ロール

このページではロールについて説明します。なりきり用語でのロールとは「ロールプレイング」(role-playing)を略した言葉で、ロールは「役割」、プレイングは「演じる」という意味です。

用語集でもいくらか触れましたが、「ロール=台詞を含まない行動部分の描写のみのこと」という認識が現在かなり広まっているようですが(マナーサイトなどの用語解説でもでそう説明されていることがあるようです)、元々は行動描写だけではなく台詞と行動描写の全体のことでした。
呼び分けのためにこのwikiでは主として行動描写の部分を「描写」、台詞と行動描写を合わせた全体を「ロール」と表現していますのでご注意ください。

ロールは色々な特徴によりタイプ分けされていますので、お互いの好みを伝え合うためには自分のロールのタイプを知っておき、その呼び方を把握しておくのが便利です。



短文・中文・長文

一回のロールの文字数による分け方です。
どこまでが短文でどこからが長文なのかという絶対の基準は存在しないので、自分のロールが普段何文字くらいなのか数字で把握しておく方が望ましいでしょう。

一例としては、100字以下なら短めとされることが多く、300字を超えると長めとされることが多いようです。
一般的に長文とされる長さよりもさらに大幅に長いようなロールを「超長文」と呼ぶことも。
あまり文字数が一定せず、状況次第で短文も長文も使うような場合「ムラがある」といった表現を使います。

ロールの長さにおいて「必ずしも大は小をかねない」ということには注意してください。


終止形ロール・進行形ロール

これは描写部分の文末の違いによる分け方です。以下にそれぞれの例を示してみます。

終止形ロールの例
おはよう、早起きだね。(新聞配達のアルバイト中、前から歩いて来る人にすれ違いざまつい反射的に声をかけた)
進行形ロールの例
おはよう、早起きだね。(新聞配達のアルバイト中、前から歩いて来る人にすれ違いざまつい反射的に声をかけて)

「かけた」か「かけて」か、この違いが終止形と進行形の違いです。
終止形、進行形という名前は、それぞれの文章の印象で、前者は行動が終わっているような感じを受け、後者は行動が進行しているような感じを受けるためにそう呼ばれるようになったようです。
終止形、進行形という言葉の本来の意味とは違う使われ方なので注意がいります。

いくつかマナーサイトなどを見てまわると「終止形ロールは嫌われているので使用を避けるべき」とされていることが多いようなのですが、それだとちょっと正確ではありません。「終止形ロールを嫌う人も多数いるので使いたい人は相手の好みを確認すべき」とでもするのが、おそらくいくらか正確であろうと思います。
普通に考えて、終止形ロールを使う当人は相手が終止形ロールを使うのもなんとも思わないのでしょうし、自分では使わないものの相手が使うのは気にしないという人もいるでしょう。
ロールの形式も好みの一つですから、その好みが合う人を探すのは個人の自由です。


小説ロール

基本的にロールは括弧の外にキャラの台詞を書き、括弧内にそれ以外の説明のための描写を書きます。
その描写において、なりきっているキャラの主観視点以外からの、ナレーションのような描写を含むのが小説ロールです。

小説ロールの例
おはよう、早起きだね。(早朝、まだ空は薄暗く、通りから少し入った路地では烏がゴミバケツを荒らしている。時折飛び立つ烏の羽音に驚かされながらの新聞配達のアルバイト中、前から歩いて来る人にすれ違いざまつい反射的に声をかけて)

好む人の場合、伝えられることが多くどういう状況なのかを伝えるのに向いている、また単にこういった文体を好むから、などが理由のようです。
嫌う人の場合、ナレーション部分が余計に感じられる、などが理由のようです。


心情ロール・テレパシーロール

これもロールの描写の中の特徴での分類で、言動に表われていない心情をも描写するのが心情ロールです。テレパシーロールとも呼ばれます。

心情ロールの例
おはよう、早起きだね。(新聞配達のアルバイト中、前から歩いて来る人に、綺麗な人だな、この近所にこんな美人住んでたっけ?と思いながらすれ違いざまつい反射的に声をかけて)

好む人の場合、これも伝えられることが多いのでそこが便利であるというのが理由のようです。
嫌う人の場合、こちらに伝わるはずの無い相手の思考が(テレパシーのように)分かってしまうのはおかしい、というのが理由のようです。


漢文ロール

日常的にはひらがなで書くような語も漢字に変換し、それと同時に助詞を省くなどもした非常に漢字の比率の高い描写が特徴のスタイルです。

非漢文ロールの例
(学校から帰宅し自室に鞄を置き、友人との約束のためにまたすぐに出かけようとすると窓の外の室内を覗き込む顔に気がつき)うわあっ! …って、あれ?(驚いて大声を上げ、その覗き込んでいる何者かが約束をした友人だと気づくまでにはたっぷり数秒をかけて)

漢文ロールの例
(学校因り帰宅し自室鞄置き、友人との約束為再度直ぐ出掛けようとし窓外室内覗込顔気づき)うわあっ! …って、あれ?(驚愕し大声上、其の覗き込む何者か約束の友人と気付く迄優に数秒掛)

慣れない人にとってはかなり読みづらいものですが、同程度の内容を少ない文字数におさめられるメリットがあります。またこの文体の独特な雰囲気を好んで使用しているという人もいるようです。

短文と長文の境が明確ではないように、漢文と非漢文の境も明確ではないことに注意がいるでしょう。
「漢文と呼ぶほどではないが若干その傾向がある」というロールを「微漢文」と呼ぶことがあります。


確定ロール・決定ロール

自分がした描写によって自分の状況だけでなく相手の状況も決めてしまうというのは、ある程度ならば全てのロールが持っている要素ですが、それの度が過ぎてしまっているものは確定ロールや決定ロールと呼ばれます。

ここまでに説明した各種のロールは個人の好みの問題で、直接マナーに関わるというものではありません。ですがこの確定ロールという分類はそれらとはやや異なると考えておいた方が良いでしょう。

非確定ロールの例 1
おはよう、早起きだね。(新聞配達のアルバイト中、前から歩いて来る人にすれ違いざまつい反射的に声をかけて)

確定ロールの例 1
おはよう、早起きだね。(新聞配達のアルバイト中、前から歩いて来る人にすれ違いざまつい反射的に声をかけ、無言でだがぺこりと会釈を返してくれた相手に思わずぼうっと見とれてしまい)

上の非確定ロールとした例文でも、「挨拶をされた」という相手側の状況は確定させてしまっています。しかしそれに対する「行動」は相手に選択を任せているので、この程度なら相手を困らせてしまうことはまずありません。
その点、下の例文では挨拶に相手がどう反応したかを勝手に決めてしまっています。

次に別の例です。

非確定ロールの例 2A
この野郎!(相手の失礼な態度に思わず殴りかかり)
確定ロールの例 2A
この野郎!(相手の失礼な態度に思わず殴って)
非確定ロールの例 2B
この野郎!(相手の失礼な態度に思わず殴りかかったが空振りし、その勢いで転んでしまい)
確定ロールの例 2B
この野郎!(相手の失礼な態度に思わず殴りかかったがあっさり避けられ、その勢いで転んでしまい)

例文2Aですが「殴りかかり」なら現時点で確定しているのはこちらの行動だけなので、それが当たったか避けられてしまったかは相手側が選択ができます。しかし「殴って」としてしまった場合、当たったことまではもう確定してしまうので相手の自由が狭まります。
例文2Bも「空振りし」なら本人の行動だけの描写ですが、「あっさり避けられ」だと相手の行動まで決定してしまっています。

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最終更新:2015年06月07日 16:08