3スレ目406


「……プレゼント?お前が?桐乃に?」

今日も今日とて平穏な日常を送っている俺を余計な事に巻き込むのはいつも『妹』絡みの話だ。
ご他聞に漏れず、今回のやっかいごともそうらしい。っていうか、

「このネタ4巻でやっただろ」
「ネタ?4巻?……エロイ事の考えすぎで頭でもやられたんですか?」

丁寧な口調ながら、怪訝そうな顔でさらりと毒を吐いてくるのは、アノ妹の親友のあやせだ。
基本的にコイツは俺を敵視してるはずなんだが、にも関わらず、相談とやらを持ちかけられたのはほんの30分くらい前の事だ。

「んなこと言ってもな、俺にアイツが喜びそうなもんなんて分かるはずないだろ。親友なんだし、お前が自分で選んで渡したモノなら、なんでも喜ぶんじゃないか」
「で、でも……その、私、エ、エロゲーとか、桐乃の趣味に詳しくないですし……、ここはお兄さんを頼るしか……」
「俺だって詳しくねぇよ!?」

思わず突っ込んじまうが、コイツにとって俺は近親相姦上等マイシスは桐乃と公言して憚らない変態鬼畜兄貴と思われてる以上、仕方のないことかもしれない。悲しい話だけどな!

「で、結局お前はエロゲーやりたいの?」



「――ったく、なんで俺がこんな面倒くさいことしなきゃならねぇんだよ……」

そう、ぶつぶつ言いながらも俺はソフマップのエロゲーコーナーでメモってきたブツを探す。
つーか、エロゲーってこんなに発売してたんだな。改めてエロの力ってスゲェと思ったぜ。
メモってきたのは、前に桐乃ポツリと漏らしていた、エロゲー批評空間とかいうサイトで人気の高かったタイトルなんだが、確かタイトルは『絶対妹至上主――』

「お、あったコレか」

そのパッケージを手に取って値段を確認するとそれほど高くない。ゲームとしてはお手頃価格ってヤツだ。普段、対して金を使う事もないない俺だが、素直にありがたい。

「折角だし、他にも何か買ってくか」

実のところ、こうじっくりとエロゲーコーナーを見て周ったがなかった俺は、この圧倒的なエロゲーを前にして、この時点で結構テンションがあがっていた。
そして、俺はおもむろに先程から気になっていたタイトルを手に取ると、そのやたらデカィ箱の2タイトルを持ってそのままレジに向かった。



「ほら、これが例のブツだ」
「こ、これが桐乃が面白そうと言ってたゲーム……なんですね」
「あぁ。ゲームって言っても、パソコンでプレイするもんだから、大丈夫か?」
「はい。それは大丈夫なんですが……」

翌日の放課後。俺達はまるで麻薬の売人の如く、コソコソと周囲を警戒しながら密会していた。
当然、例のブツとはエロゲーの事だが、何重にも重ねて袋にいれてあるので、セキュリティは完璧だ。

「あ、その、ありがとうございます」
「いや、まぁ別に気にすんな。よっぽどじゃなきゃ中学生の女子がエロゲーなんか買いにいけないしな」
「私としては、そのよっぽどに桐乃が入ってるのはなんとかしたいんですが」
「そればっかりはなぁ……。俺にもどうしようも出来んし」
「コホン。何にせよありがとうございました。少しづつですが、私も桐乃のこと理解していきたいですから――」
「そうかい。アイツのお前みたいなのが親友で本当に良かったよ」
「ありがとうございます。では、私はこれで」
「はいよ」

そう言い残して足早に去っていくあやせの背中を見ながら、あんな親友がいる妹の事を少しだけ俺には羨ましく思えたのさ。

「さて、俺も折角買ったんだし、プレイしてみるか」

ガサゴソと袋から取り出す。あぁ、これだけ箱がデカいと何処に隠せばいいのか困るぜ。って、アレ――?
袋から出てきたのは、あやせに渡したはずの『絶対妹至上主義』だった。じゃあ、今日、持っていったアレは……。

「はっはワロス。――――マジやべェェェええええええええ!!!!!!!!!」

人生とは無常なもので、俺達の人生にはSAVE&LODEなんて便利なものはない。
そう、例えば俺が今日、あやせに渡してしまったゲームが、往年のelfの名作で3兄妹の鬼畜モンが大活躍する陵辱ゲーだったとしても、今更俺に何が出来るだろうか?



「死ねぇぇぇエェェエエエエエエェェェェえええええええ!!!!!!!!!」

案の定、翌日あやせは俺のところに飛んできた。今は亡き三沢さんのローリングエルボーのオマケつきで、だ。

「アンタ、何考えてるんですか!?あああ、あんな黄色いタオルを首に巻いた変態オヤジが主人公のゲームがあるんなんて……」
「いや、それにはさほど深くもない理由があってだな――」
「で、でも桐乃があんなゲームを好きなんて信じられない!?」

いや、確かに俺もそうは思うが、桐乃の部屋には前にスカトロゲーがあったのを見ると、あながち否定も出来ないのが微妙なところだ。
アイツに言わせると、キャラが可愛いければ、ジャンルは関係ないらしいしな。それはそうと、俺は最も気になることを、恐る恐る聞いてみた。

「んで、……攻略したの?」
「えぇ、しましたよ!? しましたとも! 全員完全攻略しましたよ!なんですか『ゲッチュ~』って、あ、あああ、あんなゲームの何処がいいんですかっ!?」
「やっぱ、社長秘書の綾乃だよなぁ」
「ですよねぇ。強気で私と名前も似てるし、最高――って、何言わせるんですかっ!?」

ひとつ分かったことだが、どうやらコイツは割とノリがいい。だからなんだって話だが。

「信じられない、やっぱりこんなゲームなんて、この世から無くなった方が良いんです!有害です。こんなものがあるから性犯罪が――」

ヤバイ。どうやらまたコイツも暴走しかかってるらしい。しかし、こんな誤解を与えたままだと、将来こいつがアグ○スみたいになりかねない。
仕方ない。ここは俺もどうやら本気を出さないといけないらしい。しかし、最近の俺はこんなことばっかりしてる気がするぜ。
まぁ、ともかく。俺は大きく息を吸い込むと、ガッとあやせの肩を掴んだ。

「勘違いするな!あれはエロゲーだ。現実には関係ない!いいかアレはエロゲーなんだよ!この物語はフィクションです!因みにこれは二次パロです!いや、今はそんなことはどうでもいい!
 とにかく、あれはエロゲーなんだよ!しかもちゃんとラストまでいったんなら、知ってるだろ!最後はみんな幸せそうにしてただろうが!陵辱ゲーっていうのは、実は純愛ゲーなんだよ!
 ラストはみんなハッピーエンドで終了するんだよ!い・い・か?最後はみんな幸せでハッピーエンドなんだよ!ボテ腹妊娠エンドは、性の営みとして当然なんだよ!」
「……え?いや、でも……」

俺の勢いに押されたのか、あやせは猛烈に困惑していた。一気呵成に言われて判断が付かなくなっているようだ。

「でももクソもあるか!いいかお前の好きな桐乃もエロゲーが好きなんだ!お前が好きな桐乃もだぞ?みんな大好きエロゲーだ!ビバエロゲー!」
「び、ビバ……エロゲー……」
「そうだ、よし分かった。桐乃へのプレゼントまだ決めてないんだよな? 俺がアイツがアイツが喜びそうなプレゼントをプロデュースしてやる!」
「あ、え?、はい」

なんだか分かっていない当惑した表情であやせは頷いた。

「って、そんなの出来るわけないでしょ!死ねぇぇぇエエエエエぇぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」
「大丈夫だ!お前なら出来る! お前が信じる妹が信じる俺を信じろ!」

ところ変わって、俺は自宅に戻っていた。もちろん、あやせも付いてきている。桐乃がまだ帰ってくる前に、プレゼントを準備しようという魂胆だ。
え?その肝心のプレゼント何かって? プレゼントなら目の前にいるだろ?

「いいか?そこで、『お、お姉ちゃん、お帰りなさいぃ』だ」
「こんな格好で出来るわけないでしょうが!? 変態ですか、変態ですね!あんた変態フェスティバルですね!」
「出来る!必ず出来る!もう桐乃の大喜びだ。はぅ~お持ち帰りぃ~!とか、絶対言うから!」
「無理に決まってるでしょ!だ、だだ、だいたい、み、見えてるじゃないですか!?」

さっきからあやせが嫌がっているのは、俺の用意した衣装についてだった。全くこのセンスが理解出来ないのはどうかしてるぜ。
ま、でも確かに言うとおり、この衣装は見えている。主に、その胸が。……なんていうか全開だ。

「き、着れるわけないでしょ!こんな、こんなの!」
「でも、どうするんだ?もう桐乃帰ってくるまで時間がないぜ?」
「だからって、こんな恥ずかしい格好できません!」
「じゃあ、胸の部分が隠れてるのなら、いいんだな?」
「う……。仕方ありません、これよりマシなら……」

なるほど、胸が隠れてればいいのか。一計を案じた俺は、引き出しの中を漁って、目当ての物を見つける。こんなこともあろうかと用意しといて良かった。

「これだ!」
「……へ? 絆創膏ですか?」
「これを乳首に貼れば問題解決だろ!」
「光になれぇぇぇエエエぇぇええええええええええ!!!!!!!!!!!!」

鬼の形相で首を絞めてくるあやせに、俺に必死に反論した。

「ま、まて……ちゃんと胸が隠れてるし……お前も……隠れるなら仕方ないって言っただろうが!」
「で、でも……」
「それにマジでもう桐乃帰ってくるぞ」
「……くっ……し、仕方ありません、絶対こっち見ないでください。見たら殺しますよ」
「見ねぇよ!」

俺はもう高校生だぞ? 中学生のものを見た所でどうにも……うん、まぁ嘘は良くないな。うん。
乳首に貼り終わったらしい、あやせがこっちを振り向いた。うおっ!胸でけぇ!こいつマジ中学生か?
振り向いた、あやせの胸の乳首には可愛らしい絆創膏が申し訳程度に貼られている。
引き締まった腹筋と、健康的な身体付き。膨らみ始めた双丘はとても中学生には思えない。
熱っぽく潤んだ瞳と、グロスで輝く唇が、若さを全面に出した瑞々しいエロスを醸し出している。
っていうか、乳首絆創膏だよ。俺初めて見たぜ。嬉しすぎて泣きそうだ。

「そ、それからどうするんです?」
「これだ」
「なんです、コレ?」

そういって俺は小さなガラスの小瓶に入ってる液体をあやせに掲げて見せた。

「白くてドロドロした液体だ」
「白くてドロドロした液体ですね」
「これをお前にお前に掛ける」
「ちょ、ちょっと大丈夫なんですかソレ!?」
「大丈夫だ。なんせただの白くてドロドロした液体だからな!」
「な、なんか生臭い……」

液体を掛けると、なんと!そこには卑猥な格好になったあやせの姿が!

「さぁ、台詞の練習するぞ!『らめぇ、ミルク零れちゃったぁ』はい」
「ら、らめぇ……」
「恥ずかしがるな!台無しだぞ!」
「ら、らめぇ……ミルク――」

15分後。俺の演技指導を終えて、あやせ桐乃の部屋に向かった。今頃、ベッドに座り桐乃を待ち構えていることだろう。


ガチャ――

玄関の開いた音が聞こえる。どうやら桐乃が帰ってきたらしい。トントントンと、軽快に自分の部屋に向かう足音が聞こえてくる。

ま、今回もまた少し暴走しちまった気もするけど、結構俺は満足してるぜ?
なんだかんだいって、アニキらしいことなんて全くしてこなかった俺が今更こうやってアニキ面出来る、それが少しだけ嬉しいのかもな。


ガチャ――

桐乃が自分の部屋に入ったみたいだ。全くアイツはどんな顔で喜ぶんだろうな?
ま、こっから先は俺には関係ないけどな。それにアイツも俺に感謝したりはしないだろ。
でも、それでいいと想うぜ。だって、


ガチャ――
唐突に俺の部屋が凄まじい怒気と共に開けられる。


「俺の妹がこんなに可愛いわけがない――――って、ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

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最終更新:2010年01月22日 22:24
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