ハロウィーン

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すごく眠かった。

桐乃に無理矢理押し付けられた妹エロゲのCGフルコンプをしていたせいで徹夜したせいで、いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。

なぜか、とても寒い。

でも、胸の上だけが熱い。
とても熱くて、いい匂いがする。

いい匂い。
うん。これはいい匂いだ。

柔らかくて、暖かくて、とてもいい匂い。
なんだろう。嗅いでいるとドキドキするような匂いだ。

暖かくて、すべすべしてて。
すべすべ?におい?

薄く目を開けると、そこには黒猫が――いつものカッコじゃないけど、俺の上に覆いかぶさってて。
「目を覚ましたの?…平凡な人間風情が」
そんなことを言ってる黒猫はいつものゴスっぽいヒラヒラのついた黒い服じゃなくて、なんだか肩出しの服…っていうか、
スク水の上にマントを羽織ったヘンなカッコで俺の上に覆いかぶさってる。

黒猫コスプレimg

「くろ・・・猫?」
「違うわ。今の私は夜の眷属。黒猫などではない」
そう言って無表情に俺のことを見る黒猫。
俺の身体の上にぺたんと胸をつけて寝そべる。っていうか顔近い。

窓の外は紫色で、今が朝なのか夕方なのかわからない。
そんな俺のすぐ目の前にある黒猫の顔。
透き通るような白い色は、薄暗い部屋の中でもほのかに輝いていて。

真っ黒な夜の色の髪は、俺の上から垂れ下がっててとてもいい匂いをさせてる。
シャンプーの匂いがする。
それと、ほのかな汗のにおい。柑橘系の女の子の匂いだ。
桐乃がつけてるようなコスメコスメした匂いじゃなくて、女の子っぽい匂い。
とかいうと桐乃にキモイとか言われるんだろうな。
そんなことを考えながら、俺は黒猫の髪を手に取りくんくんと匂いを嗅いでみる。やっぱいい匂いだ。

サラサラとした髪の毛の感触は夢じゃないけど、でも黒猫がこんな風に抱きついてくるなんてのはありえないしなあ。
夢かも。
うん。夢でいいんだったらいろいろしたかったことをしてもいいのかもしんない。

「そう。これは夢よ。だからあなたはしたいと思ったことをなんでもしても構わないわ。夢なのですもの」

そう言う黒猫の息の匂いも(ちょっとくすぐったいようなほのかに甘いにおいがした)夢じゃないと思うんだけど、
そもそも黒猫がこんなカッコで俺に抱きついてるのなんて夢以外のなにものでもないわけで。

ん? 凹凸に乏しいと思ってたけど、こうして密着してみると結構なにげに全然ないわけじゃないんだな。

「…私に魅了されたのかしら。やはり人間の雄は単純な生き物ね」
そう言う黒猫を半ば抱きしめるようにしてその体を撫で回す。
「…くっ…ふぅっ…」
なにかをこらえてるみたいな黒猫の声。なんだかすごく可愛い。
薄暗がりの中で、そんな黒猫はまるで夢みたいで。
夢だったら悲しいな、と思った俺はその細い身体を抱きしめていた。
その身体はとても柔らかくて、肩や背中なんてすべすべで。

「黒猫は可愛いな」
耳元でそう囁くと、ふるっ、と小さく身体を震わせる黒猫。
すごく可愛い。キスしたいな。

「兄さん…本気なの?」
俺の腕の中でふるふると震え始める黒猫の身体。
うん。寒いしな。こんなに寒いんだったら俺が暖めてやるか。
別に黒猫の肌がつるつるでふにふにで触っていると楽しいからってわけじゃない。
これ夢だしな。
だから、いつもはしたくてもできないことをしてもいいんだ。うん。
「黒猫はいい匂いするし、柔らかくて可愛いし、黒猫が俺の妹だったらよかったのにな」
「……だめよ」
「ダメなのか」
ちょっとだけ残念だ。

「ええ。兄さんがもし血の繋がった兄さんだとしたら、こんなことできないじゃない」
黒猫はそう言いながら、瞼を閉じる。
ほのかに染まった頬の中の小さくて柔らかい、唇。
目を閉じて唇を突き出している黒猫の顔。
たぶん俺が今まで見た中で一番可愛いキス顔。
それが俺の視界いっぱいにひろがる。

ちゅ

唇と唇が触れ合う。
黒猫の唇は、柔らかくて、暖かくて、いいにおいがした。
数秒間のキスの後、そのあったかい肌は離れていった。

「黒猫?」
「そう。これは夢。私は兄さんの心の願望から生まれた夢だから」
「だからこんなこともできる」
再びキス。

舌が入り込んでくる。

舌?

あれ、これって夢なんじゃ――

そう考える脳も蕩けそうなほどの甘い感覚。
黒猫の舌の感覚が口の中に広がる。

熱い、黒猫の舌。
ざらざらした舌の表面が、俺の口の中を撫でてくる。
とてもサラサラした黒猫の唾液が、俺の口の中に流れ込んでくる。

俺の口の中にたまった二人の唾液を黒猫が吸い。こくんと可愛い音をさせて嚥下する。

「あなたに呪いをかけたわ。きっと貴方は続きをしたくなる……兄さん、……続きはまた今度にしましょう」

そういうと、黒猫はさっとベッドから立ちあがる。

その瞬間、ドアが開き、いつものうるさい声が降ってくる。

「ちょっと! あンたナニしてんのよ!!!」
桐乃がおっかない声で怒鳴ってる。うわ。すっかり目、覚めちまった。
黒猫は顔色ひとつ変えずに桐乃に言い返す。
「…あなたの兄さんを魅了しようとしていただけよ。邪魔が入って未遂に終わったけど」
そんな黒猫の言葉で火がついたのか、桐乃は俺にその矛先を向けてくる。
「このヘンタイ! ナニ黒猫に手ェ出してんのよ!」
いや、手なんて出してない。本当だ。ちょっとだけなんか可愛い夢を見たような気がするがそれも気のせいだ。きっと。

「ほら、何をしているのかしら?早くしないとお祭りは終わってしまうわよ」
そう黒猫が言うと桐乃は何か納得できないような表情をしながら俺に怒鳴る。
「……! ナニ寝てんのよッ! 付き添いがいなきゃ参加できないんだからね! 言ってたじゃん!!」
あ、そうか。ハロウィーンのコスプレ行列は15歳未満の子には保護者がいるんだったっけ。そうだったそうだった。

桐乃が黒猫から借りたゴスロリ衣装に着替えてる間に、黒猫はなんだか異様な視線で俺のことを見つめている。
アレは夢じゃなかったのかな。もしかしたら。でも黒猫がおれにそんなことをするなんてなあ。

そんな俺の表情を見て取ったのか、黒猫は俺の耳元に唇を寄せて囁く。
「夢ではなくってよ」

そう耳元で囁く黒猫。
そして頬に軽く触れるようなキスをしてくる。
そのあとで、軽く上気した頬でかわいらしく俺に言う。

「Trick or…Treat?」



つづかない


 

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最終更新:2010年12月27日 14:19
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