1973.11.17:UK,Liverpool,Stadium

<セットリスト>

① Procession / Father To Son
② Son & Daughter (Inc. Improvisation without Vocal)
③ Ogre Battle
④ Hangman
⑤ Keep Yourself Alive
⑥ Liar (途中で録音終了)

<マテリアル情報>

1.録音:AUD録音
2.音質:(^^;) (ややぼやけ気味だが、なかなか迫力のある音)
3.収録:Liarの演奏開始から3分ほどで録音終了

<レビュー>

今回のレビュー対象となるのは、Mott The Hoopleの全英ツアーにサポート・アクトとして随行した際の、1973年11月17日Liverpoolにおける公演である。

この音源は近年になって流出したものだが、欧州で開催されたQueen Fan Club Convention参加者の一部でやりとりされたものが、ネットにアップされ一気に広まったという経緯がある。

まぁ、経緯はともかく、1973年という時期を考えればかなり良好な音質で、この時期のQueenのパフォーマンスを耳にすることが出来るのだから、録音者および流出者には感謝せねばなるまい。

音質に関しては、少々音像が遠めだが、低音域が豊かなアナログっぽい音であり、なかなか聴きやすい。

さて、演奏のレビューに移ろう。

まず、オープニングとしてProcessionが鳴っているのだが、この鳴っている最中に、なんとフレディの話し声が聞こえる。

どうも、オーディエンスと話しているようなのだが、そうするとすでにこの時にはステージに出ていたのだろう。

続いて、QueenⅡのSide-Whiteの展開と同様、Father To Sonの演奏が始まる。

9月13日の公演では大幅に違った歌詞はどうなったか気になるが、それよりもまずこの日は「A word in~(中略)~that I say」という最初のフレーズでヴォーカル落ち。

次の「I fought with~」からは問題なくハイトーンで歌っているので、PAのトラブルだろうか?

歌詞に関しては、「Joyful the sound~(中略)~, to son・・・」が「Kings will be~(中略)~, to son」と入れ替わっているものの、中間部まではスタジオVer.と同じ。

ただし、その後はまったく異なる歌詞で歌われており、この時点ではFather To Sonに関しては、まだ録音が完了していなかった可能性が高い。

続いて始まる②Son & Daughterは、Guitar Solo自体の時間はそれほど長くなく、中間部はヴォーカル抜きのインプロヴィゼーション・タイム(タンバリンのような音も聞こえるので、フレディもタンバリンで参加しているのでは?)と言った方が正しいかもしれない。

そのインプロヴィゼーション・タイム終了間際に、ギターの音がおかしくなっている。

なお、この日のReprise部分は先の9月13日公演と同じ。

曲の終了後、ブライアンがギターのチューニングを行っているのが聞こえ、試しにかき鳴らしてみたところ、フレディがそれをおもしろがって「テュワイ~~ン、ハハハ」などとお茶目なツッコミを入れる場面が。

③Ogre Battleは、すでにファルセットは使っていないが、9月13日公演よりもスピード・アップした楽器隊の演奏にもしっかりついて行っており、断然この日のテイクの方が出来は良い。

歌詞に関しては、「“Keep a look out”」というセリフ風の歌詞が、「“Yes”」とだけ歌われているくらいで、特に変えて歌っている箇所はなかった。

③Ogre Battleから間髪入れずに始まるのは、未発表曲である④Hangman。

スタジオ・テイクはおろか、ライヴ・テイクすら公式には発表されていないこの曲だが、音源としてはこの日のものが最古となる。

そのようなわけで、比較検討できるようなマテリアルが他のライヴ音源しかないので、歌詞云々といった分析は出来ないが、最後のコーダ付近ではOgre Battleの「You can come along~、you can come along~」というフレーズも出てくることから、作曲にフレディが関与している可能性は高いと思われる。

なお、この日はこの曲のギター・ソロでもチューニングが狂っている。

9月13日には演奏されなかった⑤Keep Yourself Aliveがこの日は登場。

ところが、冒頭の歌詞が「I was told a million~(中略)~all the troubles in my way. Mind you~(中略)~bread and butter for a smile」(以下、A)のはずが、「I was told a million~(中略)~all the people in my way. How I ~(中略)~, same as when I started」(以下、B)と歌われている。

実は、この歌詞の順は1971年に録音されたQueen初のDemo音源と同じ。

したがって、この時期は1971年Ver.で演奏していたのか?という疑問が生じる。

でも、1971年Ver.で演奏しているならば、Aで歌われている部分を聴くと、Bだったりする・・・

つまり、この日はBを2回歌っていることになるのだ。

まさか単なる間違い?

ただ、話はこれで終わらない。

この曲のサビの部分は「Keep yourself alive, keep yourself alive~」は共通で、その後はそれぞれ歌詞が違うのだが、この日の演奏では歌詞が本来であれば違う箇所もすべて「All you people keep yourself alive」で統一されている。

これは、実は1971年Ver.に近いアレンジなのだ。

実にややこしい・・・(もしかして、フレディが歌詞をうろ覚えなんじゃ・・・)

ちなみに、最後のコーダはカットされている。

この音源では最後に収録されている⑥Liarは、冒頭でまたもやギターのチューニングがおかしくなっている。

また、「Liar, oh, everybody deceives me~」というところを「Liar, oh, nobody believes me~」とフレディが歌い間違えている。録音は、「Liar, I have drunk・・・」で終了している。

~2011.04.24.改訂~
最終更新:2011年05月04日 17:27