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小悪魔4
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orz1414
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「寒いですねー」
僕の隣で室内だというのにマフラーを手放そうとしない小悪魔が言った。
「そうだね」
僕は本から目を放さないまま軽く同意して、あまり関心を持たなかった。
でも彼女はそんなことお構いなし。
まぁ、いつものことだけど。
「あ、○○さん。雪が降ってますよ!?」
「へぇ」
「そうだ! いいところにいきませんか?」
「いいところ?」
言い出したら聞かないのもいつものこと。
僕はしょうがなく本を閉じて彼女のほうを見る。
その瞳はこれから先にある楽しみを確信している瞳。
「そう、いいところです」
会心の笑み。多分僕はこの笑顔に弱い。
いや、確実に。
「じゃぁいこうか」
「はい!!」
さっきまで寒い寒いといっていたのが嘘みたいに元気になって出かける用意を始める。
お気に入りのマフラーはもちろんそのまま、ミトンタイプの手袋とコートを身に着けて、最後に自分の主に一声掛けてこちらを向く。
「よし、行きましょう!!」
「うん」
図書館を出て館の廊下を歩く。
少ない窓からちらちらと降り注ぐ雪を眺めながら僕は、どこに行くのだろう。と、少しわくわくしながら小悪魔の後をついていく。
広い館を行ったり来たり上ったりしてついたのは屋上。紅魔館の屋上から望む雪景色は確かにすばらしいものだった。
「確かにいいところだね」
「まだ先ですよ~」
そういって僕の手をぎゅっと握ると、小悪魔はふわりと浮かび上がった。
彼女は実に楽しそうに鼻歌を歌いながら僕ごと時計台の上まで飛んでいく。
「…………」
「どうです? 素敵でしょう?」
僕の手を離すと小悪魔は屋根の上に腰を落とした。
僕が同じように隣に座ると、少し恥ずかしそうに笑顔を作って顔を紅くした。
「寒くないの?」
「寒いですけど、雪が好きなんです。だから大丈夫ですよ」
あなたこそ寒くないんですか? と、同じ質問をされる。
「そうだな、僕も平気かな」
「ステキな景色ですねぇ」
にっこり笑う。
「寒いですねー」
「そうだね」
11スレ目>>104
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その本、俺が持つよ
(こぁに対して)
告白じゃないなw
10スレ目>>997
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君に俺の名前の半分をプレゼントしたい
10スレ目>>999
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「一生懸命な君が好きです。」
11スレ目>>981
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始まる前に
括弧無しは小悪魔の心中
丸括弧は心中または小言
【】は地の文
まぁそんな感じで
私は小悪魔。紅魔館の図書館でパチュリー様に仕えています。
パチュリー様ったらいっつもいっつも図書館に居て‥‥‥。たまにはお外に出れば良いのに。
小悪魔「パチュリー様!紅茶持ってきましたよ。」
パチェ「ん、ありがと。ここに置いといて。」
小悪魔「パチュリー様ぁ。たまにはお外にお出かけにならないのですか?」
パチェ「出る必要が無いわ。」
小悪魔「毎日図書館に居たら体に悪いですよ。」
パチェ「あなたは私が不健康に見えるの?‥‥‥ごほごほ。」
小悪魔「見えます。」
パチュリー様の行動は「紅茶、読書、魔道書の執筆、居眠り、トイレ」くらい。たまにお嬢様や咲夜様と食事を取る程度。取ると言ってもパチュリー様は食事を取らなくてもいいので二人に合わせて軽く口に運ぶ程度。
私がパチュリー様にとやかく言う事もできないけど、貧血や喘息が治ればパチュリー様は誰にも負けない魔女になれるに違いないわ。
小悪魔「私はパチュリー様の事を思って言ってるだけです。」
パチェ「‥‥‥。そうね、たまには出てみようかしら。」
小悪魔「!」
パチェ「でも私はここに残るから代わりにこあ、あなたが行ってきて。」
小悪魔「ちょ、それじゃ意味無いじゃないですか!」
パチェ「一回で分かりなさいよ。あなたに休みを与えるわ。」
小悪魔「え、パチュリー様?」
パチェ「あなたたまに外に抜け出してるみたいだけど、いつ見つかるかで心が休まってないでしょ?あなたが居ない間は紅魔館のメイドでも置いとくからしっかり遊んできなさいよ。」
小悪魔「あ、ありがとうございます!そ、それであの~、どのくらい‥‥。」
パチェ「いつまででもいいわ。ただし、必ず戻ってきなさい。図書館のメイドを任せられるのはあなたしか居ないんだから。」
パチュリー様からの意外な言葉に驚いたけど、任せられるのは私しか居ないだなんてそんなに私の事を思っててくれたなんて。
小悪魔「は、はい!必ず戻ってきます。ですから、待っててください!」
パチェ「‥‥‥‥‥死亡フラグ‥‥。」
小悪魔「うっ‥‥だ、大丈夫ですよ。パチュリー様を残して先に死ぬなんてそんなことできません!」
パチェ「じゃあ私が先に死ぬのね。」
小悪魔「パ、パチュリー様ぁ~。」
パチェ「もう、分かったから、さっさと行きなさい。」
小悪魔「あ、は…はい!でわ、行ってきます!」
もう、パチュリー様酷いんだからぁ。でもお茶目なパチュリー様が見れてちょっと得しちゃったかも。
【図書館の通用窓から紅魔館内に移動し、門に向かう小悪魔。門には門番の美鈴が昼寝をしていた。】
小悪魔「あ、美鈴様、お疲れさまです。」
美鈴「う…ん?あ!ひえぇぇ!す、すいません~、サボってませんよぉ~。ってあれ、こあ?ど、どうしたの?」
小悪魔「パチュリー様からお休みを頂いたんです。こるから出掛けようと。」
美鈴「パチュリー様から?5分?10分?」
小悪魔「いえそれが、必ず戻ってくるという条件で無期限なんですが‥‥。」
美鈴「な、なによそれ!私なんか真面目に仕事してるのに休みなんてないのに~。」
小悪魔(今、居眠りしてませんでした?)
美鈴「ん?今何か言った?」
小悪魔「な、何も言ってませんよ!」
美鈴「ま、いっか。気を付けていってらっしゃい。パチュリー様こあの事結構信頼してるみたいだから必ず戻ってくるのよ。」
小悪魔「もちろんですよ。美鈴様もお体にお気を付け頑張ってください!」
【紅魔館を離れどこに向かうか分からない小悪魔を見ながら仕事に戻る美鈴】
美鈴「はぁ、私もこあみたいな部下がいれば楽しく仕事できそうなんだけどなぁ。さてと、もう一眠りするかな。‥‥‥‥すやすや‥‥。」
魔理沙「お!門番の奴またサボってやがるぜ。どこぞのサボタージュより使えねえな。」
霊夢「まあ、居ても居なくても変わらないからいいんじゃない?とりあえずお邪魔するわね。」
【ところ変わって小悪魔。誰からも咎められる心配もなく大空を自由に飛び回ってた。】
小悪魔「うわ~~、気持ち良いわぁ。パチュリー様もくれば良かったのに。」
【しかしあまりにもはしゃぎすきたせいかすぐに疲れてきた。】
小悪魔「はぁ、私も運動不足かしら。ちょっとあそこの湖で休もうっと。」
こんな森の中にも湖があったのね。チルノちゃんがいつもいる湖より大分小さいけど新しい発見ね!
【湖の周囲は3~400mくらい、湖と言うよりは池と言った感じである。】
はぁ、外ってこんなに気持ち良かったっけ。地面に寝そべっても何にもぶつからないなんて。このまま転がって湖一周しちゃおうかしら。
【ごろごろと転がりながら池の周りを廻り始める小悪魔。はた目から見たら精神異常者じゃないかと思われるくらいの勢いで転がっている。】
小悪魔「今の私は誰にも止められないのよぉ!!」
【転がっている途中、ぐるぐる廻る視界の中に青い物体が見えた。】
小悪魔「え!だ、誰?」
うっそ~。こんな姿誰かに見られたらもう私ごろごろできないじゃない!
【転がるのをやめてぐるぐる廻る視界のなか青い物体を集中して見つめる。青い物体の正体、それはチルノだった。】
チルノ「あらあらこあちゃん、何してるの?楽しそうね。」
小悪魔「チ、チルノちゃん?」
まさかのチルノちゃんの登場に驚いて立ち上がった私。だけど勢い良く転がってた所為かクラクラするわ。
チルノ「あ、こあちゃん!危ない!」
どっぼ~~ん!!!
つ、冷たい!まさか落ちちゃった?湖に?は、早く、早く出ないと!!
【平行感覚を失ったうえに突然の池ポチャ。上も下も分からずに水中でもがく小悪魔。チルノもこれは危ない!と直感したが水中で暴れる小悪魔を安全に池から出せるとは思えないとそこだけは冷静に考えていた。】
い、息が‥‥‥く、苦しい‥‥よぉ‥‥‥‥‥。
‥‥た‥‥た‥‥す‥け‥‥‥‥て‥‥‥‥‥‥‥。
・
・
・
・
・
小悪魔「はう!!!だ、誰か!誰か助けて!!チルノちゃん!!!‥‥‥あ、あれ?」
ここは?‥‥布団の中?
ここは?‥‥チルノちゃんの家?
チルノ「あ、起きた!大丈夫?こあちゃん。」
小悪魔「あ、チ、チルノちゃん?私は‥‥。」
チルノ「もう、焦ったわよ。急に池に落ちちゃうんだから。」
小悪魔「チルノちゃんが助けてくれたの?ありがとう。」
チルノ「あたしだけじゃないわよ。」
〇〇「あっ!こあちゃん、起きた?よかったぁ。」
小悪魔「ひゃ!〇〇さん!」
チルノ「近くにいたから手伝ってもらったのよ。いくらあたいが最強だっつってもあんなに転がってる奴は手に余るわ。」
小悪魔「ちょ!チルノちゃん!」
〇〇「え?誰が転がってる?」
チルノ「えっとねぇ、こあちゃんが」
小悪魔「わーーわーーー!!私もう元気よ!!ほらこんなに元気!!‥‥あ、あれれ?」
【チルノの言葉を遮って元気アピールをしながら立ち上がったがまだ気分が悪く立ちくらみを起こしてしまった。そしてそのまま〇〇に向かって倒れこむ。】
〇〇「おっと!まだ気分が優れないんじゃないか?もう少し寝てなよ。」
小悪魔「ひ!あ、ご…ごめんなさい!そ、そのこれは、その、えと‥‥。」
〇〇「俺は大丈夫だから落ち着いて。気分が良くなるまでここで寝てると良いよ。ここは俺んちだから。」
へ?この家は〇〇さんの家?この布団は〇〇さんの布団?これは‥‥‥‥‥。
【布団に倒れるように眠る小悪魔。それを見て〇〇は…。】
〇〇「久しぶりに外に出て疲れちゃったんだろうな。」
チルノ「疲れて寝たというよりは気絶してんじゃないの?」
〇〇「え?そうかなぁ。」
チルノ「とりあえず、あたしは帰るわ。こあちゃんが起きたらあたしの家に来るように言っといて。」
〇〇「お、おう。分かった。」
チルノ「それじゃ、こあちゃん、またね。いい夢見なさいよ、ふふふ。」
【不適な笑みを浮かべ〇〇の家を後にするチルノ。】
────────────
小悪魔「ん、ん~‥‥。」
〇〇「ん、こあちゃん、起きた?」
【小悪魔の声に気付きこたつから体を起こす〇〇。】
小悪魔「んあ、〇〇さん‥‥。ここ、〇〇さんの家?」
〇〇「そうだよ、ゆっくりしていっていいよ。」
はぁ、格好つかないなぁ。せっかく〇〇さんの家に居るのに変な所見られちゃったんだろうなぁ。
あれ?外に干してあるあの服、〇〇さんのかなぁ。でもあんな服、〇〇さんに似合わなそうだけど‥‥。私の服に良く似て‥‥‥。ん?私の服に‥‥私の…私の服!?
小悪魔「あ!あれ!私の服!!?」
〇〇「うん、びちょびちょだったから洗濯して干してるんだよ。」
小悪魔「え、じゃあ今私が着てるのは?」
〇〇「それは俺の浴衣、やっぱりちょっと大きかったかなぁ。」
ちょ、服がびちょびちょって事は下着は‥‥‥‥濡れてない。ってこれは私のじゃないわ。まさか〇〇さん、こんな趣味があったのかしら。
〇〇「あ、その…、下着はチルノが大ちゃんから借りてきたって。それでこあちゃんのはチルノが持って帰ったよ。チルノが『女の子の下着は男に見せるもんじゃない!』って」
小悪魔「で、でも、下着も着替えてあるって事は‥‥‥。」
〇〇「だ、大丈夫だよ!着替えはチルノ一人でやったから俺はそんなに‥‥じゃなくて、全然見てないよ!」
〇〇さんに見られちゃった?うぅ~恥ずかしいよぉ‥‥。
〇〇「そ、そういえばチルノが起きたら家に来てって言ってたよ。下着の事じゃないかな?」
チルノちゃんに一番見られてるからなぁ、行ったら何言われることやら。でも助けてくれた事もあるし下着の事もあるし、行かなきゃ。
【胸元に手をやる小悪魔。彼女は不安になると無意識の内にペンダントを触る癖がある。】
小悪魔「大丈夫かなぁ。‥‥‥あれ、ペンダントは?〇〇さん、私のペンダント知らない?」
〇〇「え?知らないけど…。」
小悪魔「え!うそ!そ、そんな、ペンダント、私のペンダント!どこ?どこなの?」
はっ!まさか湖に落ちたときに落としちゃったの?探しに行かなくちゃ!
小悪魔「〇〇さんありがとう、私、ペンダント探しに行かなくちゃ。」
〇〇「え、あ、ちょっとこあちゃん!」
【浴衣を脱ぎ捨て下着姿のまま庭まで走り干してある自分の服を着る。もう乾いていた。ということは大分時間が経っていたのだろうけど、今の小悪魔にはそんなこと考えてる余裕が無かった。】
〇〇「ちょ、ちょっとそんな格好で!」
〇〇さんに確実に見られちゃった!上下真っ黒ってこれ大ちゃんのよね?あの娘意外と‥‥ってそんな事考えてる場合じゃないわ!
小悪魔「〇〇さんありがとう、それじゃ、もう行くね。」
〇〇「待って!ペンダントは‥‥‥行っちゃった…。」
きっとさっきの湖にあるはずよ。まずはその湖を探さないと。
【池を探すために高くまで飛び上がったがさっきの池は意外にも〇〇の家のすぐ近くにあった。】
あれね、こんなに高く飛ぶ必要なかったわ。
【池に降り立って早速池の中を覗き込む。水は非常に綺麗で透明度も高い、しかしそれでも底が見えないほど深かった。】
ここに落としてたら見つかりそうもないわ。あとは転がってる時に落としたとしか‥‥。
【池の周囲を周りペンダントを探すが見つからない。まさか池の中にと思った瞬間に涙が溢れてきた。】
小悪魔「私の…ペンダント‥‥、〇〇さんがくれた…ペンダント…、〇〇さんが‥‥‥うっ、うぅっ、うえ~~~ん!ペンダントないよぉ!え~~ん、え~~~~ん!」
〇〇「あ、いた!ってどうしたの!?」
小悪魔「えぇ~~ん、〇〇さんに…〇〇さんにもらった‥‥ひぐっ…ペンダント、なくしちゃったのぉ‥‥うえぇ~~~ん!」
【〇〇に抱きついて泣き叫ぶ小悪魔。その頭をやさしく撫でる〇〇。】
小悪魔「え~~ぇん、ごめんなさい!‥‥私、うぐっ‥‥私、せっかく〇〇さんが‥‥ぅえぇ~ん。」
〇〇「そ、その、ごめん!ペンダント‥‥‥ここにあるんだ…。」
小悪魔「えぇ~ん‥‥ひぐっ…うぐっ‥‥え、わ、私の‥‥‥ペンダント?‥‥ひっく…。」
〇〇「そう、チルノちゃんが『そのペンダント隠しておけば面白いものが見れる』って‥‥‥、でもまさかこんなことになるとは…ごめん!」
小悪魔「私の…うぅ、…〇〇さんからもらったペンダント‥‥あったのね‥‥。よ、よかったぁ…うっく。」
〇〇「ごめん、本当にごめん!」
小悪魔「見つかったんだからいいですよ。‥‥‥‥あ!私の方こそごめんなさい!…抱きついちゃったりして‥‥。」
〇〇「え、あ…あぁ…いいよ、気にしないで。」
小悪魔「その、えっと‥‥あ、そうだ!チルノちゃんが呼んでたんだよね。私行かなくちゃ。」
【振り返ってチルノの家に向かおうとする小悪魔。その小悪魔の手を引き、引き止める〇〇。】
小悪魔「ひゃ!え、どうしたの?」
〇〇「体冷えちゃったでしょ?俺の家行ってあったまってからにしようよ。それにこあちゃん、チルノの家わからないでしょ?俺が途中まで一緒に行ってあげるから‥‥。」
小悪魔「〇〇さん‥‥‥。じゃ、じゃあお言葉に甘えちゃおっかな、えへへ。」
【手をつないで〇〇の家に向かう二人。その姿を木の影から見ているものが一人。】
チルノ「ふふ、計画通りってやつね‥‥。」
─────────────
【手をつなぎながら〇〇の家に向かう二人。小悪魔は顔を赤らめ俯いたまま〇〇のやや後ろを歩いている。】
はぁ、さっき思いっきり泣いちゃったし〇〇さんに抱き付いちゃったし私の気持ちなんてお見通しよね。
【家に着いて〇〇がお茶を出す。二人きりでうれしいはずなのだが今は少しでも早くここから逃げ出したい気持ちの小悪魔。そこで話を切り出した。】
小悪魔「あの、そ、そろそろ行かないと、チルノちゃんに悪いし…。」
〇〇「もう行っちゃうの?もっとゆっくりしていっても構わないけど‥‥。そういえば大分時間経っちゃったね。チルノも心配してるかな?いや、チルノならそんな事思わないかもね。」
【ちょっと熱いがお茶を飲み干し立ち上がる小悪魔。〇〇も途中まで送ると言ったので立ち上がる。】
〇〇「こっちこっち、この辺は暗くなると迷いやすくて危ないからまだ明るいうちに向かった方がいいよ。」
小悪魔「あ、ありがと。」
【さっきみたいに手をつなげず、少し離れて後ろからついていく小悪魔。数分歩いたところで〇〇が前方を指差す。】
〇〇「ここを真っすぐ行くと大きくて太い木があるからその木まで行ったら右ね。すぐ近くにチルノの家があるはずだから。」
小悪魔「ありがと‥‥、そ、それじゃ。」
【足早に立ち去ろうとする小悪魔の後ろから声をかける〇〇。】
〇〇「まさかこあちゃんがあのペンダント持っててくれたなんてうれしいよ。またいつでもうちに来ていいからね。ってかその…また来てね。」
小悪魔「え?あ、はい!また必ず来ます!」
【〇〇が言った言葉に〇〇との距離を遠ざけていた自分が惨めに思えた小悪魔。自分の事を気にかけてくれる〇〇の言葉に先程までの小悪魔は消え去りすっかり元通りの小悪魔へと戻った。】
小悪魔「〇〇さん、ありがとう。また来ますからねぇ。」
〇〇「なんだか、元気になったみたいだな。よかったよかった。それじゃ、気を付けて。」
もう、私ったら馬鹿ね。自分で思い込んで自分で落ち込ませて、〇〇さんは何も悪くないのにね。
【そう自分に言い聞かせチルノの家へ向かう。】
確かこの木の右側ね。‥‥‥あれかしら?この辺だと家って言ったらあれくらいしか…。
【森の中にたたずむログ調の小屋、これがチルノの家だ。】
小悪魔「チルノちゃ~ん。来たわよ~。」
チルノ「もう、遅いわよ!〇〇と何してたのよ。」
小悪魔「べ、別に何も…。」
チルノ「まぁ、とりあえず入りなさいよ。」
【チルノに促されるまま家に入る小悪魔。中は割とすっきりしていてチルノの性格からは想像もできないほどきれいにまとまっている。】
小悪魔「きれいな家ねぇ。ここチルノちゃんの家よね?」
チルノ「その言い方ちょっと失礼じゃない?こあちゃん。まぁ、あたしの家じゃないけど。」
小悪魔「え?どういうこと?」
チルノ「大ちゃんの家なんだけど今大ちゃんいないから借りてるだけなのよ。」
小悪魔「へぇ~。」
【なぜ居ないのか、気になったが野暮な事は聞かないようにした。なにか訳ありなんだろうと自己解釈しその話題は終わった。】
小悪魔「それで、呼び出した理由は一体何?」
チルノ「〇〇の事に決まってるでしょ。こあちゃん、〇〇の事好きなんでしょ?」
【突然のチルノの言葉に固まる小悪魔。アイシクルフォールとかパーフェクトフリーズとかそんなチャチな物では断じてない。まるで小悪魔の時間だけが止まっているかのように完全に固まっている。】
チルノ「だからお手伝いしてあげようと思ってね。‥‥って固まりすぎよ!」
小悪魔「‥‥‥‥‥。」
チルノ「まったく、そのくらいの演技であたしが騙せるとでも思ってるの?」
小悪魔「‥‥‥‥‥。」
バタッ
【突然倒れる小悪魔。気絶しているのか、虚ろな目をしながら何やらぶつぶつと呟いている。】
チルノ「ちょっと!しっかりしなさいよ!」
【体を激しく揺すり意識を戻させるチルノ。そのかいあってか小悪魔はどっかの世界から戻ってきた。】
小悪魔「はっ!わ、私は‥‥。」
チルノ「もう、好きなんでしょって言っただけなのに何考えてたのよ。」
小悪魔「あ、そ…その事は〇〇さんには…?」
チルノ「まだ言ってないわよ。」
【依然、固まったまま目が泳いでいる。そこでチルノは…。】
パチン!
小悪魔「きゃっ!」
【小悪魔の頬を軽くはたいた。】
小悪魔「チ、チルノちゃん!なにするの?」
チルノ「しっかりしなさいって、そんなんじゃ逃げられちゃうわよ。」
小悪魔「で、でも。そんな急にこ、告白とかそんな。」
チルノ「お、割と聞いてたのね。それに急じゃないでしょ?こあちゃんは今日〇〇に会って今日〇〇が好きになったわけじゃないでしょ?」
【チルノの一言に納得して話を聞き入る小悪魔。しかし、その心は不安でいっぱいだ。なぜならこっちがその気でも相手には興味が無かったら意味が無いのだから。】
チルノ「大丈夫よ、ちゃんと手は打ってあるから。」
小悪魔「何をしたの?」
チルノ「起きた時、ペンダントが無くなってたでしょ?あれは‥‥。」
小悪魔「そ、そうだわ!なんてことしてくれたのよ!もう、下着姿は見られちゃったし泣き姿も見られちゃったし挙げ句の果てには抱き付いちゃったし‥‥しくしく。」
チルノ「ちゃんと最後まで聞きなさい!その下着姿が大事なのよ。こあちゃんが今付けてる下着、ただの下着じゃないのよ。」
【チルノの言葉に目の色を変えて聞き入っている。普通の下着じゃない?それが大切なこと?】
チルノ「その下着、ちょっとした催眠効果があってね‥‥。」
小悪魔「私の事好きになるとか?でもそんなので付き合っても…。」
チルノ「だ~か~らぁ、最後まで聞きなさいって!で、その催眠効果なんだけど、その人を好きになるとかじゃなくて『潜在意識を呼び覚まし強調させる』効果があるの。」
【よくわからない様子の小悪魔。潜在意識?それを強調?そうするとどうなるの?】
チルノ「そうねぇ、簡単に説明できるかしら。たとえばリンゴとミカンがあるとする。両方同じくらい好き。でも過去にリンゴで嫌な事、ミカンで良い事があった時、この効果をかけるとリンゴは嫌いでミカンがすごく好きになるの。」
小悪魔「え、じゃあ、まさか‥‥。」
チルノ「わかった?つまり心のどこかで〇〇がこあちゃんに好意をもってればこあちゃんが好きになる。逆なら嫌いにってこと。」
【ふと〇〇さんと居た時の事を思い出す。まさか、そんな、私なんかを…。】
チルノ「心当たりがあるみたいね。」
小悪魔「あ、そうだ、下着返さないと。洗って返すから待ってて、それと私のは?」
チルノ「その下着はいつでもいいけど、それとこあちゃんの下着は〇〇の家よ。持って帰ったって言っておいたけど本当は洗面台に置いてきたわ。」
小悪魔「見つけられちゃったらどうするのよ!」
チルノ「まぁ、確実に見つかるでしょうね。その時の反応が、〇〇の性格からして『洗って干しておきたかったけどこあちゃんの許可無しに触れない』って感じだったらもう告白しちゃって良いと思うわ。」
それは言うなれば、次に〇〇さんの家に行ったときに私の運命が変わると、大袈裟かもしれないけどそういう事。どちらに転んでも私は受け入れるしかない。もし悪い方に転んでしまったら私はこの先どうすれば…。
チルノ「今日はもう暗くなっちゃったしここに泊まって明日行けば?〇〇に夜は危ない、とか言われたんじゃない?」
小悪魔「…うん。」
チルノ「こあちゃん、良い方向に進んでるわよ。」
小悪魔「‥‥‥‥‥。」
【顔を真っ赤にして俯く、まさか本当に、という気持ちがあるがその反面本当は自分の空回りだったら、と思うとうれしい気持ちも吹き飛んでしまう。そんな気持ちの上下で不安定ながら今は平均して0の気持ちだ。】
チルノ「それじゃ、今日は一緒に寝てあげよっか?」
小悪魔「へ?一緒に?」
チルノ「恐いでしょ?明日になるのが。一人で寝て泣かれるのも困るし。」
小悪魔「…うん。一緒に寝て。」
【布団を一つだけ敷いて一緒に寝始める。】
小悪魔「‥‥‥‥うぅ、‥‥しくしく‥‥‥。」
チルノ「やっぱり泣くとは思ったけどね。‥‥よしよし。」
【小悪魔の頭を撫でながら仲良く眠りについた。】
【翌朝、小悪魔が目を覚ますと隣にチルノの姿はなかった。】
小悪魔「ん、チルノちゃん?」
【周りを見渡しても呼んでも返事が無い。どうやら家の中には居ないようだ。】
小悪魔「どこ行ったのかなぁ。」
【起き上がろうと手を付いたときに枕が濡れているのに気付く。ついでに自分の両目も。】
小悪魔「あれ、これ。私の…涙?私泣いてたの?」
【自覚していなかったがどうやら自分は泣いていたんだと理解した。そして昨日の夜、チルノから聞いた催眠効果の事も思い出した。】
そうだわ、今日、〇〇さんの家に行った時に覚悟を決めなくちゃ。せっかくチルノちゃんが作ってくれた機会だもの。
チルノ「ただいまぁ、あ、起きたのね。」
小悪魔「あ、おはよう、チルノちゃん。どこに行ってたの?」
チルノ「魚採ってきたのよ、朝食べるの。」
小悪魔「チルノちゃん、釣りできたっけ?」
チルノ「やったことないわよ。罠仕掛けて採ったのよ。」
チルノちゃん、罠作れるんだ。すごいなぁ。
【採ってきた魚を特に工夫することもなく塩焼きにするチルノ。でも今の小悪魔にその姿は眩しく輝いていた。】
チルノちゃんが料理(?)してるなんて、私チルノちゃんの事、ちょっと誤解してたかもしれないわ。人の事なんか気にしない性格だと思ってたけど…。
チルノ「こんなのだけど、どうぞ。」
小悪魔「ありがとう。いただきます。」
うん。焼き魚だわ。普通の焼き魚だけど昨日のチルノちゃんの事を考えるとなんだか心がこもっているみたい。
【一通り食べ終え一緒に片付けをする。片付けをしている最中、チルノが話し始めた。】
チルノ「こあちゃん、分かってるわよね。今日は〇〇の所に行くんでしょ?」
小悪魔「う、うん。でも不安だわ、本当にあの言葉は私に好意を持ってる言葉なのかな?って。」
チルノ「自信持ちなさいよ!〇〇は自分の事が好きなんだ!って思わないと上手く行くものも失敗しちゃうわよ。」
【チルノの言葉に頷く小悪魔。自信を持つ事は大切だが、やはり不安は拭えない。もしダメだったら…という気持ちが心の隅に生まれてきてしまう。】
チルノ「さ、片付けも終わった事だし、さっそく向かうわよ。」
小悪魔「え?もう?」
チルノ「善は急げって言うでしょ?」
小悪魔「善、なのかな?」
【チルノと一緒に〇〇の家に向かう。家に近付くたびに高鳴る鼓動を抑えようと深呼吸したり遠くを見つめてみたりするが、効果は無い。】
あぁ~、一体なんて言えばいいのかしら。ストレートに好きです?それともお友達から?控えめにこれからもよろしく?
【何か考え事をすると時間の経過が早くなるもので、気が付いたら〇〇の家の前に着いていた。】
チルノ「あたしにできるのはここまで。後はこあちゃんの問題ね。」
小悪魔「うん…、頑張ってみるね。」
【玄関の前に立って大きく深呼吸を三回。そして声をかける。】
小悪魔「〇、〇〇さ~ん‥‥いますか?」
〇〇「は~い、あ、こあちゃん。おはよう。」
【いつもと変わらぬ〇〇の姿に少し安心する小悪魔。】
小悪魔「お、おはよう‥‥ございます。」
〇〇「ほらほら、上がっていいよ。」
小悪魔「そ、それじゃあ、お邪魔します。」
【ぎこちなく家に上がる小悪魔。和室に案内されこたつに入ってるよう言われる。】
〇〇「今、お茶持ってくるよ。」
小悪魔「あ、いや、そんな…差し支えなく‥…。」
〇〇「ん、ん~‥‥。」
【緊張しているせいか言葉遣いが普段と異なって妙に丁寧になってしまった小悪魔。とりあえずお茶を持ってきて話しを始める〇〇。】
〇〇「その、あのさぁ、一つ言っておかなきゃならないからさ…。」
小悪魔「あ、え?ど、どうしたの?」
〇〇「昨日のペンダントの事、チルノちゃんに言われたとはいえあんなになるとは思わなかったし、あんなに大切にしてくれてたなんて…。だから、ごめん。そしてありがとう。」
小悪魔「そ、そんな!私は〇〇さんからもらった大切なペンダントだからあの時は必死で…。」
〇〇「だからうれしいんだよ。」
そんなこと言われちゃったら私もうれしくなっちゃうよ。今度は私が言わなくちゃ。
小悪魔「あ、あの。〇〇さん。」
〇〇「ん?なに?」
小悪魔「私も今、言っておきたい事があるんだけど、いいかな?」
〇〇「うん、いいよ。」
落ち着け、落ち着くのよ私。落ち着いて順番に話していけばきっと大丈夫。
小悪魔「あの、私‥‥〇〇さんと…お友達に‥‥‥なりたいの。」
〇〇「‥‥‥もう、友達だと思ってたのは俺だけ?」
小悪魔「え、わ…私と、お友達だって思ってくれてたの?」
〇〇「ずっと前から友達だと思ってたよ。俺の中ではこあちゃんが一番の友達。というか友達少ないけどね、はは。」
〇〇さんがお友達だって思っててくれたのに私ったら何やってるのかしら!だったらもっと思い切って言わなくちゃ。
小悪魔「そ、それじゃあ、お…お友達‥‥以上は?」
〇〇「恋人って事?」
小悪魔「ひゃ!そ、そんな大それた事は!ま、まだ早すぎるわ!」
〇〇「そう?俺はその…。」
小悪魔「えっとその‥‥‥、恋…人‥‥だなんて言葉にしたら…、あの…その…。だ、だから、お友達からゆっくり‥‥、い…いい関係を‥‥‥ね?」
せっかくのチャンスなのに私ったら何言っちゃってるの。これじゃあ、私の方から距離を置いてるみたいじゃない。
〇〇「それじゃぁ、今度からもっと図書館に行っていいかな?」
小悪魔「え、あ、うん。待ってる。私も…〇〇さんに会いに来ても‥‥いいかしら?」
〇〇「パチュリーに叱られないようにな。」
小悪魔「ありがとう。あの、それじゃ‥‥そろそろ、帰るね。ま、また‥‥‥会いましょ。」
〇〇「うん、絶対行くから。」
小悪魔「‥‥‥///」
【赤くなった顔を隠すように俯いて〇〇の家を出る小悪魔。外に待ってたチルノが一言。】
チルノ「その顔は上手くいったみたいね。」
小悪魔「うん…まぁ、ゆっくりと‥‥だけどね。あの、チルノちゃん‥‥‥ありがとうね。」
チルノ「いいのよ。あたいは幸せになってく二人が見れればね。」
小悪魔「色々あったけど、結果が良ければ大丈夫よね。そろそろ戻るわ。機会があったらいつでも図書館にきてね。」
チルノ「門番がいるんじゃないの?」
小悪魔「私の友達って言えば大丈夫だと思うよ。ダメだったら私が作った秘密の入り口があるから。」
チルノ「あんたが作ったのなんてもうバレてるんじゃないの?」
【他愛もない会話を軽くしてチルノは森へ、小悪魔は紅魔館へと戻った。】
紅魔館
小悪魔「パチュリー様!ただいま戻りました!…ってこれは一体!?」
【図書館に入ると館内中に2、30を超えるメイド、給湯室にも3人のメイドがいた。】
パチェ「早かったわね、こあ。もっとゆっくりしてきても良かったのに。」
小悪魔「パチュリー様、これは一体どういうことですか?こんなにメイドの皆さんが…。」
【メイドの一人が紅茶を持ってきた。テーブルに置かれた紅茶を眉間にしわを寄せながら飲むパチュリー。】
パチェ「これくらい居ないと貴方の代わりは補えないのよ。‥‥まだ補えてないけど。」
小悪魔「それはありがたいですが…。」
パチェ「貴方達、こあが来たからもう戻っていいわよ。」
【ぞろぞろと図書館中から出入口に集まってくるメイド達。図書館を出ながらしきりにお礼を言ってくる。】
「こあ様、ありがとうございます。」
「お早いお帰り、感謝いたします。」
「お羽、伸ばせましたか?こっちはもう‥‥あ、いやその、なんでもないです。ありがとうございます。」
【なんだか良く分からないが擦れ違うたびにお礼を言われる。そんなに早く帰ってきたことがうれしいのだろうか。】
小悪魔「パチュリー様、何かなされたんですか?」
パチェ「さぁ?」
私には分かるわ。パチュリー様が怒るときに発するあの魔力、あれを感じてたに違いないわ。確かに図書館の仕事って私しかしてないから普通のメイドには大変かもしれないけど、あんなに怯えるまで怒らなくても…。
パチェ「部屋に戻るわ。紅茶をおねがい。」
小悪魔「あ、はい。」
【部屋というか本棚に囲まれた一角にパチュリーの寝室のような部屋がある。紅茶をいれて寝室に向かう小悪魔。本棚の本の並びがバラバラになっているのを見るとこれからの仕事の多さに肩を落とす。】
小悪魔「お持ちしました。」
パチェ「とりあえずそこに置いといて。それでこあ、貴方にはこれから週一度休みを与えるわ。」
小悪魔「え!?どうしたんですか、急に!」
パチェ「貴方の顔を見れば一発よ。早く図書館から出てある場所に行きたいって顔。」
小悪魔「私、そんな具体的な顔してるんですか?」
【持っている本をパラパラとめくるパチュリー。】
パチェ「ここに書いてあるわ。
そんな顔をするのは普段から長時間の拘束を強いている証拠。一週間に一日くらいは暇を与えてはどうだろうかってね。」
小悪魔「それはうれしいんですが、パチュリー様はいいんですか?また図書館中にメイドを置くんですか?」
パチェ「咲夜に任せるわ。まだ彼女の方がマシね。貴方程ではないけど。」
小悪魔「そんな、咲夜様よりだなんて!」
パチェ「図書館の中でのみよ。」
小悪魔「それはそうですが…。」
【咲夜より上だと言われ焦るが図書館内のみと言われ落ち着きを取り戻す小悪魔。それでもうれしいことには変わりはないのだが…。】
パチェ「それと、チルノが尋ねてきたら通してちょうだい。」
小悪魔「え?チルノちゃんが?はぁ、わかりました。では仕事に戻りますね。」
【なんでチルノちゃんが?と思いつつも本棚を整理し始める。これは今日中に終わりそうもない。小悪魔が戻るのがもっと遅かったら一体どうなっていたのだろうか。】
(こあちゃ~~~ん、いる~~~ぅ?)
小悪魔「あれ?この声は。」
チルノ「あ、いたいた。」
小悪魔「やっぱりチルノちゃんだったの‥‥え?〇〇さんも?」
〇〇「いや、必ず行くって言ったから早速来ちゃった。」
チルノ「あたいはパチュリーのとこ行くから二人でイチャついてなさいよ。」
小悪魔「チルノちゃん!なにを‥‥‥////」
【小悪魔からパチュリーの居場所を聞き寝室へ向かうチルノ。】
パチェ「来たわね、今解いてあげるわ。」
【今パチュリーが解いたもの、それはチルノにかかってた魔法。】
パチェ「知能を急激に上昇させる魔法、普通の人なら知恵熱で自然発火するけど冷気を操る貴方になら使えるわ。」
チルノ「はぁ、疲れたぁ。頑張ったんだからジュースでもちょうだいよ。ってかそれならレティでも良かったんじゃないの?」
パチェ「彼女にも使えるけど貴方と違って自分の頭だけ局所的に冷やすことはできないのよ。もし彼女に使ってたら辺りは凍死体の山ね。それに貴方はこあと仲がいいでしょ。」
チルノ「あたいは涼しい方がいいけどね。それよりあの二人どうするのよ、熱くて近寄れやしないわ。」
【遠くから二人を見つめるパチュリーとチルノ。二人ともモジモジしててぎこちない。】
パチェ「ふぅ、まったく、世話が焼けるわね。
『モジモジする二人をスムーズにして尚且つ赤髪に仕事を始めさせる方法』は…っと。‥‥‥あった、これね。」
チルノ「そんなのあるの?」
パチェ「私の図書館の本に不可能の文字はそんなに無いわ。」
おわり
12スレ目>>282、304、340、452
───────────────────────────────────────────────────────────
ここは紅魔舘の図書館である
○○「こんにちは~ってあれ?だれもいない?」
タッタッタッタッ
こあ「はぁはぁ、こ、こんにちは○○さん今日はどのようなご用件でしょう?」
○○「こんにちは、こあちゃん。今日はパチュリーさんに呼ばれてきたんだけど……」
こあ「それならこちらへどうぞ」
パチュリー「あら、いらっしゃい。早かったのね」
○○「こんにちはパチュリーさん」
パチュ「小悪魔、紅茶を持ってきて3、いや4人分」
こあ「わかりました。パチュリー様」
そういってこあは台所へ飛んでいった
パチュ「いいかげんにその「パチュリーさん」をやめてくれない?パチェでいいわ」
○○「それならパチュリーさんも小悪魔なんて呼ばないで「こあ」でいいじゃないですか?」
パチュ「……言うようになったじゃない。まぁいいわ、今日はあなたに聞きたいことがあって来てもらったの」
○○「なんですか?」
パチュ「あなたこあk、いや、「こあ」の事が好きなのよね」
○○「……そうですが何か?」
パチュ「そのことを彼女は知っているのかしら?」
○○「片思いってやつですよ。それに彼女を困らせるわけにもいかないし……」
パチュ「というわけでこの人を呼んだわ」
魔理沙「恋色の魔法使い、霧雨魔理沙、参上だぜ!!」
○○「恋色って何色なんですか?」
魔理沙「……お前は痛いところをついてくるな。恋色は恋色だぜ?」
パチュ「……こほん、ということで魔理沙、○○に恋のナンやらを教えてあげて頂戴」
魔理沙「任せろだぜ!!まず、お前はもう少し我がままになった方がいい。相手がほしいなら力ずくだぜ!!」
○○「力ずくって……弾幕じゃないんですから。それに俺がこあをもらっていったらこの図書館に司書がいなくなってしまいますが?」
パチュ「その辺ならどうにかなるわ。また使い魔を召還すればいいだけの話しだし」
魔理沙「というわけだぜ。安心して告白してこい!!」
こあ「紅茶持って来ました~。魔理沙さんいらっしゃい」
魔理沙「ほら言って来い○○!!」
○○「あ、あのさ本を探してるんだけど一緒に探してくれないかな?」
こあ「えっ、あ、いいですけど。じゃ、じゃあ行きましょうか」
二人して図書館の奥の方へ歩いていった
魔理沙「……上手くいったな。これでいいのかパチュリー?」
パチュ「……これでいいのよ。こうした方があの子達にとってもいいはずだわ」
こあ「あ、あの、どの本をお探しですか?」
○○「え、と、俺にでもできそうな魔道書を」
こあ「それなら……向こうの方ですね」
そういってこあは立ち止まった
○○「?どうしたのこあ?」
こあ「あ、あのですね!!ここからだと遠いので、て、手握ってもいいですか?飛んでいけば早いので……」
○○「あ、ああいいよはい」
そういって俺はこあの手をとる
こあ「○○さんの手、暖かいですね……って何言ってるんだろう私!!そ、それじゃあ行きますね」
二人の姿が宙を飛ぶ
こあ「着きました○○さん」
○○「おっとと、ありがとうこあ」
こあ「……そのですね、も、もう少し手を握ってていいですか?」
○○「ん、別にいいよ」
こあ「……」
○○「……」
こあ「……っ……うっ……」
突然こあが泣き始めた
○○「どうしたのこあ?」
こあ「わ、私、あ、あなたに謝らなきゃいけないんです。その、さっきの会話……」
○○「え~と、多分魔理沙さんとパチュリーさんとの会話か」
こあ「その、はじめは聞く気なんてなかったんです。でも話しているのが聞こえちゃって……」
○○「ど、どの辺あたりから聞いてた?」
こあ「え、とパチュリーさまがこあk、って言ってたあたりから……本当にごめんなさい」
○○「……プッ、アハハハハハ!!」
こあ「!?」
○○「ああもう何か吹っ切れたよ。ありがとうこあ」
こあ「えっ、あの……?」
○○「俺はこあのことが好きだ。この幻想郷、いや、世界中で誰よりも愛している。この気持ちはきっといつまでたっても変わらない。そしてこの気持ちをくれたのは君なんだ。だから俺は君の事をずっと愛したい」
こあ「う、嬉しいです○○さん。私も○○さんのことが好きです!!」
○○「あ、あれなんか俺も目から涙が……きっとこあからもらったんだな」
こあ「そうかもしれませんね……私が涙を取ってあげます」
ペロッ
○○「こ、こあ!?」
こあ「ふふっ、これでも一応小悪魔なので♪」
○○「そうだったね、すっかり忘れてた」
こあ「○○さんったらひどいんですから~……さてこれからどうしましょう?」
○○「う~ん、本は後でいいから庭に散歩でも行こうか」
こあ「そうしましょうか♪」
二人は手をつないだまま図書館のドアを開けていった
おまけ
魔理沙「……帰ってこないな」
パチュリー「……そうね」
魔理沙「暇だから私は帰るぜ。ついでにこの本も借りてくぜ」
パチュリー「もってかないでー」
おまけのおまけ
○○の日記
~~~と
こうして僕たちは付き合うことができた
そして僕はこの図書館の司書手伝いとして働いている。……門番よりかは良い待遇である
感謝の気持ちとして魔理沙には貸し出しカード(期限は3ヶ月)をパチェに発行してもらえるように頼んだ
そしてパチュリーのことを、仕事以外ではパチェと呼ぶようにした
おっとこあが呼んでるから行かなくちゃ
えっと続き続き
こあは今では良い奥さんとして一緒に暮らしていて、裕福とまではいかないが暮らしていけるほどの給料をもらっている
そうそう、こあは使い魔として開放されて、自由を手に入れたみたい。でもパチェのことをまだ様付けで呼んでいる
ふうこんなところかな
こあ「○○さ~ん」
○○「どうしたこあ?」
こあ「パチュリー様が結婚式は来週のいつか?って聞いてくるんですけど……」
○○「水曜日って言っておいてくれ。あとこあ、お腹大丈夫か?」
こあ「大丈夫ですよ~。前みたいに飛ぶのは怖いですけど、……今ではあなたがいますし、それにこの子だっています。それに比べれば軽いものですよ」
○○「そうか……うん、そうだよな。さて俺も手伝いを再開しますかな」
こあ「さぁいきましょう。あなた」
○○「うん、行こう!!」
>>うpろだ1036
───────────────────────────────────────────────────────────
○○「おし、今日もイチャスレでも見るか」
トントン
○○「ん、誰かきたお。はーい今出ます」
ガチャ
○○「……え~と小悪魔?」
小悪魔「こ、ここはどこなんですか?あなたは誰ですか?」
○○(今イチャスレでやっているみんなの嫁が現実に出てくる現象だろう……ってマジですか!?)
小悪魔「あ~、あの人(八雲 紫)のせいだな。と、とりあえずあがって下さい」
小悪魔「は、はい お邪魔します」
てな感じであがってもらったのだが……
○○「え~と小悪魔さんですよね?」
小悪魔「そ、そうですが……」
○○「そうだ!聞きたいことがあるんですがいいですか?」
小悪魔「何でしょう?」
○○「向こうのインターネットでこのスレは見れるんですか?」
小悪魔「あ、はい……まさか……だからここに呼ばれたのですか?」
○○「うっ…………ごめんなさい。正直言ってあなたのことが好きです。結婚したいくらいです」
小悪魔「そ、そうですか……」
○○「…………」
小悪魔「………… その答えはまだでいいですか?私はあなたのことをよく知りませんし……」
○○「……そうですよね。その代わり帰れるようになるまで、ここにいてもらっていいですか?」
小悪魔「は、はい、よろしくお願いします。私もお手伝いできることがあったら言ってください」
こうして子悪魔との共同生活が始まったのである
一日目
○○「あっそうだ、小悪魔じゃ呼びにくいからこあでいいかな?」
こあ「いいですよ~あとあなたの名前は何ていうんですか?」
○○「○○って言うんだ。それからこあ?料理できる?」
こあ「あっはいできますよ~パチュリー様のところで練習しましたから」
○○「へぇ、あの動かない大図書館がね~」
こあ「他にもいろいろあるんですよ~パチュリー様ったらね~」
○○(ようやく地になってきたのかな?)
一週間後
○○「あっイチャスレ更新されてる。何々……」
こあ「どうですか?」
○○「ん~どうやら他のイチャスレ住人のところにも嫁と呼ばれる人たちが来ているらしい」
こあ「私だけじゃないんですね……もしかしてパチュリー様もこちらの世界に来ているのかな」
○○「それは……わからないな。どちらかというと「そこまでよ!」って言って仕切る方の人だから」
こあ「そうですね。うふふパチュリー様はそういうお方ですもんね」
一ヵ月後
こあ「ただいまです~ あれ?○○さん?」
○○「……おっ、こあお帰り~」
こあ「このご馳走は……どうしたんですか?」
○○「いや~今日でこあがこっちに来てから一ヶ月だからお祝いをしようかな~なんて。ダメかな?」
こあ「○○さん嬉しいです!……ありがとうございます!」
○○「さっ冷める前に食べよう!」
こあ「はいっ!」
夕食後
こあは台所で後片付けをしている
○○「……なぁこあ?」
こあ「何でしょう○○さん」
○○「こあは寂しくないか?こっちの世界に来て他に知ってる人もいないし」
こあ「……寂しくないといったら嘘になりますね。でも今はですね……」
○○「こあ?」
こあ「はっ!?な、なんでもないですよ!?」
○○「ふふ、おかしなこあ」
こあ(まだ言えませんね。あなたがいるからなんて……)
○○「こあ危ない!!」
こあ「へっ?」
こあの手にあった食器が落ちているのに気づかなかったのだろうか
俺はその瞬間とっさにこあの手をとり抱き寄せた
ガシャーーーーン
○○「こあ大丈夫か!?」
こあ「だ、だいじょうぶです。…………○○さん暖かいです…………」
○○「こあ……」
こあ「わ、私本当は寂しいんです。パチュリー様や咲夜さんもいないし……たまに来る魔理沙さんも最近姿を見ることも出来ないですし……ううう」
○○「こあ、こういうときは泣いていいんだよ」
こあ「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
○○「よしよし」
こあが一通り泣き終わった後
こあ「ありがとうございました○○さん……」
○○「いやっいいって別に、あっ先に風呂入るけどいいかな?」
こあ「はい、私は後片付けの続きをしますんで」
お風呂
○○「ふぅ……こあも寂しがっているようだし、早く向こうの世界に帰れるようにしてもらえないかな……あれ、何か目から汗が」
こあ「○○さんお背中流したいんですけどいいですか~」
○○「はぁ!?ちょっこあ待って待っ」
こあ「えへへ~入ってきちゃいました~」
○○「ちょっ、こあお酒臭い!もしかして……」
確か冷蔵庫の中にお酒が入っていたような……
こあ「うふふ~ほら○○さんお背中流したいんで湯船から出てきてくださいよ~」
○○「そっ、それは!ダメだ!そんなことしたらパチェさんが「そこまでよ!」ってやってくるからダメだーーーー!」
こあ「ほらほらいいじゃないですか~」
○○「うん、もうダメ……」
バタンキュー
こあ「あっあれ○○さん?○○さん!?」
この後の記憶がない
○○「あ、あれ?俺確かお風呂で倒れて……それからえ~と……」
こあ「大丈夫ですか○○さん!」
○○「こあか、俺は……」
こあ「大丈夫です。○○さんが倒れてしまったので急いで運んできたんですよ~」
○○「……運んできた?」
こあ「あっ、そ、その、大丈夫です!裸は見てませんから!」
○○「そ、それならいいけど……ちょっと服着るから部屋の外に出てもらえないかな?」
こあ「は、はい!」
キィー、バタン
こあ(言えない……冷蔵庫開けたらなんか面白いものがあって変に触ってたら中のものが出てきて、それからそれがお酒ってわかって、酔った振りして○○さんと一緒にお風呂入ろうって考えたなんて言えない……)←缶の開け方を知りません
○○「こあもういいぞ~」
こあ「へっは、はい!」
○○「あっこあもパジャマに着替えたんだな」
こあ「えっと○○さんにあ、謝らなくてはいけないことがあるんです!!」
○○「ん、何こあ?」
こあ「実は…冷蔵庫開けたらなんか面白いものがあっ(ry」
○○「……それならいいんだ。俺が冷蔵庫にお酒を入れっぱなしだったのが悪いんだし、でもお風呂に一緒に入ろうっていうのは正直驚いたかな」
こあ「○○さん……ごめんなさい」
○○「いいっていいって、それより、その……一緒にお風呂入りたいときは言ってくれよな。そしたら何かと準備できるから」
こあ「はい……」
○○「ん、そろそろ眠くなってきたな」
こあ「あの~今日は一緒に寝てもいいですか?」
○○「!?」
こあ「あ、あのですね。変な意味じゃなくてその、添い寝というものを……」
○○「ふふっわかったから、おいでこあ」
こあ「……やっぱり○○さんは暖かいです」
○○「そ、そういうこあだって暖かいぞ」
こあ「うふふ、おやすみなさい○○さん」
○○「ああ、おやすみこあ……」
翌日
こあ「う~~~~~ん。おはようございます○○さ……あれ?」
そこには○○さんの姿は無い
こあ「○○さん?○○さん!?」
コンコン
○○「こあ?起きたか?」
こあ「あっ、おはようございます○○さん」
○○「あー朝ごはん作ったから一緒に食べようぜ」
こあ「ふふふ。なんかこうしてると新婚の夫婦みたいですね。……はっ、ご、ごめんなさい○○さん!」
○○(キョトン)
こあ(そうだ、今言わなくちゃ、そうよ、今しかない!!)
こあ「あ、あのですね、○○さん朝ごはんの前に大事なお話があります」
○○「はっ、え、お、うん」
こあ「そのですね。その……い、今なら最初にあったときに質問に答えられると思うのです!わ、私もあなたのことが好きです!
あ、あなたと結婚したいです!」
○○(ポカン)
こあ「そ、その……ダメですか?」
そのとき○○はニッコリと笑った
○○「うれしいよこあ。俺もあのときから気持ちは何一つ変わってない。俺もこあのこと愛している」
こあ「う、嬉しいです○○さん。その……ですね。愛してる証にキスしてほしいです……」
○○「ん、わかった……」
チュッ
唇に触れる程度のキスをした
俺たちにはまだそのくらいでいいと思ったからだ
こあ(~赤面中~)「う~その、そのですね……」
○○「ほ、ほら、こあ朝ごはん冷めちゃうから食べよ!」
こあ「うふふ。○○さんも顔が赤いです~」
○○「そ、そんなことはないぞ、ほ、ほら!」
そういって手を差し伸べてきた
こあ「そうですね、朝ごはん食べましょう!」
そして私はその手を優しく握る
これからもきっと楽しいに違いない
そうこの人となら~きっと~
~Fin~
>>うpろだ1044
───────────────────────────────────────────────────────────
紅魔館の図書館にて、今日は魔女達のお茶会が催されていた。
「なあ、お前達って何か怖いものあるか?」
「唐突ね、魔理沙」
「本当。いきなりどうしたの?」
「いや、ふと気になってさぁ。
人間なら何か一つくらい怖いものってあるもんだろ?」
「私達は人間じゃないのだけど」
「そうね、私は……やっぱり日光かしら」
「それはこの館の主の弱点じゃないの?」
「日焼けしたくないわ。それに本が傷んでしまうし」
「私は虫ね。蝶とか飛蝗みたいなのはいいけど、蜘蛛や百足なんかは駄目だわ」
「虫なんて魔法の材料にしこたま使うのにか?」
「生きてるのが駄目なのよ。あの動き方とかを見ると寒気がするわ」
「あー、そうだな。わたしは雷が嫌いだ」
「魔理沙にしては何か普通ね」
「あのゴロゴロとかいう音が駄目なの?」
「いや、実はこの前な。きのこ狩りの帰りに夕立に遭って、
急いで帰ろう箒で飛ばしてたらこう、ドーンと……な」
「そ、そうだ。小悪魔も何か怖いものってないか?」
「えっ? 私ですか?」
そうですね。怖い、というか……苦手な人なら」
「へえ、小悪魔に苦手な人がね。誰なの?」
「はい、実はその……○○さんです」
「そう言えば貴女。○○が来るたびどこかに姿消していたわね」
「ええ。変な話かとは思いますが、
○○さんと面と向かうとどうしても湧き上がる
感情が抑えきれなくなってしまって。
なので毎回○○さんに会わないよう避けるようにしているんです。
あっ、もうこんな時間に。それでは私はこれで。
何か御用があれば私の部屋までお願いします」
小悪魔は小さく頭を下げると自室に向かって飛び立っていった。
それを見届けた所で、魔理沙がにやりと笑った。
(1時間後、魔理沙は○○を拉致ってきて、
おまけに簀巻きにしてから小悪魔の部屋の前まで連れてきた)
「さあさあ! とりあえずそこの部屋の中に入っておいてくれ」
「あっ、こら待て! ちゃんと説明し――」
そして簀巻きの○○を部屋に放り込み、何かを言い終える前に扉を閉めてしまう。
「魔理沙、貴女も悪趣味ね」
「そういうアリスだって何だかんだで楽しそうじゃないか。
小悪魔の主のパチェリーだって何も言わないしな」
「しっ! 2人とも。中の様子が聞こえないわ」
『えっ? ○、○○さん! 何でここに!?』
『ホント何ででしょうね。こっちが聞きたいくらいだよ』
『あ、いや! 駄目、駄目なんです!』
『いや、何が駄目なんだ?』
酷く慌てた様子の小悪魔と何が何やらといった感じの○○の声。
それを聞いた三人の魔女は一名を覗いて顔にはださないが満足げだ。
「さて、おふざけはこれくらいにしてそろそろ助けてやるか」
「そうね。あんまりいじめちゃ可哀想だし……
って、パチェリー。どうしたの?」
「おかしいわ。この扉、開かない」
確かに、押しても引いても開かない扉。
三人が怪訝に思った所で、中の声に変化が現れた。
『駄目なんです。○○さん、近づかないで下さい』
『は? いや、俺今簀巻きで動けないし。
てか近づいてきてるのは小悪魔のほうだろ?』
『そうですね、ごめんなさい○○さん。ああ、すぐ解いてあげますから』
『おっ、頼む。やけにきつく縛ってあって一人じゃ……
待て、小悪魔。何でお前は自分の服の紐を解いていってるんだ?』
『……あの、苦手なものはやっぱりなくすべきですよね?』
『あ、ああ。まあそうだろう……いや待て! そう無理に克服しないでもいいぞ!!』
『○○さん、いただきます♪』
『アッーーーーーーーー!?』
三人の魔女がなす術無く、しかし立ち去る事もせず
部屋の前で待つこと小一時間。
断続的に響いていた謎の嬌声と悲鳴と激しい物音が止まり、
その扉がゆっくりと開いた。
そこにはやけに肌がつやつやしている小悪魔と、
扉の奥の方で顔を隠して啜り泣いている○○の姿があった。
顔を赤くしている三人の前で、小悪魔はにっこりと微笑んだ。
「実は私、一杯の熱い紅茶も苦手なんです」
うpろだ1297
───────────────────────────────────────────────────────────
――それじゃあ、また。
そう言って彼は帰っていきました。気のせいか図書館の温度が少しだけ下がったような気がします。
ぐるりと辺りを見渡せば、改めてここの広さが実感できます。
今まではそんなこと感じたこともなかったのに。
最初は彼がいることに違和感を感じていたくせに、今では彼がいないことに違和感を感じるなんて。
返すつもりで手に持っていた、さっきまで彼が読んでいた本を胸にそっと抱く。
彼の残滓を少しでも感じていたいと思って。
彼こと○○さんとの出会いに特筆すべきことはありませんでした。
命を救われたとか、殺されかかったとか。そんなことは一切無い、ごくごくありふれた出会いでした。
……まああの黒白もとい魔理沙が連れて来たことから最初はすわ敵襲かとも思いましたがそんなこともなく。
むしろ魔理沙とは真逆というか、なんというか。ともかくまともな常識のある人で、驚いたのは内緒です。
案内をパチュリー様に任されたので、その道すがら自己紹介がてら話を聞いてみればどうも図書館ということで
ここに連れて来られたらしい。
いえ、その、確かにここは図書館という名目になってますけど……。
それに8割くらい魔導書なのに。
そのことを告げると○○さんは「ま、まあ残り2割があるし。これだけ大きいなら2割だってきっとかなりの量だと思うから」
と苦笑いしながら言っていました。
……その2割のうち1割は生きてる本とか呪いの本とかなんですが、黙っておきました。
そんなこんなで彼が読むような本のある場所の行き方と立ち入り禁止エリアの場所を教えてからパチュリー様のところに戻り、
利用するにあたっての注意事項などをパチュリー様から伝えられてとりあえずその日は終わりました。
ちなみに彼らを送ったあとに図書館へ戻ってみると案の定、魔導書の一部がごっそり抜かれていました。
きょ、今日はてっきり○○さんをここに紹介しにきただけだと思ってたのにー!
それから。
○○さんは割と頻繁にここを訪れるようになりました。
もちろん毎日というわけではありませんでしたが暇を見つけては来ている様でした。
パチュリー様がお嬢様に事前に許可を取っていたので侵入者と間違われることもなく。
一度だけ門のところで誤射られたそうですが、その日メイド長に門番はきっちりナイフでハリネズミにされたらしい。
彼は図書館では奥の方の席で、いつも黙々と読書をしていました。
たまに本を返す場所がわからなくなって私に聞きに来ることはありましたが、ほとんどは一人静かに文字を目で追っていました。
静かに時間を刻む針の音だけが耳に届く空間の中に、彼は自然と溶け込んでいて。
個性的なメンバーが多い幻想郷で、彼のような普通さは逆に印象的で。
いつの日からか、私は彼を目で追うようになっていました。
そして時間があれば私は彼と話をするようになっていました。
最初のころは読書の邪魔をしたら悪いかなあと思っていたのですが、いざ話しかけてみれば嫌な顔をすることもなく。
むしろ私との会話を楽しんでくれていた、と思います。
魔理沙と知り合いということもあって割りとノリも良く、けれども私に合わせた話し方をしてくれていました。
なんというか、話すのが上手といいうか。空気が読めるというか。
相手にペースをあわせている、そんな感じでした。
たまにマシンガントークになりかけることもありましたがその度に彼自身が気づいて自制していました。
私もパチュリー様もまったく会話がないわけではないですが、やはり数そのものは多くありません。
だからでしょうか。
パチュリー様にお茶をお出しするときに、彼にも出すのですが、その時にする雑談が私はいつからか楽しみになっていました。
そして、そんなある日のこと。
○○さんとパチュリー様と、私にとってのきっかけになる日のこと。
何てことない彼の、何てことのないありふれた仕草に、私が気付かされ……パチュリー様も気付かされた日のこと。
永きを生きる私達が置き忘れてきたものが、そこにはありました。
人間が生来もっている輝き。だけど人間にはおそらく永遠に気付けない輝き。
それを前にして、私の心臓はトクンと鼓動を刻みます。
トクン、トクンと。いつもとは違うリズムで刻まれる鼓動。
体中が熱を持ち、顔がなんだかとても熱くて。だけどそれが嫌ではなくて。
――ああ、私は彼に恋してるんだなと。
唐突に、そう気付きました。
私が誰かに恋をするなんて思ってもいませんでした。
だからこれは初めての感覚。なのにどうしてかこれは“そう”なんだという確信。
暖かくて、優しくて、どこかくすぐったい不思議な感覚。
けどいつまでも初めての感覚に浸っている場合ではありません。
さっきから私は俯いたままです。
きっと顔を上げて彼の顔を直視したら顔が赤くなってしまいそうでしたがこのままでいるわけにはいきません。
彼は「ありがとう」といってくれたのですから「どういたしまして」くらいは返さなくては……!
湧き上がってくるモノを抑えながらどうにかして私は顔をあげて……私は、後悔しました。
顔を上げた先にあったのは黙り込んでしまった私達に困惑する○○さんの姿と……顔を上気させて彼を見つめる、パチュリー様の姿。
また、私の心臓は鼓動を刻みました。
だけど今度のはさっきのとはまったく別のものでした。
痛い。
痛いんです。
締め付けられるように痛むのです。
心臓ではなく心が。
見えない茨が巻きついたかのように、痛いんです。
……その後のことは覚えていません。
気が付いたら与えられた自室で、わけもわからぬまま私は泣いていました。
理由もわからぬまま何かに押しつぶされるのを耐えるように私は泣いていました。
……いえ、それはきっと嘘ですね。
本当はこの時点で涙の理由に気付いていたんです。
でも、私はわからないフリをしたんです。
そうして今。
私は彼の飛行の練習に付き合っています。
提案したのはパチュリー様。
○○さんは空を飛べないので紅魔館まで来るには魔理沙に連れて来てもらうか、霊夢の護符の力でなんとかここまで来るという方法でした。
だけど魔理沙の場合は必ず対価を要求されますし、魔理沙が来る=魔導書もってかれる=もってかないでー、ですし。
霊夢の護符だって力は確かですけど万能ではありません。
彼自身が飛べるようになれば魔理沙や霊夢の手を借りる必要はなくなりますし、何かと便利です。
それを聞いた時○○さんは「いきなり難易度が跳ね上がったような……」とぼやいていましたが、満更でも無いのは表情から判りました。
彼自身も空を飛んでみたいなあと思っていたようです。
……今日も今日とてまた墜落していますが。
でもね、○○さん。
知っていますか? そんなの全部建前なんですよ?
本当はあなたと霊夢が一緒にいるところを想像したくないだけなんです。
本当はあなたと魔理沙が楽しそうに話しているところ見たくないだけなんです。
私だけを見てほしい。
そんな、ひどく遠まわしな、パチュリー様らしいあなたへの精一杯の愛情表現なんですよ?
そしてそれは私も同じなんです。
私はパチュリー様が好きです。
パチュリー様には幸せになってほしいと心から思っています。
だけど、私はあなたが好きです。
私だけを見てほしい。
私だけにあなたの言葉を聞かせてほしい。
……だけど、私はパチュリー様が好きで、あなたも好きなんです。
感情のベクトルこそ違えど、そこに差なんて無いんです。
私を愛して欲しい、だけど私を愛さないで下さい。
パチュリー様の気持ちに気付いてあげて下さい、だけどパチュリー様の気持ちに気付かないで下さい。
日を追うごとに増えていく矛盾は、茨の蔦となって私の心を締め付けていく。
血を流し続ける私の心は、やがて真紅の花を咲かせるのでしょう。
それでも想う事を止めることはできなくて。
机の引き出しの中には、あの日渡しそびれた不恰好に包装されたチョコレート。
今もなお、私を苛むこの甘い痛みはきっと…………
――あなたがかけた、恋の魔法。
うpろだ1345
───────────────────────────────────────────────────────────
僕の隣で室内だというのにマフラーを手放そうとしない小悪魔が言った。
「そうだね」
僕は本から目を放さないまま軽く同意して、あまり関心を持たなかった。
でも彼女はそんなことお構いなし。
まぁ、いつものことだけど。
「あ、○○さん。雪が降ってますよ!?」
「へぇ」
「そうだ! いいところにいきませんか?」
「いいところ?」
言い出したら聞かないのもいつものこと。
僕はしょうがなく本を閉じて彼女のほうを見る。
その瞳はこれから先にある楽しみを確信している瞳。
「そう、いいところです」
会心の笑み。多分僕はこの笑顔に弱い。
いや、確実に。
「じゃぁいこうか」
「はい!!」
さっきまで寒い寒いといっていたのが嘘みたいに元気になって出かける用意を始める。
お気に入りのマフラーはもちろんそのまま、ミトンタイプの手袋とコートを身に着けて、最後に自分の主に一声掛けてこちらを向く。
「よし、行きましょう!!」
「うん」
図書館を出て館の廊下を歩く。
少ない窓からちらちらと降り注ぐ雪を眺めながら僕は、どこに行くのだろう。と、少しわくわくしながら小悪魔の後をついていく。
広い館を行ったり来たり上ったりしてついたのは屋上。紅魔館の屋上から望む雪景色は確かにすばらしいものだった。
「確かにいいところだね」
「まだ先ですよ~」
そういって僕の手をぎゅっと握ると、小悪魔はふわりと浮かび上がった。
彼女は実に楽しそうに鼻歌を歌いながら僕ごと時計台の上まで飛んでいく。
「…………」
「どうです? 素敵でしょう?」
僕の手を離すと小悪魔は屋根の上に腰を落とした。
僕が同じように隣に座ると、少し恥ずかしそうに笑顔を作って顔を紅くした。
「寒くないの?」
「寒いですけど、雪が好きなんです。だから大丈夫ですよ」
あなたこそ寒くないんですか? と、同じ質問をされる。
「そうだな、僕も平気かな」
「ステキな景色ですねぇ」
にっこり笑う。
「寒いですねー」
「そうだね」
11スレ目>>104
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その本、俺が持つよ
(こぁに対して)
告白じゃないなw
10スレ目>>997
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君に俺の名前の半分をプレゼントしたい
10スレ目>>999
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「一生懸命な君が好きです。」
11スレ目>>981
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始まる前に
括弧無しは小悪魔の心中
丸括弧は心中または小言
【】は地の文
まぁそんな感じで
私は小悪魔。紅魔館の図書館でパチュリー様に仕えています。
パチュリー様ったらいっつもいっつも図書館に居て‥‥‥。たまにはお外に出れば良いのに。
小悪魔「パチュリー様!紅茶持ってきましたよ。」
パチェ「ん、ありがと。ここに置いといて。」
小悪魔「パチュリー様ぁ。たまにはお外にお出かけにならないのですか?」
パチェ「出る必要が無いわ。」
小悪魔「毎日図書館に居たら体に悪いですよ。」
パチェ「あなたは私が不健康に見えるの?‥‥‥ごほごほ。」
小悪魔「見えます。」
パチュリー様の行動は「紅茶、読書、魔道書の執筆、居眠り、トイレ」くらい。たまにお嬢様や咲夜様と食事を取る程度。取ると言ってもパチュリー様は食事を取らなくてもいいので二人に合わせて軽く口に運ぶ程度。
私がパチュリー様にとやかく言う事もできないけど、貧血や喘息が治ればパチュリー様は誰にも負けない魔女になれるに違いないわ。
小悪魔「私はパチュリー様の事を思って言ってるだけです。」
パチェ「‥‥‥。そうね、たまには出てみようかしら。」
小悪魔「!」
パチェ「でも私はここに残るから代わりにこあ、あなたが行ってきて。」
小悪魔「ちょ、それじゃ意味無いじゃないですか!」
パチェ「一回で分かりなさいよ。あなたに休みを与えるわ。」
小悪魔「え、パチュリー様?」
パチェ「あなたたまに外に抜け出してるみたいだけど、いつ見つかるかで心が休まってないでしょ?あなたが居ない間は紅魔館のメイドでも置いとくからしっかり遊んできなさいよ。」
小悪魔「あ、ありがとうございます!そ、それであの~、どのくらい‥‥。」
パチェ「いつまででもいいわ。ただし、必ず戻ってきなさい。図書館のメイドを任せられるのはあなたしか居ないんだから。」
パチュリー様からの意外な言葉に驚いたけど、任せられるのは私しか居ないだなんてそんなに私の事を思っててくれたなんて。
小悪魔「は、はい!必ず戻ってきます。ですから、待っててください!」
パチェ「‥‥‥‥‥死亡フラグ‥‥。」
小悪魔「うっ‥‥だ、大丈夫ですよ。パチュリー様を残して先に死ぬなんてそんなことできません!」
パチェ「じゃあ私が先に死ぬのね。」
小悪魔「パ、パチュリー様ぁ~。」
パチェ「もう、分かったから、さっさと行きなさい。」
小悪魔「あ、は…はい!でわ、行ってきます!」
もう、パチュリー様酷いんだからぁ。でもお茶目なパチュリー様が見れてちょっと得しちゃったかも。
【図書館の通用窓から紅魔館内に移動し、門に向かう小悪魔。門には門番の美鈴が昼寝をしていた。】
小悪魔「あ、美鈴様、お疲れさまです。」
美鈴「う…ん?あ!ひえぇぇ!す、すいません~、サボってませんよぉ~。ってあれ、こあ?ど、どうしたの?」
小悪魔「パチュリー様からお休みを頂いたんです。こるから出掛けようと。」
美鈴「パチュリー様から?5分?10分?」
小悪魔「いえそれが、必ず戻ってくるという条件で無期限なんですが‥‥。」
美鈴「な、なによそれ!私なんか真面目に仕事してるのに休みなんてないのに~。」
小悪魔(今、居眠りしてませんでした?)
美鈴「ん?今何か言った?」
小悪魔「な、何も言ってませんよ!」
美鈴「ま、いっか。気を付けていってらっしゃい。パチュリー様こあの事結構信頼してるみたいだから必ず戻ってくるのよ。」
小悪魔「もちろんですよ。美鈴様もお体にお気を付け頑張ってください!」
【紅魔館を離れどこに向かうか分からない小悪魔を見ながら仕事に戻る美鈴】
美鈴「はぁ、私もこあみたいな部下がいれば楽しく仕事できそうなんだけどなぁ。さてと、もう一眠りするかな。‥‥‥‥すやすや‥‥。」
魔理沙「お!門番の奴またサボってやがるぜ。どこぞのサボタージュより使えねえな。」
霊夢「まあ、居ても居なくても変わらないからいいんじゃない?とりあえずお邪魔するわね。」
【ところ変わって小悪魔。誰からも咎められる心配もなく大空を自由に飛び回ってた。】
小悪魔「うわ~~、気持ち良いわぁ。パチュリー様もくれば良かったのに。」
【しかしあまりにもはしゃぎすきたせいかすぐに疲れてきた。】
小悪魔「はぁ、私も運動不足かしら。ちょっとあそこの湖で休もうっと。」
こんな森の中にも湖があったのね。チルノちゃんがいつもいる湖より大分小さいけど新しい発見ね!
【湖の周囲は3~400mくらい、湖と言うよりは池と言った感じである。】
はぁ、外ってこんなに気持ち良かったっけ。地面に寝そべっても何にもぶつからないなんて。このまま転がって湖一周しちゃおうかしら。
【ごろごろと転がりながら池の周りを廻り始める小悪魔。はた目から見たら精神異常者じゃないかと思われるくらいの勢いで転がっている。】
小悪魔「今の私は誰にも止められないのよぉ!!」
【転がっている途中、ぐるぐる廻る視界の中に青い物体が見えた。】
小悪魔「え!だ、誰?」
うっそ~。こんな姿誰かに見られたらもう私ごろごろできないじゃない!
【転がるのをやめてぐるぐる廻る視界のなか青い物体を集中して見つめる。青い物体の正体、それはチルノだった。】
チルノ「あらあらこあちゃん、何してるの?楽しそうね。」
小悪魔「チ、チルノちゃん?」
まさかのチルノちゃんの登場に驚いて立ち上がった私。だけど勢い良く転がってた所為かクラクラするわ。
チルノ「あ、こあちゃん!危ない!」
どっぼ~~ん!!!
つ、冷たい!まさか落ちちゃった?湖に?は、早く、早く出ないと!!
【平行感覚を失ったうえに突然の池ポチャ。上も下も分からずに水中でもがく小悪魔。チルノもこれは危ない!と直感したが水中で暴れる小悪魔を安全に池から出せるとは思えないとそこだけは冷静に考えていた。】
い、息が‥‥‥く、苦しい‥‥よぉ‥‥‥‥‥。
‥‥た‥‥た‥‥す‥け‥‥‥‥て‥‥‥‥‥‥‥。
・
・
・
・
・
小悪魔「はう!!!だ、誰か!誰か助けて!!チルノちゃん!!!‥‥‥あ、あれ?」
ここは?‥‥布団の中?
ここは?‥‥チルノちゃんの家?
チルノ「あ、起きた!大丈夫?こあちゃん。」
小悪魔「あ、チ、チルノちゃん?私は‥‥。」
チルノ「もう、焦ったわよ。急に池に落ちちゃうんだから。」
小悪魔「チルノちゃんが助けてくれたの?ありがとう。」
チルノ「あたしだけじゃないわよ。」
〇〇「あっ!こあちゃん、起きた?よかったぁ。」
小悪魔「ひゃ!〇〇さん!」
チルノ「近くにいたから手伝ってもらったのよ。いくらあたいが最強だっつってもあんなに転がってる奴は手に余るわ。」
小悪魔「ちょ!チルノちゃん!」
〇〇「え?誰が転がってる?」
チルノ「えっとねぇ、こあちゃんが」
小悪魔「わーーわーーー!!私もう元気よ!!ほらこんなに元気!!‥‥あ、あれれ?」
【チルノの言葉を遮って元気アピールをしながら立ち上がったがまだ気分が悪く立ちくらみを起こしてしまった。そしてそのまま〇〇に向かって倒れこむ。】
〇〇「おっと!まだ気分が優れないんじゃないか?もう少し寝てなよ。」
小悪魔「ひ!あ、ご…ごめんなさい!そ、そのこれは、その、えと‥‥。」
〇〇「俺は大丈夫だから落ち着いて。気分が良くなるまでここで寝てると良いよ。ここは俺んちだから。」
へ?この家は〇〇さんの家?この布団は〇〇さんの布団?これは‥‥‥‥‥。
【布団に倒れるように眠る小悪魔。それを見て〇〇は…。】
〇〇「久しぶりに外に出て疲れちゃったんだろうな。」
チルノ「疲れて寝たというよりは気絶してんじゃないの?」
〇〇「え?そうかなぁ。」
チルノ「とりあえず、あたしは帰るわ。こあちゃんが起きたらあたしの家に来るように言っといて。」
〇〇「お、おう。分かった。」
チルノ「それじゃ、こあちゃん、またね。いい夢見なさいよ、ふふふ。」
【不適な笑みを浮かべ〇〇の家を後にするチルノ。】
────────────
小悪魔「ん、ん~‥‥。」
〇〇「ん、こあちゃん、起きた?」
【小悪魔の声に気付きこたつから体を起こす〇〇。】
小悪魔「んあ、〇〇さん‥‥。ここ、〇〇さんの家?」
〇〇「そうだよ、ゆっくりしていっていいよ。」
はぁ、格好つかないなぁ。せっかく〇〇さんの家に居るのに変な所見られちゃったんだろうなぁ。
あれ?外に干してあるあの服、〇〇さんのかなぁ。でもあんな服、〇〇さんに似合わなそうだけど‥‥。私の服に良く似て‥‥‥。ん?私の服に‥‥私の…私の服!?
小悪魔「あ!あれ!私の服!!?」
〇〇「うん、びちょびちょだったから洗濯して干してるんだよ。」
小悪魔「え、じゃあ今私が着てるのは?」
〇〇「それは俺の浴衣、やっぱりちょっと大きかったかなぁ。」
ちょ、服がびちょびちょって事は下着は‥‥‥‥濡れてない。ってこれは私のじゃないわ。まさか〇〇さん、こんな趣味があったのかしら。
〇〇「あ、その…、下着はチルノが大ちゃんから借りてきたって。それでこあちゃんのはチルノが持って帰ったよ。チルノが『女の子の下着は男に見せるもんじゃない!』って」
小悪魔「で、でも、下着も着替えてあるって事は‥‥‥。」
〇〇「だ、大丈夫だよ!着替えはチルノ一人でやったから俺はそんなに‥‥じゃなくて、全然見てないよ!」
〇〇さんに見られちゃった?うぅ~恥ずかしいよぉ‥‥。
〇〇「そ、そういえばチルノが起きたら家に来てって言ってたよ。下着の事じゃないかな?」
チルノちゃんに一番見られてるからなぁ、行ったら何言われることやら。でも助けてくれた事もあるし下着の事もあるし、行かなきゃ。
【胸元に手をやる小悪魔。彼女は不安になると無意識の内にペンダントを触る癖がある。】
小悪魔「大丈夫かなぁ。‥‥‥あれ、ペンダントは?〇〇さん、私のペンダント知らない?」
〇〇「え?知らないけど…。」
小悪魔「え!うそ!そ、そんな、ペンダント、私のペンダント!どこ?どこなの?」
はっ!まさか湖に落ちたときに落としちゃったの?探しに行かなくちゃ!
小悪魔「〇〇さんありがとう、私、ペンダント探しに行かなくちゃ。」
〇〇「え、あ、ちょっとこあちゃん!」
【浴衣を脱ぎ捨て下着姿のまま庭まで走り干してある自分の服を着る。もう乾いていた。ということは大分時間が経っていたのだろうけど、今の小悪魔にはそんなこと考えてる余裕が無かった。】
〇〇「ちょ、ちょっとそんな格好で!」
〇〇さんに確実に見られちゃった!上下真っ黒ってこれ大ちゃんのよね?あの娘意外と‥‥ってそんな事考えてる場合じゃないわ!
小悪魔「〇〇さんありがとう、それじゃ、もう行くね。」
〇〇「待って!ペンダントは‥‥‥行っちゃった…。」
きっとさっきの湖にあるはずよ。まずはその湖を探さないと。
【池を探すために高くまで飛び上がったがさっきの池は意外にも〇〇の家のすぐ近くにあった。】
あれね、こんなに高く飛ぶ必要なかったわ。
【池に降り立って早速池の中を覗き込む。水は非常に綺麗で透明度も高い、しかしそれでも底が見えないほど深かった。】
ここに落としてたら見つかりそうもないわ。あとは転がってる時に落としたとしか‥‥。
【池の周囲を周りペンダントを探すが見つからない。まさか池の中にと思った瞬間に涙が溢れてきた。】
小悪魔「私の…ペンダント‥‥、〇〇さんがくれた…ペンダント…、〇〇さんが‥‥‥うっ、うぅっ、うえ~~~ん!ペンダントないよぉ!え~~ん、え~~~~ん!」
〇〇「あ、いた!ってどうしたの!?」
小悪魔「えぇ~~ん、〇〇さんに…〇〇さんにもらった‥‥ひぐっ…ペンダント、なくしちゃったのぉ‥‥うえぇ~~~ん!」
【〇〇に抱きついて泣き叫ぶ小悪魔。その頭をやさしく撫でる〇〇。】
小悪魔「え~~ぇん、ごめんなさい!‥‥私、うぐっ‥‥私、せっかく〇〇さんが‥‥ぅえぇ~ん。」
〇〇「そ、その、ごめん!ペンダント‥‥‥ここにあるんだ…。」
小悪魔「えぇ~ん‥‥ひぐっ…うぐっ‥‥え、わ、私の‥‥‥ペンダント?‥‥ひっく…。」
〇〇「そう、チルノちゃんが『そのペンダント隠しておけば面白いものが見れる』って‥‥‥、でもまさかこんなことになるとは…ごめん!」
小悪魔「私の…うぅ、…〇〇さんからもらったペンダント‥‥あったのね‥‥。よ、よかったぁ…うっく。」
〇〇「ごめん、本当にごめん!」
小悪魔「見つかったんだからいいですよ。‥‥‥‥あ!私の方こそごめんなさい!…抱きついちゃったりして‥‥。」
〇〇「え、あ…あぁ…いいよ、気にしないで。」
小悪魔「その、えっと‥‥あ、そうだ!チルノちゃんが呼んでたんだよね。私行かなくちゃ。」
【振り返ってチルノの家に向かおうとする小悪魔。その小悪魔の手を引き、引き止める〇〇。】
小悪魔「ひゃ!え、どうしたの?」
〇〇「体冷えちゃったでしょ?俺の家行ってあったまってからにしようよ。それにこあちゃん、チルノの家わからないでしょ?俺が途中まで一緒に行ってあげるから‥‥。」
小悪魔「〇〇さん‥‥‥。じゃ、じゃあお言葉に甘えちゃおっかな、えへへ。」
【手をつないで〇〇の家に向かう二人。その姿を木の影から見ているものが一人。】
チルノ「ふふ、計画通りってやつね‥‥。」
─────────────
【手をつなぎながら〇〇の家に向かう二人。小悪魔は顔を赤らめ俯いたまま〇〇のやや後ろを歩いている。】
はぁ、さっき思いっきり泣いちゃったし〇〇さんに抱き付いちゃったし私の気持ちなんてお見通しよね。
【家に着いて〇〇がお茶を出す。二人きりでうれしいはずなのだが今は少しでも早くここから逃げ出したい気持ちの小悪魔。そこで話を切り出した。】
小悪魔「あの、そ、そろそろ行かないと、チルノちゃんに悪いし…。」
〇〇「もう行っちゃうの?もっとゆっくりしていっても構わないけど‥‥。そういえば大分時間経っちゃったね。チルノも心配してるかな?いや、チルノならそんな事思わないかもね。」
【ちょっと熱いがお茶を飲み干し立ち上がる小悪魔。〇〇も途中まで送ると言ったので立ち上がる。】
〇〇「こっちこっち、この辺は暗くなると迷いやすくて危ないからまだ明るいうちに向かった方がいいよ。」
小悪魔「あ、ありがと。」
【さっきみたいに手をつなげず、少し離れて後ろからついていく小悪魔。数分歩いたところで〇〇が前方を指差す。】
〇〇「ここを真っすぐ行くと大きくて太い木があるからその木まで行ったら右ね。すぐ近くにチルノの家があるはずだから。」
小悪魔「ありがと‥‥、そ、それじゃ。」
【足早に立ち去ろうとする小悪魔の後ろから声をかける〇〇。】
〇〇「まさかこあちゃんがあのペンダント持っててくれたなんてうれしいよ。またいつでもうちに来ていいからね。ってかその…また来てね。」
小悪魔「え?あ、はい!また必ず来ます!」
【〇〇が言った言葉に〇〇との距離を遠ざけていた自分が惨めに思えた小悪魔。自分の事を気にかけてくれる〇〇の言葉に先程までの小悪魔は消え去りすっかり元通りの小悪魔へと戻った。】
小悪魔「〇〇さん、ありがとう。また来ますからねぇ。」
〇〇「なんだか、元気になったみたいだな。よかったよかった。それじゃ、気を付けて。」
もう、私ったら馬鹿ね。自分で思い込んで自分で落ち込ませて、〇〇さんは何も悪くないのにね。
【そう自分に言い聞かせチルノの家へ向かう。】
確かこの木の右側ね。‥‥‥あれかしら?この辺だと家って言ったらあれくらいしか…。
【森の中にたたずむログ調の小屋、これがチルノの家だ。】
小悪魔「チルノちゃ~ん。来たわよ~。」
チルノ「もう、遅いわよ!〇〇と何してたのよ。」
小悪魔「べ、別に何も…。」
チルノ「まぁ、とりあえず入りなさいよ。」
【チルノに促されるまま家に入る小悪魔。中は割とすっきりしていてチルノの性格からは想像もできないほどきれいにまとまっている。】
小悪魔「きれいな家ねぇ。ここチルノちゃんの家よね?」
チルノ「その言い方ちょっと失礼じゃない?こあちゃん。まぁ、あたしの家じゃないけど。」
小悪魔「え?どういうこと?」
チルノ「大ちゃんの家なんだけど今大ちゃんいないから借りてるだけなのよ。」
小悪魔「へぇ~。」
【なぜ居ないのか、気になったが野暮な事は聞かないようにした。なにか訳ありなんだろうと自己解釈しその話題は終わった。】
小悪魔「それで、呼び出した理由は一体何?」
チルノ「〇〇の事に決まってるでしょ。こあちゃん、〇〇の事好きなんでしょ?」
【突然のチルノの言葉に固まる小悪魔。アイシクルフォールとかパーフェクトフリーズとかそんなチャチな物では断じてない。まるで小悪魔の時間だけが止まっているかのように完全に固まっている。】
チルノ「だからお手伝いしてあげようと思ってね。‥‥って固まりすぎよ!」
小悪魔「‥‥‥‥‥。」
チルノ「まったく、そのくらいの演技であたしが騙せるとでも思ってるの?」
小悪魔「‥‥‥‥‥。」
バタッ
【突然倒れる小悪魔。気絶しているのか、虚ろな目をしながら何やらぶつぶつと呟いている。】
チルノ「ちょっと!しっかりしなさいよ!」
【体を激しく揺すり意識を戻させるチルノ。そのかいあってか小悪魔はどっかの世界から戻ってきた。】
小悪魔「はっ!わ、私は‥‥。」
チルノ「もう、好きなんでしょって言っただけなのに何考えてたのよ。」
小悪魔「あ、そ…その事は〇〇さんには…?」
チルノ「まだ言ってないわよ。」
【依然、固まったまま目が泳いでいる。そこでチルノは…。】
パチン!
小悪魔「きゃっ!」
【小悪魔の頬を軽くはたいた。】
小悪魔「チ、チルノちゃん!なにするの?」
チルノ「しっかりしなさいって、そんなんじゃ逃げられちゃうわよ。」
小悪魔「で、でも。そんな急にこ、告白とかそんな。」
チルノ「お、割と聞いてたのね。それに急じゃないでしょ?こあちゃんは今日〇〇に会って今日〇〇が好きになったわけじゃないでしょ?」
【チルノの一言に納得して話を聞き入る小悪魔。しかし、その心は不安でいっぱいだ。なぜならこっちがその気でも相手には興味が無かったら意味が無いのだから。】
チルノ「大丈夫よ、ちゃんと手は打ってあるから。」
小悪魔「何をしたの?」
チルノ「起きた時、ペンダントが無くなってたでしょ?あれは‥‥。」
小悪魔「そ、そうだわ!なんてことしてくれたのよ!もう、下着姿は見られちゃったし泣き姿も見られちゃったし挙げ句の果てには抱き付いちゃったし‥‥しくしく。」
チルノ「ちゃんと最後まで聞きなさい!その下着姿が大事なのよ。こあちゃんが今付けてる下着、ただの下着じゃないのよ。」
【チルノの言葉に目の色を変えて聞き入っている。普通の下着じゃない?それが大切なこと?】
チルノ「その下着、ちょっとした催眠効果があってね‥‥。」
小悪魔「私の事好きになるとか?でもそんなので付き合っても…。」
チルノ「だ~か~らぁ、最後まで聞きなさいって!で、その催眠効果なんだけど、その人を好きになるとかじゃなくて『潜在意識を呼び覚まし強調させる』効果があるの。」
【よくわからない様子の小悪魔。潜在意識?それを強調?そうするとどうなるの?】
チルノ「そうねぇ、簡単に説明できるかしら。たとえばリンゴとミカンがあるとする。両方同じくらい好き。でも過去にリンゴで嫌な事、ミカンで良い事があった時、この効果をかけるとリンゴは嫌いでミカンがすごく好きになるの。」
小悪魔「え、じゃあ、まさか‥‥。」
チルノ「わかった?つまり心のどこかで〇〇がこあちゃんに好意をもってればこあちゃんが好きになる。逆なら嫌いにってこと。」
【ふと〇〇さんと居た時の事を思い出す。まさか、そんな、私なんかを…。】
チルノ「心当たりがあるみたいね。」
小悪魔「あ、そうだ、下着返さないと。洗って返すから待ってて、それと私のは?」
チルノ「その下着はいつでもいいけど、それとこあちゃんの下着は〇〇の家よ。持って帰ったって言っておいたけど本当は洗面台に置いてきたわ。」
小悪魔「見つけられちゃったらどうするのよ!」
チルノ「まぁ、確実に見つかるでしょうね。その時の反応が、〇〇の性格からして『洗って干しておきたかったけどこあちゃんの許可無しに触れない』って感じだったらもう告白しちゃって良いと思うわ。」
それは言うなれば、次に〇〇さんの家に行ったときに私の運命が変わると、大袈裟かもしれないけどそういう事。どちらに転んでも私は受け入れるしかない。もし悪い方に転んでしまったら私はこの先どうすれば…。
チルノ「今日はもう暗くなっちゃったしここに泊まって明日行けば?〇〇に夜は危ない、とか言われたんじゃない?」
小悪魔「…うん。」
チルノ「こあちゃん、良い方向に進んでるわよ。」
小悪魔「‥‥‥‥‥。」
【顔を真っ赤にして俯く、まさか本当に、という気持ちがあるがその反面本当は自分の空回りだったら、と思うとうれしい気持ちも吹き飛んでしまう。そんな気持ちの上下で不安定ながら今は平均して0の気持ちだ。】
チルノ「それじゃ、今日は一緒に寝てあげよっか?」
小悪魔「へ?一緒に?」
チルノ「恐いでしょ?明日になるのが。一人で寝て泣かれるのも困るし。」
小悪魔「…うん。一緒に寝て。」
【布団を一つだけ敷いて一緒に寝始める。】
小悪魔「‥‥‥‥うぅ、‥‥しくしく‥‥‥。」
チルノ「やっぱり泣くとは思ったけどね。‥‥よしよし。」
【小悪魔の頭を撫でながら仲良く眠りについた。】
【翌朝、小悪魔が目を覚ますと隣にチルノの姿はなかった。】
小悪魔「ん、チルノちゃん?」
【周りを見渡しても呼んでも返事が無い。どうやら家の中には居ないようだ。】
小悪魔「どこ行ったのかなぁ。」
【起き上がろうと手を付いたときに枕が濡れているのに気付く。ついでに自分の両目も。】
小悪魔「あれ、これ。私の…涙?私泣いてたの?」
【自覚していなかったがどうやら自分は泣いていたんだと理解した。そして昨日の夜、チルノから聞いた催眠効果の事も思い出した。】
そうだわ、今日、〇〇さんの家に行った時に覚悟を決めなくちゃ。せっかくチルノちゃんが作ってくれた機会だもの。
チルノ「ただいまぁ、あ、起きたのね。」
小悪魔「あ、おはよう、チルノちゃん。どこに行ってたの?」
チルノ「魚採ってきたのよ、朝食べるの。」
小悪魔「チルノちゃん、釣りできたっけ?」
チルノ「やったことないわよ。罠仕掛けて採ったのよ。」
チルノちゃん、罠作れるんだ。すごいなぁ。
【採ってきた魚を特に工夫することもなく塩焼きにするチルノ。でも今の小悪魔にその姿は眩しく輝いていた。】
チルノちゃんが料理(?)してるなんて、私チルノちゃんの事、ちょっと誤解してたかもしれないわ。人の事なんか気にしない性格だと思ってたけど…。
チルノ「こんなのだけど、どうぞ。」
小悪魔「ありがとう。いただきます。」
うん。焼き魚だわ。普通の焼き魚だけど昨日のチルノちゃんの事を考えるとなんだか心がこもっているみたい。
【一通り食べ終え一緒に片付けをする。片付けをしている最中、チルノが話し始めた。】
チルノ「こあちゃん、分かってるわよね。今日は〇〇の所に行くんでしょ?」
小悪魔「う、うん。でも不安だわ、本当にあの言葉は私に好意を持ってる言葉なのかな?って。」
チルノ「自信持ちなさいよ!〇〇は自分の事が好きなんだ!って思わないと上手く行くものも失敗しちゃうわよ。」
【チルノの言葉に頷く小悪魔。自信を持つ事は大切だが、やはり不安は拭えない。もしダメだったら…という気持ちが心の隅に生まれてきてしまう。】
チルノ「さ、片付けも終わった事だし、さっそく向かうわよ。」
小悪魔「え?もう?」
チルノ「善は急げって言うでしょ?」
小悪魔「善、なのかな?」
【チルノと一緒に〇〇の家に向かう。家に近付くたびに高鳴る鼓動を抑えようと深呼吸したり遠くを見つめてみたりするが、効果は無い。】
あぁ~、一体なんて言えばいいのかしら。ストレートに好きです?それともお友達から?控えめにこれからもよろしく?
【何か考え事をすると時間の経過が早くなるもので、気が付いたら〇〇の家の前に着いていた。】
チルノ「あたしにできるのはここまで。後はこあちゃんの問題ね。」
小悪魔「うん…、頑張ってみるね。」
【玄関の前に立って大きく深呼吸を三回。そして声をかける。】
小悪魔「〇、〇〇さ~ん‥‥いますか?」
〇〇「は~い、あ、こあちゃん。おはよう。」
【いつもと変わらぬ〇〇の姿に少し安心する小悪魔。】
小悪魔「お、おはよう‥‥ございます。」
〇〇「ほらほら、上がっていいよ。」
小悪魔「そ、それじゃあ、お邪魔します。」
【ぎこちなく家に上がる小悪魔。和室に案内されこたつに入ってるよう言われる。】
〇〇「今、お茶持ってくるよ。」
小悪魔「あ、いや、そんな…差し支えなく‥…。」
〇〇「ん、ん~‥‥。」
【緊張しているせいか言葉遣いが普段と異なって妙に丁寧になってしまった小悪魔。とりあえずお茶を持ってきて話しを始める〇〇。】
〇〇「その、あのさぁ、一つ言っておかなきゃならないからさ…。」
小悪魔「あ、え?ど、どうしたの?」
〇〇「昨日のペンダントの事、チルノちゃんに言われたとはいえあんなになるとは思わなかったし、あんなに大切にしてくれてたなんて…。だから、ごめん。そしてありがとう。」
小悪魔「そ、そんな!私は〇〇さんからもらった大切なペンダントだからあの時は必死で…。」
〇〇「だからうれしいんだよ。」
そんなこと言われちゃったら私もうれしくなっちゃうよ。今度は私が言わなくちゃ。
小悪魔「あ、あの。〇〇さん。」
〇〇「ん?なに?」
小悪魔「私も今、言っておきたい事があるんだけど、いいかな?」
〇〇「うん、いいよ。」
落ち着け、落ち着くのよ私。落ち着いて順番に話していけばきっと大丈夫。
小悪魔「あの、私‥‥〇〇さんと…お友達に‥‥‥なりたいの。」
〇〇「‥‥‥もう、友達だと思ってたのは俺だけ?」
小悪魔「え、わ…私と、お友達だって思ってくれてたの?」
〇〇「ずっと前から友達だと思ってたよ。俺の中ではこあちゃんが一番の友達。というか友達少ないけどね、はは。」
〇〇さんがお友達だって思っててくれたのに私ったら何やってるのかしら!だったらもっと思い切って言わなくちゃ。
小悪魔「そ、それじゃあ、お…お友達‥‥以上は?」
〇〇「恋人って事?」
小悪魔「ひゃ!そ、そんな大それた事は!ま、まだ早すぎるわ!」
〇〇「そう?俺はその…。」
小悪魔「えっとその‥‥‥、恋…人‥‥だなんて言葉にしたら…、あの…その…。だ、だから、お友達からゆっくり‥‥、い…いい関係を‥‥‥ね?」
せっかくのチャンスなのに私ったら何言っちゃってるの。これじゃあ、私の方から距離を置いてるみたいじゃない。
〇〇「それじゃぁ、今度からもっと図書館に行っていいかな?」
小悪魔「え、あ、うん。待ってる。私も…〇〇さんに会いに来ても‥‥いいかしら?」
〇〇「パチュリーに叱られないようにな。」
小悪魔「ありがとう。あの、それじゃ‥‥そろそろ、帰るね。ま、また‥‥‥会いましょ。」
〇〇「うん、絶対行くから。」
小悪魔「‥‥‥///」
【赤くなった顔を隠すように俯いて〇〇の家を出る小悪魔。外に待ってたチルノが一言。】
チルノ「その顔は上手くいったみたいね。」
小悪魔「うん…まぁ、ゆっくりと‥‥だけどね。あの、チルノちゃん‥‥‥ありがとうね。」
チルノ「いいのよ。あたいは幸せになってく二人が見れればね。」
小悪魔「色々あったけど、結果が良ければ大丈夫よね。そろそろ戻るわ。機会があったらいつでも図書館にきてね。」
チルノ「門番がいるんじゃないの?」
小悪魔「私の友達って言えば大丈夫だと思うよ。ダメだったら私が作った秘密の入り口があるから。」
チルノ「あんたが作ったのなんてもうバレてるんじゃないの?」
【他愛もない会話を軽くしてチルノは森へ、小悪魔は紅魔館へと戻った。】
紅魔館
小悪魔「パチュリー様!ただいま戻りました!…ってこれは一体!?」
【図書館に入ると館内中に2、30を超えるメイド、給湯室にも3人のメイドがいた。】
パチェ「早かったわね、こあ。もっとゆっくりしてきても良かったのに。」
小悪魔「パチュリー様、これは一体どういうことですか?こんなにメイドの皆さんが…。」
【メイドの一人が紅茶を持ってきた。テーブルに置かれた紅茶を眉間にしわを寄せながら飲むパチュリー。】
パチェ「これくらい居ないと貴方の代わりは補えないのよ。‥‥まだ補えてないけど。」
小悪魔「それはありがたいですが…。」
パチェ「貴方達、こあが来たからもう戻っていいわよ。」
【ぞろぞろと図書館中から出入口に集まってくるメイド達。図書館を出ながらしきりにお礼を言ってくる。】
「こあ様、ありがとうございます。」
「お早いお帰り、感謝いたします。」
「お羽、伸ばせましたか?こっちはもう‥‥あ、いやその、なんでもないです。ありがとうございます。」
【なんだか良く分からないが擦れ違うたびにお礼を言われる。そんなに早く帰ってきたことがうれしいのだろうか。】
小悪魔「パチュリー様、何かなされたんですか?」
パチェ「さぁ?」
私には分かるわ。パチュリー様が怒るときに発するあの魔力、あれを感じてたに違いないわ。確かに図書館の仕事って私しかしてないから普通のメイドには大変かもしれないけど、あんなに怯えるまで怒らなくても…。
パチェ「部屋に戻るわ。紅茶をおねがい。」
小悪魔「あ、はい。」
【部屋というか本棚に囲まれた一角にパチュリーの寝室のような部屋がある。紅茶をいれて寝室に向かう小悪魔。本棚の本の並びがバラバラになっているのを見るとこれからの仕事の多さに肩を落とす。】
小悪魔「お持ちしました。」
パチェ「とりあえずそこに置いといて。それでこあ、貴方にはこれから週一度休みを与えるわ。」
小悪魔「え!?どうしたんですか、急に!」
パチェ「貴方の顔を見れば一発よ。早く図書館から出てある場所に行きたいって顔。」
小悪魔「私、そんな具体的な顔してるんですか?」
【持っている本をパラパラとめくるパチュリー。】
パチェ「ここに書いてあるわ。
そんな顔をするのは普段から長時間の拘束を強いている証拠。一週間に一日くらいは暇を与えてはどうだろうかってね。」
小悪魔「それはうれしいんですが、パチュリー様はいいんですか?また図書館中にメイドを置くんですか?」
パチェ「咲夜に任せるわ。まだ彼女の方がマシね。貴方程ではないけど。」
小悪魔「そんな、咲夜様よりだなんて!」
パチェ「図書館の中でのみよ。」
小悪魔「それはそうですが…。」
【咲夜より上だと言われ焦るが図書館内のみと言われ落ち着きを取り戻す小悪魔。それでもうれしいことには変わりはないのだが…。】
パチェ「それと、チルノが尋ねてきたら通してちょうだい。」
小悪魔「え?チルノちゃんが?はぁ、わかりました。では仕事に戻りますね。」
【なんでチルノちゃんが?と思いつつも本棚を整理し始める。これは今日中に終わりそうもない。小悪魔が戻るのがもっと遅かったら一体どうなっていたのだろうか。】
(こあちゃ~~~ん、いる~~~ぅ?)
小悪魔「あれ?この声は。」
チルノ「あ、いたいた。」
小悪魔「やっぱりチルノちゃんだったの‥‥え?〇〇さんも?」
〇〇「いや、必ず行くって言ったから早速来ちゃった。」
チルノ「あたいはパチュリーのとこ行くから二人でイチャついてなさいよ。」
小悪魔「チルノちゃん!なにを‥‥‥////」
【小悪魔からパチュリーの居場所を聞き寝室へ向かうチルノ。】
パチェ「来たわね、今解いてあげるわ。」
【今パチュリーが解いたもの、それはチルノにかかってた魔法。】
パチェ「知能を急激に上昇させる魔法、普通の人なら知恵熱で自然発火するけど冷気を操る貴方になら使えるわ。」
チルノ「はぁ、疲れたぁ。頑張ったんだからジュースでもちょうだいよ。ってかそれならレティでも良かったんじゃないの?」
パチェ「彼女にも使えるけど貴方と違って自分の頭だけ局所的に冷やすことはできないのよ。もし彼女に使ってたら辺りは凍死体の山ね。それに貴方はこあと仲がいいでしょ。」
チルノ「あたいは涼しい方がいいけどね。それよりあの二人どうするのよ、熱くて近寄れやしないわ。」
【遠くから二人を見つめるパチュリーとチルノ。二人ともモジモジしててぎこちない。】
パチェ「ふぅ、まったく、世話が焼けるわね。
『モジモジする二人をスムーズにして尚且つ赤髪に仕事を始めさせる方法』は…っと。‥‥‥あった、これね。」
チルノ「そんなのあるの?」
パチェ「私の図書館の本に不可能の文字はそんなに無いわ。」
おわり
12スレ目>>282、304、340、452
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ここは紅魔舘の図書館である
○○「こんにちは~ってあれ?だれもいない?」
タッタッタッタッ
こあ「はぁはぁ、こ、こんにちは○○さん今日はどのようなご用件でしょう?」
○○「こんにちは、こあちゃん。今日はパチュリーさんに呼ばれてきたんだけど……」
こあ「それならこちらへどうぞ」
パチュリー「あら、いらっしゃい。早かったのね」
○○「こんにちはパチュリーさん」
パチュ「小悪魔、紅茶を持ってきて3、いや4人分」
こあ「わかりました。パチュリー様」
そういってこあは台所へ飛んでいった
パチュ「いいかげんにその「パチュリーさん」をやめてくれない?パチェでいいわ」
○○「それならパチュリーさんも小悪魔なんて呼ばないで「こあ」でいいじゃないですか?」
パチュ「……言うようになったじゃない。まぁいいわ、今日はあなたに聞きたいことがあって来てもらったの」
○○「なんですか?」
パチュ「あなたこあk、いや、「こあ」の事が好きなのよね」
○○「……そうですが何か?」
パチュ「そのことを彼女は知っているのかしら?」
○○「片思いってやつですよ。それに彼女を困らせるわけにもいかないし……」
パチュ「というわけでこの人を呼んだわ」
魔理沙「恋色の魔法使い、霧雨魔理沙、参上だぜ!!」
○○「恋色って何色なんですか?」
魔理沙「……お前は痛いところをついてくるな。恋色は恋色だぜ?」
パチュ「……こほん、ということで魔理沙、○○に恋のナンやらを教えてあげて頂戴」
魔理沙「任せろだぜ!!まず、お前はもう少し我がままになった方がいい。相手がほしいなら力ずくだぜ!!」
○○「力ずくって……弾幕じゃないんですから。それに俺がこあをもらっていったらこの図書館に司書がいなくなってしまいますが?」
パチュ「その辺ならどうにかなるわ。また使い魔を召還すればいいだけの話しだし」
魔理沙「というわけだぜ。安心して告白してこい!!」
こあ「紅茶持って来ました~。魔理沙さんいらっしゃい」
魔理沙「ほら言って来い○○!!」
○○「あ、あのさ本を探してるんだけど一緒に探してくれないかな?」
こあ「えっ、あ、いいですけど。じゃ、じゃあ行きましょうか」
二人して図書館の奥の方へ歩いていった
魔理沙「……上手くいったな。これでいいのかパチュリー?」
パチュ「……これでいいのよ。こうした方があの子達にとってもいいはずだわ」
こあ「あ、あの、どの本をお探しですか?」
○○「え、と、俺にでもできそうな魔道書を」
こあ「それなら……向こうの方ですね」
そういってこあは立ち止まった
○○「?どうしたのこあ?」
こあ「あ、あのですね!!ここからだと遠いので、て、手握ってもいいですか?飛んでいけば早いので……」
○○「あ、ああいいよはい」
そういって俺はこあの手をとる
こあ「○○さんの手、暖かいですね……って何言ってるんだろう私!!そ、それじゃあ行きますね」
二人の姿が宙を飛ぶ
こあ「着きました○○さん」
○○「おっとと、ありがとうこあ」
こあ「……そのですね、も、もう少し手を握ってていいですか?」
○○「ん、別にいいよ」
こあ「……」
○○「……」
こあ「……っ……うっ……」
突然こあが泣き始めた
○○「どうしたのこあ?」
こあ「わ、私、あ、あなたに謝らなきゃいけないんです。その、さっきの会話……」
○○「え~と、多分魔理沙さんとパチュリーさんとの会話か」
こあ「その、はじめは聞く気なんてなかったんです。でも話しているのが聞こえちゃって……」
○○「ど、どの辺あたりから聞いてた?」
こあ「え、とパチュリーさまがこあk、って言ってたあたりから……本当にごめんなさい」
○○「……プッ、アハハハハハ!!」
こあ「!?」
○○「ああもう何か吹っ切れたよ。ありがとうこあ」
こあ「えっ、あの……?」
○○「俺はこあのことが好きだ。この幻想郷、いや、世界中で誰よりも愛している。この気持ちはきっといつまでたっても変わらない。そしてこの気持ちをくれたのは君なんだ。だから俺は君の事をずっと愛したい」
こあ「う、嬉しいです○○さん。私も○○さんのことが好きです!!」
○○「あ、あれなんか俺も目から涙が……きっとこあからもらったんだな」
こあ「そうかもしれませんね……私が涙を取ってあげます」
ペロッ
○○「こ、こあ!?」
こあ「ふふっ、これでも一応小悪魔なので♪」
○○「そうだったね、すっかり忘れてた」
こあ「○○さんったらひどいんですから~……さてこれからどうしましょう?」
○○「う~ん、本は後でいいから庭に散歩でも行こうか」
こあ「そうしましょうか♪」
二人は手をつないだまま図書館のドアを開けていった
おまけ
魔理沙「……帰ってこないな」
パチュリー「……そうね」
魔理沙「暇だから私は帰るぜ。ついでにこの本も借りてくぜ」
パチュリー「もってかないでー」
おまけのおまけ
○○の日記
~~~と
こうして僕たちは付き合うことができた
そして僕はこの図書館の司書手伝いとして働いている。……門番よりかは良い待遇である
感謝の気持ちとして魔理沙には貸し出しカード(期限は3ヶ月)をパチェに発行してもらえるように頼んだ
そしてパチュリーのことを、仕事以外ではパチェと呼ぶようにした
おっとこあが呼んでるから行かなくちゃ
えっと続き続き
こあは今では良い奥さんとして一緒に暮らしていて、裕福とまではいかないが暮らしていけるほどの給料をもらっている
そうそう、こあは使い魔として開放されて、自由を手に入れたみたい。でもパチェのことをまだ様付けで呼んでいる
ふうこんなところかな
こあ「○○さ~ん」
○○「どうしたこあ?」
こあ「パチュリー様が結婚式は来週のいつか?って聞いてくるんですけど……」
○○「水曜日って言っておいてくれ。あとこあ、お腹大丈夫か?」
こあ「大丈夫ですよ~。前みたいに飛ぶのは怖いですけど、……今ではあなたがいますし、それにこの子だっています。それに比べれば軽いものですよ」
○○「そうか……うん、そうだよな。さて俺も手伝いを再開しますかな」
こあ「さぁいきましょう。あなた」
○○「うん、行こう!!」
>>うpろだ1036
───────────────────────────────────────────────────────────
○○「おし、今日もイチャスレでも見るか」
トントン
○○「ん、誰かきたお。はーい今出ます」
ガチャ
○○「……え~と小悪魔?」
小悪魔「こ、ここはどこなんですか?あなたは誰ですか?」
○○(今イチャスレでやっているみんなの嫁が現実に出てくる現象だろう……ってマジですか!?)
小悪魔「あ~、あの人(八雲 紫)のせいだな。と、とりあえずあがって下さい」
小悪魔「は、はい お邪魔します」
てな感じであがってもらったのだが……
○○「え~と小悪魔さんですよね?」
小悪魔「そ、そうですが……」
○○「そうだ!聞きたいことがあるんですがいいですか?」
小悪魔「何でしょう?」
○○「向こうのインターネットでこのスレは見れるんですか?」
小悪魔「あ、はい……まさか……だからここに呼ばれたのですか?」
○○「うっ…………ごめんなさい。正直言ってあなたのことが好きです。結婚したいくらいです」
小悪魔「そ、そうですか……」
○○「…………」
小悪魔「………… その答えはまだでいいですか?私はあなたのことをよく知りませんし……」
○○「……そうですよね。その代わり帰れるようになるまで、ここにいてもらっていいですか?」
小悪魔「は、はい、よろしくお願いします。私もお手伝いできることがあったら言ってください」
こうして子悪魔との共同生活が始まったのである
一日目
○○「あっそうだ、小悪魔じゃ呼びにくいからこあでいいかな?」
こあ「いいですよ~あとあなたの名前は何ていうんですか?」
○○「○○って言うんだ。それからこあ?料理できる?」
こあ「あっはいできますよ~パチュリー様のところで練習しましたから」
○○「へぇ、あの動かない大図書館がね~」
こあ「他にもいろいろあるんですよ~パチュリー様ったらね~」
○○(ようやく地になってきたのかな?)
一週間後
○○「あっイチャスレ更新されてる。何々……」
こあ「どうですか?」
○○「ん~どうやら他のイチャスレ住人のところにも嫁と呼ばれる人たちが来ているらしい」
こあ「私だけじゃないんですね……もしかしてパチュリー様もこちらの世界に来ているのかな」
○○「それは……わからないな。どちらかというと「そこまでよ!」って言って仕切る方の人だから」
こあ「そうですね。うふふパチュリー様はそういうお方ですもんね」
一ヵ月後
こあ「ただいまです~ あれ?○○さん?」
○○「……おっ、こあお帰り~」
こあ「このご馳走は……どうしたんですか?」
○○「いや~今日でこあがこっちに来てから一ヶ月だからお祝いをしようかな~なんて。ダメかな?」
こあ「○○さん嬉しいです!……ありがとうございます!」
○○「さっ冷める前に食べよう!」
こあ「はいっ!」
夕食後
こあは台所で後片付けをしている
○○「……なぁこあ?」
こあ「何でしょう○○さん」
○○「こあは寂しくないか?こっちの世界に来て他に知ってる人もいないし」
こあ「……寂しくないといったら嘘になりますね。でも今はですね……」
○○「こあ?」
こあ「はっ!?な、なんでもないですよ!?」
○○「ふふ、おかしなこあ」
こあ(まだ言えませんね。あなたがいるからなんて……)
○○「こあ危ない!!」
こあ「へっ?」
こあの手にあった食器が落ちているのに気づかなかったのだろうか
俺はその瞬間とっさにこあの手をとり抱き寄せた
ガシャーーーーン
○○「こあ大丈夫か!?」
こあ「だ、だいじょうぶです。…………○○さん暖かいです…………」
○○「こあ……」
こあ「わ、私本当は寂しいんです。パチュリー様や咲夜さんもいないし……たまに来る魔理沙さんも最近姿を見ることも出来ないですし……ううう」
○○「こあ、こういうときは泣いていいんだよ」
こあ「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
○○「よしよし」
こあが一通り泣き終わった後
こあ「ありがとうございました○○さん……」
○○「いやっいいって別に、あっ先に風呂入るけどいいかな?」
こあ「はい、私は後片付けの続きをしますんで」
お風呂
○○「ふぅ……こあも寂しがっているようだし、早く向こうの世界に帰れるようにしてもらえないかな……あれ、何か目から汗が」
こあ「○○さんお背中流したいんですけどいいですか~」
○○「はぁ!?ちょっこあ待って待っ」
こあ「えへへ~入ってきちゃいました~」
○○「ちょっ、こあお酒臭い!もしかして……」
確か冷蔵庫の中にお酒が入っていたような……
こあ「うふふ~ほら○○さんお背中流したいんで湯船から出てきてくださいよ~」
○○「そっ、それは!ダメだ!そんなことしたらパチェさんが「そこまでよ!」ってやってくるからダメだーーーー!」
こあ「ほらほらいいじゃないですか~」
○○「うん、もうダメ……」
バタンキュー
こあ「あっあれ○○さん?○○さん!?」
この後の記憶がない
○○「あ、あれ?俺確かお風呂で倒れて……それからえ~と……」
こあ「大丈夫ですか○○さん!」
○○「こあか、俺は……」
こあ「大丈夫です。○○さんが倒れてしまったので急いで運んできたんですよ~」
○○「……運んできた?」
こあ「あっ、そ、その、大丈夫です!裸は見てませんから!」
○○「そ、それならいいけど……ちょっと服着るから部屋の外に出てもらえないかな?」
こあ「は、はい!」
キィー、バタン
こあ(言えない……冷蔵庫開けたらなんか面白いものがあって変に触ってたら中のものが出てきて、それからそれがお酒ってわかって、酔った振りして○○さんと一緒にお風呂入ろうって考えたなんて言えない……)←缶の開け方を知りません
○○「こあもういいぞ~」
こあ「へっは、はい!」
○○「あっこあもパジャマに着替えたんだな」
こあ「えっと○○さんにあ、謝らなくてはいけないことがあるんです!!」
○○「ん、何こあ?」
こあ「実は…冷蔵庫開けたらなんか面白いものがあっ(ry」
○○「……それならいいんだ。俺が冷蔵庫にお酒を入れっぱなしだったのが悪いんだし、でもお風呂に一緒に入ろうっていうのは正直驚いたかな」
こあ「○○さん……ごめんなさい」
○○「いいっていいって、それより、その……一緒にお風呂入りたいときは言ってくれよな。そしたら何かと準備できるから」
こあ「はい……」
○○「ん、そろそろ眠くなってきたな」
こあ「あの~今日は一緒に寝てもいいですか?」
○○「!?」
こあ「あ、あのですね。変な意味じゃなくてその、添い寝というものを……」
○○「ふふっわかったから、おいでこあ」
こあ「……やっぱり○○さんは暖かいです」
○○「そ、そういうこあだって暖かいぞ」
こあ「うふふ、おやすみなさい○○さん」
○○「ああ、おやすみこあ……」
翌日
こあ「う~~~~~ん。おはようございます○○さ……あれ?」
そこには○○さんの姿は無い
こあ「○○さん?○○さん!?」
コンコン
○○「こあ?起きたか?」
こあ「あっ、おはようございます○○さん」
○○「あー朝ごはん作ったから一緒に食べようぜ」
こあ「ふふふ。なんかこうしてると新婚の夫婦みたいですね。……はっ、ご、ごめんなさい○○さん!」
○○(キョトン)
こあ(そうだ、今言わなくちゃ、そうよ、今しかない!!)
こあ「あ、あのですね、○○さん朝ごはんの前に大事なお話があります」
○○「はっ、え、お、うん」
こあ「そのですね。その……い、今なら最初にあったときに質問に答えられると思うのです!わ、私もあなたのことが好きです!
あ、あなたと結婚したいです!」
○○(ポカン)
こあ「そ、その……ダメですか?」
そのとき○○はニッコリと笑った
○○「うれしいよこあ。俺もあのときから気持ちは何一つ変わってない。俺もこあのこと愛している」
こあ「う、嬉しいです○○さん。その……ですね。愛してる証にキスしてほしいです……」
○○「ん、わかった……」
チュッ
唇に触れる程度のキスをした
俺たちにはまだそのくらいでいいと思ったからだ
こあ(~赤面中~)「う~その、そのですね……」
○○「ほ、ほら、こあ朝ごはん冷めちゃうから食べよ!」
こあ「うふふ。○○さんも顔が赤いです~」
○○「そ、そんなことはないぞ、ほ、ほら!」
そういって手を差し伸べてきた
こあ「そうですね、朝ごはん食べましょう!」
そして私はその手を優しく握る
これからもきっと楽しいに違いない
そうこの人となら~きっと~
~Fin~
>>うpろだ1044
───────────────────────────────────────────────────────────
紅魔館の図書館にて、今日は魔女達のお茶会が催されていた。
「なあ、お前達って何か怖いものあるか?」
「唐突ね、魔理沙」
「本当。いきなりどうしたの?」
「いや、ふと気になってさぁ。
人間なら何か一つくらい怖いものってあるもんだろ?」
「私達は人間じゃないのだけど」
「そうね、私は……やっぱり日光かしら」
「それはこの館の主の弱点じゃないの?」
「日焼けしたくないわ。それに本が傷んでしまうし」
「私は虫ね。蝶とか飛蝗みたいなのはいいけど、蜘蛛や百足なんかは駄目だわ」
「虫なんて魔法の材料にしこたま使うのにか?」
「生きてるのが駄目なのよ。あの動き方とかを見ると寒気がするわ」
「あー、そうだな。わたしは雷が嫌いだ」
「魔理沙にしては何か普通ね」
「あのゴロゴロとかいう音が駄目なの?」
「いや、実はこの前な。きのこ狩りの帰りに夕立に遭って、
急いで帰ろう箒で飛ばしてたらこう、ドーンと……な」
「そ、そうだ。小悪魔も何か怖いものってないか?」
「えっ? 私ですか?」
そうですね。怖い、というか……苦手な人なら」
「へえ、小悪魔に苦手な人がね。誰なの?」
「はい、実はその……○○さんです」
「そう言えば貴女。○○が来るたびどこかに姿消していたわね」
「ええ。変な話かとは思いますが、
○○さんと面と向かうとどうしても湧き上がる
感情が抑えきれなくなってしまって。
なので毎回○○さんに会わないよう避けるようにしているんです。
あっ、もうこんな時間に。それでは私はこれで。
何か御用があれば私の部屋までお願いします」
小悪魔は小さく頭を下げると自室に向かって飛び立っていった。
それを見届けた所で、魔理沙がにやりと笑った。
(1時間後、魔理沙は○○を拉致ってきて、
おまけに簀巻きにしてから小悪魔の部屋の前まで連れてきた)
「さあさあ! とりあえずそこの部屋の中に入っておいてくれ」
「あっ、こら待て! ちゃんと説明し――」
そして簀巻きの○○を部屋に放り込み、何かを言い終える前に扉を閉めてしまう。
「魔理沙、貴女も悪趣味ね」
「そういうアリスだって何だかんだで楽しそうじゃないか。
小悪魔の主のパチェリーだって何も言わないしな」
「しっ! 2人とも。中の様子が聞こえないわ」
『えっ? ○、○○さん! 何でここに!?』
『ホント何ででしょうね。こっちが聞きたいくらいだよ』
『あ、いや! 駄目、駄目なんです!』
『いや、何が駄目なんだ?』
酷く慌てた様子の小悪魔と何が何やらといった感じの○○の声。
それを聞いた三人の魔女は一名を覗いて顔にはださないが満足げだ。
「さて、おふざけはこれくらいにしてそろそろ助けてやるか」
「そうね。あんまりいじめちゃ可哀想だし……
って、パチェリー。どうしたの?」
「おかしいわ。この扉、開かない」
確かに、押しても引いても開かない扉。
三人が怪訝に思った所で、中の声に変化が現れた。
『駄目なんです。○○さん、近づかないで下さい』
『は? いや、俺今簀巻きで動けないし。
てか近づいてきてるのは小悪魔のほうだろ?』
『そうですね、ごめんなさい○○さん。ああ、すぐ解いてあげますから』
『おっ、頼む。やけにきつく縛ってあって一人じゃ……
待て、小悪魔。何でお前は自分の服の紐を解いていってるんだ?』
『……あの、苦手なものはやっぱりなくすべきですよね?』
『あ、ああ。まあそうだろう……いや待て! そう無理に克服しないでもいいぞ!!』
『○○さん、いただきます♪』
『アッーーーーーーーー!?』
三人の魔女がなす術無く、しかし立ち去る事もせず
部屋の前で待つこと小一時間。
断続的に響いていた謎の嬌声と悲鳴と激しい物音が止まり、
その扉がゆっくりと開いた。
そこにはやけに肌がつやつやしている小悪魔と、
扉の奥の方で顔を隠して啜り泣いている○○の姿があった。
顔を赤くしている三人の前で、小悪魔はにっこりと微笑んだ。
「実は私、一杯の熱い紅茶も苦手なんです」
うpろだ1297
───────────────────────────────────────────────────────────
――それじゃあ、また。
そう言って彼は帰っていきました。気のせいか図書館の温度が少しだけ下がったような気がします。
ぐるりと辺りを見渡せば、改めてここの広さが実感できます。
今まではそんなこと感じたこともなかったのに。
最初は彼がいることに違和感を感じていたくせに、今では彼がいないことに違和感を感じるなんて。
返すつもりで手に持っていた、さっきまで彼が読んでいた本を胸にそっと抱く。
彼の残滓を少しでも感じていたいと思って。
彼こと○○さんとの出会いに特筆すべきことはありませんでした。
命を救われたとか、殺されかかったとか。そんなことは一切無い、ごくごくありふれた出会いでした。
……まああの黒白もとい魔理沙が連れて来たことから最初はすわ敵襲かとも思いましたがそんなこともなく。
むしろ魔理沙とは真逆というか、なんというか。ともかくまともな常識のある人で、驚いたのは内緒です。
案内をパチュリー様に任されたので、その道すがら自己紹介がてら話を聞いてみればどうも図書館ということで
ここに連れて来られたらしい。
いえ、その、確かにここは図書館という名目になってますけど……。
それに8割くらい魔導書なのに。
そのことを告げると○○さんは「ま、まあ残り2割があるし。これだけ大きいなら2割だってきっとかなりの量だと思うから」
と苦笑いしながら言っていました。
……その2割のうち1割は生きてる本とか呪いの本とかなんですが、黙っておきました。
そんなこんなで彼が読むような本のある場所の行き方と立ち入り禁止エリアの場所を教えてからパチュリー様のところに戻り、
利用するにあたっての注意事項などをパチュリー様から伝えられてとりあえずその日は終わりました。
ちなみに彼らを送ったあとに図書館へ戻ってみると案の定、魔導書の一部がごっそり抜かれていました。
きょ、今日はてっきり○○さんをここに紹介しにきただけだと思ってたのにー!
それから。
○○さんは割と頻繁にここを訪れるようになりました。
もちろん毎日というわけではありませんでしたが暇を見つけては来ている様でした。
パチュリー様がお嬢様に事前に許可を取っていたので侵入者と間違われることもなく。
一度だけ門のところで誤射られたそうですが、その日メイド長に門番はきっちりナイフでハリネズミにされたらしい。
彼は図書館では奥の方の席で、いつも黙々と読書をしていました。
たまに本を返す場所がわからなくなって私に聞きに来ることはありましたが、ほとんどは一人静かに文字を目で追っていました。
静かに時間を刻む針の音だけが耳に届く空間の中に、彼は自然と溶け込んでいて。
個性的なメンバーが多い幻想郷で、彼のような普通さは逆に印象的で。
いつの日からか、私は彼を目で追うようになっていました。
そして時間があれば私は彼と話をするようになっていました。
最初のころは読書の邪魔をしたら悪いかなあと思っていたのですが、いざ話しかけてみれば嫌な顔をすることもなく。
むしろ私との会話を楽しんでくれていた、と思います。
魔理沙と知り合いということもあって割りとノリも良く、けれども私に合わせた話し方をしてくれていました。
なんというか、話すのが上手といいうか。空気が読めるというか。
相手にペースをあわせている、そんな感じでした。
たまにマシンガントークになりかけることもありましたがその度に彼自身が気づいて自制していました。
私もパチュリー様もまったく会話がないわけではないですが、やはり数そのものは多くありません。
だからでしょうか。
パチュリー様にお茶をお出しするときに、彼にも出すのですが、その時にする雑談が私はいつからか楽しみになっていました。
そして、そんなある日のこと。
○○さんとパチュリー様と、私にとってのきっかけになる日のこと。
何てことない彼の、何てことのないありふれた仕草に、私が気付かされ……パチュリー様も気付かされた日のこと。
永きを生きる私達が置き忘れてきたものが、そこにはありました。
人間が生来もっている輝き。だけど人間にはおそらく永遠に気付けない輝き。
それを前にして、私の心臓はトクンと鼓動を刻みます。
トクン、トクンと。いつもとは違うリズムで刻まれる鼓動。
体中が熱を持ち、顔がなんだかとても熱くて。だけどそれが嫌ではなくて。
――ああ、私は彼に恋してるんだなと。
唐突に、そう気付きました。
私が誰かに恋をするなんて思ってもいませんでした。
だからこれは初めての感覚。なのにどうしてかこれは“そう”なんだという確信。
暖かくて、優しくて、どこかくすぐったい不思議な感覚。
けどいつまでも初めての感覚に浸っている場合ではありません。
さっきから私は俯いたままです。
きっと顔を上げて彼の顔を直視したら顔が赤くなってしまいそうでしたがこのままでいるわけにはいきません。
彼は「ありがとう」といってくれたのですから「どういたしまして」くらいは返さなくては……!
湧き上がってくるモノを抑えながらどうにかして私は顔をあげて……私は、後悔しました。
顔を上げた先にあったのは黙り込んでしまった私達に困惑する○○さんの姿と……顔を上気させて彼を見つめる、パチュリー様の姿。
また、私の心臓は鼓動を刻みました。
だけど今度のはさっきのとはまったく別のものでした。
痛い。
痛いんです。
締め付けられるように痛むのです。
心臓ではなく心が。
見えない茨が巻きついたかのように、痛いんです。
……その後のことは覚えていません。
気が付いたら与えられた自室で、わけもわからぬまま私は泣いていました。
理由もわからぬまま何かに押しつぶされるのを耐えるように私は泣いていました。
……いえ、それはきっと嘘ですね。
本当はこの時点で涙の理由に気付いていたんです。
でも、私はわからないフリをしたんです。
そうして今。
私は彼の飛行の練習に付き合っています。
提案したのはパチュリー様。
○○さんは空を飛べないので紅魔館まで来るには魔理沙に連れて来てもらうか、霊夢の護符の力でなんとかここまで来るという方法でした。
だけど魔理沙の場合は必ず対価を要求されますし、魔理沙が来る=魔導書もってかれる=もってかないでー、ですし。
霊夢の護符だって力は確かですけど万能ではありません。
彼自身が飛べるようになれば魔理沙や霊夢の手を借りる必要はなくなりますし、何かと便利です。
それを聞いた時○○さんは「いきなり難易度が跳ね上がったような……」とぼやいていましたが、満更でも無いのは表情から判りました。
彼自身も空を飛んでみたいなあと思っていたようです。
……今日も今日とてまた墜落していますが。
でもね、○○さん。
知っていますか? そんなの全部建前なんですよ?
本当はあなたと霊夢が一緒にいるところを想像したくないだけなんです。
本当はあなたと魔理沙が楽しそうに話しているところ見たくないだけなんです。
私だけを見てほしい。
そんな、ひどく遠まわしな、パチュリー様らしいあなたへの精一杯の愛情表現なんですよ?
そしてそれは私も同じなんです。
私はパチュリー様が好きです。
パチュリー様には幸せになってほしいと心から思っています。
だけど、私はあなたが好きです。
私だけを見てほしい。
私だけにあなたの言葉を聞かせてほしい。
……だけど、私はパチュリー様が好きで、あなたも好きなんです。
感情のベクトルこそ違えど、そこに差なんて無いんです。
私を愛して欲しい、だけど私を愛さないで下さい。
パチュリー様の気持ちに気付いてあげて下さい、だけどパチュリー様の気持ちに気付かないで下さい。
日を追うごとに増えていく矛盾は、茨の蔦となって私の心を締め付けていく。
血を流し続ける私の心は、やがて真紅の花を咲かせるのでしょう。
それでも想う事を止めることはできなくて。
机の引き出しの中には、あの日渡しそびれた不恰好に包装されたチョコレート。
今もなお、私を苛むこの甘い痛みはきっと…………
――あなたがかけた、恋の魔法。
うpろだ1345
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