1976.04.02 日本, 仙台, 宮城県スポーツセンター
<セットリスト>
① Introduction / Bohemian Rhapsody (Opera Part) / Ogre Battle
② Sweet Lady
③ White Queen (As It Begin)
④ Flick Of The Wrist / Brighton Rock (Ending)
⑤ Medley
;Bohemian Rhapsody(Ballad Part)
; Killer Queen
;The March Of The Black Queen
;Bohemian Rhapsody(Finale)
;Bring Back That Leroy Brown
⑥ Brighton Rock / Guitar Solo (Inc. さくら さくら) / Son & Daughter (Ending)
⑦ The Prophet’s Song / Stone Cold Crazy
⑧ Father To Son
⑨ Doing All Right
⑩ Lazing On A Sunday Afternoon
⑪ Keep Yourself Alive
⑫ Liar
⑬ In The Lap Of The Gods . . . Revisited
⑭ Now I’m Here
⑮ Big Spender / Jailhouse Rock (Inc. Shake Rattle & Roll, Stupid Cupid, Be Bop A Lula)
⑯ See What A Fool I’ve Been
⑰ God Save The Queen
<マテリアル情報>
1.音源:AUD録音
2.音質:(^^;)(少々線が細く、時折チリチリノイズが混入するが、なかなか聴きやすい音)
3.収録: 完全収録
<レビュー>
今回のレビュー対象は、4月2日仙台公演である。
Queenの来日公演は1975、1976、1979、1981、1982、1985と計6回あったが、東北地方での公演はこの仙台公演が唯一のものである。
そう言う意味では貴重な音源であるし、私にとっても少々思い入れのある音源である。
私は、関西在住だが母親の実家が山形県にあるため、東北地方(特に山形・宮城あたり)には赤ん坊の頃から毎年必ず行くので、東北地方は第二の故郷のような場所である。
幼い頃から仙台の街にも良く出かけているので、仙台という街には思い入れがある。
東日本大震災では、母方の祖母や親戚にも被災した人も多いし、仙台の松島あたりも小さい頃遊びに行ったことがある。
それだけに、震災後ブライアンによる仙台での思い出を交えたメッセージには目頭が熱くなるものがあった・・・
さて、レビューに移ろう。
この公演を収録した音源は以前より流通していたが、Brighton RockやNow I‘m Hereに欠落があるものだった。
ところが、近年になって、演奏した曲に関しては完全収録した音源が登場、公演の全貌が聴けることになった。
音質的には、少々線が細く、多少チリチリノイズが目立つ箇所があることや⑨冒頭に音揺れが発生することなどのハンディもあるが、なかなか聴きやすい音質である。
先の東京2公演で完全復調したフレディはこの日も好調で、①のOgre Battleでもハイトーンやドスを効かせたヴォーカルを駆使して、すばらしいパフォーマンスを披露している
そして、久々に「コンバンハコンバンハイカガデスカ」というMCも登場。
続いて演奏される②もスタジオVer.のキーを再現するため、ハイトーンを駆使したすばらしい出来になっている。
③の前には、「ワタシタチハ、センダイニキテ、トテモシアワセデス」というMCも。
③の静かな部分では、会場から「クイ~ン」、「キャ~」といった他の公演と同様の反応が会場から起きており、日本全国どの地域でもアイドル的な扱いを受けていたのだな、と思ってしまう。
私の母親はこのころすでに東京で出版関係の仕事をしていたそうで、このQueen仙台公演のことは知らなかったそうだが、「う~ん、私らより少し下の世代の女の子らがキャー、キャー騒いでたような記憶はある」とのこと(私の両親は、ゴジラの公開された年生まれ)。
Bohemian Rhapsodyもなんだか変な曲・・・と感じたらしい
ちなみに、母親(および父親)がQueenのことをこれはと思ったのは、Flash’s Themeを聴いた時だったらしい。
なんて変ちくりんで面白い曲を歌うバンドなんやろうと感じたのだとか・・・(それゆえうちの両親は、Queen=イギリスのコミック・バンド的存在と認識していたらしい)。
⑤のBohemian Rhapsodyは東京公演同様、オリジナルのキーをなるべく遵守しようとフレディががんばっている。
Killer Queenではオーディエンスが曲のリズムに合わせて手拍子を打っている様子が音源から聞き取れる。
また、この日もジョンのトライアングルがチ~ンとなると歓声が起きている。
⑥のBrighton Rockは序盤から勢いに溢れた好演。
Guitar Soloにはもはや定番となった“さくら さくら”が登場。会場からも歓声が起きている。
Guitar Solo後のSon&Daughterでもフレディが高いキーを出していて、好調さがうかがえる。
「ツギハ、アタラシイキョク、プロフェット・ソングヲ、A Night At The Operaカラウタイマス。ドウゾ、オキキクダサイ」という日本語による長いMCを挟んで、Night At The Opera Tourの目玉、⑦の演奏へ。
この日の一人多重アカペラでは、始まってすぐ会場から「いいぞ~」という声があがり、一瞬ストップ。
それで会場内のオーディエンスが緊張から解放されたのか、他の公演日ではこの一人多重アカペラ・パートでは普通あまり歓声が起きないのだが、この日は歓声が至るところであがっている。
もっとも、そういった歓声にフレディも気をよくしたのか、この日の一人多重アカペラは余計な力が抜けた非常に美しい出来になっているように思われる。
Stone Cold Crazyは一転して、非常にワイルドで荒々しい演奏で、静と動の対比が鮮やかである。
そして、この日も⑧を演奏。前日同様、冒頭イントロはフレディによるピアノとなっている。
パフォーマンスに関しても、フレディがハイトーンを駆使して歌い上げており、前日と甲乙付けがたい。
この日は、この曲終了後に「カンパイ」MCが入っている。
ここまですばらしいパフォーマンスを続けてきたフレディだが、⑨はもともと高いキーが多いだけに、冒頭で若干声に掠れやキーが下がる部分も。
ただ、ロジャーも普段よりも大きめにコーラスを入れたりして、フレディを好サポートしているし、ブライアンも激しくギターをかき鳴らし、注意を自分に引きつけている間にフレディも復調。
この辺りのチームワークはすばらしい。
息抜きソング、⑩の冒頭、もはやお約束のとなってしまったピアノのミスはあるものの、あまりキーも変えずに歌っていて、非常に良い。
間髪入れず始まる⑪は、フレディが会場を煽ったため、オーディエンス総立ちになったのか、手拍子が至るところから聞こえてきて、音が少々曇りがちになっている。
また、中間のドラム・ソロでは会場から「ロジャ~」の歓声が起きている。
⑪になると会場の混乱もすごいのか、録音にも雑音が混入している。
前日も「All day long~」のところで自然にコール&レスポンスが起きていたが、この日も同様。
とにかくもう大盛り上がりである。
メイン・セットの締め、⑬では冒頭のピアノ・イントロから「フレディ~」、「ブライア~ン」といった歓声が起きている。
そんな雰囲気に後押しされたのかフレディも気合いが入っていて、サビではハイトーンを披露。
もしかすると、この日本公演では最高のテイクかもしれない。
会場の盛り上がりは、一度Queenがステージを降りても下がることはなく、⑭の前のアンコール・ブレイクでの騒ぎはすさまじい。
しかも、男性陣と女性陣が交互にアンコールをしている場面も聴かれる。
これだけ盛り上がっているので、⑭が始まると当然ながら会場からは大歓声が。
演奏も充実していて、フレディもあまりキーを変えずに歌っている。
心なしか、終了直前のロジャーのドラム乱れ打ちもいつもより長い気がする。
で、この曲が終わるとまたもや男性陣と女性陣が交互にアンコールをしている。
このあたりの一致団結ぶりはすごい。
⑮のJailhouse Rockは、Shake Rattle & Roll、Stupid CupidとBe Bop A Lulaを挟んだ構成となっている。
このJailhouse Rock Medleyは、フレディの声が弾むようで、こちらも聴いていて自然に体が動いてしまうようなグルーヴ感に溢れた演奏になっている。
コール&レスポンスでも会場のノリは非常によい。
また、この日のShake Rattle & Rollはコール&レスポンスの直後に、Jailhouse Rockの歌詞とごちゃ混ぜで歌われるというレアな展開になっている。
最後まで大盛り上がりのライヴも⑯が荘重に鳴り響き終了するが、鳴り終わった後にすさまじい歓声があがっており、いかにQueenが仙台の街で歓迎されたか分かる。
これで、Night At The Opera Japan Tourのレビューも残すところ、日大講堂公演のみ。
最終更新:2011年04月22日 17:50