1スレ目665+

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─エピローグ─ 目が覚めると、もう朝だった。 ふと隣を見る。妹の姿はもう無かった。 おふくろ達は昨夜、帰って来たんだろうか? まさか、早い目の時間に帰って来て、 俺の部屋に来たなんてことはなかっただろうな? もし桐乃と並んで寝てるとこを見られてたら……! しかし、そんな不安をかきけすように、桐乃の明るい声が耳に飛び込んできた。 「兄貴──、早く起きなよ。朝ごはん食べるよ?」 そんな声と共に、扉から桐乃が明るい顔で飛び込んできた。 桐乃は昨夜着てた制服ではなく、普段着だ。今日は土曜日。桐乃の奴も部活は無いのか。 「なんだ、起きてんじゃん」 「ああ……今いくよ」 ぼんやりした頭で俺はそう答える。 すると桐乃は俺のそばまで近づいてきて、くんくんと鼻を寄せる。 「汗臭いよ? 着替えたら?」 「あ、ああ」 「じゃ、先に降りて待ってる」 普通の会話。しかし、ちょっと前までの俺と桐乃にとっては考えられなかったような会話。 朝の挨拶をしながらリビングに入ると、桐乃は親父との約束どおり、タラモサンドを作っていた。 皿の上に積み上げられたそれを一つ手にとってかじる。なかなか上手い。 「どう? なかなか美味しいっしょ?」 桐乃が自信満々に尋ねてくる。 「ああ」 そう短く答えると、 「なに? そのテキトーな返事」 と桐乃が不満そうにする。 「ああ、いや、美味しいぞ。ホント」 そういい直すと、桐乃が悪戯っぽく笑う。 「冗談だって。兄貴、今日の予定なんてないよね? だったらサー」 「ああ、今日は前から麻奈美と約束してんだよ」 「……ハァ?」 俺の言葉に桐乃は先ほどまでの機嫌よさそうな笑顔を激しく歪めた。 「な、なんだよ?」 「……」 桐乃はそのままそっぽを向いたまま一度も俺の方を見る事なく、朝食を食べてる間、ずっと無言だった。 まるで、以前に戻ったみたいに…… 「ちょっと、こっち来なさいよ」 朝食を終えて早々に、そう言って桐乃が俺をリビングからムリヤリ連れ出し、 二階の自分の部屋まで連れて行く。 そして扉をバタンと閉じると、俺に対し、詰問口調で語り始める。 「ねえ、あんた、まだ、あの女と二人で会う気?」 「え? あの女って、麻奈美の事か?」 「そ」 桐乃はそっけなく肯定した。 「そりゃ……会うだろ。幼馴染なんだから」 俺がそう答えると桐乃がイライラした感じで言う。 「あたしが言ってるのはそういう意味じゃなくてー。……もう! ありえないじゃん、二人で会うとか!」 「なんで、ありえないんだよ。いままでだってあいつと会う時は、たいがい二人だよ」 「だーかーらー! も、もう! あんた、ほんっとにバカでしょっ!」 桐乃はなんでこんな簡単な事がわからないのかとイラつく一方で、しかし上手く説明も出来ずにいるようだ。 しかし、やがて意を決したかのように、俺を見据えて言った。 「あ……あたしは、あんたの何っ!?」 「は? 何言ってんだよ、そんなの……」 妹に決まってる。そう言いかけて、あわてて口を閉じる。 あわやというところで、なんとか致命的失敗を回避した。 そっか、そういうことかよ。 まさか、こいつ、俺と麻奈美の事でヤキモチ焼いていたとか? それも結構以前から? ……って、それはないか。 いつか俺が麻奈美と仲たがいしたかと勝手に勘違いした時もなんだかんだ言ってちゃんと相談に乗ってくれたしな。 むしろ麻奈美目線……っていうか、女側目線でさ。 「でもよ、前にも言ったけど、俺と麻奈美はそんなんじゃないんだって。そういう色恋とかとは無縁な関係なんだからさ」 「……うん、前にも聞いた。でも、そんなのありえないじゃん?」 そう、バッサリ一刀両断にする桐乃。 「そ、そんなことねえよ。お前にはわかんないだろうけどさ、俺たちの関係はなんていうか……」 俺はいつぞや赤城にした説明を桐乃にもしようかと思ったが、赤城の反応を思い出してやめた。 「何? 兄妹みたいなもんだとでもいいたいの?」 その桐乃の表現に乗じる。 「そ、そうだよ。だから、色恋なんて事には……あ゛」 すぐに俺は再び自分が失敗した事に気がついた。昨日、俺はまさにその兄妹で、キスしたり……したり、 色々いたしてしまったばかりだったのだ。 「わかった? 幼馴染だろうと兄妹だろうと、男と女には関係ないんだから」 俺の表情を読み取って桐乃が言い切る。 「で、でもよ。それじゃ何か? 俺に麻奈美と絶交しろってのか?」 「そ、そこまでは言わないけど!」 「うーん……」 「ん~~~!」 兄妹して睨みあうような感じで固まってしまう。先にしびれを切らしたのは桐乃だった。 「も、もういい! 好きにすれば?」 そして俺は部屋から追い出されてしまった。 結局、仲が良くても悪くても、上手くいかねえのかね、俺たちは。 相性って意味じゃやっぱ最悪なんだろうか。 「ちっ……わかったよ。なんとかすりゃあいいんだろ?」 妹の部屋の扉に向かってそうつぶやいて俺は玄関へと向かう。 俺は自分と桐乃の関係を麻奈美に話そうかと考えていた。 もちろん、俺たち兄妹の話を聞いて麻奈美がどんな反応を取るかはわからない。 もしかしたら俺は思いつきで、めちゃくちゃ無謀な事をしようとしているのかもしれない。 しかし俺は麻奈美と絶交するつもりはないし、一方で麻奈美に会えば桐乃が傷つく。 それなら他に選択肢があるだろうか? 結局、桐乃を苦しめてるのは、俺たちの関係が秘密だって事なのだ。 だから麻奈美と会わなければ全てがうまくいくかと言えば、決してそうとも思えない。 それに桐乃の苦しみがいつ俺の苦しみになるとも限らない。 「あいつらにも……話した方がいいのかもな……」 黒猫、沙織、『桐乃と俺』の友人たちの顔が浮かぶ。 なぜか、あのあやせの顔まで思い浮かべてしまい俺は苦笑した。 以前、あやせを説得するために色々調べた時の事── 神話には確かに近親相姦の物語がたくさんあった。 しかし多くの宗教が近親相姦を禁じてもいた。 俺と桐乃がこの関係を育てていくには、神様の代わりに祝福してくれる人間が必要だった。 (終)
─エピローグ─ 目が覚めると、もう朝だった。 ふと隣を見る。妹の姿はもう無かった。 おふくろ達は昨夜、帰って来たんだろうか? まさか、早い目の時間に帰って来て、 俺の部屋に来たなんてことはなかっただろうな? もし桐乃と並んで寝てるとこを見られてたら……! しかし、そんな不安をかきけすように、桐乃の明るい声が耳に飛び込んできた。 「兄貴──、早く起きなよ。朝ごはん食べるよ?」 そんな声と共に、扉から桐乃が明るい顔で飛び込んできた。 桐乃は昨夜着てた制服ではなく、普段着だ。今日は土曜日。桐乃の奴も部活は無いのか。 「なんだ、起きてんじゃん」 「ああ……今いくよ」 ぼんやりした頭で俺はそう答える。 すると桐乃は俺のそばまで近づいてきて、くんくんと鼻を寄せる。 「汗臭いよ? 着替えたら?」 「あ、ああ」 「じゃ、先に降りて待ってる」 普通の会話。しかし、ちょっと前までの俺と桐乃にとっては考えられなかったような会話。 朝の挨拶をしながらリビングに入ると、桐乃は親父との約束どおり、タラモサンドを作っていた。 皿の上に積み上げられたそれを一つ手にとってかじる。なかなか上手い。 「どう? なかなか美味しいっしょ?」 桐乃が自信満々に尋ねてくる。 「ああ」 そう短く答えると、 「なに? そのテキトーな返事」 と桐乃が不満そうにする。 「ああ、いや、美味しいぞ。ホント」 そういい直すと、桐乃が悪戯っぽく笑う。 「冗談だって。兄貴、今日の予定なんてないよね? だったらサー」 「ああ、今日は前から麻奈美と約束してんだよ」 「……ハァ?」 俺の言葉に桐乃は先ほどまでの機嫌よさそうな笑顔を激しく歪めた。 「な、なんだよ?」 「……」 桐乃はそのままそっぽを向いたまま一度も俺の方を見る事なく、朝食を食べてる間、ずっと無言だった。 まるで、以前に戻ったみたいに…… 「ちょっと、こっち来なさいよ」 朝食を終えて早々に、そう言って桐乃が俺をリビングからムリヤリ連れ出し、 二階の自分の部屋まで連れて行く。 そして扉をバタンと閉じると、俺に対し、詰問口調で語り始める。 「ねえ、あんた、まだ、あの女と二人で会う気?」 「え? あの女って、麻奈美の事か?」 「そ」 桐乃はそっけなく肯定した。 「そりゃ……会うだろ。幼馴染なんだから」 俺がそう答えると桐乃がイライラした感じで言う。 「あたしが言ってるのはそういう意味じゃなくてー。……もう! ありえないじゃん、二人で会うとか!」 「なんで、ありえないんだよ。いままでだってあいつと会う時は、たいがい二人だよ」 「だーかーらー! も、もう! あんた、ほんっとにバカでしょっ!」 桐乃はなんでこんな簡単な事がわからないのかとイラつく一方で、しかし上手く説明も出来ずにいるようだ。 しかし、やがて意を決したかのように、俺を見据えて言った。 「あ……あたしは、あんたの何っ!?」 「は? 何言ってんだよ、そんなの……」 妹に決まってる。そう言いかけて、あわてて口を閉じる。 あわやというところで、なんとか致命的失敗を回避した。 そっか、そういうことかよ。 まさか、こいつ、俺と麻奈美の事でヤキモチ焼いていたとか? それも結構以前から? ……って、それはないか。 いつか俺が麻奈美と仲たがいしたかと勝手に勘違いした時もなんだかんだ言ってちゃんと相談に乗ってくれたしな。 むしろ麻奈美目線……っていうか、女側目線でさ。 「でもよ、前にも言ったけど、俺と麻奈美はそんなんじゃないんだって。そういう色恋とかとは無縁な関係なんだからさ」 「……うん、前にも聞いた。でも、そんなのありえないじゃん?」 そう、バッサリ一刀両断にする桐乃。 「そ、そんなことねえよ。お前にはわかんないだろうけどさ、俺たちの関係はなんていうか……」 俺はいつぞや赤城にした説明を桐乃にもしようかと思ったが、赤城の反応を思い出してやめた。 「何? 兄妹みたいなもんだとでもいいたいの?」 その桐乃の表現に乗じる。 「そ、そうだよ。だから、色恋なんて事には……あ゛」 すぐに俺は再び自分が失敗した事に気がついた。昨日、俺はまさにその兄妹で、キスしたり……したり、 色々いたしてしまったばかりだったのだ。 「わかった? 幼馴染だろうと兄妹だろうと、男と女には関係ないんだから」 俺の表情を読み取って桐乃が言い切る。 「で、でもよ。それじゃ何か? 俺に麻奈美と絶交しろってのか?」 「そ、そこまでは言わないけど!」 「うーん……」 「ん~~~!」 兄妹して睨みあうような感じで固まってしまう。先にしびれを切らしたのは桐乃だった。 「も、もういい! 好きにすれば?」 そして俺は部屋から追い出されてしまった。 結局、仲が良くても悪くても、上手くいかねえのかね、俺たちは。 相性って意味じゃやっぱ最悪なんだろうか。 「ちっ……わかったよ。なんとかすりゃあいいんだろ?」 妹の部屋の扉に向かってそうつぶやいて俺は玄関へと向かう。 俺は自分と桐乃の関係を麻奈美に話そうかと考えていた。 もちろん、俺たち兄妹の話を聞いて麻奈美がどんな反応を取るかはわからない。 もしかしたら俺は思いつきで、めちゃくちゃ無謀な事をしようとしているのかもしれない。 しかし俺は麻奈美と絶交するつもりはないし、一方で麻奈美に会えば桐乃が傷つく。 それなら他に選択肢があるだろうか? 結局、桐乃を苦しめてるのは、俺たちの関係が秘密だって事なのだ。 だから麻奈美と会わなければ全てがうまくいくかと言えば、決してそうとも思えない。 それに桐乃の苦しみがいつ俺の苦しみになるとも限らない。 「あいつらにも……話した方がいいのかもな……」 黒猫、沙織、『桐乃と俺』の友人たちの顔が浮かぶ。 なぜか、あのあやせの顔まで思い浮かべてしまい俺は苦笑した。 以前、あやせを説得するために色々調べた時の事── 神話には確かに近親相姦の物語がたくさんあった。 しかし多くの宗教が近親相姦を禁じてもいた。 俺と桐乃がこの関係を育てていくには、神様の代わりに祝福してくれる人間が必要だった。 (終) &br()&br()&br()&br()

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