1974.03.31:UK,London,Rainbow Theatre

<セットリスト>

① Procession / Father To Son
② Ogre Battle
③ Son & Daughter (Inc. Guitar Solo)
④ Keep Yourself Alive
⑤ Seven Seas Of Rhye
⑥ Modern Times Rock’n’ Roll
⑦ Liar

<マテリアル情報>

1.録音:SBD音源(一部AUD音源)
2.音質:(^^)/(非常に音が良く、クリアで迫力のある音)
3.収録:上記以外の曲を演奏したかは不明

<レビュー>

今回のレビュー対象となるのは、3月31日にLondonのRainbow Theatreで行われた公演で、2011年時点では、QueenⅡリリースに伴う英国ヘッドライナーツアーの様子を捉えた唯一の音源である。

この音源は、LP時代にSHEETKEECKERSなるタイトルでリリースされて以来、様々なタイトルでリリースされ続けてきた。

しかしながら、それらの多くはSHEETKEECKERSをコピーしたもので、音質面で劣化しているケースも多々見られたという。

CD時代になると、より簡単にブートレグの製造が可能になったせいか、状態のよいLPからの復刻を謳ったアイテムもリリースされるようになった。

ちなみに、私が最初にこの音源を聞いたのは、MASTER OF SHEETKEECKERSなるタイトルのCDで、このCDはピッチが遅いままであった。

ところが、近年になって、そうした粗製濫造状態に変化が生じた。

まず、ネットにおいて状態のよい初出LPからダイレクトに録音した音源が登場(ちなみに、この音源を基にしたと思しきブートレグもリリースされている)。

その音源を聞けば、「なるほど、確かに音がいい」と思える音質で、そのときは私も素直に喜んでいたのだが・・・

更なるショックが襲ったのは、LP化される前の、マルチトラック録音によるマスターテープから音を落としたと言われる音源(Pre-LP Vr.)がネットで流出したときだった。

これが、本当に音質がよかったのだ。

なおかつ、この音源の出現によりこの音源の大半はSBD録音ではあるものの、一部がAUD音源で補完されていることも明らかになった。

この事実は、音源をアップした当人がInfoで述べているのだが、Infoを読まなくとも、SBD録音部分の音質がよいため、聞いていても今まではあまりわからなかったSBDとAUDの境目がはっきりわかってしまう。

したがって、昔のアナログ・ブートへの愛着などがある方以外は、現時点ではPre-LP Ver.を入手するのがよいと思う。

しかしながら、問題点もある。

そう、音質は向上したのだが、LP時代から流出している上記曲目以外は、今になっても一切流出していないのである。

この音源はおよそ38分程度の収録だが、先の1973年のMOTT THE HOOPLEの前座でのツアーでも45分ほど演奏しており、このツアーではヘッドライナーで公演を行っていることから考えるとこの演奏時間は短すぎる。

したがって、ここに収録されている以外の曲が演奏されている可能性は高いのだが・・・

残念ながら、現時点では推測することも困難である。

というのも、この1974年3月31日のRainbow Theatre公演は、同月1日より始まった初のヘッドライナーによる英国ツアーのセミファイナルにあたるのだが、このツアーを収録した音源は、今回取り上げているものしかないのである。

文献によっては、White Queenなどもすでに演奏していたと記述しているものもあるのだが、残念ながらそのことを立証するような資料はない。

昔から有名な音源である割に、いまだにその全貌が分からないという、私のようにQUEENのライヴ音源を蒐集しているような人間からすると、なんとも歯がゆい存在なのである

肝心の演奏の方だが、1973年のパフォーマンスと比べ、Father To Sonから非常に自信に満ちあふれている。

②でも、フレディは高音域と低音域を自由自在に駆使し、曲の内容通りの悪魔的なパフォーマンスを聴かせてくれる。

ほとんどMCらしきMCを挟まず、次の③へ演奏は移るが、この曲でもバンドの勢いは少しも衰えていない。

特に中間部のインストルメンタル部分から曲終盤までは圧倒的で、私などこの曲は苦手な曲なのだが、それでも引きこまれてしまったほどである。

④も完璧な演奏だが、さらにすごいのがライヴ・テイクとしては最古のものとなる⑤である。

この曲は、最終的に1976年の武道館公演まではフル演奏(ただし、本格的にセットリスト入りしていた時期は、1974年秋~1975年冬まで)されているが、私が聞いた限り、この日のパフォーマンスを超えるものはないといっていい

フレディのヴォーカルはどちらかといえば、中低音域中心に出しているが、それゆえにドスの効いたヴォーカルで迫力が素晴らしい。

ちなみに、録音や映像で確認できる限り、この曲ではQUEENのライヴ史上初めてピアノの演奏が聞ける。

⑥もライヴ・テイクとしては最古となるが、ヴォーカルはフレディが担当。

後年と比べると、テンポは若干ゆるめではあるが、逆にそれが重厚な印象を与える。

一応、収録されている中では最後の演奏となる⑦はさすがに演奏され慣れており、アドリヴ部分も1973年のパフォーマンスと比べ、かなり長めである。

とにかく、昔から有名だからと侮るなかれ、本当に素晴らしいパフォーマンスである。
最終更新:2011年04月16日 19:08