黒猫の逆襲

その日、私は初めて絶頂を識った
それも、愛する人の手で
彼は私を辱め、私を貪り、私の・・・の処女を奪っていった

だけど・・・

だけど、本当の意味で私を女にしてくれることは無かった

どうしてなのかしら
きっと、あの女のせいなのね
彼と一つ屋根の下に住む、あの女
勇気を出して初めての告白をしようとしたあの時も、
わたしの前から彼を奪っていった、あの女

だから・・・

だからわたしは、彼に「呪い」をかけたのだ

  *  *  *

すっかり風邪の治った私は、呪いの効果を確かめるため、先輩の様子を見に行った
いつものようにベルフェゴ・・・田村先輩とイチャイチャしている
○○○死ね、といいたい処を、ぐっと我慢する
死なれたら、呪いが叶わないじゃない

「ゲホ、ゲホ、」
ほうらね、効果はてきめん、しっかり呪いが効いたようね
ほんの少し頬が赤くなるあたり、わたしと同じ症状ね

「大丈夫ぅ?きょうちゃん」

田村先輩が彼に心配そうに声をかけるが、ああ、なんとかな、と、ぶっきらぼうに答える彼は、田村先輩に心配をかけないようにしているのだろう
何処までもお人よしというか、

「もし、良かったら、きょうちゃんのお家にかんびょ・・・」
もじもじした声で田村先輩がわたしの先を越そうとしているのがわかった
くっ、やはり、魔王のやることは・・・

「こんにちは、田村先輩」
けん制のために田村先輩に声を掛ける
激しい咳で彼は彼女の台詞を聞き取れなかったらしい
流石だわ、わたしの呪いは彼の意識をも奪いつつあるのね!

「こんにちわ。黒猫ちゃんも、いま帰り?」

黒猫・・・だと?
ベルフェゴール!貴様、この夜魔の女王を、彼の妹の友人に封じ込めるつもりか!?
今のわたしは五更瑠璃、高坂先輩の後輩なのよ

「高坂先輩は風邪ですか?田村先輩も気をつけたほうがいいですよ」
わたしの呪いは、彼だけのもの
貴女なんかにくれてやるものでは無いわ

  *  *  *

そうして分かれ道で、先輩達はじゃあな、と、お互いの家に向かった
わたしは、自然と高坂先輩の後についていった
え?といった表情を、まず田村先輩が、次に高坂先輩が浮かべた

「約束しているのよ。だから、ついでに送っていってあげるわ」
わたしが先輩の妹の友達であることは、二人は知っている
おそらく、彼女との約束だと思い込んでいるようで、田村先輩は笑顔で私にきょうちゃんをよろしくね、と、言ってきた
自分が本妻だ、という余裕のつもりだろうか

高坂先輩と彼の家に向かいながら、様子を見る
ゲホ、ゲホ、と辛そうにしている
……少し、効きすぎたのだろうか?
「桐乃と約束でもあったのか?」
無神経にあの女の名を出す彼は、本当に鈍感なのね

「ないわ、そんなもの。ひとつ貸しって言っておいたでしょう?」
イマイチ彼には伝わっていないようなので、直接的な表現に出た
ちりめんの手縫いの巾着袋から、銀色のパッケージを取り出す
「昨日の事なのに、もう忘れたのかしらね?」

一瞬、くらっとした先輩の手をとり、こういった。
「早く帰りましょう、兄さん。ちゃんと私が治してあげるから」

  *  *  *

先輩の家にたどり着く
さっきより彼の様子が思わしくない
呪いが効きすぎたのだろうか
これでは、想いが叶えられるのか怪しくもある

ふらつく先輩の手をとり、彼の部屋に導く
最近頻繁に出入りしているため、彼のお母様はだんだん私のことを気にしなくなった
当初は先輩の新しい彼女と誤解していたようだが、あの女が帰ってきてから、共通の友人という事は理解したらしい

ただし今はあの女に出てこられるのは、困る
念のため、靴を隠し、足音を消して彼の部屋に向かう

  *  *  *

よろける彼を、彼のベッドに導く
発熱と咳で、弱っているのがあきらかだ
わたしの言うがまま

「あらあら、いい様相ね。お疲れのところ悪いけれど、貸し、返してもらわなくちゃね?」

肝心のときに雄々しい彼も、今は少し、弱気のようだ
「黒猫、お前、何するつもりだよ?」

彼の呼び方に残念さを覚えた。
「瑠璃、って呼んで頂戴?あなたには、真名を教えているのだから」

「あ、ああ、五更。すまないな。で、おまえ、それでどうするつもりだよ?」
瑠璃と呼んでもらえないらしいのが、悔しかった
あの女はちゃんと下の名前で呼んでもらえるのだろうに

「ふふ、どうして返して貰おうかしら」
悪戯じみた声で、彼に応え、携帯を見せる
「拒否権はないわよ。もし貴方がわたしに従わないときは桐乃にメールがいくようになっているの。それと、変な事をしてもすぐ伝えるわよ。緊急回避ボタン、かしらね。くっくっく」

  *  *  *

困り果てた表情で、彼は言った
「五更、おれ、マジで限界みたいなんだよ・・・」

「ふふ、それ、わたしの呪いのせいだから、当然よ」

「っていうか、風邪がうつっただけだろ?」

「違うわ。呪いよ?さあ、この薬を・・・そうね、まずは飲むと良いわ」
銀色のパッケージの薬を口に含み、彼の口に移す

「どうかしら?このお薬、身体の力が抜けるはずなの」
暫くすると、彼の身体の力が少しずつ抜けつつあるのが見て取れる

「くっ!」
先輩が、力なく、ベッドに倒れこんだ。
これ、ただの風邪薬なのに。意外と思い込みが激しいようね

  *  *  *

「先輩、いえ、兄さん、のほうが良いかしら?お薬はもう一つあるのよ?」
同じく銀色のパッケージ、ただし今度はかなり大きなものを取り出す。

「同じ風邪みたいね?だったら、同じ治療が必要よ」

「五更、うそだろ!?」
「いいえ、必要なことなのよ?さ、パンツを下ろして?」

一旦は拒否のしぐさを見せたが、すかさず携帯の送信ボタンに指を伸ばす
その場合に起きる出来事を想定してか、彼はわたしに言われるがままにパンツをおろし、臀部を露出させた

やだ、男の人のお尻って、綺麗なのね・・・引き締まっていて
でも、お薬を入れるには、この姿勢は無理があるわ

「先輩、仰向けになって脚を開いて頂戴?でないと、入らないから」
「おい、嘘だろ、幾らなんでも、それはないだろ!?」

「あら、昨日貴方がわたしに何をしたのか忘れていて?
あら、貴女の妹さんの足音が聞こえたわ?隣に居るのではなくって?」

その一言でおとなしくなる彼に、結局あの女なの?という口惜しさとともに、嗜虐心をそそられる

   *   *   *

仕方無しに脚をMの字に開く彼の姿に、さらに火がついた

「くっくっく・・・無様ね・・・しかも、貴方のもの、随分と粗末じゃあないの」

「う、うるさい!風邪引いてるのに元気な奴がいるかよ」

「あらあら、体調がよければ欲情して漲ってしまうのかしら。本当に貴方は歪んでいるのね」

「いや、歪んでいるのはお前だろう」

パシ!
彼の頬に平手をくれてやる
その瞬間、彼のものが反応した
わたしはそれを見逃さなかった

「本当に変態さんなのね?妹さんが隣の部屋に居るというのに?でも、そうね、貴女たちは兄妹で妹モノのエロゲーをやる変態さんですものね?」

わたしの言霊の一つ一つに、彼の身体と心が反応するのがみてとれる
これが民俗学で言うところの妹の力というものなのかしら?(違います)

「さ、今度はわたしの番。ゆっくり、可愛がってあげるから」

  *  *  *

パッケージを剥いて、座薬の解熱鎮痛剤を取り出す
彼の中に入れやすいように、すこし口に含む
わたしの唾液で濡れたそれを、彼の穴にあてがい、少しずつ挿入を試みる
しかし、私を拒むかのようにそれは入っていかないのだ

「兄さん、力を抜いて頂戴?これでは治療ができないじゃないの?」

「う、そ、そんな事いわれてもだな・・・」

仕方がない
半勃ちの彼のものを口に含む

「むぶ」

不細工な声をあげて、一瞬彼の身体がこわばる
「黒猫、おまえ、何するつもりだよ!?」

「あら?子猫にはミルクをあげるものではなくって?」
ことさら、彼の羞恥をあおるように、音を立てて彼自身にむしゃぶりつき、それを味わう

「ふふ、しょっぱいわね。もっと、綺麗にしないとねぇ?兄さん」
わたしはそれに吸い付き、甘噛みし、ねぶり、しゃぶりつくし、さらに彼の物の興奮を誘う
私自身も自然と牝の匂いを発してしまっている
おそらく昨日覚えたばかりのその匂いに、彼の興奮がますます高まるのを、口腔の粘膜で確認する

「兄さんは匂いが好きなのね、ふふ、本当にどうしようもない変態さん」
さらに激しく彼のそれを責め立てると、彼の全身に緊張が走り、彼の全てが弛緩した
その隙をみて座薬を挿入する

  *  *  *

わたしの口腔内に、彼の大量の精液が吐き出された
わたしはそれをいとおしむように味わう

これが、彼の味なのね
ねっとりとしたそれを味わっている私を見て、彼は力なく言う

「お前、実はとんでもないSだったのかよ!?」

「そうかもしれないわね?でも、貴方、見込んでいた通り、本当にドMね。もっとも、あの妹にして、この兄あり、かしらねえ?」

彼を飲み干して、くっくっく、と、意地悪く笑いながらわたしは答えた

「く、黒猫、おまえなあ・・・」
彼の情けない表情が、もはや愛らしい

あはは、と、声をあげて笑った瞬間、彼が反撃を試みる

「「あ゛」」
思わず、手に持っていた携帯の送信ボタンを押してしまった

  *  *  *

ドタドタドタ
廊下に足音が響いた後、バタン、と、彼の部屋のドアが開いた

はぁはぁ、と、息を切らしながら、あの女が来た

「ちょっと、アンタ、わたしの友達に何かしてないでしょうね!?」

「な、なにいってんだよ?俺がおまえの友達に何かするわけないだろう!?」
彼が言った

「そうね、彼は、なにもしてないわよ?貴女のお兄さんが風邪を引いたから、後輩としてお見舞いに来ただけよ?」
そう、彼は、何もしていない

「ふぅん」
ジト目で彼を一瞥したあと、彼女が言った

「まあ、いいわ。
それより黒猫、あんた折角来たんだからあたしの部屋に来なさいよ。
シスカリの対戦するのよ。
もち、ハンデ戦よ。ハンデありまくり。
松戸ブラックキャット(笑)様なら当然よね!」

まったく、この女は・・・
「いいわよ、貴女にわたしが負けるわけがないじゃない?」

そうして、わたし達は彼の部屋を後にした

それにしても、布団一枚でその下は下半身を露出した変態さんは、そのあとどうしたことだろう。

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最終更新:2010年06月27日 23:31
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