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シロイヌナズナの変異原処理

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Ethyl methane sulfonate (EMS) によるシロイヌナズナの変異原処理 2008/01/15 本瀬宏康

1.シロイヌナズナの種子(約200 mg = 10000 粒*注1)を50 mlの遠沈管に計りとる。
2.70%エタノール20 ml を加え、ボルテックスする。(室温で1-3分処理)デカントで70%エタノールを捨てる
3.滅菌液(10倍希釈の次亜塩素酸 + 0.1% TX-100)20ml を加え、ボルテックスする。
4.滅菌液に5-10分浸ける。*注2
5.滅菌水で5回程度洗う。
6.最後に滅菌水10 ml に種子が浸かった状態にする。
7.ドラフト内で、EMSの原液を10 µl加え(終濃度0.1%)、素早くかきまぜる。EMSは比重が重く、沈んでまざりにくいので、よくまぜる。(別容器に0.2%EMS 10 ml を用意して、これに種子懸濁液を加えてまぜてもよい。)
EMSは揮発性で、発ガン性・催奇性があるので、かならずドラフト内で開封・処理する。使用したチップなどは1N NaOH溶液中に廃棄し、中和する。また、下にキムタオルやRI用のシートを敷き、手袋をして行う。下敷きや手袋もNaOH溶液中に廃棄する。
8.16時間程度、室温で処理する。(*注3)
9.滅菌水で10回洗う。4、5回目は、30分程度浸けて、種子中のEMS をしみ出させる。廃液は1N NaOH溶液中に廃棄し、中和する。
10.だめ押しで、数回洗う。
11.4度で2日程度処理し、プレートや土にまく注4。
12.M1植物100-500個体程度から、M2種子をまとめて回収する。
各M2種子のバッチについて5000個体程度スクリーニングする。

(注1)種子の量は、M1植物を育成するスペースや、失敗する可能性も考慮に入れて、数回-10回に分けて変異原処理するのが無難(40 mgを5回など)。必要なM1植物の数については、内藤(蛋白質・核酸・酵素 47, 2002)、酒井・岡田(モデル植物ラボマニュアル, p51, Springer)を参考にする。
(注2)種子が汚いときなどは、滅菌液を1-2回交換する。
(注3)種子発芽の変異体(abi1)などでは4度20時間というプロトコルもあるが、低温室でEMSが揮発しないよう注意する。
(注4)ここではプレートに播くことを考慮し、滅菌水を用いた。EMS処理により、発芽率が10%程度低下する処理が最適であると言われている。従って、EMS0%で同時に処理を行い、プレートに播いて発芽率をチェックすることが望ましい。最初は、0.1-0.3%の範囲でEMS濃度を検討すると良い。全ての種をプレートに播くと、植え替えが大変なので、通常は一部でよい。発芽率が悪い変異体(lec2など)では、プレートに播種することで発芽率が改善する。
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