22-581


日曜日の昼下がり――
インターホンが鳴って俺はソファーから立ち上がると、
大きく深呼吸をしてからゆっくりと玄関に向かった。
玄関の扉を開けると、そこに不安そうな顔をしたあやせがポツンと立っていた。
俺が言っておいたように、素直にあやせは制服姿で家にやって来た。

「……あの、お家の人は、お兄さんの他は誰もいないんですよね?」

「ああ、お袋は買物に出掛けちまったし、
 桐乃も日曜だってのに練習があるとか言って朝からいねぇよ」

あやせは、ジッと耳を澄ませて家の中の様子を窺っていた。
今日は朝から家ん中には俺しかいねぇんだから、無駄なことなのにな。

「――ほら、突っ立ってないで入れよ」

有名ブランドのロゴが描かれた小さな紙袋を手に提げて、
ようやく観念したのか、あやせはおずおずと玄関の中に入ってきた。

「ところであやせ、電話でも言っといたけど、
 きょうはちゃんと替えのパンツは持ってきたんだろうな」

「は、はい……持って来ました。この中に……」

どうやら、手に提げた紙袋がそれらしい。


俺が先に立って階段を上がると、あやせは少し遅れて階段を上がってくる。
無言の抵抗なのかもしれんが、今更そんなことをしたって無駄なことさ。

「なぁ、時間もあんまねぇことだし、俺に面倒をかけねぇでくれねえか」

「べ、別にそういうつもりはありません……」

片手でドアを開け、あやせに先に中へ入るように促す。

「あ、あの……」

「いいから、上着を脱いだらベッドの上に寝転がってくれ」

「そ、その前に、この前の約束だけは守ってくださいね。
 わたしがお兄さんの言うことを聞けば、桐乃には絶対に手を出さないって」

返事をする代わりに、俺は無言で頷いてやった。
あやせはそれで安心したのか手に持った紙袋を机の上に置き、
上着を椅子に掛けると、俺に言われた通りベッドの上で仰向けになった。
制服の超短いスカートから覗く、あやせの白い太ももが眩しい。

「しばらくの辛抱だから我慢してくれ、な」

「お兄さんが桐乃に手を出さないとさえ約束してくれるなら、
 わたしはどうなっても構いません」

女の友情ってのは、本当に美しいもんだよな。
あやせはこれから自分の身がどうなるか十分に知っているくせに、
この期に及んでも親友のことを心配してるんだからさ。

「じゃあそろそろ始めっから、先ずは全身の力を抜いてもらってだな……
 そうだな、少しだけ足を開いてもらおうか」


(完)




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最終更新:2011年11月12日 17:03
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