あやせ妹萌化計画




「あやせ妹萌化計画」

「お兄さん相談があります」
そう言ってあやせは俺に相談を持ちかけた。
以前、着信拒否されていて猛烈に落ち込んだ事もあったが、
頼れる友達の兄としてあやせに必要とされているのだと思うと嬉しさの余り顔がニヤけそうになる。
「て、お兄さん聞いてます?」
突然のしかもあやせからの電話だったので少々驚いて無言になってしまった様だ。
「あ、ああ。聞いてるぜ。俺に出来る事なら何でも言ってくれ」
「そう言ってくれて安心しました。これは他の人には頼めないお話ですので」
うおー!俺にしか頼めない事だとー!?もしかしてラブリーマイエンジェルあやせたんが俺の事を……。
「で、相談って何だい?」
電話中で顔は見えないが顔がニヤけるのを隠してクールに相談の内容を訪ねる。
「ええ、ちょっと言い辛いんですけど……」
そう言って俺に相談を伝えるあやせだったので俺は期待に胸をふくらませて居たのだが。
俺の願望とは違い、秘められた愛の告白等の相談では無かった。

要約すると、桐乃が留学中に一度も連絡を取ってくれず唯一メールを送ったのも親友である自分では無く俺だった事。
帰国の際にも呼んでくれれば仕事をキャンセルしてでも駆け付けるつもりだったのに、実際に知らせたのはオタ友の方だけだった事。
それはつまり自分は桐乃に頼りにされて無いのでは無いか。
いいやむしろ、自分が桐乃の趣味に理解を示さなかった故に距離を取られてるのでは無いかという話を心痛そうな声で訴えて来たのである。
「それで……うっぐ……桐乃の親友で居るには……もっと私から歩み寄らないと……えっぐ」
最後はほとんど涙声だった。
くそぅ、電話じゃなければ俺の胸の中で泣けみたいに慰み者……じゃなかった慰められたのに。
「いやぁ、でもあやせ。お前は学友や読モ仲間として十分桐乃の親友として支えてくれてるんじゃないか?」
「それじゃ……それだけじゃダメなんです!桐乃の一番の親友は私だけなんだから!肝心な時に桐乃の役に立ちたいんです!」
そりゃ俺も桐乃の難題をあやせに解決して貰えるなら代わって欲しいくらいだけどな。
「正直言って無理じゃないか?俺も桐乃に無理難題を押し付けられたがとてもあやせに解決出来るとは思えない」
その難題の一つはお前自身だったりしたけどな、と言うのは心の中で呟くに留めておく。
「む、無理じゃないです。お兄さんに出来たという事は、私にだって!頑張れば出来るはずです!」
そうは言うがそんなに簡単には行かないだろう、彼女には決定的な弱点があるしな。

「え、エロゲを桐乃と一緒にプレイする事も?」
「うぐっ、そ、それだけは勘弁してください」
ほらやっぱりだ。エロゲや同人誌を穢らわしい物だと思っている以上、オタク関係の問題には関わるのが難しいだろう。
コスプレコンテストの際には一応タナトス衣装を用意するまでは覚悟を決めたらしいが。
結局、加奈子をたぶらかしてあの際どいメルルの衣装を無理やり着せたしな。
それがあやせの限界だ。
「だろうな、だから桐乃もオタ関係の話はお前に頼れないんだよ」

「わ、私も何とか桐乃の気持ちを理解しようと努力したんですよ?で、でもどうしても二次元の女の子を見ても可愛いと思う前に拒否反応が……」
「なんだ一応試してはみたのか」
あやせはあやせなりに桐乃のオタ趣味に理解を示そうとはしていたみたいだ。
「か、勘違いしないでくださいね!やったのは桐乃に頼んで借りたPS2のギャルゲー(?)ですから!」
まあ、それも元はエロゲで移植版なんだろうけどな。
「エロ無しでもダメだったのか、そりゃもう重症……もとい一般人としては正常じゃないか」
「け、けど、桐乃の気持ちが理解出来ないと……桐乃の親友の座をぽっと出の泥棒猫に奪われそうで……」
最後の方ぼそっと酷い事言ったな、泥棒は兎も角猫なのは間違ってないが。
「桐乃を一番上手く操れるのは私なんだから……ブツブツ」
「ん?何か言ったか?」
「い、いえ!何でもないですよー、ウフフ」
うおっ、ブラックあやせに変わりだしたよ。駄目だこいつ早く何とかしないと……。
「よし!お前の悩みは大体分かった!お兄さんに任せない!」
「はぁ、相談に乗ってくれるのは嬉しいですけど、貴方の妹になったつもりはありませんよ」
おっと口が滑った、俺もどうせなら妹より彼女になって欲しいぜ。
ん?彼女……?

「そうかこの手があったか!」
「!!? な、何か思い付いたんですか?」
上手くすれば一石二鳥、いやこれは俺にとっても千載一遇のチャンスだ、じっくり慎重に行かないとな。
「ああ、最高のアイデアが思い浮かんだぜ」
「ま、また変態な発想じゃないですよね」
うぐっ、タナトスコスチュームの事まだ根に持ってるのか。まあ、確かにあれはセクハラと言われても仕方ないが。
「まあ、そう言うなって。方法は突飛かも知れないが、自体の解決には有効な策だ。怒らないと約束してくれるなら教えるぞ」
「怒るかどうかは置いておいて一応聞いておきます」
 うわ、せっかく前置きしたのに無効にされた!まあ、話さないと話が進まないが。
「方法だけ言うと……。あやせ、俺の彼女になれ(キリッ」
 つい台詞にキリッという擬音が発生するほど真面目に言ってしまったぜ。
「はぁあ?それ本気で言ってるんですか?だとしたら今まで聞いた口説き文句の中でも最低です」
 ぐほぁっ、多分嫌われてるとは思っていたがここまでこっ酷く振られるとエロパロネタすら思い付かないほど凹むわ。
「だから怒るなって言ったのに……」
「そりゃ怒りますよ、私が本気でお兄さんを頼って相談したのが馬鹿みたいじゃないですか」
 俺とした事が事を急ぎすぎたか。
「まあ、そう言うなって。順を追って説明すればこうするのが一番だと、お前だって分かってくれるはずだ」
「絶対分からないと思いますけど、通報の前に言い訳くらい聞いてあげます」
 え?俺通報されちゃうの?女子中学生に告白すると通報されちゃうのか!?
「う、うむ、ごほんっ 前にも説明したかも知れないが。桐乃は何もエロいのが好きなエロエロ中学生なわけではない」
「あ、当たり前です!」
「だ、だろ?なら何であいつがエロゲをやってるかと言うと、あいつの本質は妹萌えなんだ。そこの所をしっかり理解して欲しい」
「はあ、そこまでは何とか理解出来ます。でも何故私がお兄さんの、その……彼女にならないといけなんですか?」
 良くぞ聞いてくれた!
「そう、そこなんだよ。妹萌を理解するには妹を作るのが一番だ!だが、あやせには妹が居ない!そうなると、作るしかあるまい」
「つ、作るって何考えてるんですかこの変態!!死ねェェェェェエェェェェエ!!」
 耳を劈く様な罵声が携帯電話越しに届き少々頭痛がする。電話じゃなかったら確実に蹴りを入れられてたな。
 電話で相談に乗ってて助かったぜ。
「お、落ち着けってあやせと子作りすると娘になっちゃうだろうが。妹を作るというのはそういう意味じゃない。
お前には妹が居ないが俺には居るだろ?つまり桐乃を義妹にすればいい」
「え、あ、何だそういう事ですか。私てっきり……」
 てっきり……?
「本性を剥き出しにしたお兄さんにレイプレイされてしまうのかと」
「ちょ、レイプレイは動詞じゃねえええええ!つかそういうのよく知ってたな」
「これは海外でエロゲ批判が出た時に名指し非難されたタイトルですから、内容を思い出しただけで怖気がしますが……」
 確かにレイプレイはエロゲの中でも鬼畜な部類に属するのかも知れないが、あやせがエロゲを毛嫌いする理由はこれか。

「話を戻すぞ。桐乃が妹になるとなれば、あやせでも妹萌を理解出来ると考えたわけだ。しかし、そうするには俺と付き合う以外の方法は無い」
 どうだ、我ながら完璧な理論だろうグハハハ。
「桐乃が妹……桐乃が私の妹に……うふ、ウフフフ」
 うおっ、あやせの変なスイッチが入っちまったよ。
「て、義妹になるだけなら別にお兄さんと付き合う必要無いじゃないですか!私が頼めば姉妹ごっこくらいしてくれるはずです!」
 ぐ、痛い所を突かれた。何とかして説得しなければ俺とあやせのラブラブ計画が水の泡だ。
「いや、それはどうかな。桐乃は、あれで結構恥ずかしがり屋な所や頑固な性格があるしアドリブに滅法よわいからな」
「流石、腐っても実の兄ですね。桐乃の性格では快くごっこ遊びに付き合っては貰えないかも知れません」
「だ、だろ?だけど、お前が毛嫌いしている俺と付き合うとすれば。お前の覚悟もちゃんと伝わると思うわけだ」


「う……うーん……」
 30秒ほどあやせは逡巡した様だが。最後には納得してくれたみたいだ。
「わ、分かりました。桐乃の気持ちを理解する為なら仕方ないです。けど、彼女になると言っても振りだけですからね。もし指一本でも私に触れたらその時点で通報しますから」
 うお、あやせさんマジ怖ええよ。
「あ、ああ。振りだけでも十分嬉し……じゃなかった十分お前の覚悟が桐乃に伝わると思うよ」
「か、勘違いしないでくださいよ!別にお兄さんの事が好きだから付き合うんじゃなんですからね!
これは桐乃と私の仲を深める為なんですからね!」
 ズキューンと言うSEがした気がした。あやせのツンデレまじやべぇ!
 ヤンデレだとかSMだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
「よし、それじゃあ桐乃が仕事が休みで家に居る時に決行しよう。それから、お前が家に来る事は桐乃には黙って置くんだぞ」
「え、何でですか?」
「忘れたのか、これからは桐乃の友達としてでは無く俺の彼女として家に来るわけだから桐乃に断りを入れる必要は無い」
「うぐ、凄く嫌ですけど。恋人の振りをするならそうするのが適切かも知れません」
「だろ?それじゃそういう事で、桐乃のスケジュールはそっちで確認してくれ。じゃあまたな」
「あ、最後に一つだけ言わせてください」
 何だ?何か念押しか?
「今日は相談に乗ってくれてありがとうございました。お兄さんの事を少しだけ見直しました」
「お、おう。いいって事よ。他ならぬあやせの頼みだからな」
 こ、これって高感度UPって事か!?あと何回高感度上がればエロシーンに行けるんだろうなワッフルワッフル。
「はい、それじゃまた」
 そうあやせが言って通話が切れた。携帯の通話時間を見ると30分以上も話していたらしい。
 電話とはいえ、今までのあやせたんとの会話時間で最長じゃないか?
 これだけでも十分幸せだと言うのにあやせたんが俺の天使になってくれるとか、俺もう死んでもいい。




 と言うのが先週有った話だ。
 あやせが桐乃のスケジュールを調べてくれたお陰で部活も読モの仕事も無い日が分かったわけで。
 それが今日だ。
 都合よく桐乃はリビングのソファーでふんぞり返りながら雑誌を読んでいる。
 と、その時ファミファミーファミファミマーと言うチャイムの音が鳴った。
 桐乃がすぐに立ち上がろうとするが――
「多分俺だ」
 と言って俺が玄関に向かう。
 玄関のドアを開けると、やはりあやせだった。
 一度家に帰って着替えたのか、清楚そうな白いワンピースの上に薄い水色のカーディガンを羽織るという出で立ちだ。
 制服のあやせたんも良いが私服のあやせたんマジ可愛い!前回は電話だったからあやせ様の御尊顔を拝する事が叶わなかったが。
 このあやせの姿を目にしたら俺がラブリーマイエンジェルあやせたんと呼称してしまうのも分かって貰えると思うぜ。
「こんにちは、お待たせしました」
 そう言ってはにかむ様な笑みを見せる。
「お、おう。取り敢えず上がれよ」
 余りの可愛さに思わず声がうわずってしまった。
「はい、それではお邪魔しますね」

 取り敢えず、予定通りリビングにあやせを通す事にする。
 リビングのドアを開けると、桐乃が興味津々と言った態度で訪ねてくる。
「ちょっと誰がくんの?あたし聞いてないんだけどもしかして黒猫?」
「ははー、それはどうかな?お前も良く知ってる人物だと思うぜ」
 そう言って俺はドヤ顔をした。
 と、そこにあやせが入ってくる。
「どうせ黒猫なんでしょ……ってあやせ!?」
 今まで俺を訝しげに睨んで喋っていた桐乃の目が丸くなる。
「え、どうしちゃったの?今日うち来るって言ってたっけ?」

     ・・・
「あ、桐乃ちゃんこんにちは」
「あやせがあたしの事ちゃん付けする何て珍しいね、どうしちゃったの?」
 動揺を隠しきれていない顔で桐乃が訪ねた。
「あ、あー、説明するとだな――」
            ・・・・
「ちょっと待ってください京介さん、私から説明します」
 そう言われたら黙るしか無い。
「桐乃……、今まで黙ってたけど実は私、京介さんと付き合う事にしたの。
だから桐乃は彼氏の妹さんになるから私の事はお姉ちゃんって呼んでね」
「あ……あ、あ……ぁ」
 桐乃は口を酸素の薄くなった水槽の金魚の様にパク付かせて喋ろうとするが言葉にならない様だ。
「ど、どうしてこうなった!」
 あんた説明しなさいよ!事と次第によってはタダじゃおかないわよという視線を俺にぶつけて来る。
 ここまで動揺するとは俺も思わなかった。さっきなんか心臓が止まったんじゃないかって位青い顔してたぞ。
 流石に可哀想になったのでネタばらしをしてやる。
 と言うかマジであやせと付き合ってる等ど言ったら桐乃に視線だけで殺されそうだ。
「あ、ああ実はな……」
 あやせが桐乃と最近中が悪くなったんじゃないかと心配になってる事。
 それは自分が桐乃の趣味を否定し続けている事に原因があるのじゃないかと思っている事。
 桐乃の気持ちに理解を示す為に妹萌を理解しようとこのごっこ遊びを始めた事などを順を追って説明する。



「なんだ、そう言う事だったんだ。あたしビックリしてそこの女子中学生見て鼻の下伸ばしてる馬鹿を殺そうかと思っちゃった」
 殺そうと思ったのかよ!お前は撲殺天使ドクロちゃんかよ!
「でも、相談してくれればあたしだって協力したのに……」
「いや、普通に相談してもお前は乗り気にならなかったと思うぞ。だからあやせも覚悟を決め手こんな手の込んだことしたんだ」
 桐乃は考え込む様に腕を組んで言った。
「うっ、確かにあやせをお姉ちゃんって呼ぶのは抵抗あるけど……」
「桐乃、お兄さん……じゃなかった京介さんは私達の寄りを戻そうと思って協力してくれたんだから怒らないであげて」
 あやせからのフォローもあって、怯んだ桐乃は今回のドッキリを納得してくれた様だ。
「あやせに言われたら仕方ないしー。元はと言えばあたしにも原因もあるしね」

「と、言う訳で。俺の彼女のあやせと仲良くしてやってくれ」
「「あんたは黙ってなさい!!」」
 うおっ、二人共息ぴったりじゃねーか。こりゃここまでしなくても今のままでも十分親友同士なんじゃね?
 立ったままでは何なので居間のソファーに桐乃とあやせが並んで座りあやせの対面に俺が座った。
「それじゃ、桐乃ちゃん。私の事をお姉ちゃんって呼んでみよっか」
「え、もう始まってるの?」
 驚いて逡巡したものの、桐乃は顔を赤らめながら呟いた。
「お……、あ、あやせ……お姉ちゃん……」
 桐乃は顔を赤らめながらもじもじする様に体を捩り上目遣いで何とかお姉ちゃんという言葉を発した。
「は、はあああ、はぁはあ。桐乃ちゃん、もっと呼んで」
 と、あやせは興奮気味に催促した。
「あ、あやせお姉ちゃん」
「いい……すっごく可愛いよ桐乃ちゃん、もう抱きしめちゃいたいくらい!」
 そう言ってあやせは桐乃に抱きついてしまった。
 俺は手持ち無沙汰にその二人のやり取りを眺めていたわけだが。これ百合の花が咲いちゃってないか。
 妹キャラが可愛いという部分には気付いてくれたみたいだな、本来の目的から若干離れてる気もするが。


「あ、あやせお姉ちゃん、ちょっと苦しい……そんなに抱き着いたら苦しいよ」
 あやせのしめつける攻撃に耐えかねたのか桐乃がギブを訴え始めた。
「あ、あやせさん。そろそろ桐乃を開放してやってくれないですかね。抱き枕じゃないんだからずっと抱き締めていたら嫌がるかも知れないぞ」
 そう言われてあやせは桐乃をベアハッグから慌てて開放した。
「ご、ごめーん桐乃。桐乃があんまり可愛いかったから私つい……」
「はぁはぁ、息が出来なくなるかと思った」
 俺を蹴り飛ばした時もそうだが、あやせは感情が昂ぶると暴走し出すんだな……。
 でもあやせのベアハッグでなら俺死んでも良いな。
 だが、抱き着かれた本人の桐乃はよっぽど苦しかったのか怯えてるぞ……。
「どうだあやせ、妹萌の気持ち少しは分かったか」
「ええ、確かに桐乃の魅力が倍増してましたね。お持ち帰りしても良いですか」
 そうだろうそうだろう。素直に慕ってくる時の桐乃の可愛さは異常だからな。
 まあ、実の兄に対してはそんな事滅多に無いけどな!
「どうぞどうぞと言いたい所だが、親父とお袋が寂しがるから止めといてくれ」
 あいつが留学中なんか食卓が寂しくて寂しくてほとんど無言の食事だったしな。
「ちょっと、あたしの事を何であんたが決めようとしてんのよ」
「だってあやせがテイクアウトして良いかって聞くから」
「人の事物みたいに言うな!」
 そう叫んだ桐乃は正拳突きを俺のみぞおちに決めやがった。
「ぐへぇ……い、痛ぇ」
 本気で殴るなよな……これだからリアル妹は困るぜ。
「妹が可愛いのは事実かも知れないが、リアル妹は今みたいに可愛いだけじゃないってのも覚えて置いた方が良いぞ……。
だから、三次元に理想の妹像を求めたりするわけだ」
 何とか迷走しつつも妹萌の実証と考察まで持ってこれたな。
「桐乃が妹なら多少暴力的でも全然平気ですよ。私の桐乃への愛は誰にも負けませんから!」
 聞き様によっては告白とも取れる台詞をあやせは高らかに宣言した。
「へぇ、良かったじゃないか桐乃。ここまで献身的な親友がいて。お前ももうちょっとあやせを信頼して秘密を共有しても良いんじゃないか」
 桐乃の妹物エロゲー布教活動からの俺の負担が少しでも減れば俺も楽になるしな。
「お兄さん、桐乃の秘密を知ってる様な口ぶりですけど、秘密って何ですか?」
 あやせが興味津々と言うよりは親父の尋問の様な凄みのある視線で自白を促してきたぞ。ちょっと怖いですあやせさん。
「そうだな、桐乃の奴が一番喜ぶ事を教えてやろう。あいつの持ってるゲームでパンツ一枚だけのあられも無い姿で『はじめてだから優しくしてね』って言うシーンが一番萌えるらしい」
 俺は(キリ)と語尾に付くような表情で教えてやった。
「このへんた……」
 自分のそんなCGシーンでも想像したのかあやせの罵声とご褒美が飛んでくるかと思いきや途中でそれを遮るものが在った。
「2回死ねー!!!」
 桐乃が立ち上がりざまに必殺技の様に叫びながら放った強烈な回し蹴りが俺の側頭部にクリーンヒットした。
 かなり痛かったが、ここは突っ込まずにはいられない。
「それお前の決め台詞じゃねーだろ!?」

 そんな訳であやせと桐乃の親睦を深める作戦は一応成功したらしい。
 残念ながらミッションを成功に導いた俺に対するあやせの高感度は上がらないどころかまた俺が変態だという誤解を強めてしまっただけだったがな!





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最終更新:2010年06月13日 11:13
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