俺の恋人がヤみ気味なわけがない

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ポツポツと、五月雨が額に当たる。道端の散った桜の花が濡れて非道く鬱陶しい斑をアスファルトに描いている。
大学に進学し、(家から通えないこともないのだが)親に勧められて一人暮らしを始めた。
講義が終わり、俺は夕暮れの道をスーパーで食材を買ってを歩いている。
自炊ぐらいはやってみようと道具を揃え、ネットでレシピを読んだりしてみたが、一向に腕前は上昇しない。
それには多少、訳もあった。

築五年の1DKのアパートのオートロックを開ける。
俺は別にもっと古くても構いやしなかったんだが、親父達の進めでちょっと駅から遠いが新しいアパートに住んでる。
流石に長男だから大事にされてんのかね?
親父はともかく、お袋にはなんか邪険に扱われていた気がしてたから、ちょっと感激しちまったぜ。
階段を上がり、新しい鍵をドアに差し込む。
……すでに鍵が開いていた。
俺は天を仰ぎ、心臓を落ち着かせてからドアノブを握った。
雨は俺が家に着いた途端、止んでいたようだ。

「お兄さん、お帰りなさい」

鍵、昨日変えたんだけどなぁ……
エプロンを付けたあやせが俺を出迎えた。
テーブルを見ると、すでにあやせの手料理が並んであった。
ああ、また食材無駄になっちまったな……
俺は冷蔵庫の中に買ってきた野菜やら何やらを詰め込みながら、鍵の事を聞こうかどうか悩んでいた。
……よそう。もう三回目だし。
鍵をいくら変えても、あやせはいつの間にか合鍵を作って俺の部屋に居るのだ。
というか、「また鍵を変えましたね?」と俺に説教してくるのだ。

「お兄さん、ちょっとお話があります」

ほらな。
あやせはエプロンを畳むと、床に座る。目で俺も座るように指示してきた。
俺は部屋に入ると、あやせに従い、俺は彼女の前に正座する。目を逸らすとあやせが怒るので、ジッと見つめる。
これが凄く居たたまれない。俺に後ろめたい事なんて何一つないんだが……

「お兄さん、この電話番号は誰ですか?」

床をあやせが差し出したメモが滑る。
……分からん。電話番号なんて携帯に登録できるせいで、覚えようとは思わないしな。
もしかして知り合いの電話番号なのかも知れないが、だとしても数字だけ出されても分からないだろう。
当の携帯電話は、今日はウッカリ家に置き忘れていた。
そして俺の携帯をあやせが持っているということは、俺にかかってきた電話か。
あやせが俺の携帯を弄ると、電話番号の登録名を声にする。

「ああ、そりゃバイト先の先輩の電話だよ」
「……お兄さん、私、お兄さんのアルバイトに女の人がいるなんて聞いてません」
「えっと……なんの用だったんだ? あやせが代わりに出てくれたんだろ?」

我ながら下手くそな話題の逸らし方だ。
しかしこのパターンは何を答えても怒るパターンだ。
なんで、話題を逸らしてみた。あやせはそんな俺に乗っかってくれたようだ。

「話なんかしてません。女の声って分かったらスグ切りましたから。
お兄さんに色目を使ってくる牝豚の声なんて、耳が腐ります」

予想の斜め上だったよ! ちくしょう!
その人、ただ俺にバイトの連絡したかっただけだと思うよ!?
そもそもその人、彼氏いるし。っていうか牝豚って、オイ。

「彼氏がいるから何だっていうんですか? お兄さん、妹に手を出すこと上等な自分を棚に上げて
その人は彼氏がいるから浮気はしないって言うんですか? どうなんてすか!?」
「す、すみませんでした……」

あっはっははははーー謝っとけ、謝っとけ、ハハハー

「それに、今日は随分と帰るのが遅かったですね。ご飯が冷めてしまいましたよ」
「飯なら先に食べてても……」
「ご飯は一緒に食べるものでしょう! それに遅かった理由をまだ聞いてません!」
「いや、ほら、スーパーに寄ってたからだな、うん」
「今日の講義は午前中までですよね? お昼から今までずっとお買い物していたんですか?」
「いや…ホラ…俺にも友達付き合いってものがあってだね……
って、ナニコレ? 奥さんに頭上がらないサラリーマンのセリフ!?」
「なっ…!? お、お、お、奥さん……っ!」

くそぅ……情け無い、情けなすぎるぜ、俺。
相手は3つも下の高校生だぜ? 正論はどう考えてもコッチにあるんだぜ?
誰がどうみても俺が情け無いと思うだろ?
けどなぁ、俺の立場になって考えてみてもくれよ。相手はあやせなんだ。
例えるなら、白面の者に獣の槍無しで挑むような、そういう恐怖感を俺は味わっているわけよ?

「お役目様もいってたじゃん! みんな仲良うせんとあかんよって!!」
「いきなりなんですか、お兄さん!」
「心の叫びだぁぁぁぁぁ!!」
「……ま、まあ、私も言い過ぎました。お兄さんにもお兄さんのお付き合いがあるのは分かりました」

な…んだと……!?
あやせが簡単に俺を許した!? しかも何故か機嫌がいい!!
というか、なんか「暑いですね」とか言いながら胸元を広げている!!
さらに正座を崩した足から、スカートの中身がさっきからチラチラと……ッ
こ、これは罠だ……ああっ! しかし餌は美味しそうだっ!!
いやいやいや! そんな横島、いや邪な事を考えちゃ不味いだろ!
相手は高校生で、妹の親友だぞ?
し、しかし、そんなうら若い美少女が一人暮らしの男性の部屋に来るってのは問題があるんじゃないだろうか。
あやせのヤツ、こんなに警戒心が皆無じゃ悪い男に引っ掛かってしまうぞ。
そうだ、ここは俺が悪役になって「男はみんな狼なのよ」と、アヤセSOSして貰うのが一番なんじゃないだろうか。
そう、それが人生の先輩の責任というものではないか!!
つー訳でだ、俺はあやせの胸を揉む!!
みんな、通報しないでくれよな! 俺は痴漢じゃない。よしんば痴漢だとしても、痴漢という名の教育者だ。
よし……俺はゆっくりとあやせに気づかれないように距離を詰める。
蝶のように舞い、蜂のように乳を揉み、ゴキブリのように逃げる……

「これが、シャイニングフィンガーというものかぁぁぁぁ!!!」

むにっ

揉んだ。
ついに俺は揉んでしまった。
く……なんだよ、この揉みごたえっ! 俺の手にすっぽり収まって吸い付くような……
こ、これは、やめられない! とまらない!! 某スナック菓子のような魔力!
駄目だ、静まれ俺の右手! 今すぐ逃げるんだ! 疾風のように!
逃げなきゃ、あやせに地の果てまで流されて俺、さすらい涙も涸れる! ブルーゲイル!
動いてよ! 動いてよ、俺の足!! 今、動かなきゃ、今、逃げなきゃ、
俺、埋められちゃうんだ。もうそんなのヤなんだよ。だから、動いてよ!!

「お、お兄さん……」
「ひぃっ…ご、ゴメンなさいっ!!」

俺は思わず頭を庇う。頭だ、取り敢えず頭が無事なら何とかなる。
――匣の中には平凡な男がぴったり入ってゐた
やめて! 不吉なナレーションしないで!! だいたいその本、充分兇器になる厚さだからね!?

あやせは瞳から光を失うこともなく、頬を染めて俺を伏し目がちにのぞいている。
え? 何コレ? どういうこと?
お、落ち着け、落ち着くんだ高坂京介。お前は高坂家の跡取りだろう。
そう、戦国は武田信玄を支えた名将・高坂弾正の子孫……な訳ないけどね!!
むしろそうだとしても全力で否定するけどね! 主に瀬菜が理由で!
「知ってますか~武田信玄は高坂弾正とムフフな関係で、恋文まで残ってるんですよぉ~
ぐへへ……そういえば先輩の名字も高坂ですよねぇ……ふへっ……
先輩の友達に武田って名字の人いませんか? いえ、友達じゃなくて先輩か先生かなぁ……」
なーんて言われた日にゃね! もう田村さん家の子になろうかと思ったぜ!
OK、一人ツッコミで大分落ち着いたぜ。
くそっ…ツッコミをすると落ち着くような体質になっちまった。とんだパブロフの犬だぜ。

「あの…ね、あやせさん。これはだね、決してやましい気持ちがあるわけじゃなくて……」
「そう、ですよね……」
「ああ、わかってくれたか! そうなんだ、俺は真剣にお前の事を……」

ガチャ

……懐かしくも思い出したくない鉄の感触が、俺の手首を包んだ。

「あのー…すみません、俺にはこれが手錠に見えるんですが」
「もちろん手錠ですよ?」
「ですよねー」

え? なに、連行されんの、俺。
俺達分かり合ったんじゃねーの? もうED流れてもいいところじゃね?
I love you♪ I trust you♪ 光でも闇でも~♪って流れてCパートでいいじゃん。
むしろCパートしか出番なかったよ、ミスターブシドーって何なのさ。、
このまま塀の中だっていうのか俺の人生! そんな馬鹿な! 俺が何したっていうんだ!
ちょっとセクハラしただけじゃねぇか! ちょっと乳揉んだだけじゃねぇか!
おかしいぜ! それで屏の中っておかしいって!
だって俺なんかよりヘイさんの方が散々女コマしてたじゃん!
ゴスロリの幼女に、ロリババアに、女子中学生に、ロシア産の幼女に、実の妹までさ! とんだ契約者だよ!

「あとでちゃんと指輪下さいね」
「はい?」
「とりあえず、ここに判子を捺してください」

と、頬を朱にしたあやせが広げたのは

「婚姻届じゃねーか!!?」
「何をおどろいているんですか、お兄さん」
「普通、女子高生が欄全部埋めてあとは判子押すだけの婚姻届だしたら驚くっての!
つーか、なんでお前が俺の判子持ってんの!?」
「ドイツ語の辞典ケースの裏にいかがわしいDVDと一緒に置いてありました」
「それ"隠してあった"って言うんだよ!?」
「駄目ですよお兄さん、お兄さんが大学で専攻している外国語はフランス語じゃないですか。
ドイツ語の辞典があったら不自然です。あと、DVDは全部叩き割っておきましたから」

柔らかい石を隠したくなるような素敵な笑顔で、俺の心の友の死亡を告げるあやせ。
俺が本当に挫けそうな時、 本当にあきらめてしまいそうな時、
いつも最後の元気を与えてくれた……俺を立ち上がらせてくれた……
最高のオカズ……心の友よ!!  君達に出会えて……良かった!

「そんな……泣くほど嬉しいんですね?」

イヤイヤと頬に手を当てて顔を振るあやせ(マジ大魔王)
……知ってるか? 大魔王からは逃げられない。

けどな、俺だってワケの分からないまま、あやせと結婚しちまうわけにはいかねーよ。
あやせは時々行動がすっ飛んでるからな。
よくよくも考えずにこういうことやっちまってる可能性は多いにある。
俺の人生はともかく、こいつの人生まで駄目にするわけにゃいかねぇだろ?

「あやせ、流石に冗談がすぎた。悪かった、謝る」
「え……冗…談…?」
「ああ、冗談だ」
「嘘……ですよね?」
「ウソじゃねぇ。胸を揉んだのは悪かった。好きなだけ殴ってくれ。
けどな、親友の兄貴だからって、一人の男の家にホイホイ上がるのは良くないと思うぜ?
お前は可愛いんだから、今日みたいな冗談じゃ済まない事にだってなりかね……」
「嘘……」
「あやせ?」
「嘘ですね?  嘘でしょ! 嘘ですよね!!」

こ、こぇえぇぇぇぇえぇぇーーーーーーー!!!
ひ、久々にあやせさんブチ切れてますよ!?
しかも俺にとって不味いのは、キレた原因がさっぱり分かんないことだ。
前は桐乃のオタク趣味の件についてだが、今回は……俺が胸触ったから?
いや、でもそれじゃ「嘘」の意味が通じないしな……

「あ、あやせ……?」

手錠を伝って、俺の手の甲に水滴が落ちた。
それがあやせの涙だと、俺は理解するのに暫く時間がかかってしまった。
そう、あやせは……泣いていた。

「あやせ……」
「近寄らないで、変態っ!」

涙を拭おうとして近づいた俺を、あやせは拒絶した。
俺の手を払ったあやせは、勢いを殺せずにテーブルによろめいた。
いつの間にかあやせが買い入れていた夫婦茶碗が床に転がった。
「近寄らないで、変態」か……
前に言われた時よりきっついなぁ……
それだけ、俺とあやせの間には積み重ねてきた時間があるってことなんだけどよ。

「あやせ、確かに俺は変態だわ。お前がこうして毎日監視にくるのも仕方ねぇかもな。
しかも変態の上に馬鹿みたいでよ、お前がどうして怒ったのかサッパリ分からねーんだ。
笑ってくれても、怒ってくれても、構わねぇよ。
けど……泣かれるのは嫌なんだよ。それが俺のせいってのはわかってる。
だからよ、俺がお前の涙を止めることもできるよな? その方法、教えてくれねぇかな」

もう、夕日が沈みそうだ。
モロボシ・ダンとメトロン星人の如く、真っ赤に染まった部屋で座り続ける俺達。
だが、会話はなく、時計の針の音だけが存在を主張していた。

「……本気、ですか?」
「本気だよ」
「……お兄さんはいつも冗談ばかりじゃないですか。私に本気だったこと、あります?」
「お前に対するセクハラは本気だったぜ!」
「死んでください」

だよねー。
ようやく口を開いてくれたあやせに、これはないだろ、俺。

「いや、さ……桐乃の事でお前に相談受けたときは本気だったし、真剣だった」
「桐乃の為じゃないですか」
「いや、それは……」

確かに桐乃の為でもあるが、あやせに頼まれたからって部分もウソじゃない。
しかし、あやせに頼まれたから桐乃を助けたんだ、とまで言ってしまえばウソだろう。

「私、モデル辞めたんですよ。知ってました?」
「え? マジでか? 通りで最近雑誌で見ないと……」
「雑誌はチェックしてたんですね……桐乃のおまけかも知れませんけど」
「お前なぁ……なんだってそんな卑屈に……」

本人の前じゃ言えないが、俺はラブリーマイエンジェルコレクションを作ってるぐらい、
あやせ目当てで女モノのファッション雑誌買ってたんだぜ?
心の友とは別の場所に隠していたお陰で、どうやら見つかってないみたいだけどな。

「私、桐乃には勝てないから……」
「何言ってんだ、確かに桐乃は外面はいいが中身はアレだぞ? ワガママで、エラソーで、重度のオタクで……」
「桐乃の事を悪く言わないでください!!」
「は、はい!」

もうワケがわかんねー。
リアルは糞ゲーだって、こういうことか?!
けど、リアルはフラグが不透明&回収できないだけで、キャラが悪いわけでは……

「桐乃は努力家なんです」
「そりゃ……よく知ってる」
「自分を磨いてきたんです。お兄さんの為に!」
「へぇ、そうだったのか……って、オイ!
アイツが俺の為に? ハハ……あやせ、それだけは無い。アイツの兄として断言できるぜ」
「……私がお兄さんに教えるのは卑怯だから、きっと桐乃に嫌われちゃう」
「おーい、あやせさん?」
「桐乃は、ずっとお兄さんの自慢の妹でいたくて、それで勉強も、陸上も、モデル活動も、頑張ってきたんです!
お兄さんが桐乃のお兄さんだから何ですか! 私は桐乃の親友ですよ! わかります!!」

力説するあやせ。
とりあえず、ここはそういう前提で話を聞いてみるか。

「だから桐乃は高校でも、中学の時以上に頑張っています。
もうずっと、桐乃はそうやって頑張ってきたんです。そうやってキラキラ輝いている桐乃になったんです。
同じ事をしても、私は追いつけない。
だって桐乃は十年以上もお兄さんと一緒にいて、お兄さんの前で頑張り続けていたんです」

そうだな、桐乃はどこへ出したって恥ずかしくねぇ、俺の自慢の妹だよ。
ただ、一つだけあやせの言葉に間違いがあるとすれば、俺はアイツの努力をつい最近まで気づいてなかったってことだ。
きっと、高校時代、アイツの人生相談やらお願いやらに付き合っていたのは
俺がアイツの兄貴だから――認めたくねーけど、俺がしょうもないシスコンだからってだけじゃなくて
アイツの努力に気づいてやれなかった、アイツの兄貴でいてやれなかった分の穴埋めもあったんだろうぜ。

「桐乃だって、本当は毎日でもお兄さんの所に来たい筈なんです!
でも、そうすると陸上や、モデルの仕事と両立できなくなるから……我慢しているんです」
「そうなのかねぇ……まあ、月に2、3回は遊びにくるけどよ。
いつも通り、俺を散々振り回してくれるぜ? アイツは」
「たった2、3回ですよ!?」

いや、多くね? 一週間で日曜日は4、5回しかないんですよ? 土曜日は、俺も大学あるしさ。
しかし、桐乃の話があやせの行動とどう結びつくのやら……

「あ、もしかして……お前、桐乃の代わりに俺ん所に来てくれてんのか?」
「そんな訳ないじゃないですか!!」

……怒られました。
いや、すっごく頑張ったんだよ、俺。
普段使わない部分の脳ミソまで使って考えたんだよ。
けど、あれかい、しょせんロースペックってことか? 探偵役には到底及ばないピエロ役かい。
ああいいぜ、どうせ俺は常識人だ。探偵なんてのは奇人変人ばっかだからな。俺は御手洗君より石岡君でありたいよ。

「なに拗ねているんですか……拗ねたいのはこっちです」
「ああ、わりぃ。んじゃ、お前が俺ん家にくるのは、やっぱ俺を更正させる為?」
「それもありますけど……」
「あるのかよ……」
「……私は、桐乃みたいに周りにお兄さんの妹として……ううん、彼女として認めてもらおうって考えるんじゃなくて」

ちょっと待て、今妙な発言がなかったか?
という俺の表情を無視して、あやせは言葉を続ける。

「お兄さんに認めてもらおうって、そう思ったから……モデルも辞めて、お兄さんの側にいようと。
私は、私は、お兄さんにさえ認めて貰えれば、他に何もいらない!……それじゃあ、駄目ですか?」
「駄目とかじゃなくて……」
「桐乃みたいに、他人に自慢できる女の子がいいのなら、私頑張ります! 桐乃には勝てないかも知れないけど……」
「だ、だからそうじゃなくて!
……なんで俺なんだよ。別に俺なんかに認められなくたってさ、お前は……」

グッと、腹に重みを感じる。
あやせが俺に飛び込んできたからだ。
両手を手錠に塞がれて、俺はそのまま押し倒されそうになったが、なんとか堪えてみせた。

「……まだ、わからないんですか?」

あやせの黒い髪がフワリと広がり、柔らかな匂いが鼻を擽った。
匂いにボーッとしていると、あやせが俺の顔を覗き込んでいた。
だらしない顔を見られたかも知れない。

「私を泣きやませる方法、教えて欲しいんでしたよね?」
「あ、ああ……」
「教えてあげます。でも、"出来ない"なんて言わないで下さい」
「お、おう。誓うぜ、絶対やり遂げる。お前の為だもんな。
……もちろん、こいつは俺の本気の発言だぜ?」

カッコつけてウインクまでした俺を、あやせは笑った。
なんかもう泣きやんでないか?とも思ったが、それを言うのはヤボってもんだろう。
それに、俺にそんな気持ちが無かったとしても、あやせが俺の発言を軽薄だと受け取って、傷ついていたんなら
その分、埋め合わせをしてやらなきゃな。

「キスしてください」

なんだ、そんなことか。
つまりアレだ、あやせは俺にキスして欲しくて拗ねていたんだな。
やっぱあやせは可愛いなぁ、天使だなぁ

「……キスだとぉぉ!?!」

いや、この叫びは決して俺があやせとキスしたくないっていう叫びじゃないよ?
むしろ出来るならしてみたいもんだね。だって俺、男の子だもん。
けどよ、まあこういう事いうのは古いとか言われるのは覚悟の上で言うぜ?
そういうのって、やっぱ好きな奴同士でしなきゃ駄目だろ。
俺はあやせならいつでもウェルカム!だけどよ、あやせは違うだろ。
あやせのこれまでの行動を思い返してみろよ。

・俺ん家に上がり込んで、飯作ってる
・俺と一緒に飯を食えないと怒る
・俺が女の人と喋ると怒る
・俺のエロDVDを叩き割る
・俺がおっぱいを揉んだら顔を赤らめる
・俺から指輪が欲しいと言う
・俺の為にモデルを辞めた

……あ、あれ?

「な、なあ、あやせ……もしかしてお前って、俺の事……好き?」
「……今更そんなこと確認しないでください」

なぁ知ってるか? 外国人に「前向きに検討します」っていうと商談が成立したと思われるんだぜ。
イエス・ノー、はっきり言わなきゃ伝わらない事だって結構あるんだ。
けどまぁ、俺はあやせの答えを自分の解釈で受けとめちまうけどな。
もし間違っていたら……ま、釜ゆでなり車裂きなり好きな刑にしやがれってんだ。

「ん……」

俺はあやせの白桃のような唇に、自分の唇を重ねた。







「んっ……」
「大丈夫か、あやせ?」
「平気…です……」

シーツに純血が滲んだ。
もうこれだけで理解して貰えるだろうと思うが、今俺はあやせと……まあ、しているわけだ。
告白してキスして、その日にHってどうよ?と確かに思うぜ?
しかも生だ。コンドームとか、本来の目的よりサバイバルで水確保するのに使う機会の方が
先になるんじゃねーかとか、哀しいことを思ってた俺が、常備している筈もない。
正直、あやせの親父さんやお袋さんには申し訳ない気持ちで一杯だ。

「痛いときはちゃんと痛いって言え。俺はラノベ主人公並に鈍感野郎だからな」
「ラノ…なんですか、それ?」
「なんでもねぇ。兎に角よ、もう馬鹿みたいなスレ違いは沢山だからな」
「嘘じゃありません。痛いですけど……平気です、お兄さんのくれた痛みなら」

くそっ…可愛いこといいやがる!!
俺は思わずあやせにキスの雨を降らせた。
これが俺達の出した結論だ。
もう互いに我慢しきれなかった、それだけのことで他人を説得させられる材料なんて何一つ持ってない。
けどしゃーねぇだろ。自分でもビックリしてるぜ。堅実と普通、そして平穏が俺の人生目標だってのによ。
つーか、あやせがOKだしてくるとは思わなかった。婚前交渉無し!って考えてそうなタイプだったのに。
あやせは、「桐乃にお兄さんを奪われたくないから」とかいう理由も述べていたが。
信じられん。あの桐乃が?
仮に桐乃が俺を求めて来たとして、俺が重度のシスコンだとして、
それでも妹に手を出すほど鬼畜じゃねーだろ、俺は。
……今、その妹の親友を組み敷いている俺が言って説得力ないですかね?

「……お兄さん、他の女の人のコト、考えてましたね?」
「女っていや、女か?」
「桐乃ですか? ……私、独占欲強いですから」

そりゃ、言われなくてもわかる……と言いかけた時、あやせは俺の首に吸い付いた。
正しくはキスをしたんだが、吸い付いたっていうほうが正鵠を射ている。ぶっちゃけちょっと痛い。

「お兄さんが私の恋人っていう印、つけちゃいました」
「……それってアレか? キスマーク?」

鏡が無いので分からないが、あやせが口付けした部分を撫でてみる。
手錠は(当たり前だが)既にない。俺は自分の意志であやせを組み敷いている。
首筋に残ったあやせの唾液が、肌を滑った。

「キスの形には上手くなりませんでしたけど……何回もやっていけば上手くなりますよね?」
「……これから夏なんだけどな」
「お兄さんは私の恋人になったんですから、沢山私と一緒にいなきゃ駄目なんです」
「わーったよ、なるべくあやせとの時間を優先させる。
けどよ、お前も俺の為に無理しなくていいからな? モデルだって続けたいなら辞めることはねえ」
「なら私を安心させてください。お兄さんが私以外見られなくなってるって、信じさせてください」

俺の首に腕を回したあやせが、俺の唇を奪う。
負けじと俺はあやせの口の中に舌を伸ばした。
しっとりと熱を帯びたあやせの口内で、海を泳ぐエイのように舌を這わせていく。
柔らかい頬の内側、プリプリとした歯茎、綺麗に揃った歯、そして俺を求めて絡み合う舌。
俺だってコイツの身体中、俺のもんだって印つけてやる。

「んっ…ふぅ……はぁ…はぁ……」
「あやせ、動くぜ?」
「ふぇ? ……んんっ!?」

あやせと繋がっているマイリヴァイアサンを揺すり動かす。
ゆっくりと、探るように、あやせが傷つかないように。
それでも眉を顰めたあやせに、俺は慌てて大丈夫か?と訊ねた。
コクコクとあやせは首を立てに動かす。それが小動物を思わせて、思わず抱きしめてしまった。マジ天使。
そうやって俺がキスしたり、抱きしめたりする度に、俺のカリバーンをあやせが締め付ける。
こうしてあやせと繋がってると、本当に本気であやせが俺の事好きなんだって、信じられる。
俺もお前にマジなんだって、コイツに伝わってるだろうか。

「お兄さん……?」
「お、おう……」
「凄く……変態な顔しています」
「マジで!? だ、だってしょうがないじゃん! あやせと俺がラブラブで合体でぐちゅぐちゅなんだぜ!!」
「なっ…が、合体って……」
「もー俺、あやせのことチュッチュペロペロしちゃうもんねーーー」
「あんっ……お、お兄さん……んっ、ふっ……やぁ……」

あやせの中へ、俺を刻んでいく。
ゴム鞠のように頑なだった、その場所は段々と俺を許し受け入れているようだ。
しかし、あやせの綺麗に整った眉は、ベットが軋みを上げる度に八の字を描いている。

「ん…くはぁ……お兄さん?」

腰の動きを止めた俺に、あやせが怪訝な顔を向けた。

「無理すんなって、痛いんだろ?」

あやせの長い緑髪をあやすように撫でると、ススとそのまま耳まで梳いた。
普段はこの髪に隠れている耳の裏を、中指の腹でそっと撫でると
あやせはくすぐったそうに身体をよじった。
そうやって、少しでも痛みが紛れてくれればいい、そう思っていたのだが
あやせは困ったような顔で俺を見返してくる。

「あの……これから私が言うことを聞いても、お兄さんは軽蔑したりしませんよね?」

どこかで聞いたような台詞だと、口を綻ばせるとあやせが俺の腕を抓った。
なんだって、俺が桐乃の事を考えたことがバレたんだ?
女ってのはみんなこうなのか? 比較する奴がいないからどうしようもないが。

「俺はスケベ野郎の変態だぜ? 
そんな俺に勿体ないぐらいの彼女をどうしたら軽蔑できるってんだよ」
「そうですね、お兄さんは変態シスコンスケベ野郎でした」
「……ホントにそのまま言われると傷つくんですけど。っていうか、罵倒が増えてね?!」

よっぽど情け無い顔をしてたのか、あやせは俺を見て吹き出していた。
それから暫く、シーツを何度か握ったり離したりしていると、意を決して、その可憐な唇を開いた。

「あの……ですね、最初は痛かったです」
「痛かったって……? あ、ああ! そ、そりゃ痛くて当たり前だ。初めてなんだろ!?」
「は、初めてに決まってるじゃないですか! 私がお兄さん以外で処女を捨てるとでも思っていたんですか!!」

反論してから、顔を赤くするあやせ(←かわいい)

「痛かったです。痛かったですよ。お兄さんはどうして私にこんな痛い思いをさせるんだろうって
もういっそお兄さんを○してやろうかって思ったぐらいでしたし」
「マジで!?」
「……で、でも嬉しかったのも本当です。嬉しかったから我慢できたんだし……
そ、それでお兄さんは私を気遣って、優しくしてくれて、ゆっくり、ゆっくり、その……してくれてますけど……」
「ああ……でも、まだ痛いんだな?」
「ち、違うんです。もう痛みは随分引いて……
それで……それでですね、その……き、気持ちいいんです……」
「へ……?」
「お兄さんが動くと、身体の奥がキュンとして、ゾクゾクしてきて……
私、初めてなのに……こ、こんなに感じてちゃって……
ふ、ふしだらな子だと思われたくなくて、そ、それで……」
「我慢していたって事か?」

コクンとあやせが頷く。
シャア専用通り越してジョニー・ライデン専用ぐらい真っ赤になってる。
真っ赤になったあやせも可愛い。(正し、真っ黒になったあやせは、俺が真っ青になるぐらい怖い)
しかしまぁ、俺もとんだ杞憂をしていたもんだ。
初めてで気持ちいいって……まあ痛いよりは全然いいだろうさ。
俺にテクなんてあるわけもないし、単純にあやせが悦びやすい体質なのか、あるいは……

「きっと俺達の身体の相性がいいんだろ」
「あ、相性ですか?」
「ああ。だからあやせが恥ずかしがる必要はない」

真偽の程はわからないが、この答えで充分だ。
だって他の野郎にあやせが抱かれるなんて、想像するのも嫌だしな!

「じゃあ……お兄さんも気持ちいいですか?」
「おう、バリバリ気持ちいいぞ! もう暴発しそうだけど、それじゃ情け無いから我慢してる」
「も、もう! そういうこと爽やかに言わないでください!
……そ、それと、我慢しなくていいですから。私、お兄さんの事、受けとめますから。何回でも……」

わ!? ば、馬鹿! んな今日一番のとっておきの顔するんじゃねぇ!!
喜びと、恥じらいと、充実感と、無防備さが絶妙なバランスで混じったその顔は
俺を暴発させるに充分だった。
いっとくけど、暴発したのはアレだよ? 自制心だよ? 俺のポセイドンじゃないよ?

「あやせ! あやせ! あやせ! あやせ! あやせ!!」
「お、お兄さん!? あんっ…! あっ…あっ……ふぁあんっ…ぃやぁっ…はあぁぁっ……
そこぉ…擦っちゃぁ…にゃぁ……だめぇっ…ふえぇ…へ、変になっちゃうっ……私ぃ……」
「大丈夫だ、俺もとっくに変になってる!」
「そんにゃのっ……はぁあんっ……わた…んぁっ…私っ……こんなっ…ぁあっ……えっ…エッチ……
んっ……ひっ…あんっ…ぁっ…あっ…ぁあっ……おに…ぁぃ…お兄さんっ……にゅぅ……ひゃっ…」

俺は俺自身の猛りをあやせの身体に打ち込み続ける。
肉と肉がぶつかり合う回数が増えるたび、シーツがグショグショに汚れていった。
あやせの身体は、雑誌のグラビアよりもずっと豊かで、嫋やかに見えた。
それが生のあやせって事なのかも知れないし、高校生になってあやせも身体が女に近づいていったって事なのかも知れない。
恐らくは前者だ!と思いたい俺がいる。生のあやせは俺だけが知っているんだっていう、くだらない独占欲なんだろうな。

「はぁっ…あっ…んんっ……んあん……みゅ……お兄しゃんっ……お兄しゃぁぁ……んんっ!!」

真珠のようなあやせの白い肌に、顔を密着させる。
脈動するあやせの肢体を感じながら、鼻から息を大きく吸い込むと、脳を蕩かす甘い匂いがした。
あやせの身体に浮かんだ珠のような汗を潰しながら、顔を滑らせていく。
鎖骨に、横乳に、脇腹に……絹のような肌触りと、マシュマロのような柔らかさを、俺は顔全体で堪能した。

「やぁっ…吸っちゃ……ひっ…ふぁぁ……お兄しゃんが、しゅってるるぅ……ひゃっぁ……
しゅけべぇ…ぁっ…変ちゃぃぃ……はあぁひっ……お腹ぁっ……ちゅっちゅっしにゃいでぇぇ……」
「わかった、お腹じゃなけりゃいいんだな」
「ひゃふううぅんっ!? じゃめぇ……はんっ…おっぱいっ……もっとダメぇぇ……ああんっ…あっ…
…あぁっ…じゅぷじゅぷって…はぁっ…んっ…ちきゅびぃっ……お兄しゃん…っあぇっ……ふひっ…」
「ああ、あやせの乳首、凄くコリコリしているぞ。こんなに尖って……じゅるっ……イヤらしく興奮してやがる。
俺に吸って欲しいってお願いしてやがるぜ。なぁ、そうなんだろ、あやせ?」
「はひっ…違う、違うのぉ……そんにゃ…はぁっ…そんな……はしたにゃい事ぉぉ……お願いして…んかぁ…
ないのぉ……ない…ぁ…ないぃぃ……私ぃ……はぁぁっ……お兄しゃんがぁ……ひゃうっ…摘まないでぇぇぇ」
「あやせの…ちゅっ…ちゅっ…おっぱい美味しいぜ……じゅっ…じゅるるるっ…ずっとずっと俺がしゃぶり続けてやる」
「…あふっ…しゅ、しゅってもぉ……おっぱいでにゃいぃ……ぁひんっ……お兄しゃんの子供にあげりゅぅぅ…
おっぱいぃ…おっぱいぃぃ……ふぁあっ…そ、そんにゃことしたらぁ……はんっ…にゃくなちゃぅ……ぇあんっ…」
「ぷっ…出ないのか無くなるのか…ぐぽっ……どっちなんだよ……じゅぱっ…じゅぱっ……」

ここまでの経過を見ると俺がSっ気発動してあやせを責め立てているように見えるかも知れない。
だが、俺だってイッパイイッパイなんだぜ。吸ってんのはオッパイだけどな。
……いや、ホントに余裕ねーんだって。
だってよ、俺があやせを悦ばせる度に、あやせの膣がきゅうきゅう万力のように俺の肉棒を締め付けてきやがるんだ。
いや、きゅうきゅうだけならいいぜ。でも同時にドクドク吸い上げようとしやがるんだ。
オクラホマ大学の研究室だって、こんな吸引力のある竜巻は観測したことはねーんじゃねぇのってぐらいさ。
そんなわけで肉体的にはスゲー辛い。
じゃあ精神的には?
もっと辛いんだ。あやせが可愛すぎてな。
快楽に身を任せていいんだ、っていっても、潔癖性のあやせはそう簡単には素直になれない。
っていっても、感じやすいあやせはもうトロトロなのが一発でわかる。呂律も回ってねえしな。
それでも一生懸命否定して、そのくせ俺を抱きしめる手はいっそう力が籠もってやがる。
なに、このミカエル!?
こんなに愛おしくて、こんなに繊細で、こんなに健気な生き物が地上に存在していいの!?ってレベルだ。

「ほら、あやせ……あーん?」
「…あっ…あっ……ふぁ? ……へほっ……にゃ……あーん?
くちゅ……じゅぽっ…ほへぇ……お兄しゃん……くちゅっ……唾液……」
「今度はあやせの番だぞ?」

一方的に、あやせの口にめがけて唾液を垂らした俺は、
今度はあやせの唾液を飲もうと、形の良い唇に吸着する。

「じゅる…じゅるっ…ぬぽっ……んぐちゅっ……じゅるるるるるるるっ……」

酸欠寸前まで俺達は口を交え、お互いの体液を混ぜあった。
あやせの目は焦点が合わないまま、俺を見ている。
頬は力なく、しかし幸福を示すように弛んでいた。

「えへへ……おにいしゃん……んぁっ…きもちいいでしゅかぁ……はぁんっ……
私とぉ…はぁん……えっちしちぇ……んぁぁっ……きもちいぃ? ……ひひゅぅ……」
「ああ、最高だ。あやせとのセックス最高だ!」
「はぁっ……私もぉ……ぁあんっ…しゃいこぅ……んぁぇ……せっくしゅ…ぁっ…きもちいぃ……
おにい……はぁんっ…あぁっ…ぁっ…おにいしゃんとの……ぁん…せっくすいぃ……んっ!!」

まさか真面目なあやせから「セックスが気持ちいい」なんて聞けるとはな。
いや、「俺とのセックスが気持ちいい」だよな。あやせはそうちゃんと伝えてきたんだ。
ああもう、俺って世界一幸せもんだろ! これ以上の幸せがあったら教えてみろよ!! なぁっ!

「あやせとのキスは最高だ。あやせの唾は甘ったるくてクラクラするし、あやせの舌は熱っぽくて病みつきだ。
それにあやせの整った顔が、かわいいほっぺも、瑞々しい唇も、水晶みたいに透き通った瞳も、
スッと伸びた眉も、流れるような艶やかな髪も、すぐ近くにあって、俺は心臓がドキドキしまくってる」
「はぁぁあんっ……うれしいぃ…あっんっ…うれしいでしゅぅ……おにいしゃんにぃ……んぁっ…
ほめりゃれたぁぁ……ぁあんっ……かりゃだはぁ……身体は…ふぁ、どうでしゅか? …ぁんっ…
元専じょくモデりゅのぉ……身体ぁぁ……はひぃ…ぁっ…ぁっ…今はおにいしゃん…せんようっ!」
「最高に決まってんだろ! この細っこいうなじも、汗が溜まった鎖骨も、俺に絡みつく指も
俺の手にぴったり吸い付いて離れない、しっとり弾むおっぱいも、その先端のビンビンに勃起した桃色の乳首も
抱きしめたら折れちまうんじゃないかって思うような腰も、俺に突かれる度に揺れるお腹も
ぷりぷりした小尻も、程よく肉がついた太股も、俺よか長いんじゃね?って思うぐらいの足も
きゅっと締まったくるぶしも、喘ぐ度にピクピク丸まる足の指も、全部、全部最高だぜ!!
そんで、これ全部俺のもんだ! 誰にも渡さねぇ、俺だけのもんだ!!」
「そうでしゅぅ…あんっ…あんっ……そうでしゅよぉぉ……はぁひっん……私はぁ……んっ…はぁっ…
全部ぅ……ぁっ…っん……じぇんぶぅ……おにいしゃんの……っぁあ……ものでしゅぅぅうう……ぁあっ」

「ああ…勿論、マン○コも最高だぜ。このギュウギュウ俺を締め付けてくるお前のマ○ンコ、最高だ。
お前の女子高生マン○コ、俺専用だからな。この美少女マ○ンコ、俺だけが使うんだ。俺専用の穴だ。
俺が欲しいときに、あやせマ○ンコ広げてチン○ポブッ刺してやる。お前が泣いて喜ぶまでブッ刺してやるからな!
お前も欲しいだろ? 俺のチ○ンポ欲しいだろ? 好きなだけブッ刺してやるからな。
俺のチン○ポ中毒にさせてやるからな! 覚悟しろよ? 俺はお前の事大好きだから、覚悟しろよな!!」
「はぃい…っぁあっ……しましゅぅ……おにいしゃんのものぉぉ……わたしゅぃ…っふぁ……
私にょぉ…ぁっ…女子高生マン○コォ……おにいしゃん専用っ……お兄さんのチン○ポ専用にゃのぉ…っ
しぇん用の牝穴ぁぁ……っ……チン○ポ欲しゅぃ……おにいしゃんのぉ……くだしゃあいぃぃ……
だいしゅきぃ……っへぅん…大好きにゃ…おにいしゃん……お兄さん中毒ぅぅん……はぁあぇっ……」

エロゲのやり過ぎみたいな鬼畜セリフまで出てきやがったが、もう俺ダメかもしらんね。
自分でも自分がわけわからんことになっちまってら。
分かってるのは、俺があやせ大好きで、あやせ俺のもので、あやせ幸せってことだ。
そんなん、部屋に響くあやせの嬌声と、恍惚とした表情で十二分に分かるってもんだけどよ。

「あっ…あっ…っんぁ…ふっ……っなぃ……あんっ…はぁっ…はっ…はっ……」
「あやせっ…あやせっ…あやせっ!!」

あやせも俺に合わせて腰を振り、貪欲に快楽を求め、昂ぶりを高めていく。
悩ましげに響くあやせの佳音が、ベットに広がり揺れる長い髪が、陶器のようなきめ細やかな肌から匂い立つ香りが
一つ一つ俺の理性を剥がしていく。それはきっとあやせも同じなんだろう。

「くりゅぅ……なにかくりゅぅぅ……お兄しゃぁん……あちゅいのがぁぁ……はぁぁんっ……」

そうやって、隠すもんが何にもなくなると、俺がどんだけあやせのこと好きかって、それだけが残ってさ
けど、あやせに虜にされた頭は上手く回らなくて、もっとあやせに伝えたいことがあるんだけど
言葉はみつかんねぇし、俺の相棒も限界だしよ、最後の1ページ、どうすりゃいいんだ? 笑顔でもみせるか?
それで伝わるか? へっ……別に今全部伝えなくたって、これから時間は一杯あるんだからよ。
でも、それでも、この瞬間、精一杯あやせと繋がっていたい、愛し合いたいって思うのは、間違いじゃないよな。

「あやせ、好きだぜ! 愛してる!!」
「お兄さんっ…んあぁっ…お兄さんっ……好き…ぃ……っぁんっ…いくぅ……あっ……
ああっぁ゛あ゛ぁああっぁ゛ああ゛ぁっっぁぁぁ--------------!!!」

あやせが一際大きな嬌声を上げ、身体を震わせると
彼女の膣壁が大きなうねりを巻き起こして、俺から性を吸い尽くそうとした。
それにあがらう事などできる訳もなく、ゾワゾワっと、どっかの序章で終わった特撮ヒーローの如く
脊髄が引っこ抜かれるような、全身から魂が抜け出るような感覚と共に
俺はあやせの子宮目がけて性を吐き出した。








「ん……ふぅ…はぁ…くふ……っん……はぁ……」

余韻に浸っているあやせは、悩ましげにおとがいを奮わせて息を吐いている。
そんな俺の恋人を、俺はそっと抱き寄せた。
……なんて余裕があるように振る舞っているが、心の中で俺は親父(の形をした俺の良心)に百回は殴られていた。
人様の娘さんを傷物にしただけじゃなく、中出しまでしちまったよ!っていうことな。
いや、傷物って言い方は、俺を選んでくれたあやせに悪いし
中出しの方は……最後の辺り、あやせの足がガッシリ俺の腰を掴んでいたような記憶がある訳だが……

「ん……お兄さん……」

あやせが俺の身体に寄り添ってくる。
俺の悩みは、あやせの重さでアッサリと霧散していった。
ったく、俺の天使様ときたら……
なるようにしかならないかもな。俺はこの天使様を離すつもりはねぇし、天使様を泣かすつもりもない。
それだけ忘れないで持っていれば、いいんじゃないかってさ。

ぐううぅぅ……

そういや飯食ってなかったな……
ふと、胸にくすぐったさを覚えて顔を下ろすと、あやせが顔を埋めて笑いを堪えていた。

「……そんなに笑わなくてもいいだろ」
「そうですね……くすくす。ご飯、食べますか?」

頷くと、あやせは起きあがってベットから出ようとするが……

「きゃっ……」
「おっと、危ねぇ」
「はう……何か、まだお兄さんのが刺さっているみたいです……」

上手く歩けないと言うあやせをベットに休ませて、俺は飯の準備をする。
夫婦茶碗を(ちゃんと洗って)置き直し、みそ汁はコンロにかけ
手作りのハンバーグはレンジでチンして暖める。
テーブルにあやせの手料理を並べていると、
これを作った本人はシーツにくるまったまま、器用に滑り落ちて床に座った。
普段のあやせが見せない、ものぐさな動きに笑いながらも
シーツから覗く、未だ情交の残り香を残してほんのり赤みを帯びた足から目が離せない。

「……エッチ。やっぱりお兄さんは更正不可能の変態です」
「俺が視姦するのはあやせだけだぜ?」
「し、視姦っ……お、おぞましいこと言わないでください!」
「あーわかった、わかった、謝るからハシャぐな。みそ汁零れたら火傷するぞ」
「誰がはしゃいでいるんですか! もう……」

頬を膨らますあやせは、本当に愛くるしい。
以前と似たような会話、でもその言葉の中には別のものが流れている。
いや、本当はずっと前から言葉の中にはそいつが隠れていたんだろうぜ。
それがようやく、俺は見つけることができて、あやせは隠す必要がなくなった、そういう事だな。
ただまあ、こうやって互いに初めての情事の後に向かい合って食事となると
なんか目を合わせづらくなって、むず痒い気持ちになるのは、しょうがないと言えばしょうがないよな。





「……お兄さん、お風呂入りたいです」

食事を終えて、照れくさいながらもまったりと時間を過ごした後、
あやせがそんなことを言い出した。
まあ、いつまでもシーツにくるまってる訳にもいかないし
俺の精液がついたまま服を着るのもイヤだろう。

「ん……じゃあお湯を落としておくか」
「そうじゃなくて……お風呂に入れてください」
「誰を?」
「私を、です」
「誰が?」
「お兄さんが」
「なんで?」
「だって……立てません。お兄さんのせいで……」

本当に立てないのかも知れないが、七割方、俺に甘えているんだろう。
そういうあやせを見るのは新鮮で、なんだか嬉しくもあった。
人の面倒を見るのが嬉しいってのは、根っからの兄貴体質なのかも知れない。
まあ、こうやってこれからどんどん新しいあやせを知っていくのかもな……なんて
あやせを抱っこしてお風呂に向かいながら思った。

その後、健全な男子である俺がお風呂であやせの身体を見て興奮しない訳がなく
さっそくお風呂場で、恥ずかしながら俺のミノタウロスを手コキするという
新しいあやせの姿を知ってしまうことになったのだが。

「お兄さんはケダモノです」
「はい、すみません……」

長い入浴時間を終えて、再びあやせを抱っこして部屋に戻る。
あやせは自分用のシャンプーやらなんやらを揃える必要がある、みたいなことを呟いていた。
そういや風呂場にはなかったな、あやせ用の生活用品。

「シーツも洗わなきゃな……」
「ダメです。これはお兄さんと初めての記念に私が保管しておきます」

……ちょっと怖いです、あやせさん。



「いいですか、お兄さん? 私はお兄さんのせいで歩けません」
「はいはい。次は何をすればいいんだ?」
「むー…何ですか、それは。まるで私がお兄さんの弱みを握って、ワガママ言っているみたいじゃないですか!
私はただ、今日はお兄さんの家に泊まりますって言おうとしただけですよ?」
「いいのか? 門限あるんだろ」
「……お父さんとお母さん、説得してくれますか?」
「する」

即答するとあやせは目を大きく見開いて……

「な、泣くことはないだろ……」
「だって、お兄さんが私との交際を真剣に考えてくれているんだって、わかって……」
「遊びでお前を抱いたりしねぇよ」
「そんなことしたらブチ○します」
「物騒だな、おい! ……ほら、携帯貸してくれ。親父さん説得してみるから」

確かあやせの親父さんは代議士だったか?
俺の親父と同じぐらいに威圧感もあるんだろうし、さらに弁も立つんだろうな……
つーかそれ以前に娘をかっさらっていく男には誰だって敵対心剥き出しだろうよ。
俺と親父、揃って桐乃が彼氏(偽)連れてきた時にアレだったからな。
まさか今度は俺が御鏡の立場になるとはなぁ……

「お兄さん? やっぱり私がお父さんに……」
「それ以上言うな。俺を情け無い男にするんじゃねぇっての」
「そうですよね……次は桐乃にも報告しないといけないし……」

あー……なるほど、それを聞いたらあやせの親父さんが中ボスに思えてきたぞ。
状況はちっとも良くなってないけどね!!

「ふぅ……なあ、あやせ」
「なんですk……んっ?!」

俺はあやせにキスをする。キスといってもディープな方じゃないぞ?
これは、まあファンタジックに言えばおまじないみたいなもんだ。

「お前がしてくれることは、これで充分だよ」

あやせが頬を染めながら、はにかむのを見届けると
俺は携帯電話の通話ボタンを押した。





おしまい

 

 

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最終更新:2010年11月28日 02:57
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