1976.03.26:日本,福岡,九電記念体育館(夜公演)
<セットリスト>
① Introduction / Bohemian Rhapsody (Opera Part) / Ogre Battle
② Sweet Lady
③ White Queen (As It Begin)
④ Flick Of The Wrist / Brighton Rock (Ending)
⑤ Medley
;Bohemian Rhapsody
;Killer Queen
;The March Of The Black Queen
;Bohemian Rhapsody(Finale)
;Bring Back That Leroy Brown
⑥ Brighton Rock / Guitar Solo / Son & Daughter (Ending)
⑦ The Prophet’s Song / Stone Cold Crazy
⑧ Doing All Right
⑨ Lazing On A Sunday Afternoon
⑩ Keep Yourself Alive
⑪ Liar
⑫ In The Lap Of The Gods . . . Revisited
⑬ Now I’m Here
⑭ Big Spender / Jailhouse Rock (Inc. Stupid Cupid, Be Bop A Lula)
⑮ God Save The Queen
<マテリアル情報>
1.音源:AUD録音
2.音質:(^^)/ (まるで自分が会場にいるかのような臨場感溢れる音)
3.収録:完全収録
<レビュー>
今回のレビュー対象は、日本公演では初の試みとなる1日2回公演が行われた福岡公演、その夜公演の方である
この福岡公演に関しては、以前からセットリストを完全収録していない音源が流通していたが、昼のものなのか夜のものなのかはっきりと断定されていなかった。
②の前に、「Good Evening!」とフレディが言っていることから夜公演のものと思われるのだが、ライヴ音源トレーダーのHPでは、昼公演としているところも少なくなかった。
ところが、2010年になって突然、TARANTURAレーベルより完全収録の超優良音質の音源が登場
音源提供者による証言があったためか、堂々と夜公演であるとアナウンスされリリースされた。
実際、以前に流通していた音源とTARANTURA盤を聞き比べたところ、同一の公演を収録したものであることが分かった。
したがって、Night At The Opera日本ツアーでは、3月22日の日本武道館公演と3月26日福岡の昼公演がライヴ音源が流出していないことになる。
長年の疑問に終止符を打ったTARANTURA盤だが、3月24日の姫路公演に勝るとも劣らない臨場感に溢れた音質で、眼を閉じてイヤフォンをして聴いていると、まるで自分が会場内にいるかのような感覚にとらわれる
さて、演奏の方だがせっかくの超優良音質音源であるにもかかわらず、この日はライヴ冒頭のBohemian Rhapsodyからフレディの調子が良くない。
歌い廻しやキーがオリジナルとはかなり変わっている。
また、①のOgre Battleや②にしても、中低音域の声こそ出ているものの声に張りがなく、なんとも頼りない。
一応、②の前の「コンバンハ!コンバンハ!イカガデスカ!?」とか③の前の「ワタシタチハ、フクオカニマタキテ、トテモシアワセデス!!」といった日本語MCが登場し、ファンサービスをしてライヴを盛り上げようとしている姿勢は伝わるのだが・・・
③では、所々声が掠れている
④もフレディを除く3人がハードな演奏を披露しているのだが、フレディの喉が付いていかない・・・
⑤のMedleyでは、とうとう喉に限界が来たのか、これまでに聴いたことのない様なBohemian Rhapsodyが・・・
声は掠れているし、歌い廻しやキーが変わりすぎ・・・
よくこれで公演中止にならなかったもんである・・・
Killer Queen、The March Of The Black Queenではなんとか踏ん張っているが、最後のBohemian Rhapsodyは綱渡り状態といっても良いような危なっかしい出来・・
ちなみに、超優良音質ゆえこの日はKiller Queenにおけるジョンのトライアングルの音がハッキリ聞こえる。
この日の⑥は、Guitar Soloに姫路公演のように“さくらさくら”っぽいメロディーが登場することもないが、ディレイ・マシーンを使って重厚なギター・オーケストレーションを聞かせたかと思うと、一転してすさまじい速さでギターを弾きまくったりと絶好調である。
⑦の一人多重アカペラには、この日は特にスペシャル・ソング登場せず、淡々と進行。
お遊びをやるような余裕もないということか・・・
⑧も何とか声をかすれさせながら歌いきる。
息抜きナンバー(?)の⑨でもフレディは苦しそう・・・
そんなフレディにつられたのか、ブライアンもギター・ソロでミス
⑩、⑪とハードなナンバーが続くが、声が出ないのにもかかわらずフレディはオーディエンスを盛んに煽っており、オーディエンスもそれに応えるかのように会場から手拍子や黄色い歓声が起きている。
ブライアンのMCから始まる⑫は前日とは違う、即興的なメロディだがピアノの長いイントロ付き。
ところが、事件発生
とうとう、曲の途中でフレディのヴォーカルが一時的に落ちてしまう。
この曲でのフレディは本当に苦しそうである
本来ならセットから外されてもおかしくなかったと思うが、残る力の全てを振り絞るようにして歌うフレディ・・・
アンコールの⑬は、ヴォーカル・ディレイがかからないVer.。
もちろん、数分の休憩でフレディの声の調子が戻るわけはなく、とても苦しそう。
⑭はキーは不自然に下がる部分はあるものの、疾走という表現がピッタリくるくらい圧倒的なスピードで駆け抜ける。
声の調子が良くないのに、途中でオーディエンスとのコール&レスポンスもやるあたり、本当にサービス精神旺盛である。
ちなみに、この日のJailhouse Rockは特定の楽曲が挿入されることはなく、あくまでJailhouse Rockのアレンジによる即興演奏が繰り広げられている。
と、書き出すと、フレディの不調ぶりを指摘する内容ばかりとなってしまったが、私自身の意見としては、Rock関連の雑誌や本でQueen側の奢りが見られ云々といった評価はいかがなものかと思う。
この2回目の来日公演は3月13日の北米ツアー最終公演終了から1週間後の3月20日に来日、22日に1回目の公演というかなりの強行スケジュール。
当然、北米ツアーの疲れもあったろうし、私自身はそれに加えて時差ボケの影響もあったのでは?と考えている。
私自身は時差ボケをするほど遠くに旅行をしたことはないが、それに近い状態を日常的に経験している。
実は私、職業柄月に5回くらい夜勤をやっているが、夜勤明けの状態というのは、時差ボケの状態に非常に近いらしい。
で、ここからが本題。私の実家は寺院である。
僧侶というのも、歌手ではないが、喉をよく使う。
以前、夜勤明けで昼(PM14:00)と夜(PM19:00)の2回、各1時間程度の法要に出たことがあるのだが・・・
これが、声が出なかった
普通にしゃべっている時は声が出ているし、体だってちょっと電車の中で寝てきたおかげで普通に動くのだが、いざ腹に力を入れ、読経を始めると、声が掠れ、高音域の音は出ない、息が続かない・・・
特にひどかったのが、高音域の音のうえ、節回しがあるところ・・・
もはや壊滅といっていいような声だった・・・
自分でも「こんなはずはない」と思うのだが、本当に出ないのである。
そう、ちょうどこの2回目の来日公演前半のフレディの不調ぶりとよく似たような感じだった。
ちなみに、私は次の日朝から声がガラガラだった・・・
それ以来、夜勤明けで読経はやるまいと誓ったくらいだ。
まぁ、こういうのは個人の体質なども影響するのだろうが、
ハードスケジュールによる疲れ→時差ボケ→ハードスケジュールを敢行
という悪循環がフレディの喉にダメージを与えたのではないか?
最終更新:2011年04月16日 18:08