日曜日の昼下がり――
インターホンが鳴って俺はソファーから立ち上がると、
大きく深呼吸をしてからゆっくりと玄関に向かった。
玄関の扉を開けると、そこに不安そうな顔をしたあやせがポツンと立っていた。
俺が言っておいたように、素直にあやせは制服姿で家にやって来た。
「……あの、お家の人は、お兄さんの他は誰もいないんですよね?」
「ああ、お袋は買物に出掛けちまったし、
桐乃も日曜だってのに練習があるとか言って朝からいねぇよ」
あやせは、ジッと耳を澄ませて家の中の様子を窺っていた。
今日は朝から家ん中には俺しかいねぇんだから、無駄なことなのにな。
「――ほら、突っ立ってないで入れよ」
有名ブランドのロゴが描かれた小さな紙袋を手に提げて、
ようやく観念したのか、あやせはおずおずと玄関の中に入ってきた。
「ところであやせ、電話でも言っといたけど、
きょうはちゃんと替えのパンツは持ってきたんだろうな」
「は、はい……持って来ました。この中に……」
どうやら、手に提げた紙袋がそれらしい。
俺が先に立って階段を上がると、あやせは少し遅れて階段を上がってくる。
無言の抵抗なのかもしれんが、今更そんなことをしたって無駄なことさ。
「なぁ、時間もあんまねぇことだし、俺に面倒をかけねぇでくれねえか」
「べ、別にそういうつもりはありません……」
片手でドアを開け、あやせに先に中へ入るように促す。
「あ、あの……」
「いいから、上着を脱いだらベッドの上に寝転がってくれ」
「そ、その前に、この前の約束だけは守ってくださいね。
わたしがお兄さんの言うことを聞けば、桐乃には絶対に手を出さないって」
返事をする代わりに、俺は無言で頷いてやった。
あやせはそれで安心したのか手に持った紙袋を机の上に置き、
上着を椅子に掛けると、俺に言われた通りベッドの上で仰向けになった。
制服の超短いスカートから覗く、あやせの白い太ももが眩しい。
「しばらくの辛抱だから我慢してくれ、な」
「お兄さんが桐乃に手を出さないとさえ約束してくれるなら、
わたしはどうなっても構いません」
女の友情ってのは、本当に美しいもんだよな。
あやせはこれから自分の身がどうなるか十分に知っているくせに、
この期に及んでも親友のことを心配してるんだからさ。
「じゃあそろそろ始めっから、先ずは全身の力を抜いてもらってだな……
そうだな、少しだけ足を開いてもらおうか」
(完)
最終更新:2011年11月12日 17:03