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あやせ「桐乃のお兄さんって優しくて素敵な人だよね~」
桐乃「は、はぁ~?あんなキモいのの何処が良いわけ?あやせ病院行ったほうが良いよ?」
あやせ「な、なんでそんな酷い言うの?桐乃だって最近よくお兄さんの話してるじゃない!」
桐乃「あ、あれは…ただアイツがキモいから愚痴ってるだけで…」
あやせ「嘘…嘘嘘嘘!だって桐乃ってばファッションの話するよりも、陸上の話するよりも、お兄さんの話してる時が一番楽しそうに笑ってるもの」
あやせ「桐乃…私心配なの…お兄さんの話してる桐乃を見てると、もしかして桐乃は…」
桐乃「違う!!アタシは別に…」
あやせ「そうだよね。だって桐乃とお兄さんは兄妹だものね…そんなことあるはずないよね…?」

その日はそれだけで済んだんだけど、それ以来桐乃とギクシャクしてしまって、このまま桐乃と仲違いしてしまうんじゃないかと心配になった私はお兄さんに相談するにしました。
あやせ『実はお兄さんに相談があるんですけど』

京介『あやせもか?』

あやせ『私も?』

京介『いや、なんでもない。で相談ってのは?いや、電話でってのも何だし今から会うか?』

あやせ『本当ですか!じゃ、じゃあお兄さんの家の近くの公園で』

京介『ああ、わかった』

桐乃の事で気持ちが沈んでいたのにお兄さんと話していたらいつの間にか楽になっていた。それに会ってくれると言った時すごく嬉しかった。なんでだろう?


先に公園に着いたのは私でした。
その後直ぐにお兄さんが来ました。

京介「悪いな、待ったか?」

あやせ「いえ、それで相談というのは桐乃の事なんです」

京介「桐乃の…?」
あやせ「はい。実は桐乃と喧嘩してしまって…」

私はあの日の事話しました。 最初に桐乃の名前を出した時お兄さんは少し戸惑ったような顔をしたような気がしたけど、私が話し始めると普通に聴いていてくれました

京介「成る程なぁ」
案の定あやせの相談も喧嘩の事だった。最初は桐乃のオタク趣味がバレちまったかと思ったがそうではなく一安心だ。

てかなんでコイツ等は俺の事で喧嘩してんだ?直接関係無いとはいえ罪悪感が…
とゆうか、あやせさん途中性格変わってませんでしたか?怖っ!あやせは怒らせないようにしよう

桐乃は具体的な事は話さないから、何とも言えなかったが、こっち側からならなんとかなりそうか?

京介「まあ、確かにお互い怒鳴ったのは悪かったな」

あやせ「はい…」

なんでだろう、お兄さんに叱られると、とても悲しい…親に叱られるよりも、先生に叱られるよるも…

京介「桐乃はさ、なんてーか、あやせが俺のことを褒めるもんだから、あやせが俺に取られちまうと思ったんだよ」

そうでしょうか…?桐乃を見てると寧ろ逆にお兄さんを取られまいとしてるみたいな… 気のせい?じゃないよね、やっぱり。お兄さん鈍いから。

京介「友達を取られるだの、取られないだのってのも変な話だけどな。あやせもわざわざ俺なんかのことでムキになんなくても良いのによ。桐乃と一緒になって、変態!とか、ブチ殺しますよ!とか言ってくれて良いからよ」

あやせ「わ、私はそんなこと言いません!!」


なんかしょんぼりさせてしまったが、なんとか元気づけることに成功したようだ。
そんなにキツく言ったつもりじゃなかったんだが

京介「ははは、悪かったよ。もうすぐ桐乃も家に帰るだろうし、うちでまつか?仲直りするなら早いな方が良いだろ」

あやせ「そ、そうですね。私もちゃんと話して謝らないと。」

正直、少し風がでてきて肌寒くなってきたのでその申し出は嬉しかった。嬉しいのは寒さが凌げるからだけ?

京介「寒くなってきたな あ、悪い気付かなくて」

そう言うとお兄さんは私に上着を掛けてくれた
あやせ「あ、ありがとうございます。暖かい…」
それになんだか良い匂い… って匂いなんて嗅いで変態みたいじゃないですか!



京介「どうせ、5分も歩かないだろうけど念のためにな」

やっぱりお兄さんは優しいです。やはり桐乃が悪態つくのは素直になれないからなんだね。

もし 桐乃が素直になったら… 桐乃は可愛いし… ううん大丈夫だよね、普通兄妹ではそういう風にはならないよう本能的に避けるように出来てるって本で読んだことがある


家には直ぐに着いたが、その間あやせとは殆ど話さなかった。何か話そうかとも考えたが、あやせも何か考え込んでいるようだったので止めておいた。そもそも今時の、しかも専属モデルをやるような中学生と何を話していいもんかも解らんもんで正直助かった。

京介「あやせ、着いたぞ。」

あやせ「え、あ、はい」

京介「あ、家の中ならもう上着はいいだろ。貸してくれ」

あやせ「え、いえ…まだちょっと寒いので借りてても良いですか?」

京介「ん?そうか?まあ、良いけど」

あやせは寒がりなのか?それともずっと外にいたから冷えちまったのかな… だったら悪い事したな…

京介「悪かったな、あやせ。ずっと外にいたから冷えちまったんだろ?直ぐに温かい飲み物でも淹れるよ。」

あやせ「あ、ありがとうございます。」

何だか気を使わせてしまったみたい。悪いことしちゃったかな… あれ?お兄さんも同じこと言ってたんだっけ、ふふ。



リビングに通されてソファに腰を下ろすとお兄さんがホットミルクをだしてくれた。

あやせ「温くて美味しい」

京介「そうか、良かった。」

そう言ってお兄さんは安心したように笑った。
お兄さんと部屋に二人きりで、お兄さんの上着を着ていて、何故だか凄くドキドキする。
ううん。 何故、なんてもう言わない。私はお兄さんの事が好きなんだ。

だからこんなにもドキドキする。

公園からここに来るまでずっと考えてた。

何故お兄さんに叱られると悲しいのか

お兄さんに嫌われたくなかったからだ。

お兄さんに上着を着せてもらって凄く嬉しかった。 優しいされたからじゃなくてお兄さんだからこんなにも嬉しかったんだ

多分他の男の人だとただ気持ち悪いだけだと思う。

お兄さんが家について私はを心配してくれたとき、申し訳ない気持ちもあったけど、一番はやっぱり嬉しいだった。

やっぱり私はお兄さんが好きなんだ

あの日、桐乃と喧嘩した日 私がムキになって怒ったのは桐乃が心配だからじゃなかったんだ。

お兄さんを桐乃に取られたくないから。桐乃も多分、ううん絶対に同じだ。だから必死になってた。
それを私が否定したから、桐乃の気持ちを踏みにじったから、あんなことになってしまった。

桐乃が帰ってきたらちゃんと謝ろう。そして伝えよう、私の気持ちを。

桐乃「ただいま…」
アタシはいつもどうり、形だけの挨拶をして玄関に入る

桐乃「あれ?この靴は…あやせ?」

あやせの靴があった。仲直りしに来てくれたんだ! あやせも多分兄貴に相談したんだと思う(いつの間にかメアドとケー番交換してたし)なんかちょっとモヤモヤしたけど、あやせ来てくれて嬉しくてそれは直ぐに消えていた
あやせ「桐乃?帰ってきたの、おかえり桐乃!待ってたんだよ!大事な話があるの!」

言って出てきたあやせは何故か兄貴の服を着ていた。

それだけで凄く嫌な気分なった。あやせの言葉が耳入って来なかった。

桐乃「そう、だったんだ…」

あやせ「え?桐乃?」

桐乃「そうだよね、恋人のこと悪く言われたら普通怒るよね…」

そう言ってアタシは自分の部屋に走って逃げた。直ぐに鍵もかけた。

あやせ「待って桐乃!」

あやせが何か言った気がしたけど聞こえなかった。あやせと兄貴が付き合ってる。絶望的だった。

だって、恋人より妹を優先するやつなんていない。恋人より友達を優先するやつなんていない。

もうどちらの一番にもなれない。
これだけは努力じゃどうにもならない

アタシを創る大切なものが一気に2つも無くなった。それも一番大切な2つだ。

京介「桐乃?かえったのか?」

あやせ「お兄さん!私!桐乃と二人きりで話してきます!少し出てって下さい!」

京介「は、はいぃィ!!」

怖っ!あやせさん怖いよ!一応俺家でもあるのに。グスン



あやせ「桐乃、いるんでしょ。話を聞いて」

私は桐乃の部屋の前まで来ていた。さっき決心したことを伝えるためだ

桐乃「…なに?良いの彼氏追い出しちゃって…」

あやせ「彼氏じゃないよ。まだ。」

私の返事で桐乃が震えたのがわかった。私が本当にお兄さんのことを好きで動揺してるんだ。

あやせ「桐乃、私ね、桐乃のに謝らなくちゃいけないの。桐乃は本気でお兄さんのことが好きだったんだね。」

あやせ「それを私は気持ち悪いみたいに言って踏みにじった。だから、御免なさい」

ガチャ

桐乃「あやせ…」

あやせ「桐乃!」

桐乃「あやせ、アタシもごめん。あやせが兄貴の気にしてるのが気にくわなくて酷いこと言った。あやせが兄貴こと好きなの知ってて」

あやせ「ううん。全然いいのそんなこと。それで桐乃、しっかり聞いて欲しいことがあるの」

桐乃「うん。大丈夫、覚悟したから」

あやせ「桐乃、私は桐乃のお兄さん。京介さんのことが大好き」

桐乃「うん…」

そんな辛そうな顔しないで桐乃、この後が一番伝えたいことなんだから

あやせ「でもね桐乃。私はお兄さんと同じくらい桐乃のことも大好きなの!」

あやせ「お兄さんと付き合うために桐乃のとの関係を壊すなんてしたくない!でもお兄さんのことも諦められない!」

あやせ「だから桐乃!これからどうなっても、今までどうり私と親友でいて欲しいの!わがままなのは分かってるけど、私も桐乃を見習って全部に全力で行きたいの!お願い桐乃!これからも、私とッッ!」

桐乃「ずるいよ、あゆせ。そんな言い方されたらアタシだって諦められないじゃん」

あやせ「諦めないで桐乃!私も応援するから!」

桐乃「応援て…、恋敵応援しちゃだめでしょ。あははっ。」

あやせ「そうだけど、親友を応援しないわけにはいかないでしょ?」

桐乃「親友… そうだよね!アタシも応援する!これからもよろしくね、あやせ!」

あやせ「うん!よろしくね桐乃!」



門限ギリギリまで粘る覚悟をした時、ちょうどあやせからメールが来た。どうやら無事仲直りできたらしい。へっ、何だよ今回は俺の出番はなかった訳だ。もしもの時のために色々作戦があったんだがなあ。

(後々考えるとどれもロクでもない作戦だったのは言うまでもない。実行しなく本当に良かった)


あやせ「ふぅ、これで良しっと。あ、そういえば」

お兄さんにあの後無事仲直りできた旨のメールを送り終えた時に気がついた。

お兄さんの服借りっぱなしだ

あやせ「ふふ、また会う口実ができたな~」




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最終更新:2010年11月28日 03:07
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