俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない3



俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第010回

「うぐっ……ひっぐ……ふぐっ……ひぐっ……ぐすっ……」
 射精の後、桐乃は本腰を入れて泣き始めた。未だ陰茎を挿入している俺を押し遣ろうとはしないものの、顔を両手で覆い、涙を止める気配がない。俺としても多少は気まずいが、エロゲやその後の行動から桐乃が俺を慕っていることは間違いない。ここは今後の為にも優しく宥めて完全に堕としておいた方がいいだろう。
「悪かったな。でもな、俺はお前のことが好きだから我慢できなかったんだ」
 諭すようにそう言ってやると、桐乃はゆっくりと覆っていた手を下げ、涙を流しながら俺を見つめてきた。真意を探るかのように少しだけ目を細めている。
「……あたしのことが、好き?」
「ああ、好きだぞ」
「……ほんとに?」
「本当だ。だからもう泣くな」
 顔を近づけて目尻の涙を舌で舐め取ってやると、桐乃は徐々に泣くのを止め、少しずつ顔に笑みを浮かべ始めた。もう一声というところか。
「好きだからこそ途中で止められなかったんだ。けど、お前にしてみれば、好きでもない俺とこんなことになって、辛くて嫌だったよな。本当にごめんな」
 俺の言葉に桐乃は一瞬呆けた表情を浮かべ、次いで恥ずかしそうに微笑みながら首を小さく横に振った。
「あ、あたしも、兄貴のコトね、好き……」
 躊躇いがちにそう言うと、顔を上げて目を閉じ、唇を差し出してきた。キスして欲しいということだろう。これで和姦も成立したことだし、止めを刺しておくべきか。俺は桐乃の頬に手を添えて短いキスをし、もう一度言ってやった。
「大好きだぞ、桐乃」

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第011回

「どうだ? まだ痛いか?」
「んくっ……何とか……ああっ……大丈夫そう……んあっ……もう平気かも……」
 桐乃はそう言って笑って見せた。現在は二回戦目。桐乃はベッドの上で胡坐をかいた俺に正面から抱っこされている。嫌がる素振りは全くない。座位の状態で秘所を貫かれ、時に顔を歪めながらも、全てを俺に任せたままだ。まだ絶頂を得るほどの快感はないらしいが、現在この家に住んでいるのは二人きり。この先いくらでも十四歳の未成熟な身体に快楽を叩き込む時間はある。
「でもな、痛い時はちゃんと言えよ?」
「はんあっ……ありがと……でも平気……んふあっ……速くしてもいいよ……くふあっ……」
 俺の背を抱きながら桐乃はそう言うが、まだ辛そうだ。俺は乳房をそっと撫で上げながら、半勃起した乳首を親指の腹で擽ってやった。少しでも快感を与え、肉悦に目覚めさせてやりたい。
「ふうあっ……やだっ……んはあっ……くすぐったいよ……はうあっ……ダメっ……」
 うっとりと目を細めて首と肩を竦ませる桐乃を見ながら、俺は少しずつ腰の動きを速めていった。段々と尖っていく乳首の様子、甘ったるい桐乃の体臭、切なそうな喘ぎ声、後ろに回している手の中の尻たぶの滑らかな感触。一つ一つを確認する度に陰茎が昂ぶっていく。
「桐乃、少しぐらいは気持ちいいか? もしそうならちゃんと言ってくれ」
「あっああっ……うん……ふうんあっ……ちょっとは……はうんあっ……気持ちいい……」
「もっと気持ちよさに集中して。どこが気持ちいいのかもちゃんと言ってくれ。こことかどうだ?」
 乳房を弄んでいた手を秘所へと移し、俺は陰核を指先で軽く擦ってやった。途端に桐乃は俺の身体にしがみ付き、小さく腰をくねらせ始めた。
「ふううあっ……そこヤダぁ……んくふあっ……ダメぇ……はんああっ……そこダメぇ……」
 どうやらいきなり大当たりを引いたようだ。一度放った精液とは別に、膣内が濡れてきているのが判る。陰核に当てた指の動きを加速させながら、俺は桐乃に問いかけた。
「ダメなんて言わないで、気持ちよかったらそう言ってくれ。クリトリスがいいんだろ? そう言ってくれ。クリトリスが気持ちいいって」
「はうああっ……ヤダ言えないぃ……あんんあっ……そんな言葉ぁ……」
「ちゃんと言ってくれ。大好きな桐乃の声で聞きてえんだ」
 大好き、という言葉に力を込めて言ってやると、桐乃は身悶えしながら虚ろな目になり、やがて指示に従った。
「あくうああっ……ク、クリトぉ……んくふうあっ……クリトリスがぁ……ふくうふあっ……クリトリスが気持ちいいっ……あくふうああっ……クリトリスが気持ちいいっ……」
 犯されながら淫語を口にする妹を前に、俺の一物は限界寸前だ。そろそろ二回目の放出といこう。この様子なら桐乃を高みに導くこともできそうだ。
「桐乃、そろそろ出すからな。お前もイく時はちゃんとオマンコイくって言うんだぞ?」
「ひううああっ……嫌あっ……あうふああっ……そんな言葉ヤダあっ……」
 俺は桐乃にキスをしてやってから、その耳元で甘く囁いた。
「ちゃんと言ってくれ、桐乃。大好きだから」
 言い終わると同時に膣内に再度精液を吐き出し、桐乃の陰核を強めに擦ってやる。
「ひあくうはあっ……熱いぃ……んくひうああっ……オっ、オマ、オマンコイくうううう!」

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第012回


 桐乃の処女を奪った翌日と翌々日、俺は学校を休み、桐乃も休ませた。理由は桐乃の調教をする為だ。まずはキスと愛撫と性交だけを延々と続け、性感を開発してやらねばならない。桐乃の部屋で、俺の部屋で、リビングで、風呂で、家の中の様々な場所で桐乃の膣に中出しの心地よさを教え込み、同時に淫語も覚えさせることができれば、試験勉強なんかどうでもいい。
「おら、ちゃんと言えよ。何をされてどこが気持ちいいのか、言ってみろ」
「んはうあぁ……兄貴のぉ……あひゃあぁ……オチンポぉ……ひうふあぁ……入れられてぇ……ふうんあぁ……あたしのオマンコがぁ……はうんふあっ……気持ちいいのぉ……」
 俺の部屋のベッドの上、四つん這いになって後ろから犯されながら、桐乃は俺の指示に素直に従って淫語を口にしている。生意気な妹と言っても相手はたかが十四歳の少女。性交も淫語も一旦受け入れてしまえば後はどうにでもなる。重要なのは俺との性行為を愛情の証と勘違いさせ続けてやることだ。処女を奪ってから既に四十八時間が経過し、桐乃は膣に通算二十一回の精液を浴び、自身もその回数以上の絶頂を迎えている。当初は無理矢理に使い過ぎた膣を痛がり、恥じらいの表情を浮かべていたが、現在では快楽に溺れて顔も身体も弛緩し切ったままだ。もはや俺専用の淫具と言っていい。
「そろそろ出すぞ、どこに欲しい?」
「あひゃうはぁ……オマンコぉ……んくひいあぁ……オマンコの奥ぅ……ふはうああぁ……熱いの好きぃ……ひんふわあぁ……大好きぃ……くひうおあぁ……あたしもイきそうぅ……」
「じゃあ、一緒にイけよ、ほら」
「んくはへああっ……熱いぃ……ひゃうふへぁ……染みてくるぅ……あくひゃあっ……熱くてイくぅ……ふあくふあっ……イ、イくっ、オマンコイくふううううっ!」
 自ら尻を上下に振り上げて射精中の一物を根元まで咥え込み、桐乃は全身を小刻みに震わせた。背を逸らせたまま差し出した尻を気持ちよさそうにビクビクと揺らし、余韻を満喫しているようだ。やがて上半身をベッドへ倒れ込ませ、幸せそうに深く息を吐いたのを見届けると、俺は一物を引き抜いて桐乃の目の前へ差し出した。そろそろ次の段階へ進んでもいいだろう。
「ほら、桐乃。綺麗にしてくれ」
 粘液に塗れた陰茎を見て桐乃は目を丸くしながらも、すぐに半身を起こしてティッシュの箱へと手を伸ばした。
「違うだろ? お前が口で綺麗にすんだよ」
「あ、あたしが? く、口で?」
「チンポに付いてんの、半分はお前のマンコ汁だろうが。責任とって綺麗に舐め上げろ」
 桐乃は嫌々をするように首を振りながら後退った。開いた足の間から、精液を垂れ流している淫裂が丸見えだ。
「……む、無理、できない」
 まあ、当然だろう。陰茎は根元まで精液と愛液で汚れており、この状態で初の奉仕が出来る訳がない。しかし最初のハードルが高ければ高いほど、後々面倒な手間が必要なくなる。俺としても譲る気はない。
「そうか、悪かった。もういい」
 気落ちした振りをして寂しそうに言い、ベッドに腰掛け俯いて溜息を吐いてみる。案の定、桐乃は俺の背後に少しずつ近づき、躊躇いがちに言葉をかけてきた。
「そ、そんなに、その、して欲しい、の?」
「もういい、悪かった」
 突き放すように淡々と言ってやると、しなければ捨てられるとでも思ったのだろう、桐乃は背後から俺に抱きつき、受諾の言葉を口にした。
「す、するから。お口でちゃんと綺麗にするから」
 その口調にはまだ迷いがある。そうすることが必要なのではなく、自らそうしたいのだという気にさせなければ、俺の薄ら寒い演技に意味はない。
「お前は嫌なんだろう? 無理するなよ。もういいんだ」
 背後の気配を確かめると、桐乃は俺の言葉を否定するように首を振っているようだ。畳み掛けるように俺はもう一度言ってやる。
「お前が嫌ならいいんだ」
「い、嫌じゃない。あたしがしたいの。あたしが綺麗にしたいの」
 俺を抱きしめる手に力を込め、誓うように桐乃は言った。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第013回


 授業終了を告げる鐘が鳴り、教室がざわめき始めると、俺は着席したまま伸びをして凝り固まった筋を解した。桐乃と身体の関係を持ってから三日目、本日は登校している。桐乃の調教が順調に進んでいるということもあるが、流石に試験期間初日から休むわけにもいかない。
「きょうちゃん、なんだかだるそうだね。お疲れ気味かな?」
 不意に、眼鏡をかけた幼馴染が近付いて俺の席のすぐ前に立った。声をかけてきたのは田村麻奈実。腐れ縁の地味な眼鏡っ娘だ。外見的にはそこそこ可愛い顔つきなのだが、如何せん地味で垢抜けない。残念ながら眼鏡を外したら超美人ということもない。部活動には所属しておらず、趣味は料理と縫い物。人当たりがよく友達は多いが、放課後に遊ぶような親しい友達は特にいない。普通、平凡、という称号がよく似合う、桐乃の対極に存在するような女だ。だが学業成績は割合に良く、時には家庭教師の真似事などをしてもらっていたりする。
「……まあ、色々とあってな」
 疲れの原因は桐乃との性行為だが、話す訳にもいかず、適当に言葉を濁しておく。
「ところで試験勉強は進んでる? なんだったら一緒に勉強しよっか?」
 俺の顔を覗き込みながら麻奈実が言った。優しく包み込むような眼差しだ。麻奈実には未だ一切手を出してはいないが、そろそろ幼馴染の味を楽しむのもいいかもしれない。以前から俺に従順なだけに、強く押せばどうにかなるだろう。今日はモデルの仕事が入っていて帰りは少し遅くなる、と桐乃から聞いていたこともある。
「……そうだな、頼む」
「ん、判った。じゃあ、わたしの家でやる? 新味の最中もあるんだ」
 麻奈実の家は和菓子屋を営んでいるので、行けば菓子を喰わせてくれる。和菓子は特に好きではないが、正直、こいつん家の菓子ばかりは悪くない。とは言え、これから喰うつもりなのは菓子じゃない。麻奈実の家には家族がいて不都合だ。
「いや、俺が金を出すから、レンタルルームでも借りてやろうぜ。二人っきりで」
 そう言うと、麻奈実は俺の思惑も知らずに嬉しそうに微笑んだ。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第014回

「ここ判んね。麻奈実、ちょっと見てくれ」
「んー? あぁ、ここはねー、この数式を、こういうふうに応用するの」
 自宅の近所に新しく出来たレンタルルームの中、俺はソファーベッドに腰掛け、左隣に座った麻奈実に勉強を見てもらっている。部屋の設備はソファーベッドの他、教科書などを広げているテーブルとテレビ、ドアの向こうにはシャワールームもある。百六十分三五〇〇円という料金が安いのか高いのかよくは判らないが、その気になればラブホテル代わりとして充分に使える作りだ。
「ちゃんと聞いてる? こういう勉強は、毎日ちゃんと続けないと意味ないんだからね?」
ノートの上に愛用のシャープペンを走らせながら、麻奈実は少しだけ頬を膨らませた。制服の上から薄手の袖なしセーターを着ている為に、ニット地の盛り上がりで大凡の胸の大きさが把握できる。衣類の分を差し引いて八十五前後と言ったところだろう。桐乃よりは大きいが、実際にそうなのか確認でもしてみるか。
「なあ、麻奈実?」
「なに?」
「俺たち、もう十七歳だよな?」
「うん。えへへ、ずっと一緒だね」
「お前を犯してもいいか?」
「え、ええっ?」
 麻奈実は目を丸くして、手にしていたシャープペンをテーブルの上に落とした。
「お前のマンコに俺のチンポを突っ込んでいいかって聞いてんだよ」
「ば、ばかっ、きょうちゃんのバカっ」
 俺は顔を真っ赤に染めて離れようとする麻奈実を抱き寄せ、服の上から胸を揉んでサイズを確かめた。確かに桐乃より揉み応えがある。訂正、八十四か。
「わっ、わっ……」
 自分のされていることが理解できないのか、麻奈実は目と口を大きく開け、俺にされるがままだ。さて、説得といくか。
「なあ、お前は俺とこの先も一緒にいたくねえのか?」
「でっ、ででっ、でもっ……」
 狼狽えながらも麻奈実は俺の行為を拒まずにいる。決して嫌なのではなく、恥ずかしいだけだろう。付き合いが長い分、その心理状態は手に取るように判る。二人でいる時の視線や態度から、麻奈実が俺に対して幼馴染以上の感情を抱いているのは確実だ。とすれば桐乃同様、段階を踏めば堕とすのは容易い。
「相手がお前だから、お前のことが好きだからしたいんだ。なあ、いいよな?」
 誠実振った口調でそう言ってやると、僅かに身を竦ませた後、麻奈実はぎこちなく頷いた。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第015回

 俺を受け入れることを了承したものの、こんな場所では嫌だと麻奈実は言い出した。聞いてみると、もっと雰囲気のある場所なら例えラブホテルでもいいとのことで、要はムードのある場所での初体験を望んでいるらしい。気持ちは判らなくもないが、胸を揉み始めた時点から俺の陰茎は着々と準備を進めており、かと言って今からラブホテルに行くのも面倒だ。
「じゃあ、セックス以外のことなら、ここでもいいよな?」
「そ、それ以外って、な、なに?」 
 戸惑う麻奈実を前に、俺は手早く服を脱いで全裸になり、自らの勃起した陰茎を見せ付けるようにして扱き始めた。
「きょ、きょきょ、きょうちゃん?」
 麻奈実は慌てて視線を逸らし、制服のスカートを握り締めた。
「何やってんだ、お前も早く脱げ。お前の身体に精液ぶっかけて、臭い付けすんだから」
「に、臭いって、そんな……」
「いいから早くしろ。ここで突っ込まれたいか? 俺は別にどっちでもいいんだぞ?」
「う、うう~、きょうちゃんのいじわる……」
 文句を言いながらも麻奈実は制服を脱ぎ始めた。セーター、靴下、制服の上着、スカートと脱いでいき、真っ白なブラとピンクのショーツ姿になったところで、許しを請うように俺を見つめてきた。
「……こ、これじゃダメ?」
「当たり前だ。全部脱いで見せるんだよ。早くしねえと無理矢理マンコに入れちまうぞ?」
 俺がそう言うと、麻奈実は全身を薄らと赤くしながら脱衣を再開した。ブラを取ってショーツに手をかけ、何度か首を振った後に思い切りよく下ろして足を抜き取っていく。裸になって一旦は腕で要所を隠したものの、やがて諦めたように溜息を吐くと、俺の前で直立不動となって全てを見せてきた。
「こ、これで、いいんだよね?」
 麻奈実の言葉を受けて、俺は自慰をしながら観賞を始めた。それなりに豊かな乳房は碗型でふっくらと丸く、少しだけ桃色を帯びた乳首は勃起し始めているようだ。尻は大きいものの垂れ下がることなく張りを保ち、生え揃った陰毛は細く僅かに縮れ、室内灯の光を受けて淫靡な艶を放っている。
「ソファに座って足を開け。早くしろ」
 拒否しても無駄だと思ったのだろう。麻奈実はソファに座るときつく目を閉じて顔を背け、俺の指示通り足を開いて淫裂を曝け出した。透明な液が微かに陰唇を濡らしている。俺は堪らなくなり、そこに亀頭を擦り付けた。
「ちょっ、きょうちゃん、やだっ、しないってっ」
「入れねえから、このままじっとしてろ。もう出そうなんだからよ」
 先走り汁を秘裂に塗り付けながら膣口の位置を確かめ、そこに亀頭を固定する。
「出すぞ、麻奈実。処女膜にかけてやるからな」
「やだっ! 赤ちゃんができちゃうよっ!」 
 慌てて逃げようとする麻奈実を押さえつけようとしている内に、腰に力が入ってしまい、思い掛けず陰茎が膣内へと一気に入り込んだ。
「ひぎいいいっ! やだあっ! 痛いよおっ! ウソっ! 痛いっ! やだあああああっ!」

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第016回


 そんなつもりはなかったにせよ、挿入した途端に俺は膣内に射精をしてしまい、それから麻奈実は虚ろな目をして喋らなくなった。よほどショックを受けたのだろう、呼びかけても返事どころか全く反応がない。一物を引き抜いて股間を拭いてやっている時でさえ、俺の方を見ようともせず、視線はどこか彼方を見つめたままだった。血と精液を拭ってから立たせてシャワーを浴びせ、服を着せてやっても様子は変わらず、完全に抜け殻となっていた。
 俺は受付に行ってレンタル時間の延長をし、部屋に戻ってから改めて麻奈実に呼びかけた。数十分間、延々と名前を呼び続けていると、ほんの少しだけ瞳に光が戻り、麻奈実は無表情のまま俺を見つめてきた。
「……きょう、ちゃん?」
 俺の名前を呟きはしたものの、相変わらず表情からは何の意思も感じられない。
「悪かった、麻奈実。そんなつもりじゃなかったんだ」
「……」
「本当に悪かった。ここで入れたりする気はなかったんだ」
「……もういい」
「よくねえよ、本当に悪かった。許してくれなんて言えねえけど、出来ることなら何でもするから。だから、しっかりしてくれ」
 今回ばかりは演技とはいかず、俺は心底焦っていた。そんな俺と自分の服装とを麻奈実は呆けた顔で何度か見比べると、やがて薄っすらと笑みを浮かべた。正直、俺は麻奈実が狂ったのかと思った。それほど力なく悲壮な微笑だった。
「……しちゃったね」
「麻奈実?」
「……きょうちゃんとしちゃった」
「おい?」
 麻奈実は変わらずに気の抜けた顔で薄く笑っていた。少しずつ正気に戻ってはいるようだったが、その様子は明らかにおかしく、俺は医者に連れて行こうと思い立った。まずはソファから立たせようと腕を伸ばしたしたところで、突然、麻奈実は俺にしがみ付き、肩を震わせながら泣き始めた。
「ひぐっ……きょうちゃん……ううぁ……きょうちゃん……うわあああああああああん!」




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最終更新:2010年05月05日 07:53
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