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八月二十日

 家に帰って、妹達に晩御飯を用意して、自室に入るまで。
なんだか夢のようにふわふわしていた。
「まだ……熱い気がする」
 先輩に直に触れられた部分。太ももに、尻に、首筋に……唇に。
残滓が残っている。
 目を閉じれば、あまりにも生々しくよみがえるその感覚に、
いそいそと布団をしいて寝転がる。甘い疼きがじくじくと火傷のように
身体を炙り、頭の中から唯一つのこと以外は締め出されていく。
「は……ぁ、先輩……」
 口に出して呼んでみる。もっと強く感じたいという思いが膨れ上がって、
さらに集中する。思い出すのは、服の上から抱きしめられた感触。
お腹のあたりに腕を回して、そこから上へ。自分の腕で、その動きを
トレースする。
「んっ……」
    《オーバーライド》
 触覚を   上書き   して、脳内で先輩の腕に置換する。
先輩は、やさしくもいやらしい動きで私の胸を撫で回し、服とブラの上から
正確に一番弱い部分を見つけ出し、やわやわと、執拗にこねくり回した。
「や……ぁ、せんぱ、い、そこは……ちく、ふ、ぅんんっ!」
 本当、ひどい人。優しげに笑いながらケダモノみたいな目をして、
まるで手を緩めてくれない。私の頭の中で何度も火花がはじけ、上り詰めていく。
追い詰められていく。
 これもまた、呪い。
 彼にかけた最大級の呪いが、私に逆流して身も心も蝕んでいる。
 先輩が私のことしか考えられなくなる以上に。
 私が先輩のことしか考えられない。
 もっと触って欲しかった。
 もっと先輩を、刻み付けて欲しかった。
「あれだけ蕩けさせておきながら、お預けだなんて……
 手で慰めることは出来ても、キスは一人では出来ないのよ、先輩」
 恋人の部屋のベッドの上で。覆いかぶさるようにのしかかられて。
てっきり、大事なものを捧げることになるのだと思っていたのに。
 一つ一つ、色々なことを経験したいですって?
 全く、素に戻っ……否、温情を出して肉の身体の主である『瑠璃』の感情を
表に出したのが間違いだった。
 この狂おしいほど身を焦がす愛欲の炎を、たった一人でどうしろと言うのか。
一つ一つとは、いつ経験させてくれると言うのか。
「そう……発言には、責任を取ってもらおうかしら。四六時中、私の身体を
 まさぐってもらって、この疼きを収めてもらわないと」
 次に会った時は、私から迫ってあげる。今日とは逆に、先輩に馬乗りになって……
けがらわしい股間の、に、肉棒をいじって。そう、あの男の好きそうなシチュがあったわね。
足の裏ではさむようにしごきたててやったら、どんな顔をするかしら?
 ああ、でもお昼過ぎから日が暮れるまでキスし続けるようなケダモノが、その程度で
参るかしら? しごく為に脚を開いた私の股間を視姦して、襲い掛かってくるかも。
 そうしたら、今度こそ奪われてしまうかしら。
 私には想像もつかないような変態行為に及ぶに違いないわ。
 全身を舐めまわしてみたり、匂いをかいでみたり……でもきっと、
一番大事なものを奪う時には、やさしく……
「せんぱい……きょ、きょうすけ……」
 先輩の『真名』を口にしただけで、心臓が締め付けられるように痛む。
 先輩も、今頃私のことを考えてくれているだろうか。私は先輩の想像の中で、
どんなことをしているだろう?
 高圧的に振舞っているだろうか。それとも先輩の大好きなエロゲーのヒロインのように
しおらしく、なすがままになっているだろうか。
 とたんに心の中に鉛玉を落とされたように、高揚していた気分が盛り下がっていく。
「ふぅ……すっかり萎えてしまったわ」
 身体を起こしても、もう熱さが感じられない。汗ばんだ身体に服が張り付いて、
不快ですらあった。
「あの男の貧相な想像力で私の尊厳を貶められてはたまったものではないわね。
 ……釘を刺しておかないと」

 とぅるるるる。
 とぅるるるる。
 とぅるるるる。

『おう、く、黒猫。どうした?』
「声が上ずっているわよ」
『そりゃあ……そうだろ。彼女からの初の電話だからな』
 ! そうだった。勢いに任せて電話したけれど、そうなるんだ。
『んで? どうした?』
「そ、その……いえ、特に用事は無いのだけれど」
『あ、もしかして声を聞きたくなったって奴? 可愛いこといってくれるな、黒猫』
「そ、そんなんじゃないわ。ただ……先輩が……」
『俺が?』

「私を使って不埒な妄想をしているのではないかと思って、釘を刺そうとしただけよ」
『おまっ……なんちゅうことをいいだすんだよ!』
「先輩にも分かる言葉で言ってあげましょうか? 私を、お、オナニーのネタにするのは
 止めて頂戴。不快よ」
『え、ええー……黒猫さーん?』
「ええ、許さないわ。私というものがありながら妄想相手にだなんて断じて許可しないから」
 一度言葉を発してしまうと、なかなか止まらない。
「大方、今日私にした変態行為の数々を反芻しているところだったのでしょうけれど。
 お生憎さまね。あなたごときの貧相な想像力では私の『本体』の行動を予測することなどできはしない」
『へへっ』
「なによ。何を笑っているの」
『それってつまり、アレだろ? オナニーを我慢して、黒猫に直接いっぱいぶっ掛けて欲しいって
 ことだろ?』
「なっ……ぶ、ぶっか、ぶっかけって、なにを、」
 やっぱり、先輩は私の想像を超えた変態だった。
『いや、まさか彼女にして最初にヤキモチを焼いた相手が俺の妄想とはな。そういうとこ
 可愛いと思うぜ、黒猫』
「ち、ちがっ、そんなんじゃ」
『はいはい。……つってもなー。俺もお年頃なわけだし? 何日もオナニーできなかったらしんどいしなあ』
「何を言い出すのよ……」
『黒猫には自分で言ったことの責任を取ってもらわないとな、って話だよ』
「こ、今度は何をさせるつもりよ」
『黒猫、明日はヒマか?』
「え? ええ、空いているわよ」
『そか。だったらさ、お前の家行っていいか? 俺だって妄想じゃなくてお前に直に触れたいからな』
「は、はい……あ、でも妹達が」
『ああ、そうだったな。……なんだったら妹に仲睦まじい所を』
「やめて!」
 本当、想像以上の変態だわ。妹達の前で、だなんて……
「あ、あああ、あなたという人は天を貫かんばかりの変態ね。私を露出狂にでもしたいのかしら?」
『わ、わかった、俺が悪かった。……じゃあ妹さんたちに隠れて、こっそりしようぜ』
「本当にしょうがないエロガキね。ま、まあ? 私の魅力に屈服している証拠なのだから、特別に
 赦してあげるけど」
『そうそう、そういうこと。で、明日行っても良いのか?』
「……うん……お布団しいて、待ってるから」
『ゴクッ……そ、そうか。じゃあ……今日と同じくらい、昼ごろに行くから』
「……じゃあ、明日」

八月二十一日

「ああ、もう! もうすぐ先輩が来るっていうのに! あんたら、何処に隠れ、て……」
「高坂君、いらっしゃい!」
「おにぃちゃん、いらっしゃい!」
「おう、久しぶりだな、お前ら。元気にしてたか?」
 昨日の黒猫のお誘いどおり昼過ぎに来た俺を迎え入れてくれたのは、
いとしの彼女ではなく、その妹二人だった。
 当の黒猫は、サーチライトのような眼光で何かを探しながら奥の部屋からあわただしく
出てきたところだ。
「おう、黒猫。約束どおり来たぜ。相変わらず姉妹仲がよさそうだな」
「~~~~~!」
 顔を真っ赤にした黒猫が大股で俺に近づいて、手をとって歩き出した。
「やーいやーい、ルリ姉顔真っ赤!」
「わーいわーい、おねぇちゃんかおまっか!」
 下の妹のなんだかよく分かってないけどはしゃいだ様子が可愛かった。

「い、今のは忘れて頂戴」
 部屋に入った後、赤くなった顔を背けて……でも手は離さないで、黒猫が言った。
「さすがのお前も家族の前ではあのキャラは引っ込めるのな」
 と思ったら勢いよくこっちを振り向いた。
「だ、だから! 忘れてと」
「いーや忘れねえ。折角彼女になったのによ、妹相手には普通に接するのに
 俺は作ったキャラしか知らないなんて、それこそ嫌だね」
 結構前から、俺に対する黒猫の口調が変わってきていた。あの穏やかな感じ、
ああいう黒猫を、もっと知りたい。もっと見ていたい。
「う、その……それは。だって今更、恥ずかしくって……」
「何が恥ずかしいもんかよ。妹思いの優しいお姉ちゃんじゃねえか。
 それでも隠すって言うんなら、そうだな……」
「な、なによ……」
 ……適当に言っちまったが、どうする? 黒猫が適度に嫌がって、
素の表情を見せてくれそうなのがいいな。お、いい事思いついた。
「……俺が勝手に想像するぜ。萌えキャラお姉ちゃんの瑠璃ちゃん……いや、
 ルリルリを!」
「瑠璃だからってそのあだ名やめろ! ……ハッ!」
 ああ、そっちに触れてしまったか。正直あのアニメは、俺は見ていない。
だがスパロボとかに出ているし、そういう名前の人気キャラがいると言うことは知っている。
その程度のもんだ。
「へへっ、思ったとおり素を出したな。4月の頃、俺がマスケラ終了したって」
「終わってなど居ない!」
 おおう、ちょっとつっつきすぎたか。黒猫がフーフー言ってるぞ。……まさに猫って感じで
これはこれで可愛いけど、わざわざ会いに来て怒らせるのも嫌だし、フォローを入れないとな。
「悪い悪い。でもさ、こうやって素を出し合える関係になっていきたいんだよ」
「まったく……発言者が先輩じゃなかったら呪殺しているところよ」
「そこまで!?」
 こいつのマスケラ好きも相当なもんだな。呪い殺すほどかよ!
「当たり前でしょう。で、私の対応のことだけれど。……まあ部分的には、出来ると思うわ」
「ぶ、部分的?」
「そうよ。物心付いてからこっち、今まで私が『夜魔の女王』として接しなかったのは家族のみ。
 ……先輩は私に親扱いや妹扱いされたいの?」
 いや、マスケラ始まる前は『夜魔の女王』存在しねーだろ……って言っちゃだめなんだろうな。
で、家族以外にどう素になっていいか分からない、って事か。
 逆に俺が妹に……桐乃に接するように黒猫に接することも出来そうにないのは確かだ。
「いや、でもお前最近俺に対する口調がちょっと変わってきてただろ。ああいう感じでだな」
「それは……意識してやるのは恥ずかしいから……」
「そか。まあ、これから時間はあるんだし、だんだんと慣らしていこうぜ」
「うん……そうね」
 そうそう、これだよ。この柔らかい笑顔。黒猫を彼女にして本当に良かったと思わせてくれるぜ。
「じゃあいい雰囲気になった所で布団の上に行こうか」
「いい雰囲気を台無しにしたわよ!?」
 そう言いながらも、つないだ手は離さないし、俺が手を引いたまま布団のほうに歩き出したら
しっかり手を握り返して付いてきてくれる。
「きょ、今日は一体どんな変態行為に及ぶつもりなのかしら」
「おいおい、人をエロゲーの調教師みたいに言うなよ」
「度し難いエロゲ脳ね先輩は」
「おいおい褒めるなよ。じゃ、とりあえず脱ごうか」
 そう言って俺自ら脱ぎ始める。こういうのは自分も相手に合わせてやるのが基本だとエロ本にも
書いてあるからな。
「ちょ、ちょっと! 何をいきなり脱ぎ始めてるのよ」
 上とズボンまで脱いだ所で黒猫に呼び止められた。
「え? だって、そのために誘ったんだろ?」
「いや、それは……そうなのだけど。妹達もいるのに……」
「大丈夫だって。上の子は聡い感じがするし、俺たちがガチでヤってれば空気読んでくれるって。たぶん」
「でも、そんな……」
「じゃあ、ふすまから黒猫の姿が見えないように俺が抱っこしてやるからさ」
「先輩必死すぎる……」
 ああ必死だとも。彼女の家でエロエロできるチャンスに俺のハートはメルトダウン寸前だ。
「なあ……駄目かな?」
「本当に仕方のないエロガキね。……本当に、抱っこしてくれる?」
 気にするのそこかよ! 本当に可愛い奴だぜ。
「するする。絶対するから」
「じゃあ……少し、向こう向いてて」
「お、おう」
 こ、これは! まさにエロゲでよくあるシチュ!
 するする、と衣擦れの音がして、きぃ、と……これは多分、服をハンガーにかける音か?
うーん、やっぱあの衣装大事に着てるんだな。お行儀がいいぜ。
 その後もごそごそと脱衣の音がするのを聞きながら俺もボルテージを上げていった。
途中、「んっ」という吐息が聞こえたのはなんだったんだろう。すげー色っぽかったけど。
「も、もういいわよ」
 振り向くと、掛け布団で身体を隠した黒猫がこちらを見上げていた。
隠し切れずにちらちらと見える肩がエロい。
「ゴクッ……じゃ、じゃあ行くぞ……黒猫」
「は、はいっ」
 といってもどうしたものか。肉のカーテンならぬ掛け布団のカーテンをまとった黒猫は
ほぼ全身をガードしている。
「とりあえず俺も黒猫の入ってる布団に入りたいんだけど」
「ど、どうぞ」
 おずおずと左手を上げて、俺の入る場所を作ってくれる。
「あ、じゃあお邪魔します」
 そういってさりげなく俺もパンツを脱ぐ。既にスーパーサイヤな状態だ。
「…………!」
 黒猫は顔を伏せながらも目を見開いてガン見している。さすがに照れるんで、
そそくさと布団の中の黒猫の隣に座った。どうやら体育すわりしていたようで、
この期に及んでまだ乳は見えない。その代わりに滑らかな背中が丸見えだ。
 エロ本知識によれば、最初は肩を触るとかキスとかで緊張をほぐすらしい。
さもありなん。
「黒猫って肌綺麗だよなあ」
「あ、ありがとう」
 顔を赤くして布団に顔をうずめるようにうつむいている黒猫の背中を、つつっと
指で撫でる。
「ひゃんっ! ちょ、ちょっといきなり何を」
「だから肌が綺麗だなって」
 びくんと跳ねながらも、こっちを見つめてくるだけで布団を放そうとはしない。
これならもうちょっと大胆にいってもよさそうだな。
 今度は背中を通り越して、抱き寄せるよう腕を回して胸に触れた。
何気に初めて触れる黒猫のおっぱいは、しっとりと汗に濡れていて尻とも違う
柔らかい触感だ。
「やっ……ん……」
 震えるものの、嫌がったり抵抗したりはしない。これは燃えるな……
俺は身体を寄せて、横から黒猫を抱く格好になった。
 腕のリーチに余裕が出来て、黒猫のおっぱいを思う存分触れるようになる。
表面だけを撫で回すように優しく揉んでやると、直接見ずともはっきりと分かる
突起の感触がある。
 小さくて、その周りがすべすべしているソレは、明らかに……
「ち、乳首たってる……」
「い、言わないで……」
 テンパって思わず口にしてしまって、黒猫がさらに赤くなる。
 エロ本知識によればここはさらに敏感な部分だ。そっと触れないと痛いらしいな。
とりあえず、突起の周りのすべすべした部分をつつーっと撫でてみた。
「は、ん、くぅ、ん……」
 ぷるぷると身を震わせ布団で声を抑える様子は、俺のSな心をビンビン刺激してくれる。
「さ、黒猫。約束どおり入り口から見えないように抱っこしてやるからな」
 体育座りしたままの黒猫に身体を向けて胡坐をかいた俺は、膝の裏と背中に腕をまわして
ひょいと持ち上げた。そのままの向きと姿勢で、黒猫を膝の上に載せる。
 必然、俺のリボルケインが黒猫の脚の間に収まる形だ。
「こ、こここ股間に熱いものが当たっているのだけれど」
「そりゃそうだ……可愛い彼女のこんな姿見たら、こうなって当然だろ?」
 我ながら恥ずかしいこと言ってるな。とりあえず約束どおり、入り口に背を向ける。
布団もあるので、多分入り口から黒猫の姿は見えないはずだ。
「さて……」
 冷静を装ってはみたが、黒猫の太ももの温かさと……文字にするのもはばかられる、
ぬるりとして柔らかくもあたたかい、あれの感触でもう暴発寸前だ。
「黒猫。……胸、見せてくれよ」
「は、恥ずかしい……」
 とか言いつつも、おずおずと胸を覆っている手をどかせてくれる。俺も思わず生唾を飲んだぜ。
と言うか、制服や白のワンピース姿から想像していたよりもずっと『ある』。少なくとも
平らという感じはしなかった。
「さ、触るぞ……」
 返事は無い。胸の上辺りまで既に桜色に染まっていて、俺はなんとなくそこから触れた。
黒猫の熱いため息にこちらも息を呑みつつ、触れた手を下へおろしていく。
 小さくな膨らみの頂で自己主張しているピンク色のそれを食い入るように見ながら、
そっと指の腹で転がしてやる。背中の時よりもさらに激しく全身が震えた。特に脚が
強く反応したもんだから、はさまれている俺のリヴァイアサンも肉の大津波に飲み込まれる。
「く、黒猫、そのまま、両脚で強くはさんでみてくれ……」
「で、でも、そんなことしたら擦れて……あんっ!」
 きゅ、と二本の指であくまでも優しく乳首をはさんだ。
「ああ、まさに擦り合わせようってことだ。な、頼むよ、黒猫……」
「もう……予想の斜め上を行くんだから……」
 リクエストどおり、脚を軽く交差させるようにして俺の大海獣をホールドする黒猫。
「うお……すげえ、気持ちいい……」
 黒猫のそこは既に熱く潤んでいて……なんだか俺のものに絡み付いてきているような気さえする。
しかし、初体験の前に素股とは……ついに俺も、黒猫の、その……お、おま……
ああもう、考えるだけで緊張するぜ。とにかく一番大事な所に触れたのか。
尻に顔をうずめた時よりドキドキしてきやがった。
「黒猫、このまま寝かすぞ……」
 こすり付けるのには抱っこの体勢は少し疲れる。はさまれたままに俺は黒猫を押し倒し、
布団に寝かせる体勢にした。さらに黒猫を回転させ、横ではなく普通に仰向けにして
正面から向き合う。
 回転の時のぬるりとした刺激で射精しそうになったのは秘密だ。
黒猫の両脚を抱えるようにして、腰を動かす。
「あ、ああっんっ」
 先の部分が太ももに挟まれるときと飛び出す時に、くちゅ、と粘ついた音がして
一番強く擦れる。や、やばい……気持ちよすぎる。黒猫の声もどんどんエロくなって、
もう完璧にあえぎ声だった。
「ど、どうだ、黒猫。気持ちいいか?」
 次の瞬間に射精してしまいそうなのを紛らわすため、黒猫に話を振ってみる。
「あっ、ん、きもち、いいっ! そこ、こすれるのっ」
 こんな時だけ凄く素直な黒猫が可愛すぎて逆効果だった。
「そ、そっか。なら、もっと強く擦ってやるからな!」
「ああっ! せ、せんぱ、わたし、もっ、もうっ」
 さらに強く押し付けてやると、黒猫の形がなんとなく分かってくる。ぴっちりと閉じた
ぷにぷにの肉ヒダ、そしてここにも、硬く自己主張する突起がある。
その突起を突くように、俺のエクスカリバーを角度調整して、突く。
「く、あ……出すぞ、黒猫っ! ううっ!」
「あ、はあああああぁっ!」
 ああ、黒猫はイく時の声も綺麗だ……なんて莫迦なことを頭のどこかで思いながら……
 ちょうど突いた感覚が最後の引き金になったか、第一射は黒猫の一番敏感な部分にぶちまけた。
太ももにはさまれながらも跳ね上がったソレは、黒猫の腹といわず胸といわず、白い肌に
さらに白いシミを描いた。
 気持ちよすぎるぜ……やっぱ一人でやるのとは違う。刺激がどうのとかではなくて。
俺は虚脱感から口を開くことも出来ずに、ぼけーっと黒猫の顔を見つめていた。
黒猫はというと、うす笑いのような惚けているだけのような表情で、空ろな目をして
天井に視線を向けている。赤くなった頬がかわいらしいが、これが……これが、
「黒猫のイキ顔……え、エロい……!」 
 思わず声に出してつぶやいてしまったが、黒猫は反応しなかった。
射精して早々に最高のオカズを見つけてしまった俺のレヴィアタンはいきなり回復し、
完全に脱力している黒猫の胸にしゃぶりついた。
「ふぇ? ひゃ、ちょっと、先輩っ」
 さすがに気を取り直したか、黒猫が何か言っているが、かまわずに乳首を舌で舐り倒した。
「や……ぁ、せんぱ、い、そこは……ちく、ふ、ぅんんっ!」
 思ったけど、こいつは乳首弱いのかな? 普通に舐めてるだけで凄い反応する。
舐めてないほうの乳首も、指でつまんでもみくちゃにする。
「ふあ、ぁむぅぅぅぅぅっ」
 一際高い声を上げた、と思った瞬間、くぐもったものに変化する。黒猫がとっさに
両手で口をふさいだからだ。
 まあ、家に妹がいるんだし、当たり前だよな。しかし口をふさがれると、余計に
いやらしいことをしているって気分が出てきて、我慢できなくなってきたぜ。
「な、黒猫……今度は、俺のを……舐めてくれないか」
「そ、そんなの、恥ずかしくって無理……」
 そんな可愛く照れられたらますますやりたくなってくる。
俺は仰向けになったままの黒猫をそのままに、両膝を黒猫の腋の下あたりにつく
ように身体を持ってきた。つまり黒猫の眼前に俺のものがある格好だ。
「なあ、黒猫。頼むよ……」
 両手で口をふさいだままの姿勢で、顔を真っ赤にして俺のを目を見開いて凝視する黒猫。
なんだかたまらない征服感を感じて、じりじりと黒猫の顔に近づけてみる。
「う、うん。分かった……」
 おずおずと、といった感じで、黒猫が手をどけ、口を半開きにして、顔を近づけていく。
その光景だけで俺はもう限界に達しそうになった。
 ちろり、と舌先で撫でられただけで、腰がどうしようもなく震える。

「うおぉっ」
「ご、ごめんなさい、痛かったの?」
 あわてたように黒猫が聞いてくる。
「い、いや。すげー気持ちよくて驚いただけだ。もっとしてくれよ」
 照れたように目を伏せると、今度は先端にキスしてきた。
寝そべったままの姿勢で俺のグローランサーに舌を這わせる黒猫の図がたまらなく淫靡で……
今度デジタルビデオカメラを買おうと、俺はひそかに決意を固めていた。
「ちゅ……ふ、んぅ……れぇろっ……」
 舐め続けるうちにだんだんとうっとりしたような表情になってきて、舐め方にも熱が入ってきた。
何時の間にやら、さっきの射精で中にまだ残っていた分の精液も吸いだされているところだ。
「う゛、んむっ……ぢゅ、ちゅっ」
 苦そうに、しかし悩ましげに眉をひそめて頬をへこませ、ストローのように吸いだしていく。
だが……
「く、黒猫、それ、やばいっ……」
 今度は俺がひいひい言う番だった。あまりの気持ちよさに、目の前がちかちかする。
こらえようも無く、今まさにちゅーちゅー吸っている黒猫の口の中にぶちまける。
無意識的に黒猫の顔を固定して、俺は全部を黒猫の口内に射精していた。
 射精の衝撃から我に返った時、最初に見たものは……
「ん、く……こく、こくん……」
 心なしか陶酔したように目を細めて、しゃぶったまま口を離さずに精液を少しずつ
飲み下していく黒猫だった。さらに残った分まで搾り出そうというのか、促すように
ちろちろと舌先で鈴口をくすぐりながら、吸いだすのも忘れては居ない。
「くうっ、おおおっ……」
 参ったな。告白した時も見惚れたってのに。可愛すぎるぞ、黒猫。


 射精を終えて感じるこの『終わったあと』のきまずさも、黒猫とならむしろ心地よい沈黙だった。
ティッシュで黒猫の腹と胸に飛び散った精液をぬぐうと、黒猫と一緒に裸のまま布団で添い寝した。
「ふあぁ……」
 因みに黒猫は俺の腕枕で寝てる。腕枕なんてしたら腕痺れるだろ、と常々思っていたが、
こいつの頭が小さいからか、それとも載せ方が上手いのか……心地いいくらいの重みだった。
「ん……眠いの?」
「ああ。なんかこう、黒猫を腕の中に抱いてたら、気持ちよくってさ」
「……そうね。先輩の腕枕、あたたかくって気持ちいい……」
「このまま昼寝するか」
「うん……」

 そして俺たちは、このまま……上の妹が
「あーっ! ルリ姉と高坂君が素っ裸で抱き合って寝てるー!」
 といって乱入してくるまで、幸せな惰眠をむさぼるのだった。





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最終更新:2011年04月03日 11:42
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