Eの後にDがくる?(序章)


「なぁ、ブリジット。今度の休みにどこか遊びに行こうか」

俺のマネージャーも大分様になってきたある日、ブリジットはある雑誌の取材を受けていた。彼女は元々が美少女である事と礼儀正しい事で現場でも評判がよく、最近は徐々に「メルル」を初めとするコスプレイベント以外の仕事も増えていた。
取材の間、俺もブリジットの隣に控え様子を見守っていた。取材は順調に進み、そろそろ終わろうかと言う時インタビュアーの女性が、ブリジットにこう尋ねた。
「じゃあ最後の質問なんだけど、ブリジットちゃんは今一番やりたい事は?」
「そうですね…」
これまでの質問にハキハキと答えていたブリジットは軽く言い淀み、チラリと俺を見ると
「大好きな人とお出かけして、たくさん遊びたいです」
と答えた。それを聞いたインタビュアーは微笑んで軽くからかうような口調で問い掛けた。
「あらあら、それってデートって事かしら?」
「あぅ、それは…ナイショです…」
赤くなった頬を押さえ、蚊の鳴くような声で答えるブリジットに一同は好意的な笑い声をあげた。

「では原稿は来週頭にメールで送りますのでチェックの方お願いします」
「わかりました。ではよろしくお願いします」
編集部で今後の段取りについて軽く打ち合わせを済ませると、俺はブリジットを待たせているインタビュー会場だった応接室に向かった。
『大好きな人とお出かけして、たくさん遊びたいです』…か。学業に影響ないように配慮してはいるが、確かに最近忙しくなっている。たまの休みも俺との桃色遊戯に耽る有様だし…。いや、あんな娘に
『あの…その……また今日もいいですか…?』
なんて恥じらいながらお願いされたら…断れないよね?とは言えブリジットはまだ十歳だ。もう少し歳相応の楽しみを味あわせてあげるべきだ。
日頃の行いを(少し)反省しつつそう考えた俺は、応接室のドアを開けると一人で待っていたブリジットに向かい、開口一番冒頭の台詞を吐いたわけだ。

ブリジットはきちんと膝を揃えソファーに腰掛けていた。人が見ていなくても行儀よくしているところがブリジットらしい。これが加奈子だと人目が無いのをいい事に、パンツが見えるのも構わず片膝を立てながら電子タバコの端をカリカリとかじっているだろう…。
「いきなりどうしたんですか京介お兄さん…じゃなくてマネージャーさん?」
言い忘れていたが、最近ブリジットは俺と二人だけの時はこう呼ぶ様になっていた。とは言え、仕事中の時は公私の区別をつけるため以前の通りマネージャーと呼んでいる。それを忘れて名前で呼ぶとは、俺の提案がよほど意外だったのだろう。
「あの…さっきのインタビューの事なら気にしなくてもいいんですよ?マネージャーさんも最近その…」
そこでブリジットは口許を拳で隠し、赤くなりながら
「『お疲れ』の様ですし…」
最後の方は恥ずかしさからか、俺から視線を外して呟いた。
くう~可愛いな、コイツは!いつまでも恥じらいを忘れない汚れのないお前でいてくれ!
『既にお前が汚しているだろうが!!』
そんなツッコミが聞こえた気がするが、気にしねぇ!
「そんなの関係ない。俺がブリジットと一緒に出掛けたいんだ」
ここで俺はわざとらしく深刻気な顔をして
「ああ、そうか…。ブリジットは『大好きな人とお出かけしたい』んだったな…。俺とはお出かけしたくないよな…」
スッと視線を逸らし、淋し気な表情を浮かべた。
「そ、そんな事ありません!」
ブリジットは飛び上がる様にソファーから立ち上がり、側に寄ってくると俺の腕をキュッと掴んだ。

「…行きたいです。お兄さんと一緒にお出かけしたいです!」
そう言いながら真剣な表情を浮かべ、俺を見つめてきた。
「それと、京介お兄さんは一つ間違っています」
そう言うと、爪先立ちになり俺の耳元に口を寄せ、こう囁いた。
「京介お兄さんは大好きな人じゃありません。私の『一番』大好きな人です」
ブリジット…自分が言った台詞に顔を赤くしてどうする。俺まで顔が熱くなってきたじゃねーか。こんな顔、人に見せられるか!
俺はブリジットの頭を抱くと自分の胸元に押し付け視界を塞ぐと、こう言った。
「じゃ今度の日曜日、俺とデートだ。いいな?」
胸元で、ポニーテールが微かに縦に揺れた。

まぁそんな訳で今度の日曜日、俺とブリジットは初めてのデートに出掛ける事になった。


続く?




※おまけ・あるいは同日夜の加奈子の一幕
「あぁ?デートォ!?あのロリコンとか?それであたしにどうしろって………服?デートに着ていく服を一緒に買いに行って欲しいと…」
加奈子は指で弄んでいた電子タバコをくわえると、携帯の向こうで激しく興奮している相手を宥めにかかった。
「分かった分かった、明日放課後付き合ってやるから~。あいつの好み?あいつの事だ『何も着てないキミが一番好みだぜ』とかじゃね~のぉw…冗談、冗談だって、そんな怒るなって。じゃあ明日渋谷にでも出て……あぁ、学校終わったらメール寄越せ。じゃあな切るぞ」
携帯を切ると、加奈子はベッドに倒れている男に声をかけた。
「お~い、少しは回復したかぁ~?」
男は弱々しい声で答える。
「ま…まだ…無理……」
「チッ、高々3発位で根を挙げやがって…、なぁ~にが『若い子には負けない』だよ、この早漏野郎が!」
加奈子はベッドにはい上がると、男ににじり寄った。
「こっちは惚気に当てられ熱くなってんだ。せめて数こなして満足させろや!」
「か、勘弁してくれぇ~!」





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最終更新:2010年12月24日 01:40
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