Kilim キリム【技法】
Kilim,gelim.gilin,girein,and,gerim.ケリム(トルコの表現)、ゲリム,ギリム、ギリィームそしてゲリーム(イランの表現)とも言う。
完全にタテ糸を覆うことで,ヨコ糸でパターンが表現される、パイルのない滑らかな表面をもつ織物。
完全にタテ糸を覆うことで,ヨコ糸でパターンが表現される、パイルのない滑らかな表面をもつ織物。
キリム=綴れ織り (タピストリー ウィービング)
はつりのある綴れ織り
我々がいわゆるキリムと呼んでいるものがこのはつりのある綴れ織りの毛織物です。最近では絹制の物もあるようですが、オリジナルは遊牧民の生活のための道具です。英語ではタピストリーとよばれ、壁掛けと言う意味の代名詞にもなっています。キャロルキングの名作【Tapestry】行ったり来りしながら織物が出来あがっていくのがまるで人生のようだというの歌詞にもあるように、、シンプルですが奥の深い、毛織物の基本中の基本です。ここでは紹介していませんが、毛織物の原点はもちろん縦糸と横糸を交互に入れるだけの平織です。縞や格子は平織で出来ますが、複雑な模様を入れたかったら綴れ織りは効果的です。起源はわかっていませんが、アナトリアキリムの研究者で最近は芸術的な作品を多数発表しているトルコ人のベルピナ-ルさんが,来日された時に見せていただいたスライドではアナトリア東部で発見された1万2千年前に毛織物の断片を見て,たいへん驚きでした。
クルド族達は7000年以上前から遊牧していたといわれています。おそらく遊牧民達のなかで相当昔から,羊毛を糸にして織るという行為が行なわれてきた事でしょう。有名なエジプトのコプト織りもこの綴れ織りで、極めて複雑で緻密な人物や動物などを表現していますし、遠く離れたインカやナスカでも同様のすぐれた綴れ織りが発掘されています。アナトリアの遊牧民に代表されるはつりのあるキリムは、横糸を左右に綴って織り上げる技法で縦方向にはつりが出ます。最初これを穴があいているのかと思ったことがありましたが、織りのテクニックではつりがあるほうがフラットなしなやかさが出るようです。織り手から、幾何学的な文様はジグザグな模様を描き易いようで慣れてくるとリズム感がでて面白いように柄が織りあがって来ると聞いたことがあります。