逃げ場にならない一人暮らし

題名「逃げ場にならない一人暮らし」


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 アレは、まずかった。調子に乗っていたよ。昨夜は、桐乃が小生意気なことを言うので、
しっかり"懲らしめて"やったのはいいが疲れて、寝坊しちまった。

 母親が起こしに来た時、桐乃が俺の隣で寝ていたわけで。

 もちろん、パジャマを着せて寝かせたので最悪の誤解を避けられたものの、家族会議となり、
来年の大学受験を控える俺に不安を感じた両親が、模試でA判定取るまで近くのアパートに隔離
されることとなってしまった。

 まあ、このところの桐乃にちょっとウザさを感じていたり、少々落ちてきた成績に不安を感じて
いたので渡りに船というとこが、正直な気持ちだ。

 部屋の荷物を段ボールにまとめて親父が借りてきた軽トラックに積んで、アパートに運んだ。
 自分の部屋はたいした荷物が無いので小一時間ほどで引越しを終えてしまった。

 部屋はホコリっぽかったので軽く掃除をしてから、段ボールを開けて机や棚の位置を決めて、
元あったように復元していく。
 あらかた終わった頃、携帯が鳴ったのでディスプレイを見ると桐乃からだ。
「何だ? 引越しなら、終わったぞ」
「じゃあ、タイミングが良かったね。引越しそば持って行くよ」
「ああ、もう夕方だし、ちょうど良かったよ」

 散らかっていた物をまとめ、カラになった段ボールをまとめて押し入れに入れて
いる頃、玄関のチャイムが鳴ったので慌てて、ドアを開けに行った…が?
「おじゃまします」「お久しぶりです」「邪魔よ、どいて」「きょうちゃん」とか、
どたばたと大人数の女子がお越しですよ?

「あの、桐乃? これはどういう…。」
「せっかくだから、声かけてみたらさ、みんな来た」
「みなさんで、おそばや天ぷらを買ってきました」
「このエビ天は、大きくておいしいですよ」
「ネギも持ってきたわ」
「鍋や食器、箸ももってきたよ」

 俺が唖然としている間にそれぞれがエプロンを着用し、台所で桐乃が水の入った鍋を火にかけ、
ネギがあやせの異様に切れる包丁で薄く切られ、山盛りになっていき、絶妙のタイミングで麻奈美が
そばを上げ、ざるで水切りしていく。

 天ざるが人数分出来て、瑠璃がてきぱきとテーブルに並べて準備が整ったようだ。
 俺はテーブルに座っているだけしかなかったが、みんな台所に並んでいる。

「どのエプロン姿が一番好み?」
「はい?」

 あ、なんかみんなの視線がコワいですよ?

「みんな似合ってるけど、強いて言えば、桐乃の桜色がいいかな?」

 桐乃は当然という顔してやがる。

「相変わらずのシスコンっぷりですわ」
「きょうちゃん、あたしは?」
「別に問題ない。ま、まあ、せっかくのそばが伸びちまうぜ?」
 複数のため息を受けつつ、みんなでいただきます、だ。

 天ざるは、大変うまかった。食後のお茶は沙織が入れてくれた。
 桐乃がしょうが無いなーってかんじで話を切り出した。
「それで、話があるそうよ。あんたも大変ね」
「な、何の話だ?」

 …俺は、壁ドンされないようみんなを抑えるので手一杯だった。
 何だかみなさん、俺の一人暮らしの世話をしたいようですよ?
 それは大変ありがたいのですが、全員は不要です。

 俺が口を出すと話がまとまらないので女子のみで分担、当番?を決めてもらい、
今日は、みなさんに感謝しつつ、帰ってもらうことにしました。
 引越しやら先ほどの騒動ですっかり疲れたので風呂を沸かして入ることに。
 湯船に浸かっていると今日の疲れが溶けていくかのようだ。

 ぼーっとしているとカチャカチャとか妙な金属音がして、カチリと何かが回り、風がひゅっと抜けた。
 な、何だろう?とビビっているとぱさりぱさりと服を脱ぐような音がしたら、風呂のドアがガシャっと開いた。

「ひぃっ!」
「情けない声、出さないでください」
「あ、あやせ? 俺、戸締まりしたよね?」
「あの程度のシリンダーなんて…。」

 平然とシャワーを浴びているよ。どういうこと?!
「ちょっと詰めてください。よいしょっと」
 あやせは俺の前に割り込んできてざざーっと湯がこぼれた。
「今日、みんなで集まったのはお世話の件もありますけど、もっと大事な用件があったのです」
「うん」
「正直、腹立たしいことですが、みんなあなたに対して恋愛感情を持っているんですよ。
でも、あなたは誰にも本気で恋をしない」

 あやせは俺の手に指を絡めてくる。

「成り行きでセックスしてしまったが、恋愛になるとは思ってなかったんだ」

「麻奈美さんは違いますよね」
「ああ。そこまで知ってるのか。恋人だ!と言ったものの、むぅ」

「抱いたからと言って恋愛になるわけじゃ無いんですよ。あなたがしてくれたことや人柄や全てがあって
好きになって…わたしをあなたの心に住まわせて欲しくなったりするんです」

 あやせの真摯な思いに俺は、打たれていた。

「あなたのことが好きになって…でも、抱かれたら幻滅したりするかなって思ってしてみたら、
もっと好きになってしまったの」

「俺は、あやせにかなう男なのか?」
「ええ、今のところ。でも、この状況のあなたはダメです」

 ちょっと、目の前が暗くなってきた。

「そんな顔しないで…。今の、精一杯の思いの、わたしを抱いてください」

 熱く、柔らかなものが俺に抱きついている。これが今のあやせ。俺のことを全身で好意を表してくれる女の子。
 俺は、どうすべきか?

 いや、悩むことなんて無い。目の前のあやせのからだに聞いてみればいいさ。

 湯船からあやせを抱き上げ、俺は出た。シャワーを浴びて、バスタオルで体を拭いた。
 布団を引いて、あやせを寝かせて、明かりを常夜灯のみにした。
 赤っぽい薄暗い光の中のあやせの裸身に俺は覆い被さり、抱き合って肌と肌を合わせるとあやせのかぐわしい
体臭が漂い、熱意が伝わってくる。

「あやせ…」
「京介さん…」

 自然と唇が合い、甘くてたおやかな舌が絡み合い、熱い息を吸漏れる。
 耳元や首筋に唇を滑らせ、ふわっと立ち上るフェロモン臭に俺の心は動かされる。

 小さめのあやせの胸に耳を当て、熱い鼓動を感じ、柔らかな乳房に気持ちが癒やされる。
 手のひらでもそれを味わい、大事な物のように乳輪をつまみ、立ち上がった乳首をやさしく弄り、
舐めるとあやせは甘い吐息を漏らした。

 手のひらで確かめるように、このなめらかで柔らかなからだが俺を愛してくれるのか?と撫でていき、
思いつくままキスをしていくとあやせの身体から力が抜けていき、されるがままだ。

 そんな姿にムラムラしてあやせの可憐な唇に自分の陰茎を押しつけた。
 ちろりと舌が先を舐めただけで出してしまいそうだけど、やめられない。

 69の体勢になり、お互いの熱く昂ぶった性器を舐め合った。
 愛撫していくうちにあやせは喘ぐばかりで舐められなくなってきたので、俺は起き上がってコンドームの
箱を探して1枚取り、装着した。

 この前とは違って抱きたい、入れたいという思いであやせの膣に張り詰めたものを当てて、熱くぬめるそこに
ぐーっと挿入すると、たまらない感触で俺を受け止めて蠢いた。その熱い刺激が俺の陰茎を痺れるような快感を
与え、無我夢中にさせて、呻いてるあやせとさらに深く繋がって動いていく。

 声を堪えて喘ぐあやせに愛おしさを感じつつ、乳房をわしづかみにし、乳首をこねり、唇を貪りつつも、
あやせは身をよじりながら俺の腕から手を離さない。
 肌が溶け合うようなたまらない一体感で俺も喘ぐように腰を使い、健気な思いに応えようと必死に
なったが、やがてどうしようも無い高まりにぞくぞくしながら、耐えきれなくなった声を上げるあやせの奥で、
俺は何度も何度も弾けた。

「あやせの思い、熱かった」
「はぁはぁ…恋をすれば、相手にして欲しい、したいことって出ると思うんです。
わたしにそういう思いをぶつけてくれましたよね」
「ああ、恥ずかしながらな」
「それでいいんですよ、京介さん」
「あやせ…」

 名残のキスをして、部屋の明かりを明るくしてシャワーを浴びた。
 あやせは、ささっと服を着て、

「泊まるわけには行かないので」
「おやすみ、あやせ。俺もまじめに考えるよ」
「ふふふ。では、おやすみなさい」

 手を振ってあやせは、帰って行った。それにしても俺は、あと4人も思いを受け止め、選ばないと
いけないのかと思うと気が重かった…が、初日からだらけてはいけないので気持ちを切替えて、
寝る前に勉強は、ちゃんとした。

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つづく

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最終更新:2012年04月20日 20:11
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