人の人生ってのは生まれつき大幅な筋書きが決まっているモンだと思っていた。
俺だって1年とちょっと前までは平凡に生きて平凡な死に様を迎えるものだと考えてた。
だが、俺は沙織に対してその筋書きをぶっ壊させたのではないか。
親の決めた婚約相手。それを納得はせずとも了解してしまった沙織。
既にその段階で他人が口を挟める段階ではない。
だが俺は執拗に沙織の気持ちを優先して婚約を破談させた。
果たしてそれは本当に沙織の人生にとって良い方向に進んだのか。
俺は未だに考える事があった。
▼
高校生にして俺は結婚する事となった。
相手はもちろん沙織である。
美人で気立てが良くて、更に何気に何でも器用にできる完璧な嫁だ。
欠点は重度のオタクを患わせている事だが・・・・・・それは俺にはまったくマイナスじゃない。
「あらあら、今日もお泊りしてくれるの沙織ちゃん」
「はい、お邪魔でなければ」
「構わん、息子の妻を我が家に泊めるのは何もおかしい事ではあるまい」
俺たちは結婚したもののまだ学生。
結婚する前は同棲もありだとは思っていたが、親父と桐野の猛反対にあい断念となった。
理由はまあいわずとも判るだろう。
そりゃ思春期真っ只中の男女を二人っきりにして健全な生活ができるかという問題だ。
俺もそれは思っていたことであった。
なので特に反発もせず生活は今までどおりにしたんだが、すると沙織が頻繁に俺の家に泊まりに来るようになった。
さっきもいったが気立てがよく、よく気づくとてもいい子なので両親はまるで実の娘のように可愛がっていた。
おれ自身も沙織の両親には気に入られているらしく、とても良くしてもらっている。
しかしなんだ、こいつ家がかなり遠いのにこんなに頻繁にきて手間ではないのだろうか。
「ねえ、アンタ。今日はどこで寝るつもり?」
桐乃も沙織が泊まる機会が増えて喜んでいるが、毎回沙織の寝るところの話に対しては妙につっかかる。
「わたくしとしては京介さんの部屋が望ましいのですが・・・・・・」
「こら、頬を赤くしていうな。勘違いされるだろうが」
あえて言わせてもらうが、俺たちはまだ一度もアレをした事がない。
キスはした、してないのはベッドでするアレのことである。
「あらあら、それじゃあ今日は私たち下で寝ましょうか」
「む、あまり若いうちからそういうのはな・・・・・・ほどほどにしとけ」
「なに考えてんだあんたら!?」
ほらまた勘違いしちゃったよ!
しかもこの両親、俺たちが夫婦だからそういうエッチな事をするという事には反対しない。
それどころか孫を催促する始末。
「きょ、京介さん・・・・・・始めは優しくしてくださいね」
「何をだよ!? 俺たちそういう関係にはなってねえだろ!?」
「ええ、確かに付き合っているどころか結婚までしているのに突き合っていませんね」
「おいこら両親の前でシモの話をすんじゃねえ気まずいだろうが!」
「さっせるかああああああ! 沙織はあたしの部屋アンタは外。それでいいでしょ!」
「ざけんな」
「うふふ、相変わらず二人は仲の良い兄妹でよろしいですわ」
「沙織、アンタ目が腐ってるんじゃないの? コイツとあたしのどこが仲良しなのよ」
因みに沙織の話し方だが、こいつ俺の両親の前では基本お嬢様口調だったりする。
どうやら俺の両親を安心させるために世間体の良いキャラクターを通すつもりらしい。
ただ、この話し方自体は地の性格の話し方だったりする。
しかしその地の性格を桐乃、黒猫、俺たちは滅多に見ることが無かった。
それこそ俺たちからしたらバジーナがベースの性格でお嬢様のほうが芝居じゃないかと疑うほどだ。
桐乃や黒猫はこの素顔の沙織に対しても物怖じせずバジーナのように接していた。
大抵の人間ならこいつの美貌や身長を前にしたら赤面するか低姿勢になるだろう。
だからこそ、沙織自身俺たちの変わらない接し方に喜びを感じているらしい。
▼
全員が風呂にも入り、家族全員がリビングで談笑をしていた。
「大体さ、こんなの旦那にしてあんた大丈夫なわけ?
こんなのに女性幸せにできる甲斐性あると思えないんだけど」
・・・・・・人が口出ししなければ桐乃が好き勝手言っていた。
「それはありませんわ。なぜなら現在進行形でわたくしは京介さんに幸せにして貰っていますから」
口を挟もうかと思ったら既に沙織が桐乃を諭していた。
その何の照れも無く答えた。
既に幸せだと。
情けない話だが常々思っていたことがある。俺は沙織を幸せにできるのだろうかと。
確かに沙織には結婚式の前に絶対に幸せにすると誓った。
だが俺には桐乃のように自分に自身を持っているわけでもない。
自分の長所だって人様に自身をもって言えるものなんて閃きもしない。
そんな俺がどうやって沙織を幸せにできるのだろうか。
いままで平々凡々と生きていたからそ自分のキャパシティってものを痛いほど理解している。
そして俺にとって沙織は身に余る女性ではないのだろうか?
夫の贔屓目かもしれないが沙織はお嬢様で、優しくて、美人で。何よりも一途で健気だ。
普通の家庭にうまれ普通に生きてきた俺なんかが釣り合うとは思えない。
他人の視点から見たら身の程を知るべきと思われるだろうよ。
そこだけが俺の胸のなかで濁っている。
それをどうにかしようと思いながらも、やはりくすぶり続けているものだった。
「趣味を捨て、友人との関係も失うような条件の望まぬ婚約を受け入れようとしていたわたくしに京介さんは執拗なくらいに力になろうとしてくれました。
自身をもて、自分の気持ちを隠すな、本当の幸せを見失うな。それは本当に胸に響きました」
沙織は胸に手をあて、思い出すように言葉を続ける。
「そして京介さんは諦めていたわたくしを叱咤し、何も失わない道を示してくれました」
沙織は俺のほうを向きそっと微笑む。
「恐らくあのまま望まない相手と結婚していればわたくしは趣味も親友も失っていたかもしれません。
しかし結果として何も失いませんでした。一度は友人を全て失ったわたくしにはその結果の重さを理解しています。
だからこそ、そうならないようにしてくれた京介さんには抑えきれないほどに感謝をしていますの」
沙織にとって友人とは自身より大切なものだったんだろう。
そしてオタク趣味だって人生といえるほどにこいつの人生のベースでもあるんだろう。
「その人生の恩人と私は共に生涯を歩めるのです。それで幸せを感じないわけがありませんわ。
わたくしは京介さんに抑えきれないほどに感謝と好意を抱いているのですから」
頬を赤くしてテレながらも桐乃に俺への気持ちを伝えた。
だが桐乃はその告白に何と答えれば良いのかもわからないように口をつぐむ。
俺だってそうだ。
まさかの家族の前での愛の告白だ、そりゃへたれる。
「あら、あらあらあら。京介ったら本当にいい子見つけたわねぇ・・・・・・」
「全くだ、京介には身に余る女性かもしれんな」
そう言いながらも親父は俺を誇るかのように微笑み、酒を煽った。
沙織は・・・・・・本当に俺なんかで良いのだろうか。
沙織に愛される俺自身が自信を未だ持てないでいた。
▼
「京介氏京介氏、拙者かっぷる繋ぎというものをしてみたいでござる」
「・・・・・・誰かに見られたら恥ずかしいだろうが」
「シャイボーイでござるな、京介氏は」
俺と沙織は夜の散歩に出ていた。
誘ったのは俺だった。
なんて事はない、二人きりで話したいことがあるんだ。
「この公園ならいいかな」
丁度人気もなく、周りに家も無い。
話し合いたいことがあるならうってつけの場所だ。
「して、二人きりで話したい事とは?」
沙織はメガネもオタファッションもしていないが話し方だけはバジーナだった。
どうも出会ったときから俺に接していた話し方はこっちの方が長かったため、俺と話すときはバジーナの話し方の方がしっくりくるらしい。
「ああ、正直言おうか迷ってたんだが・・・・・・」
「まさか浮気!? 酷いでござる、拙者こんなにも京介氏にフォーリンラブっているのに!」
「ちげぇよ!?」
相変わらず飄々とした奴である。
だがコイツのこの台詞も俺の気をほぐす為の配慮だろう。
確かに、お陰で緊張がほぐれた気がする。
「あのさ、結婚した後に言うのもなんだがお前俺なんかで本当にいいのか?
俺を買いかぶりすぎてるかもしれないとか思ったことはないのか?」
「思うわけがないでござる。京介氏は最高ですよ」
即答かよ。
まったく躊躇いのない返答に俺は驚く。
「だがな、桐乃にいった話だって結局は俺がお前に俺の我侭を押し付けただけだろ。
お前がもういいと言っているのに俺が納得できないからしつこく食い下がり続けただけだ」
胸につっかえていたものを吐き出すように言葉を続ける。
「俺なんて何をやったって中途半端、自分の才能なんて未だ見つけられない。
将来はお前の会社で働きたいと思っているが俺みたいな平凡な奴につとまるかわらねえ。
そんな自信も実力も無い男にお前は不満とかないのか?」
「微塵もないでござるよ」
「また即答かよ!?」
僅かな間もなく沙織は返答。
「大体ですな、長所というものは本人が自覚して育むものではござらん。
大抵の人はそれにきづかず、けれど日常で発揮しています。
そして他人からはそれが顕著に見えているものでしょう」
「じゃあお前は俺の長所が見えているってのか?」
「然様でござるよ。拙者の人生を満たしてくれたのは他ならぬ京介氏の長所なのですから」
全くわからん。
「自信の話も同じ事です。
自分に自信のある人なんてそうそういません。
あの大胆不敵なきりりん氏だって言葉では尊大でも必ず思っている事を素直に言ってはいません。
だからこそ大きな事を言い自分にプレッシャーをかけているのです」
たしかに桐乃は口ではいつも大きな事を言っている。
だがそれは努力に裏づけされたものだということを俺は知っている。
あいつはいつだって自分の言葉に責任を持っていた。
「拙者だってそうです。きりりん氏や黒猫氏はずっと拙者と友達でいてくれるのか。
果たして拙者のような変人を京介氏は愛想尽かさないか不安を覚え。
嫌われたくないという不安をつねに持っています」
「馬鹿いうなあいつらがお前から離れるなんてねえだろ。
俺だってお前の事が大切だし幸せにするって決めてる」
何を言うんだこいつは。
俺たちがどれほど沙織に感謝し、依存しているか本人がわかっていない。
「そうですね。他人の不安など本人から口に出してくれなければ把握なんてしかねます。
今いったわたくしの不安を京介さんが気づいていたかわかりません。
そして、わたくしは京介さんがそのような不安を抱いていた事など気づきませんでした」
隣でベンチに座っていた沙織が不意に立ち上がり、俺の前に歩み寄る。
「ですがそれはいらぬ心配です。なぜなら、わたくしは既にあなたの良い所を誰よりも知っています。
そして誰よりもあなたに幸せを与えてもらっています。
京介さん、あなたは自分が思っている以上に格好いいですのよ?」
面と向かってこっぱずかしい事を言われる。
「それが買いかぶりすぎだとは?」
「全く思いませぬ。なぜなら拙者、ありのままの京介氏が大好きなのでござる」
参った。
降参だ。
こいつと話していたら自分がもっと出来る人間なのかもしれないと思えてしまった。
俺にだって長所はあった。自分では把握できないけれども。
俺にだって自身を持てる事があった。こんなにも沙織に愛してもらえる男だ、駄目な奴のわけがない。
少なくとも、くすぶり続けていた胸のつっかえは無くなった。
▼
「しかしですな、京介氏。拙者実はもう一つ悩んでいる事があるのです」
「ん? 俺に出来る事なら力になるぞ」
帰り道、街頭の明かりを受けながら足を進めていると手をつないでいた沙織から声をかけてきた。
「拙者、もしかして・・・・・・ふぇろもん足りない?」
「意味わからん」
質問の意図が全く把握できん。
「実はですな、拙者オタクでござる」
「痛いほどに知ってるよ」
「オタクというものはですな、結婚初夜を神聖視する傾向があるのでござる。
ですが現実では結婚式の後も拙者に夫は夜這いをかけてきてくださらなかった。
みのさんに相談したほうがよろしいのだろうか」
「やめろ、高確率で奥さん、それわかれちゃいなよっていわれるぞ」
「それもそうでござるな」
っていうか結婚初夜かよ。
確かにあの日は色々気づかれで俺たちはホテルの一室で一緒に寝た。
だが文字通り寝ただけで特に何かあったわけでもない。
「しかも夫はシャイでキスすらあまりしてくれないでござるよ~
拙者ちょっとねがてぃぶになります」
実際マジで悩んでいるらしく、結構落ち込んでいる顔なのがわかる。
だがそれには一応理由があることにはあるんだが・・・・・・
果たしていうべきか。
「はっ!? もしや拙者が最近メガネをかけてないから!?」
「お前のはメガネというカテゴリじゃねえ!」
「ナイス突っこみですぞ」
もういいアホらしい、正直にいってやる。
「実はさ・・・・・・実際にキ、キスしようと思っていたことは何度かあるんだ」
「ほほう、それでそれで?」
食いついてきやがった。
「けどな、いざしようと思って顔を見るとだな・・・・・・その・・・・・・」
やばいやっぱり言いたくない。
だが純真な眼でこちらを見る沙織の姿を見て言わない空気ではなかった。
「背が合わなくてさ、背伸びしないと届かなくてよ。するのを躊躇っちまうんだ・・・・・・」
言ってしまった。
だがこれはしかたないだろう。背の高い彼女を持ってしまった男の宿命だ。
隣を見れば沙織は呆気にとられた顔をしていた。
笑いきゃ笑え畜生。
「そ、それで夜這いをかけてくれなかった理由の方は?」
「ム、ムードが中々整わないもので・・・・・・へたれですいません」
情けなさ過ぎる俺。
これはいくらなんでも沙織も呆気にとられたんじゃないだろうか。
「そ、それではわたくしに考えがあります!」
「え? ちょっ」
いきなり真顔になった沙織は掴んでいた俺の手に更に力を込めて急に走り出した。
いきなりどうしたんだろうか。
▼
「おい落ち着け沙織! なんかお前怖いぞ!」
「これが落ち着いてられますか!」
家に辿り着くや否やいきなり俺の部屋までダッシュで向かいそのまま俺をベッドの上に押し倒した。
そこで沙織の企みはわかった。
つまり身長が気になるなら寝てキスすればいいということだ。
沙織は俺を押し倒し、俺の頭をロックした。
「京介さん、わたくしはあなたが思っている以上にはしたないのですよ?」
「ま、待てって――――んむっ」
まさか沙織のほうからこうして攻めて来るとは思わなかった。
ふにゅふにゅして、それでいて潤いを帯びた唇の感触を堪能する。
沙織自身溜まっていたらしく、何度も何度もついばむ様に唇を合わせては少し離し、また角度を変えて再びキスをしてくる。
「んふ・・・・・・。んぁ」
次第にそれは情熱的になり、時折沙織は舌で俺の唇を舐め、時折俺の唇をノックしてくる。
時折沙織は唇を甘噛みし、それで開いた口内に舌を滑らせる。
すごくエロティックだ。
俺の口内には表面がザラザラした沙織の舌が差し込まれ、蹂躙される。
歯を舐められ、舌と舌を絡めあう。
溢れそうになった唾液を沙織は俺の口の中に流し込み飲ませる。
甘い。
沙織の唾液が、舌が。その行為自体が。
「あぁ・・・・・・、京介さん・・・・・・」
息継ぎのために唇を離すとトロんだ瞳で沙織はこちらを見つめてきた。
やばい、普段は清楚な顔をしている沙織がこんなにエロイ顔をしてくるのは反則だ。
言葉にしなくとも沙織の気持ちは伝わってきた。
つまり、ムードは作った。抱いて欲しいと。
沙織自身不安だったのだろう。
俺が初夜に求めてこなかった事を。
更には日常でもキスすらしてくれなかったことを。
だがこいつはそれを不満とは思わず、自分には魅力がないからだろうかと思っていたんだろう。
だったら俺は夫としてその不安を解消してやらないといけない。
「いいんだな?」
「もちろんですわ、この時をずっと待っていたのですから」
俺の上に乗っかっていた沙織は逆に服を脱ぎながらベッドに寝そべった。
恐らく俺にリードして欲しいということだろう。
考えてみれば今のキスだって必死に搾り出した勇気による行動だったに違いない。
女にここまでさせたんだ、これに応えないのは男じゃない。
「わかった。けど俺初めてだから優しくできるかわからないからな」
「わたくしだって初めてです。だからこそ、すっごく痛くしていただいてくださいね?」
「何でだよ?」
「痛かった事は忘れないというでしょう?
京介さんと肉体的に結ばれた今日という日をいつでも思い出せるようにしたいのです」
可愛いことをいいやがる。
本当に、なんて一途な奴なんだろうか。
俺と沙織は自分で服や下着を脱ぎ、床に置く。
「綺麗だ」
我ながらなんてボキャブラリーの低い言葉だろうか。
だが、これが何の脚色も無い素直な感想である。
シミ一つない白い肌、長く煌びやかな髪、豊かな胸、潤いを帯びた唇。
そして大きな包容力を感じさせる穏やかな顔。
「その・・・・・・京介さんも逞しいですわ」
恥じらいながらも俺の身体を眺める沙織。
互いに恥ずかしながらも始めて見る異性の裸に好奇心を隠せなかった。
「それじゃあ始めるからな」
「はい・・・・・・うぁんっ」
寝そべる沙織の胸を優しく掴む。
マシュマロのように指に合わせて形を変えるその柔らかさに驚く。
だが決して反発が無いわけではなく、程よい弾力もあった。
こねるように胸を揉む。
しかしそれだけと刺激がマンネリだろう、俺はその双丘の頂点にあるものを口に含んだ。
「あぁんっ」
いきなりの刺激に沙織はもだえる。
だが俺はお構いなしに沙織の乳首を味わう。
舌で転がし、感触を味わったら次は赤ん坊のように吸う。
「はぁぁ・・・・・・ふふ、なんだか赤ちゃんのようですよ」
「そんなエロイ顔したお母さんがいるかよ」
頬を上気させ、感じている沙織を見て俺は右手を下に進める。
目的の場所は沙織の最も恥ずかしい場所にある割れ目だ。
「そ、そこは・・・・・・」
不安げに見る沙織。
恥ずかしいんだろう、いままで誰にも触らせる事はおろか見せる事すらなかった場所だ。
「嫌か?」
「そんなわけがありません。あ・・・・・・はぁぁんっ」
その健気な返事にうたれ、俺は沙織の膣に指を差し込んだ。
柔らかで、ギュウギュウと締め付けてくる媚肉の感触を指で味わう。
これから俺のものを付き挿れるんだ、出来る限り苦痛が無いように濡らしてやりたい。
壁をなぞる様に指を使っていると次第に指に感じる抵抗は薄れていった。
それを確認すると次はかき回すように少し激しくする。
すると沙織の膣から粘性のある液が出てきた。
感じている証拠なんだろう。
もっと出るように更に指で沙織の壁をこすり続ける。
「だ、だめです京介さんっ。それ以上すると!」
構わずかき回す。
膣壁を傷つけないように、しかし感じるように。
それを続けていると沙織だ少しずつ身体を震わしていき、ある段階で身体をピンと張り詰めさせた。
「んあぁぁぁん! ・・・・・・はぁ」
多分絶頂に達したのだと思う。
沙織が達したと同時に膣のなかは締め付けがいっそう強くなり、更に愛液の量も多くなった。
指がびしょびしょだ。
これなら俺のも入るだろう。
「沙織、いいか?」
「・・・・・・はい」
俺は姿勢を立て直し、自分のペニスを沙織の陰唇にあてがった。
「京介さん、わたくしこの瞬間をお待ちしておりました」
涙目で俺に抱きつく。
このまま突き入れたら沙織の処女は散る。
そして沙織はそれを望んでいる。
俺は迷い無く腰に力を込めてペニスを押し進めた。
「つぅ・・・・・・さ、流石に痛いですね」
とんでもない抵抗だ。
まだ半分も入れていないのに押し出さんとばかりに締め付けてくる。
だが、ここでやめるわけにはいかない。
俺は沙織を抱きしめながら更に腰を押し付ける。
すこしづつ解す様に、時折沙織をリラックスさせるために優しく抱きしめながら。
そして全部入った。
「はぁはぁ・・・・・・」
「沙織、もう全部入ったぞ」
本当に苦しかったのだろう、玉のような汗を浮かべて息切れをしている。
だが俺の言葉に沙織は反応し、自分と俺の結合している箇所に目を向ける。
「あぁ、嬉しいです。ようやくあなたと完全に結ばれたのですね」
沙織は涙を浮かべた。
それが痛みによるものなのか、それとも嬉しさによるものなのかは判断できない。
俺は少しでも沙織に感じてもらえるように腰をゆっくり動かす。
「痛かったら言うんだぞ?」
「ふふ、京介さんの好きに動いて構いませんよ」
そんなことが俺にできるわけがない。
俺は沙織の表情を見ながらどこを突けば感じるのか、どんなスピードで腰を振れば痛くないのか
それを考えながらピストンをする。
「・・・・・・はぁぁん! 京介さん、優しいです!」
感じている沙織は蕩けきった顔で喘ぐ。
既に膣には拒否する意思は無いらしく、俺のペニスを程よく締め付けるだけで吐き出そうとする反発はない。
「京介さんっ、キスしていただけますか?」
「もちろんだ」
正常位でしていたが、沙織の希望を受け止めキスするために沙織の身体を起こす。
対面座位となり向かい合った俺たちは腰を動かしながらも唇を押し付けあった。
ずちゅ、ずちゅっと粘性のある音が部屋に広がる中、更に唇を吸いあう音まで増えた。
舌を絡め、腰を振る。
パンパンと肉のぶつかり合う音も大きい。
唾液を交換しあい、激しくペニスを突き入れる。
そのたびに沙織は喘ぐ。
それを何度繰り返しただろうか、次第に俺の限界は近づいてきた。
「沙織、そろそろ限界だっ」
「好き・・・・・・。大好きっ、好きっ、好きっ」
壊れた人形のように言葉を繰り返し、沙織は自分から腰を振り出した。
けれど腕は俺を逃がすまいと強い力で抱きしめてくる。
流石に限界だ。
下半身に熱い奔流が駆けてくる。
「っく、沙織っ」
「京介さんっ、ぅぅぅぅぅっっ! っ~~~~~~ッッ!」
互いに達する瞬間もう一度キスをした。
同時に思い切り沙織の中に精子を吐き出す。
硬いくらいに濃厚なそのエキスはすぐさま沙織の膣を満たし、ペニスと膣の隙間からこぼれてくる。
「ふぁぁぁ・・・・・・。京介さん、すごいです・・・・・・」
蕩けた笑みを浮かべて沙織は気絶するようにまぶたを落とした。
「・・・・・・寝ちゃったか」
無理も無い。
初めての体験で始めての絶頂だ。
まさかここまで初体験が上手くいくとは思わなかった。
身体の相性もいいのだろうか俺たちは。
とりあえず差し込んだままのペニスを引き抜く。
「ぁ・・・・・・んっ」
沙織が感じているらしく若干身もだえする。
そしてペニスが抜かれ、隙間ができた膣口から先ほど注いだ精子がドロリとこぼれる。
「・・・・・・エロイな」
愚直なマイサンはすぐさま硬度を取り戻す。
だが沙織はねちゃったので相手がいない。
さて収まり付かないコイツをどうしようと思ったが閃いた。
「沙織、すまねえ」
とりあえず裸で寝ている沙織をおかずに自分で慰める事にした。
▼
「昨夜はおたのしみでしたね」
朝起きてお袋が俺たちに言った一言がそれだった。
「昨夜はおたのしみでしたね」
「繰り返さなくて良いから!」
そりゃ気づかれるわな。
あんだけ沙織喘いでたし。
「おはよう沙織」
「おはようございます、京介さん」
優雅に紅茶を飲みながら穏やかな微笑みを浮かべこちらに挨拶する。
しかし俺の目はごまかせない、顔が真っ赤だ。
「京介よ、ちょっとこい」
「あ、あぁ」
親父は既にリビングで茶を啜っていた。
どうやら俺が最後に起きたらしい。
沙織も俺より早く起きていたらしく、俺を起こさずそのまま下に降りたんだろう。
「孫ができるのは嬉しいがな、せめてこの子が高校を卒業するまではな世間体というものがだな」
「言われなくともわかっとるわ! つうか沙織に影響されて紅茶飲んでるんだろうが似合ってねえぞ!」
恥ずかしいもう死にたい。
ふてくされるように自分の席に座ると既に隣にいた桐乃が思い切り俺の脚を踏んづけた。
「いってえなオイ!」
「黙れ変態」
鬼がいた。
いやまじで怖いんですけど。
目元が寝不足のせいか凄いクマがあるし、目つきもメッチャ怖い。
「あのね、夜に親友と兄貴がギシアンしててあたしはトンでもなく気まずかったワケ!
あんなエロ声だして気づかないとでも思ってんの!?」
「き、きりりんさん・・・・・・」
「両親の前できりりんって呼ぶな!」
流石に沙織も恥ずかしかったらしく口を挟む。
「だが、まあ夫婦だしな。別に行為自体は咎めんが・・・・・・ほどほどにな、避妊もちゃんとしろよ」
「余計なお世話だ!」
珍しく理解ある親父の態度が今回は凄く嫌だった。
▼
その後気まずい空気の中で、全員でとりあえず朝飯を食べることにした。
そして皿の上が半分になったあたりで沙織はボーっとした顔で呟いた。
「ふふ、クセになってしまいそう・・・・・・」
「「「え?」」」
何がとは誰も聞けなかった。
ただ、その時の沙織の顔は今まで見たこと無いほどに妖艶な顔だった。
おまけ
夜の桐乃
| キリリン \
| ('A`) ギシギシ
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄ アンアン/
最終更新:2011年02月17日 22:12