いだ。全く・・・」

影瑠板メイドロボは水面下で開発が進められており、1年以上の歳月をかけてようやく
プロトタイプが完成したところだった。

「ったく、このバックに何が入ってるんだよ。どうせろくなもんじゃないだろ。」

そんな愚痴をいいながら、バッグを開けるとそこには改造ランチャーと
数十枚にわたるプログラムコードがあった。

「・・・これは??」

 New 225  音虚 ◆NEKO//odew [sage] 06/08/06(日) 02:50:57 ID:???
音虚の場合② ~不気味なコード~

しばらくの間、俺は書かれてあるプログラムコードに見入った。

「このコードは・・・」
「まさか、影瑠はメイドロボを殺戮兵器にするつもりか・・・?」

プログラムコードが書かれてある1枚目には、
ランチャーを用いるための戦闘用コードが書かれてあった。
そして・・・

「!!!!!」
「これは・・・ありとあらゆる対人戦闘用コードが組み込まれている・・・?」
「影瑠・・・何を考えている・・・」
「もしかして、これを俺に実行しろということか?」

俺はこのコードを恐ろしいと思った。
だがそれと同時におもしろいとも思った。
自分の手がけたこのプロトタイプがどこまでやれるか、
その性能を見てみたいと思うのは研究者のサガか。

「とりあえず、プロトタイプM-A アースラを起動させておこう。」

俺は、アースラの起動のために隠しておいた病院へと向かった。

「後はこのコードもいじる必要があるな・・・」
「・・・色白を探すか」

 New 248  名も無きリスナー [sage] 06/08/06(日) 04:06:00 ID:???
「この格好も良し悪しだよな」
俺が何者かは一目瞭然だろう
向こうに攻撃の意思がなければ、すんなりと合流できるかもしれない
しかし、そうでなければ……
対抗する手段のない俺はあっさりと死亡者リストへ名を連ねることになる
と、言っても動かないのは性に合わないし
動かず死ぬよりは動いて死ぬ方がいくらかマシに思えた

「行くか」

地図を広げ、人のいそうな場所にあたりをつける
病院、灯台、昆虫研究所
この3つが目を引く
現在地は影瑠の館周辺
一番近いのは、病院

吉と出るか凶と出るか、そんな行き当たりばったりは嫌いじゃない
病院へと歩き出す

何でこんなことになってるんだろうね?
っていうかここどこ。
水を一口。
んでもって何が目的?
こんなこと気まぐれでやられちゃ正直たまらんよねぇ。
水を一口。
「水がうまいなほんと」
そりゃまぁ結構動いたしね。
これからもっと大変になるんだろうけど。
まぁ意外となんとかなるもんだよ…多分だけど

 New 271  UMA ◆u.YAJIUMA. [sage] 06/08/06(日) 14:56:48 ID:???
休んでる間にもう一度バックの中身を確認するか。
もう一度バックの中をのぞく。
地図、方位磁石、飲み物系統、食べ物系統、ペン、メモ帳、ティッシュ、ハンカチ、タオル、マッ
チ、時計。
そして…マイクケーブル。
………ケーブル。
「だあああああああああああああああああああああああ!!意味ねええええええええええええ」
なんでこうも意味の無いものが続くかなぁ…
マイクケーブルでどうやってこの状況を打破するんだよ。
「マイクだけでケーブルないよりはいいのかなぁ…?」
いやどう考えてもマイクとか意味ないよな。
DJにゆかりのものって言ってももうちょっと役に立つものくれよホント。

「あとは…」
地図…くらいだろうか?気になるのは。
一応全体の見取り……図………
「島かよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
はやくみとけよ俺。マジで。
完璧に島。ありえないくらいに島。泣きたくなるくらいに島。
「まぁ……ずっと気づかないよりはいいか」
だよな。ポジティブシンキングって大切だもんな。
「なんかもっと考えなきゃいけない事いっぱいある気がするんだが」
バックの中に水を放り入れる。
「とりあえず歩こうかねぇ」
バックをしょって、やっぱし片手にマイクを持って。
「~♪」
鼻歌歌いながら歩いていくのでしたとさ。
めでたし、めでたしの言葉を目指して。


 New 307  白 [sage] 06/08/08(火) 01:28:19 ID:???
 <色白の場合>-観察者

「・・・疲れた。」

ここ数時間の出来事が自分の中で消化できていない。
まず、現在の状況を整理をしよう。
おそらくみんなは適当に動いている。
下手に動くとその混乱に巻き込まれて総崩れになってしまう。
とりあえず煙草を銜え、深呼吸をしてから火をつけた。
「煙草だけは取り上げられなかったのか」
煙を吐くと少しだけ安心感を覚えた。

影瑠はいったい何がしたいのか。
それが一番の疑問だった。
俺らを楽しませるための演出?
しかし冗談とは言え殺し合いというのは穏やかではない。
そうするとあの影瑠は偽者?
いや、どこをどう見ても影瑠だった。あの大音量オマンコは彼にしかいえない。

「そういえば音虚はどうしたのかな。」

同い年ということもあり、少し彼に親近感がわいているためどうしても気にかかる。
メイドも完成に近づいていると彼から聞いていたのでソレの披露があると少し期待していた。
自分も設計書からコードを書いたのでやはり我が子を産むかのような感覚は少しはあった。
最後の要所は彼が仕上げたいということで直接携わっていないのが少し気がかりではあったが・・・。

「ダメだ。いくら考えても情報が足りない。」
でもこれは他の人間も同じだ。
おそらくみんなはとりあえず情報を集めようと躍起になっているはずだ。
観察者としてしばらくは行動させてもらおう。

「さっきなんかオイサ!オイサ!って聞こえたな。」
ふと道の先を見ると濡れている。
これを逆にトレースしていくと建物らしいものが見えた。
とりあえずあそこの最上階でみんなの動きを監視しよう。
「建物に近づいてくるやつも把握できるしな」
そのうち音虚とも会えるだろう。
バッグの中にあるよくわからない端末の扱いに疑問を感じながら歩き始めた。

 New 309  弧月如杏 ◆/E/NyoAn/E [sage] 06/08/08(火) 02:04:48 ID:???
『弧月如杏②―如何にして』

歩きながら如杏は考える。
如何にして。
如何にして殺していくか。
如何にして長く生き残るか。

殺すには歩き回って参加者を探して回るしかなかろう。
長く生き残るには自分へのダメージを出来るだけ少なくすること。
手段は防御と回復。
接近戦しか出来ない相手なら問題はあまりなさそうだが、銃火器を持つ人間を相手にした場合はどうなるか。
殺せたとしても自分も致命傷を負っては意味がない。
手足なら何とかなるが、胴体に食らってはいけない。
胴体を守る措置が必要だが、防弾チョッキが落ちているなんて都合のいいことはありえない。
建物に入り服を探すなり、死体から服を奪うなりしなければならない。
防御はそれでいいとして、回復はどうか。
大きな回復の効果を期待するならば、やはり医療器具が必要になる。
最低でも、包帯、ガーゼ、消毒液。

受けるダメージは最小限。
与えるダメージは最大限。
戦闘は出来るだけ短時間で。

できるだろうか?
私の力でできるだろうか?
いや、やらなければいけない。
誘いを受け入れた以上はやらなければいけない。
私はそれを期待されている。

 New 310  弧月如杏 ◆/E/NyoAn/E [sage] 06/08/08(火) 02:04:59 ID:???
いろいろ考えながら歩くうちに、海岸にたどり着いた。
ああ、そういえばここは島だったな。
位置確認のために地図を取り出す。
スタート地点からはけっこう離れたようだ。

「生き残ってたくさん殺して回るためには・・・」
医療器具を手に入れられる場所。
つまり病院。
「・・・あっちに行けばいいんやな。」
地図をしまいこんで、病院へと向かう。

同じことを考える人間は多いだろう。
医療器具を手に入れるために病院へ向かう者。
そいつらを殺して、いい武器を持っていればそれも奪ってしまえばいい。
それで医療器具も独占してしまえばかなり優位に立てる。

私は殺すためにここにいる。
幣を握り締め、如杏は病院を目指す。



 New 329  宇垣纏 ◆b4TDTF3Pt6 [sage] 06/08/08(火) 20:13:12 ID:???
宇垣の場合 ~ 山 男 ~

(こらどないしたもんやろなあ・・・・)
二日酔いでよたついた足取りではロッカーの部屋までは遠かった。
フラフラの頭でさっきの事を思い出す。


「影瑠さん、あんた本気かいなこれ」
「本気ですよ~。がんばって殺し合いしてきてくださいね^^」


 ・・・。
本気だと言ったってこっちは明後日には仕事に行かなきゃならないのである。
「どないしたもんやろなあ・・・ホンマに・・・」
反芻するようにさっき思った事を口にしながら、ロッカーを開けた。
中にはバッグと、与えられた装備品と思われる木箱が入っていた。

パカッ
さっきの困惑と打って変わってわくわくしながら中身を確認すると・・・
カナヅチ、ノミ、ナタ、スパナ、ペンチetc..
「おいwwwワシは大工かwwwww」
工具詰め合わせだった。
「これは楽しくなるかもしれんなwwwwさーてどこいこうwww」
これからの事を妄想し、地図を見ながらテンションの上がる男。

「うンぐぉぉ、重いなこれ。こんなもんあちこち持ち歩けへんし、とりあえず近場の森にいこか。」


 -------------------------------

「あったこれこれ。これが甘うてうまいんやモグモグ ^~^」
たどりついた森で木いちごをほおばる。

「誰か来ーへんかなー。あそこに生っとるアケビもこれまたうまいんや」
殺し合いも仕事も二日酔いも全部すっきり忘れ去り、早速サバイバル生活を満喫する宇垣であった。

 New 331   ◆BooOooni6A [sage] 06/08/08(火) 23:56:01 ID:???
ブーンの場合:

何は無くとも建物から離れた方が良いだろう。
ということで、中身の確認もせず出発した。

「充分離れたかな。」
適当に見つけた藪の中、どっかと腰を下ろしバッグを開く。
俺に支給された武器は、とても見慣れたものだ。
上質紙の固まり、厚さ4cm重さ2.4kgB5サイズ1400ページ。
刃物はもちろん銃弾も防ぐと言われている新品のコミックマーケットカタログ。
背表紙はいつも通り頭蓋骨陥没が可能なほどピシッとしている。
「ふむ」
何百回と手に取っているものだ。こいつの扱いは体が覚えている。
それと、これを用意してくれた人は分かっている人だ。
赤と青のペン、付箋紙も一緒に入っていた。

「……さて」
影瑠が何か言ってたな。……ペラリ
殺し合いとかなんとか。……キュッ
でももう知らん。……ペタリ
俺は始めてしまった、命より大事なカタログチェックを。


+ タグ編集
  • タグ:
  • 影瑠板バトルロワイヤル
  • まとめ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2006年09月20日 01:46