俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない9



俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第044回

 昼過ぎまで眠り、目覚めた時には隣に桐乃の姿がなかった。関係を持って以来、就寝時は俺の自室か桐乃の部屋で一緒に寝ているのだが、どうも出かけたらしい。このまま週末最後の惰眠を貪るのも悪くはないが、腹も減っている。俺は桐乃のベッドから抜け出し、何か適当な食事でも取ることにした。
 階段を下りてリビングに入り、部屋の電気を点ける。と、灯りが完全に点いた瞬間、俺は飛び跳ねそうになった。何故なら目の前のソファに全身黒尽くめの女が悠然と腰掛けていたからだ。まるで玉座に坐す女王のように、透徹した氷の眼差しで俺を見据えている。よく見ると、桐乃のオタク仲間の黒猫だった。
「ふ、よくぞここまでたどり着いたものね。褒めてあげるわ」
 悪の親玉のような笑みを浮かべて、仰々しく黒猫が言った。以前に家に来た時に判ったのだが、これが平素の口調らしい。遊びに来たのだろうが、リビングに桐乃の姿はなく、事前に何も聞かされてはいない。
「何やってんだ、お前?」
「別に、何も」
「桐乃はどした?」
「……出かけたわ」
「お前を置いてか?」
 俺の問い掛けに、黒猫はふいっとそっぽを向いてしまった。何を考えているのか全く判らないが、好みの美少女だけあってそんな姿も可愛い。だが、まだ押し倒す訳にはいかない。仮にこの場で強引に犯しても、週末は今日で終わりだ。加奈子のように調教するには時間が足りない。
「沙織は? 桐乃と一緒に出かけたのか?」
「最初から来ていないわ」
「何でだ?」
「急用で欠席だそうよ」
「じゃあ、今日はお前と桐乃だけか?」
「……そう」
 聞けば、本当は三人でアニメ鑑賞会を行う予定だったらしい。テーブルの上に置かれたDVDケースやジュースの入ったグラス、締め切ったカーテンなどから察するに、桐乃と二人でアニメを見ていたのだろうが、黒猫は不機嫌ながらも寂しそうに見える。桐乃と黒猫は嗜好性が異なる筈だが、一緒にアニメを見ていたとなると……。
「また桐乃と喧嘩したのか?」
「……ふん、分かっているじゃない。そういうことよ」
 つまり、黒猫がアニメ鑑賞会の為に遊びに来たものの、喧嘩になって怒った桐乃は出かけてしまった。残された黒猫はリビングで黄昏ていた、と。本来なら沙織が調停役となるのだろうが、不在では仕方がない。しかし、桐乃の性格を考えると黒猫を放置したままで置くとは思えない。自分からは謝らないにしても、冷静になれば帰ってくる筈だ。
「桐乃なら、すぐに戻ってくると思うけどな。仲直りできそうか?」
「あの超低脳なお子様の出方次第ね」
 実の兄に向かって言う台詞じゃないが、まあ、いいか。加奈子のオヤジ言葉よりは耳に優しい。
「そう言うなって。何だったら、俺と一緒にアニメ見て待ってるか?」
「変な気を使わないで頂戴。同情は御免だわ」
 何様のつもりかしらないが、そんな物言いの黒猫も悪くはない。いずれは足コキとか覚えさせよう。
「別に嫌ならいいけどよ。桐乃が帰るまでこの部屋にいるつもりか? 俺の部屋のパソコンでネットとかやって待ってるか?」 
 その俺の言葉に、黒猫はニヤリと口元を歪めて笑った。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第045回

「この裸の子は小学生でしょう? 異常ね、変態だわ」
 黒猫の辛辣な口様に頭を掻きながら、俺は自らの失態を少しだけ悔やんでいた。ネットでもやらせておけばいいかと思っていた俺の目論見は見事に外され、黒猫はパソコンデスクの前に座ってから僅か数分で階層の奥底へと隠しておいた秘蔵のフォルダを見つけ出し、順に閲覧を始めたのだ。パソコンには詳しいようで、止めさせようとすると「OSを起動できなくさせてもいいのよ? BIOSの設定を変える方がいいかしら?」とか言ってくる。BIOSの設定ぐらいならどうということもないが、OSのシステムフォルダとかを削除されたら確かに面倒だ。
「こっちは何かしら? これは、……呆れたわ、この子の無修正画像ばかり集めたのね?」
 だが、ヌード画像などを見ても恥じ入る様子がないということは、その分ガードが弱いのかも知れず、それならば好都合だ。オタク少女である黒猫の性知識がどの程度のものかは知らないが、殊更過激なものを見せ、性行為に対する興味を深めてやるのも面白い。
「……ちょっとトイレに行って、リビングの片付けもしてくる。けど、俺がいないからって、外付けハードディスクの中とか覗くなよ?」
 俺の言葉に黒猫は薄く微笑むと、マイコンピュータのアイコンを開いて接続ドライブを確認し始めた。これなら絶対に見るだろう。
「聞いてんのか? 絶対に見るなよ?」
「……判ったわ」
 自室を出てトイレに行って小便を済ませると、俺はリビングのテーブル上の諸々を片付け、ソファに座って時間を潰してから部屋に戻ることにした。本当に見られて困るものは、ケーブルを外してクローゼットの奥に隠してある別の外付けハードディスクの中だ。現在接続中の方には、近い内に桐乃に見せてやろうと思って用意しておいた無修正のSM調教動画と緊縛画像しか入れていない。一見して拒絶する可能性もあるが、これまでの言動から察するに、恐らく黒猫には加虐性がある。流石に食い入るように見ることはないと思うが、何らかの興味を示しはする筈だ。
 時計を見ると部屋を出てから数十分が経過していた。そろそろいいだろう。俺が部屋に戻った時に黒猫がどんな顔をするのか楽しみだ。
 ゆっくりとリビングを出て階段を上り、ドアをノックしてから間髪入れずに部屋の中へ入ると、黒猫は慌てた様子でマウスを操作しているところだった。
「見てねえだろうな?」
「み、見ているわけないじゃないの」
 黒猫は俯きながらそう言ってきたが、頬が赤く、手を小刻みに震えさせている。見たことは間違いない。それなりの衝撃を与えることにも成功したようだ。こんなに初心な素振りをしているということは、まだ処女で何の経験もないのかもしれない。
「それならいいんだけどよ」
「や、約束したもの。み、見てないわ」
 拗ねた口調で繰り返す黒猫の身体つきを眺めながら、俺は目の前の少女を堕とす為の案を練り始めた。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第046回

「ほ、ほんとにこんなとこでするの?」
「早く下着脱いでケツ捲くれ」
「う、うん」
 麻奈実はスカートの中に両手を入れて白いショーツを下げると、尻を俺に差し出し、スカートを捲って陰部と尻穴を曝け出した。俺は自分の制服のズボンとパンツを下げると、陰茎を麻奈実の膣へと根元まで一気に挿入してやった。
「はふくんああっ、そんないきなり奥までぇ、んくふぁ、ちょっと痛いよぉ」
 現在は三時限目だが、俺と麻奈実のクラスは自習時間だ。来年取り壊すという学校の旧校舎には俺たち以外には全く人影がなく、多少の声を上げても気付かれる心配はない。元は一年生の教室だったというその場所で、麻奈実は立ったまま黒板に手を突いて俺の一物を体内に取り込み、僅かに背を反らしている。
「痛かったら、さっさと濡らせ。こっちだって引きつって痛えだろうが。早く腰振れ」
 俺はそう言って麻奈実の尻に平手を喰らわせた。桐乃より大きな尻に俺の手形が赤く残る。
「んくふあっ、う、うん、ふうああっ、ちょっ、ちょっと待ってて」
 麻奈実は揺ら揺らと腰を動かし始め、少しずつ愛液を分泌し始めた。とは言え、まだ少し痛むのか、いつもより動きがぎこちない。俺はもう一度尻を打った。一昨日の桐乃との行為で、今ではスパンキングに面白味を感じている。
「痛くてもちゃんと振れ。今度からは始める前に自分で弄って濡らしとけよ?」
「んくひいっ、わ、判ったよぉ、はんふあっ、どうぉ? うくはあっ、気持ちいいかなぁ?」
 確かに動きは少し良くなったが膣内の滑りが足りない。俺は面倒臭くなり、麻奈実の腰を片手で抱えて自分も動くことにした。今では麻奈実の膣内の弱いところは判りきっている。ついでに陰核も指で擦り上げてやると、やっと膣内が平素並みに濡れてきた
「まったくお前は世話が焼けるよな、判ってんのか、おらっ」
「あくふあっ……ごっ、ごめんなさいっ……ふくああっ……もっと頑張るからっ……はうんあっ……きょうちゃんそこダメっ……うはんあっ……オマンコダメになっちゃううっ……」
「何がダメになっちゃうだ、どうせ乳首も勃起させてんだろうが。ちゃんと言ってみろ」
 言いながら、俺の動きに合わせて揺らしてくる麻奈実の尻を、何度も何度も叩いてやる。
「んひいいっ……してるしてるよおっ……うくひあっ……勃起してるのおっ……くはひあっ……わたしの乳首ぃ……あんくあっ……下着の中で勃起してるよおっ……」
 嬲られながら全身をくねらせて喘ぐ麻奈実の様子を見ると、被虐的な資質は桐乃よりありそうだ。こいつは特にマゾ奴隷として育てて行くことにしよう。加虐的な資質のある加奈子に調教させてもいいし、麻奈実を嫌悪している桐乃に任せても面白そうだ。
「尻も叩かれて気持ちいいんだろ? 何されて、どうなってんのか、ちゃんと言ってみろ」
「かはああっ……きょうちゃんに勃起オチンポ入れられてえっ……んくはあっ……乳首勃起させてるのおっ……はふうあっ……お尻も叩かれて気持ちいいのおっ……あくひいっ……オマンコ濡れて溶けそうなのおおっ……んくひあっ……ダメもうオマンコきちゃうよおおっ……」
「まだイくな、我慢しろ」
 そう言いながらも我慢できないように俺は腰の動きを速め、ついでに麻奈実の尻穴に強引に親指を突っ込んでやった。
「んくひいいっ……それ痛いよおおっ……はぎひいいっ……お尻は嫌だよおおっ……」
「口答えしてんじゃねえ。捨てるぞ?」
「はくひうあっ……嫌嫌嫌ああっ……かふくはあっ……我慢するから捨てないでえっ……ふくはひあっ……お尻も我慢するからあっ……くふはうあっ……何でもするからあっ……」
「なら、ケツ穴弄られながらイってみろ。このままザーメンくれてやる、ほらよっ」
 そう言って俺は親指の腹で腸壁を擦りながら、麻奈実の膣内へと精液をぶち撒けた。
「あくひうああっ……お尻痛いのに気持ちいいっ……んくあはあっ……オマンコ熱くて染みて気持ちいいよおおっ……んくひっ、き、きちゃううっ、凄いのきちゃうううっ、んかあはっ、くっ……あひっ……オっ、オオっ、オマンコイくイく、イくううううううっ!」
 何度も腰を跳ね上げた後、麻奈実は黒板に力なく凭れ掛かり、俺が射精を終えて陰茎と親指とを引き抜くと、膣から精液を垂れ流しながらズルズルと床へと崩れ落ちていった。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第047回

 その日の放課後、俺は近所の書店へと向かった。毎月購入している雑誌の発売日だったからだ。目当ての本を手に他のコーナーを巡っていると、見覚えのある顔と出会った。
「瀬菜ちゃん?」
「ひえええっ、あっ、こ、高坂先輩?」
 別に俺は瀬菜の中学校出身ではないのだが、赤城の家で話した時にも先輩と呼ばれている。瀬菜なりの目上の人間に対する敬称なのだろう。急に声を掛けられて驚いたのか、瀬菜は跳び上がって数歩後退った。
「あ、悪ぃ。驚かすつもりはなかったんだけど」
「えっ? えっ? えっ? ななな、なにしてるんですかっ、こんなところでっ?」
 瀬菜は青い顔をして更に後ろに下がって行く。見ると、後ろ手に雑誌を隠しているようだ。それまで立っていた場所に並べられた本を見て、俺は漸く以前の瀬菜の豹変振りに納得がいった。そこにあったのはBL系の雑誌だったからだ。
「そっか、瀬菜ちゃん、腐女子だったんだな」
 そう言った途端、瀬菜は眉間に皺を寄せながら近付いて俺の手首を握ると、書店の隅へと引き立てていった。壁際に俺を押し付け、詰め寄るように身体を密着させてくる。
「……こんな場所で腐女子とか言わないでくださいよ」
 口調は怒っているが、小声で言ってくるところを見ると、自分の嗜好を恥じているらしい。セーラー服越しに大きな乳房が俺に当たってことにも気付いていないようだ。
「家に行った時、どうも様子がおかしいと思ったんだよ。瀬菜ちゃん、赤城と俺とで妄想してたんだな?」
「ぎゃーッ、忘れてくださいッ!」
 俺の制服の襟首を捻り上げ、瀬菜は必死な顔で迫ってきた。強く押し付けられた乳房の感触から推察するに、九十前後はありそうだ。恐らくは沙織よりでかい。巨乳腐女子中学生か、面白い。脳の病気でないのなら、容姿はまあまあ好みでもある。それなりの対処をしてやろう。
「このことを知ってんのは誰? 赤城は知ってんだろ?」
「……兄だけです」
 俺の首元から手を離し、恥じ入るように瀬菜は俯いた。知っているのが赤城だけなら好都合だ。あいつなら仮に殴り合いになっても勝てる。
「安心しろよ。誰にも言わねえよ」
「えっ? 黙ってて貰えるんですか?」
「当たり前だろ。けど、隠すことはねえと思うぞ? 趣味なんて人それぞれなんだし」
「それはそうですけど、でも……」
「自分で絵とか描いたりすんのか? 漫画か? それとも小説とか?」
「……下手なんですけど、全部やってます」
 顔を上げ、照れたように笑いながら瀬菜が言った。気後れした様子がなくなっている。
「やっぱアニメとか題材にすんのか?」
「好きなのはゲームのキャラで、その、サムライとか斧戦士とか」
「へぇ。その場合だと、斧戦士が攻めか」
「ななっ、なに言ってんですかッ! 判ってないっ、先輩っ、全然判ってないですッ!」
 唐突に瀬菜は激昂し、凄まじい形相で俺を睨み付けてきた。身体を震わせながら腰まで強く押し付けてくる。俺の半勃起状態の陰茎が下腹部に当たっているのだが、気にもしていないようだ。
「サムライが攻めに決まってるじゃないですかっ。病弱そうなサムライが、強靭な肉体の斧戦士を犯すのが当たり前ですっ。刀の柄をお尻に入れて焦らして、その上で絡むんですよっ。そんな超萌えシチュが判んないなんて、先輩おかしいですっ、異常ですッ!」
 異常はお前だよ、という言葉を呑み込んで、俺は何度も頷いてみせた。
「死霊術師も絡んできて、同時に口も塞ぐんですよっ。斧戦士のお尻に『肉便器』って落書きしたり、あ、その前に鎖に繋いでおきましょう。それから、えっと……」
「判ったから、こんなとこで大声出すのは止めようぜ。で、もし暇だったら場所変えて、俺に色々と説明してくんねえかな? ちゃんと話を聞くから」
 誠実振った口調で俺がそう言うと、瀬菜は笑顔で頷いた。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第048回

「なんかご機嫌だね、いいことでもあったの?」
 その日の夕食時、一緒のテーブルに着いていた桐乃が問い掛けてきた。
「お前と飯、喰ってるからな」
 取り敢えずはそう言っておく。まあ、本音でもあるのだが、瀬菜のことを話す訳にはいかない。いずれは一緒に楽しむつもりだが、現時点ではまだ早い。
 書店を出てレンタルルームに行き、三時間近く話を聞いてやると、瀬菜は携帯電話の番号を教えてくれた。俺が望むならカップリングやその他のレクチャーをいつでもしてくれるとのことだ。その手の話題を話せる相手が実兄しかおらず、色々と溜め込んでいたらしい。これで瀬菜攻略の糸口は掴めた。後はこの状態からどうやって堕とすかだが……。
「――聞いてんの? ねえっ?」
 我に返ると桐乃がテーブルの向かいから身を乗り出し、俺に問い掛けてきていた。慌てて手のひらで押し止める仕草をし、俺は桐乃に問い返した。
「悪い、聞いてなかった。何だ?」
 桐乃は自分の椅子に座り直すと、不貞腐れた態度で口を開いた。
「あのクソ猫が前に作った同人誌の話よ。まったく、あんな変な文章書いちゃって。秘密にしてるあたしのブログの方がマシだっつーの」
 クソ猫とは黒猫のことだろうと察しはついたが、あいつは同人誌も作ってたのか。いや、それよりも、秘密のブログ? 初耳だぞ?
「お前のブログって何だ?」
 俺が尋ねると、桐乃は大きく目と口とを開いた。恐らくは、しまった、とでも思っているのだろう。
「え、えっと、な、なんでもない」
 両手を振り続けながらそう言ってきたが、誤魔化すような笑みを浮かべているところを見ると、何か隠しているようだ。
「もう一度聞くぞ? お前のブログって何だ?」
 強い口調で問うと、桐乃は手をそのままに深く項垂れた。

俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第049回

「おいこら、桐乃」
「な、なにかな?」
「お前のブログのこれ、『妹空』とかいうこれは何だ?」
 俺は自室のパソコンの前でモニター画面を指差しながら、床に正座して俯いている桐乃に問い掛けた。件の秘密のブログ自体は以前からやっていたようだが、最近始めたらしい『妹空』というコンテンツには、破瓜の時点からの俺との性行為が赤裸々に記されている。言わばセックス日記だ。例えば『兄貴ったらオチンポ勃起させてるくせに、クリトリスうんと舐めてくれて、あたしのことばっか気持ちよくしてくれんの。でもオチンポに触ってあげたら、可愛い声出して寝そべったあたしの身体に乗っかってきて、オマンコの中に三回も出されちゃった。幸せでどうにかなっちゃいそう』と、一見、駄文散文の類に見えるものの、その日の大凡の体位や回数が書いてある。流石に俺や桐乃の名前や加奈子の調教の件などは記されていないが、ブログの管理人の名前は『理乃』とあり、放置しておくには危険過ぎる。と言うか、十四歳の小娘が淫語使って日記書いてんじゃねえ。
「えっとね、その、小説?」
「何で黙ってた?」
「……だって、怒られるかと思って」
「このブログをお前がやってるって知ってるのは誰だ?」
「……誰にも秘密にしてある。クソ猫たちにも内緒」
 俺は少しばかり安堵の溜息を吐いた。それならまだ対処の方法はある。仮に周囲の人間が見ても、内容と管理人の名前だけで俺と桐乃の関係を疑うことはないとは思うが、先々どうなるかは判らない。ここは矢張り削除だろう。
「パスワードは?」
「えっ? ど、どうすんの?」
「このコンテンツだけでも削除する」
「それはダメっ!」
 桐乃は立ち上がって俺の背中に抱きついてきた。身体を使って懐柔する気かと思ったが、そのまま黙って手を離すと、再び床に正座して両手を着き、俺に向かって頭を下げた。桐乃の土下座なんて見るのは初めてのことだ。正直に言って俺は狼狽えた。
「……それだけは許して、お願いだから」
「……そこまでするほどのことか?」
「だって、兄貴との思い出だよ? ずっとこんな関係になりたくって、やっとなれたから、その思い出を残しておきたいから書いたんだよ? あたしにしてくれたこと思い出して書いた、何より大事な記録なんだから。だから絶対に削除は嫌っ」
 言ってから桐乃はゆっくりと身体を起こし、真剣な眼差しで俺をじっと見つめてきた。どうにか説得してパスワードを聞き出し、削除すること可能だろうが、桐乃の気持ちも判らなくはない。となれば条件を付け、定期的に俺がブログを監視するしかないだろう。その気になれば削除はいつでも出来る。
「個人名やその他の特定されるようなことは絶対に書かないって約束できるか? プロフィールなんかも詳細をこれから確認して、場合によっては手直しして貰うぞ?」
「それなら削除しなくてもいいの? ほんとに?」
「ああ。但し、定期的に確認して、約束が守れてなければ削除する。いいな?」
「うんっ!」
 桐乃は再度立ち上がって俺に抱き付き、今度は嬉しそうに頬を摺り寄せてきた。





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年05月05日 07:59
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。