1973.11.20:UK,Oxford,New Theatre

<セットリスト>

① Procession / Father To Son
② Son & Daughter(Inc. Improvisation Without Vocal)
③ Ogre Battle
④ Hangman (途中欠落あり)
⑤ Keep Yourself Alive
⑥ Liar
⑦ Jailhouse Rock(Inc. Shake Rattle & Roll, Stupid Cupid, Be Bop A Lula)
⑧ Bama Lama Bama Lou

<サウンドチェック詳細>

  • Guitar Improvisation
  • Ogre Battle
  • Procession
  • Father To Son
  • Son & Daughter
  • Bama Lama Bama Lou
  • Hangman
  • Keep Yourself Alive

<マテリアル情報>

1.録音:AUD音源
2.音質:(-_-;)(音が遠めで、細部がぼやけ気味。途中ノイズも発生)
3.収録:一部カットはあるがほぼ完全収録。また、サウンドチェック音源も収録

<レビュー>

今回のレビュー対象は、11月20日Oxford公演である。

このOxford公演は、Mott The Hoopleに帯同しての全英ツアー中8公演目にあたる。

現在、流通しているこの日の音源には当日のサウンドチェック音源とされている音源も併せて収録されている場合が多い。

そのサウンドチェック音源だが、上記のような楽曲のサウンドチェック風景を垣間見ることが出来る。

フレディは本番に向けて声を温存しておくためかあまり声を出してはいないので、どちらかというと楽器中心となっているのは仕方がないが、指示や意見をもっとも良く言っているのがフレディであり、最終的なサウンドの主導権を握っていたのがフレディであるのがよく分かるという意味では、Queenのライヴ史を語るうえで無視できないものだろう。

ライヴ本編の音質に関しては、音像が遠めで低音域の出力不足の軽めの音となっている。

また、② Son&Daughter終了後から④ Hangmanにかけて音が大きくなるとノイズが発生しており、少々聞きづらい。

また、④ Hangmanと⑤ Keep Yourself Aliveには欠落がある。

それでは、演奏のレビューに移ることにする。

Liverpool公演では、Father To SonにおいてPAの不調のためか、ヴォーカルがいきなり落ちてしまっていたが、このOxford公演では最初からしっかりフレディの声が聞こえる。

録音もどちらかといえば、フレディの声を中心とした音像なので、フレディがどのように歌っているのかは比較的聞き取りやすい。

この日はスタジオVer.のキーから下げている箇所もいくつかあるが、全体的には好調と言ってよい。

Liverpool公演同様、歌詞は、スタジオVer.とは全然違っており、2回目の「A word in your ear from father to son~」以降は完全に別の歌詞となっている。

また、スタジオVer.では「Won’t you hear us sing our~(中略)~Before you die~」という部分は、歌詞も定まっていないのか、別の歌詞で歌うと言うよりはアドリヴで歌詞を挟んでいるといった感じになっている。

間奏のギター・ソロは、ブライアンがとにかくギターを引き倒したいと思っているのが伝わってくるのだが、力みすぎたのか少々音程が変で不思議なメロディーになっている。

この曲が終わると、後年のフレディからは想像できないほど弱々しい声でボソボソとつぶやくようにMCをしている。

続いて演奏される② Son&Daughterでもブライアンは「Tried to be a teacher~」の前の間奏部分でアドリヴのフレーズをいろいろ挟んでいる。

そんなブライアンに触発されたのかフレディも負けじと、ラストの「I want you to be a woman~」では、「I want you ・・・・・・・・・to be a woman !!!」という感じで、かなり長いタメを作り、オーディエンスを盛り上げている。

また、Improvisation終了間際にはフレディが「One. two, three・・・」とカウントを入れており、このカウントを合図にSon&DaughterのRepriseが開始されている。

この曲の終了後から、ノイズが混入するようになっている。

そんなわけで、③ Ogre Battleは全編通してノイズが混入しており、少々聞きづらい。

先のLiverpool公演同様、フレディはもはやファルセットにこだわらず、時にはドスを効かせた声を使いながら、歌っていく。

「Keep look out」ではつまってしまい、歌い損ねてしまうが、「The ogre men are still~(中略)~gotta go south~」の部分でもバックの演奏に遅れをとることはない。

未発表曲である④ Hangmanは、激しい部分へ移行する直前でテープにカットが生じ、ハードな部分途中から録音が再開されているが、録音者はお気に召さなかったのか、すぐにまた録音がカットされている。

次に録音が再開されるのは、⑤ Keep Yourself Aliveからで、この曲も冒頭が一瞬欠落している。

ただし、ノイズは無くなっている。Liverpool公演では冒頭が「I was told a million~(中略)~all the people in my way. How I ~(中略)~, same as when I started」と歌われていたが、この日は「I was told a million~(中略)~all the troubles in my way. Mind you~(中略)~bread and butter for a smile」と歌われている。

となると、やはりLiverpool公演ではフレディが間違えたのかもしれない・・・

また、Liverpool公演でもそうだったが、サビの部分がすべて「Keep Yourself Alive, Keep yourself alive, All you people keep yourself alive~」となっていることに関しては、この日も同様であった。

気になったので、他の年代のライヴ音源で確認したところ、どの年代でもサビは全て「Keep Yourself Alive, Keep yourself alive, All you people keep yourself alive~」であった。

ただ、私自身の個人的な意見を言えば、このライヴ版のサビ、これはこれでまったくOKだと思うし、むしろスタジオVer.の歌詞を踏襲するよりも、このライヴ版の方が良いと思っている。

QueenのスタジオVer.に難癖を付けるのもどうかなと思うが、フレディが歌詞を変えているサビ部分、スタジオVer.でもちょっと綱渡りというか、なんとか成功という感じで歌っているように感じられる。

ライヴではスタジオVer.よりもテンポが速くなっているので(ちなみにBBC Ver.はテンポがスタジオとほぼ同じなのでスタジオVer.の歌詞をほぼ踏襲している)、スタジオVer.の歌詞を踏襲していたら、毎回ヨレヨレな演奏になったかも知れないし、勢いを止める結果になったかも知れない。

ただ、もしかしたらGood Old-Fashioned Lover Boyの「Set my alarm, turn on my charm~」という歌詞が「Bubba, bubba, bubabba~」と変えられて歌われているものの、ほんの数回だけ、ちゃんと「Set my alarm, turn on my charm~」と歌われている公演があったように、Keep Yourself AliveにもスタジオVer.の歌詞をきちんと踏襲した公演があったのかもしれない。

なお、「Take you all your time and money to keep me satisfied~」までしか歌われておらず、コーダはすべてカットされている。

⑥ Liarになると、またもやブライアンに異変が発生。

曲の至る所でギターの音程が不安定になっている。また、フレディにも疲れが見え始める。

たとえば、「Liar, oh, everybody deceives me~」と歌うところを「Liar, oh, nobody believes me~」と間違えて歌っているし、「Father, please forgive me~」以降では、声にヨレが目立ち、時折息切れを起こしたように、声が減衰している。

⑥ Liarに続いて間髪入れず始まる⑦のJailhouse Rockを核としたメドレーだが、この日はGolders Green Hippodromeで挿入されたStupid CupidとBe Bop A Lulaに加え、Shake Rattle&Rollも挿入されている。

この日もフレディがグイグイとバンドを牽引しているのだが、ブライアンがギター・ソロのまとめに入ったところで、フレディが早まってJailhouse Rockの歌詞を再び歌い出してしまったために、一瞬ちぐはぐな演奏となり、強引にJailhouse RockのRepriseに突入している。

この日最後に演奏された(と思われる)曲は、⑧ Bama lama Bama Loo。Golders Green Hippodrome公演では、冒頭にBig Spenderがくっついていたが、この日は単独での演奏。

この曲でも、フレディの声が途中で一瞬ヨレてしまうが、なんとか最後まで歌いきっている。

            ~2011.05.21.改訂~
最終更新:2011年05月21日 12:25