1975.05.01:日本,東京,日本武道館

<セットリスト>

① Procession / Now I’m Here
② Ogre Battle
③ Great King Rat
④ White Queen (As It Begin)
⑤ Flick Of The Wrist / Brighton Rock (Ending)
⑥ Hangman
⑦ Doing All Right
⑧ Medley
  ;In The Lap Of The Gods
  ;Killer Queen
  ;The March Of The Black Queen
  ;Bring Back That Leroy Brown
⑨ Son & Daughter (Inc. Guitar Solo、てるてる坊主)
⑩ Keep Yourself Alive
⑪ Seven Seas Of Rhye
⑫ Stone Cold Crazy
⑬ Liar
⑭ In The Lap Of The Gods . . . Revisited
⑮ Big Spender
  ;Modern Times Rock’n’Roll
  ;Jailhouse Rock (Inc. Shake Rattle & Roll, Stupid Cupid, Be Bop A Lula, Bye Bye Johnny, Johnny B Good)
⑯ See What A Fool I’ve Been
⑰ God Save The Queen

<マテリアル情報>

1.音源:AUD録音
2.音質:(^^)/(非常にクリアであり、かつ迫力もある臨場感たっぷりな音質)
3.収録:完全収録

<レビュー>

いよいよ、初来日最終公演である。

4月22日の名古屋公演以来、日本各地で公演を行ってきたQUEENは再び、東京に戻ってきた。

この最終公演を収録した音源は、以前から何種類も流通してきた。

それだけ、会場にテープレコーダーを持ちこんだ人が多かったということであろうし、それだけ注目されていたということなのであろう。

具体的には、「Kimono My Place Live」、「FIRST LIVE ATTACK」、「Killing Me Softly」などのタイトルでブートレグがリリースされてきた。

しかしながら、近年になって、LED ZEPPELINなどのブートレグで有名なTARANTURAレーベルより「Young Nobles Of Rock」なるタイトルのブートレグがリリースされ、この日の決定版となった。

非常にクリアな音でありながら、低音域の迫力もすばらしく、臨場感たっぷりである

演奏に関しても、フレディは①や②で、無理をして高音域のキーを出しておらず、若干声に伸びがないが、それでも妙な歌い崩しなどはなく、この日が連続公演4日目とは思えないほど、安定してすばらしいパフォーマンスを披露している。

また、①の終了後、「コンバンハコンバンハ~イカガデスカ」、「ワタシタチハ、トーキョーニマタキテ、トテモシアワセデス」などと日本語のMCも飛び出している。

②では、ブライアンも即興的なフレーズを少し挟みつつ、激しくギターを弾きまくっている。

そして、それをささえるロジャーとジョンのリズム隊も絶好調で、音質の良さも相まって、躍動感あふれるすばらしいパフォーマンスに圧倒される。

②に続いて、前日横浜公演でも演奏された③が登場。

曲想が曲想だけに、このように迫力のある音質で聴くと、すばらしい。とはいえ、フレディのヴォーカルは、さすがに前日と比べると、ほんの少し苦しそうに歌っているように思える。

④の前で「カンパイ」MCも登場。

そして、この日はなんと⑤の後に⑥が演奏された。

この曲は、今に至るまでスタジオVer.が発表されていない、ライヴ限定の曲なのだが、フレディがMCでも触れているように、この日は日本最終公演であると同時に、SHEER HEART ATTACKリリースに伴うワールドツアーの最終公演でもあるわけで、最終公演ならではのサービス曲ということだったのだろう。

私自身は、正直あまり好きな曲ではないが、さすがにこの音質だと、聴き入ってしまう

会場も未知の曲に戸惑いつつも、一度ブレイクが入ってから突如盛り上がる場面や曲終了後に歓声が起きており、けっこう盛り上がっている。

続いて演奏されるのは⑦。

この曲は、よく知っている曲だけに、ピアノのイントロをフレディが奏でた瞬間、歓声が起きている。

また、曲の途中、ヴォーカルの入らない部分で歓声が起きているのだが、何らかのパフォーマンスがあったのかもしれない。

⑧では、Killer Queenが始まった瞬間、会場のあちこちで歓声が発生。ロジャーの刻むリズムに合わせて、自然に手拍子が。

ちなみに、このころは、まだParisをTokyoなどと言い換えるパフォーマンスはない。

⑨のGuitar Soloでは、「てるてる坊主」を披露。

この日は、メロディーがはっきり「てるてる坊主」になっている。

そして、ライヴは怒濤のハードロックナンバー連続演奏へ。

この日の⑩や⑪は、静岡や横浜のように飛び抜けてすごい演奏とはいえないが、これだけ聴けば大満足の演奏といえる。

この日の⑫は音質が良いこともあって、会場に前のバースのエコーが消え去らないうちに、次々とフレディが歌うので、次のバースと前のバースが重なってしまっていることが分かる仰天もののテイク

如何にフレディのヴォーカルが超高速であるかが分かるというもの。

⑬は、ギターソロ部分でブライアンが弾き損じそうになるもののなんとか持ちこたえている。

この曲のコール&レスポンス部分では、最終公演ゆえのサービスか普段よりも長々とオーディエンスとフレディが、「Oh! Yeah!」「Ooh~、Yeah!」、「Come on, Come on」などとやりとりをしている。

そして、ライヴは⑭へ。

前日同様、時折声が掠れる場面もあるフレディだが、このコンサートを締めるのに相応しい曲を、感動的に歌い上げていく。

そんなフレディをコーラスでサポートするブライアンとロジャー。

この音源では二人の声も聞き分けることができる。

本当に感動的な瞬間である。

爆発音と共にフレディのMCが入り、いったんステージを降りたQUEENに対し、鳴りやまぬ拍手。

会場中大混乱状態なのか、沈静化しようとする係員のアナウンスらしきものが何度も聞こえる

そんな大興奮状態のオーディエンスの前に再びQUEENは姿を現し、ロジャーのかけ声で、⑮の演奏を開始。

すさまじいのは、Modern Times Rock’n’Roll。

スタジオVer.を超えるような高いキーこそ出ないものの(まぁ、そもそもこの曲のスタジオVer.ではロジャーがヴォーカルを担当しているが)、圧倒的なスピードで駆け抜ける。

そして、間髪入れず、Jailhouse Rockへ。

この日のこの曲には、実にいろいろな曲が挿入されており、最終日ならでは、といったところか。

しかも、非常に珍しいことに1曲ごとに、少し間を置いて区切って歌っている。

また、一瞬だけだが、Johnny B Goodのフレーズも飛び出している。

それにしても、ずっと演奏し続けてきた曲とはいえ、よくもこれだけ次から次に即興的に演奏できるものだ。

ここまででもう大満足なのだが(オーディエンスの中にも、「可能性あるみたい、アンコール」などとつぶやいている人もいる)、もう一度QUEENはステージに登場。

会場中、大喝采である。

フレディのご機嫌なMCから始まったのは、⑯。

ここまで、長時間歌い続けてきたのに、フレディの調子は絶好調のようで、惜しみなくハイトーンを披露。

ブライアンも途中のギターソロで、熱狂的に弾きまくっている。

曲が終わると、「サヨナラ」とフレディからの別れの挨拶が入り、⑰が厳かに会場に響き渡る。

この音源では⑰が鳴り終わってからも、10秒ちょっとくらい録音が続いており、会場で歓声が沸き上がっているのが聞き取れる。

こうして、QUEENの初来日公演は幕を下ろした。

この日本公演終了後、QUEENは4枚目のアルバム制作体制に入る。

そのアルバムこそ、名盤の誉れ高い、A Night At The Operaである。
最終更新:2011年04月22日 19:21