黒猫のターン



俺たちが沙織の自宅を訪れてから、数日後
いつものように黒猫が俺の部屋に遊びに来ていた

幸いというか、桐乃はモデルの仕事で遅くなるらしい
それはそれで心配なのだが、あの妹様のことだ、大概のことは大丈夫だろう
それに今回はあやせと一緒だって嬉しそうに言ってたしね

そういえば、セットで来るはずの沙織が今日は居ない
まあ、あいつも忙しそうだしな

黒猫はパンツが見えそうな体育すわりで、
俺の枕を抱きかかえながら、じっと俺のほうを見ていた

「どうした?浮かない顔をして」

やっぱりこいつがいつもの元気が無いのは、ちょっと寂しい

だから、俺なりに気を使ったつもりだった
黒猫は、何かを言いかけて、それから、一旦言葉を飲み込んだ

「ん、どうしたんだよ?気になるじゃんか」
こいつ、いざって言うときに、引っ込み思案になるんだもんな

もしかしたら、何か頼みたいことがあるのかもしれないな

幸いにして、こいつは桐乃と違って常識はある
まあ、多少妄想と現実の区別がつかなくなることがあるが、
それでも、無茶は言わないだろう

「なんだ、言ってみ、五更?」

俺は出来るだけ優しく言ってみた

黒猫は一瞬表情を明るく晴らしたあと、
またふさぎこむような表情をしてしまった

まいったな

こういう空気は正直苦手だ

それに、もし何か頼みたいことがあるのなら、
ほかならぬ黒猫の頼みだ

いつも桐乃のよき友人(裏)として、
あいつを助けてくれてるんだから、
こういうときくらいは俺だって、妹の友人は助けてやりたい

体育座りのまま、黒猫は言った

「先輩、胸を揉んで頂戴」

・・・

前言撤回

こいつも、普通じゃねぇ!

いや、たしかにお前はかわいいよ?
可愛い後輩から、おっぱいを揉んでくれ、っていわれたら、
普通、理性が吹っ飛ぶだろ?

でも、黒猫は、桐乃の、なにより、俺の大切な友人だ
そんなことは出来ない

だから、なんでそんな突飛なことを言い出すのか、聞いてみた

「あなた、この間、沙織の家に遊びに行ったときに、終始鼻の下を伸ばしていたわよね?

私とこの部屋で二人でこのベッドに横になって、
私があなたの妹と同じ位、貴方のことが好きだって、なけなしの勇気を振り絞って伝えても、
貴方は私を見てくれない。

それなのに・・・

それなのに、あのぐるぐる眼鏡が眼鏡を外したら巨乳美人だったからって・・・」

って、ええ!?
俺のせいっすか?

つーか、お前、俺の嫁かよ!

「だからっ!
だから、せめて私も、もうちょっと貴方好みの女になりたいの!

・・・ねぇ・・・ダメ?」

小さく、俺を見る黒猫を、俺は抱きしめたくなった

こいつは、そんなにも、俺のことを好きなのか
好きだから、こんな無茶まで・・・
だとしたら、断ったら男が廃る

そうだよ、黒猫の奴が俺を誘ってるんじゃん
ダメな理由なんて何処にも無いじゃねーか

だいたい、昨今の女性誌や少女マンガなんてセックスの宝庫だ
繋がったまま街中をあるいちゃったりとか
正直、俺ら健全な高校生には思いつかないよな

そういう黒猫は、普通の漫画や少女マンガだけじゃなくて、おそらくそっち系の書籍や、
それこそ18禁ゲームに手を出しているオタクゲーマーだ

だから、多少基準がずれてても問題は無い

だいたい、桐乃の買ってくる女子向け雑誌だって、
最低、年に一回は「セックスで綺麗になる」特集とかやってるもんな

いいよね、ちょっとくらい

ベッドに小さく座る黒猫の横に、俺は腰を下ろした

黒猫が耳まで真っ赤にしている

愛らしいな、と、思った
愛おしいな、と、思った

そんな彼女の耳に、指先を伸ばす

「ひゃん!」

黒猫が突飛な悲鳴を上げる

「あ・・・悪い」

「ごめんなさい・・・」
消え入りそうな声で、そう応える黒猫が愛おしくて、つい、彼女を俺のベッドに押し倒してしまった

黒猫の胸元に、顔を埋める
小さな胸が、俺の吐息を受けて、激しく脈打つ

制服のシャツの上から、黒猫の乳房を頬で愛撫する
快感に強調させられた乳首の感触が、ブラジャー越しに伝わってくる

その場所に、シャツの上からキスをする
その度に、黒猫が甘い息を漏らす

なんども、なんども、繰り返し、彼女の乳首を責め立てる
その度に、エロティックな匂いが俺の部屋に立ち込める

彼女は冷たい手を俺の頬に当て、自分の顔の前に持ってくる
白い頬を紅潮させて、黒猫は言う

「ねえ、お願い・・・
貴方の指で触れて頂戴。
貴方の唇でキスを頂戴。
貴方の身体で私をとろけさせて頂戴」

黒猫の呪いの言葉に、俺も意識が朦朧としてきた。

俺のベッドの上で、制服を脱ぎ散らかし、裸体をさらけ出し、お互いの体温を直に感じあう瞬間

暖かくて、愛おしくて、幸せを感じる瞬間
男の俺の身体と違って、儚くて、壊れそうで、だから、守りたくって

「瑠璃、
お前の身体の全てに触れるよ
お前の身体の何処にでもキスをするよ
だから、俺たちは一つになろう」

俺の言葉に黒猫は涙を流していた

触れ合う、二人の身体
暖かいそれは、二人にとって、初めての、そしてこれから何度も繰り返される時間だった

ことが終わり、俺の腕の中で、小さく寝息を立てる黒猫

ホントにこいつは仔猫のようだ
満足そうに笑顔を浮べているところといい
本当に、愛おしい

さて

解決しなければならない問題がある

それは今、俺の部屋で悪鬼のごとき形相で俺を凝視している桐乃の事だ





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最終更新:2010年06月22日 11:09
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