仮面ライダー衝撃(インパルス)第五話
「変身!」
シンはバイクに乗ったまま叫び、灰色の、そして青のインパルスへとその身を変えた。
満月が街を照らす中、インパルスを乗せたマシンスプレンダーが疾走する。
インパルスの赤い目は、前方をまっすぐに見据えていた。
シンはバイクに乗ったまま叫び、灰色の、そして青のインパルスへとその身を変えた。
満月が街を照らす中、インパルスを乗せたマシンスプレンダーが疾走する。
インパルスの赤い目は、前方をまっすぐに見据えていた。
インパルスの見据える夜空には、何者かが飛行していた。
白と赤の鳥のような姿をしている、硬質の皮膚をまとった謎の飛行物体。
警察ではいまだ未確認のMS、後にムラサメ、と呼ばれることになるものの変化した姿だ。
ムラサメ飛行態はかなりの速さで飛行しているが、マシンスプレンダーを全く引き離すことができない。
白と赤の鳥のような姿をしている、硬質の皮膚をまとった謎の飛行物体。
警察ではいまだ未確認のMS、後にムラサメ、と呼ばれることになるものの変化した姿だ。
ムラサメ飛行態はかなりの速さで飛行しているが、マシンスプレンダーを全く引き離すことができない。
ムラサメは武器として、圧縮した生体エネルギーを光弾として撃ちだす特殊な光弾銃、俗にいうビームライフルを持っているが、飛行態のときには前方に固定されているので、後ろを狙い撃つことはできない。
上昇したムラサメは人型に変化した。
ムラサメの姿は、四年前に確認されたMSの中ではM1に似ている。
人間に似た二つの目、赤い二本角と、頭部の意匠はインパルスにも通じるものがある。
背中に翼を生やし、右手に銃を、左手には盾を持っている。
ムラサメは右手の銃をインパルスへと向けた。
上昇したムラサメは人型に変化した。
ムラサメの姿は、四年前に確認されたMSの中ではM1に似ている。
人間に似た二つの目、赤い二本角と、頭部の意匠はインパルスにも通じるものがある。
背中に翼を生やし、右手に銃を、左手には盾を持っている。
ムラサメは右手の銃をインパルスへと向けた。
「……くっ!」
シンはマシンスプレンダーを巧みに操り、二度、三度と連発して放たれる光弾をかわしながら呻いた。
飛行態から人型へと変化したことでスピードは格段に落ちたが、次々と放たれる銃撃をかわさなければならないため、追跡は困難になっている。
スピードで振り切るのではなく、牽制しつつインパルスをまく方法を選んだムラサメは、右手の銃を撃ちながら、さらに上昇している。
このままでは、逃げられるのは時間の問題だ。
どうする……、あんな高度じゃ、ジャンプしたところで到底届かない。どうすればいい!?
シンは徐々に焦燥を深めていく。三日前の深夜に例の奇妙な気配を感知してから三日三晩寝ないで探し続け、やっと捉えた相手だ。何より、奴を逃がせば犠牲者が出るに違いない。
何としても逃がすわけにはいかない。
だが、そんなシンの思いと裏腹に、ムラサメの姿は徐々に小さくなっていく。
シンの知る限り、インパルスに飛行能力はない。空中への攻撃手段もないのだ。
シンはマシンスプレンダーを巧みに操り、二度、三度と連発して放たれる光弾をかわしながら呻いた。
飛行態から人型へと変化したことでスピードは格段に落ちたが、次々と放たれる銃撃をかわさなければならないため、追跡は困難になっている。
スピードで振り切るのではなく、牽制しつつインパルスをまく方法を選んだムラサメは、右手の銃を撃ちながら、さらに上昇している。
このままでは、逃げられるのは時間の問題だ。
どうする……、あんな高度じゃ、ジャンプしたところで到底届かない。どうすればいい!?
シンは徐々に焦燥を深めていく。三日前の深夜に例の奇妙な気配を感知してから三日三晩寝ないで探し続け、やっと捉えた相手だ。何より、奴を逃がせば犠牲者が出るに違いない。
何としても逃がすわけにはいかない。
だが、そんなシンの思いと裏腹に、ムラサメの姿は徐々に小さくなっていく。
シンの知る限り、インパルスに飛行能力はない。空中への攻撃手段もないのだ。
「うわあぁっ!」
進行方向の道路が光弾を受け、アスファルトの破片を撒き散らして吹き飛んだ。その余波で、マシンスプレンダーは横滑りになってしまう。
シンは急いでバイクを立て直すが、ムラサメの姿はもはや闇夜へ溶け込む寸前だ。
進行方向の道路が光弾を受け、アスファルトの破片を撒き散らして吹き飛んだ。その余波で、マシンスプレンダーは横滑りになってしまう。
シンは急いでバイクを立て直すが、ムラサメの姿はもはや闇夜へ溶け込む寸前だ。
くそっ!このままじゃ!
この際、多少無茶な方法でもやるしかない。
幸い、ムラサメはもう逃げ切れたと思っているのか、銃撃はない。
インパルスはマシンスプレンダーの加速性能をフルに発揮させ、いっきに最高速までもっていく。その先には、車が路上駐車されていた。
シンはそれを見ても全くスピードを落とさず、まっすぐに突っ込んでいった。
衝突するかと思われた次の瞬間、インパルスを乗せたマシンスプレンダーは宙へ舞い上がっていた。
シンは車をジャンプ台代わりにして、マシンスプレンダーを跳躍させたのだ。踏み台にされた車のボンネットはへこんでいる。
極限まで加速させて飛び込んだおかげで、バイクはムラサメへと迫るほど高く跳躍できた。
ムラサメは慌てたようにマシンスプレンダーへととっさに光弾を放った。エネルギーの波動が、マシンスプレンダーへと直撃し、火花を散らせる。
ムラサメは確かな手応えを感じ、優越感をもってそれを見た。だが、そこにあったのはバイクだけで、インパルスの姿はなかった。
バイクの後部が多少へこんでいた。
この際、多少無茶な方法でもやるしかない。
幸い、ムラサメはもう逃げ切れたと思っているのか、銃撃はない。
インパルスはマシンスプレンダーの加速性能をフルに発揮させ、いっきに最高速までもっていく。その先には、車が路上駐車されていた。
シンはそれを見ても全くスピードを落とさず、まっすぐに突っ込んでいった。
衝突するかと思われた次の瞬間、インパルスを乗せたマシンスプレンダーは宙へ舞い上がっていた。
シンは車をジャンプ台代わりにして、マシンスプレンダーを跳躍させたのだ。踏み台にされた車のボンネットはへこんでいる。
極限まで加速させて飛び込んだおかげで、バイクはムラサメへと迫るほど高く跳躍できた。
ムラサメは慌てたようにマシンスプレンダーへととっさに光弾を放った。エネルギーの波動が、マシンスプレンダーへと直撃し、火花を散らせる。
ムラサメは確かな手応えを感じ、優越感をもってそれを見た。だが、そこにあったのはバイクだけで、インパルスの姿はなかった。
バイクの後部が多少へこんでいた。
動揺したムラサメは、目の前が突然暗くなったのに更に驚き、上を見上げた。インパルスが月明かりを遮りつつ、すぐそこまで迫っている。
シンはムラサメに撃たれる直前にバイクから跳び上がっていた。この二段ジャンプにより、ついにムラサメを超える跳躍をすることができた。
インパルスはムラサメの肩を掴み、ベルトの力を込めた拳の一撃をムラサメの背中へと叩き込んだ。付根に直撃を受けたムラサメの片翼が、宙に舞う。
ムラサメは身軽で飛行能力を持つ分、表皮の強度は弱い。
インパルスの拳は背中の皮膚を貫き、骨格をも破壊、内部にまで届いた。
インパルスはムラサメの肩を掴んだ左手を突き放して、拳を引き抜いた。そのまま体勢を変え、ムラサメを蹴り飛ばす。
ムラサメはインパルスと離れるように落下、地面に激突する直前で断末魔の叫びを上げ爆発、四散した。
インパルスはアスファルトの破片を巻き上げながら着地する。アスファルトの道路が陥没した。
シンは同じように着地したマシンスプレンダーにまたがり、その場を後にした。
自分を見つめる視線があったことには、気付かなかった。
シンはムラサメに撃たれる直前にバイクから跳び上がっていた。この二段ジャンプにより、ついにムラサメを超える跳躍をすることができた。
インパルスはムラサメの肩を掴み、ベルトの力を込めた拳の一撃をムラサメの背中へと叩き込んだ。付根に直撃を受けたムラサメの片翼が、宙に舞う。
ムラサメは身軽で飛行能力を持つ分、表皮の強度は弱い。
インパルスの拳は背中の皮膚を貫き、骨格をも破壊、内部にまで届いた。
インパルスはムラサメの肩を掴んだ左手を突き放して、拳を引き抜いた。そのまま体勢を変え、ムラサメを蹴り飛ばす。
ムラサメはインパルスと離れるように落下、地面に激突する直前で断末魔の叫びを上げ爆発、四散した。
インパルスはアスファルトの破片を巻き上げながら着地する。アスファルトの道路が陥没した。
シンは同じように着地したマシンスプレンダーにまたがり、その場を後にした。
自分を見つめる視線があったことには、気付かなかった。
雲ひとつない、抜けるような青空に、歓声が響き渡る。
敷地の中央には巨大な観覧車が回り、ジェットコースターのレールが南北に横断している。
地上ではマスコットのぬいぐるみが風船を配っている。
つい最近新装されたばかりの遊園地、アルテミスランドだ。
今日はキャラクターショーがあるせいか、平日にもかかわらずかなりにぎわっている。
親子連れが多いが、もう一部の学校は春休み中でもあるので、学生も少なからずいた。
今入園したばかりの六人連れも、そんなグループの一つだった。
敷地の中央には巨大な観覧車が回り、ジェットコースターのレールが南北に横断している。
地上ではマスコットのぬいぐるみが風船を配っている。
つい最近新装されたばかりの遊園地、アルテミスランドだ。
今日はキャラクターショーがあるせいか、平日にもかかわらずかなりにぎわっている。
親子連れが多いが、もう一部の学校は春休み中でもあるので、学生も少なからずいた。
今入園したばかりの六人連れも、そんなグループの一つだった。
「さあ、遊ぶわよ!」
入園して開口一番、ルナマリアはそう宣言した。見るからに元気が有り余っている。
ほかの面子も、パンフレットを開いたり、一日フリーパス券をまじまじと眺めたりと、一人を除いておおむね張り切っている。
そんな中唯一、シンだけは日の光にまぶしそうに眼を細め、あくびをしていた。
「なあに冴えない顔してんだよ」
ヨウランが、後ろからいきなりシンにヘッドロックをかけた。シンは両手をじたばたさせるが、ヴィーノまでがヨウランに加勢してきたので、抜け出せない。
「うわ、何すんだよ!」
「せっかく遊びに来たってのに、つまんなそうな顔してるからだよ!」
「そうだそうだ、もっと楽しめ!」
「うぐぐ、こんなんで楽しめるかぁ!」
二人がかりを見かねたレイが、三人を引き離した。
「もうその辺でいいだろう。シンは体調が悪い。少しゆっくりさせてやれ」
入園して開口一番、ルナマリアはそう宣言した。見るからに元気が有り余っている。
ほかの面子も、パンフレットを開いたり、一日フリーパス券をまじまじと眺めたりと、一人を除いておおむね張り切っている。
そんな中唯一、シンだけは日の光にまぶしそうに眼を細め、あくびをしていた。
「なあに冴えない顔してんだよ」
ヨウランが、後ろからいきなりシンにヘッドロックをかけた。シンは両手をじたばたさせるが、ヴィーノまでがヨウランに加勢してきたので、抜け出せない。
「うわ、何すんだよ!」
「せっかく遊びに来たってのに、つまんなそうな顔してるからだよ!」
「そうだそうだ、もっと楽しめ!」
「うぐぐ、こんなんで楽しめるかぁ!」
二人がかりを見かねたレイが、三人を引き離した。
「もうその辺でいいだろう。シンは体調が悪い。少しゆっくりさせてやれ」
先日の大掃除のとき、シンはMSの気配を感じ、バイクで飛び出した。そのMSは何とか倒せたが、家に帰ったときにはもう掃除はほとんど終わっていた。
結果的に大掃除をサボったことになる。事情を察したレイは何も言わなかったが、シンはルナマリアたちにこっぴどく叱られた。
そのお詫びとしてシンは、遊園地「アルテミスランド」への入園料と一日フリーパス券代をおごる羽目になったのだ。「そうよね。こんな馬鹿なことしてないで、まずは……あ、あれ。待ち時間なしだって!」
ルナマリアの指差したのは、「光に挑む速さ!」というキャッチフレーズで人気のジェットコースター、プラズマ百式だった。
「俺はいいよ。今日はちょっと……」
「情けないこと言わないの。はい、一名さまごあんな~い」
「おい、ルナ!わかった。わかったからから服を引っ張るな!」
結果的に大掃除をサボったことになる。事情を察したレイは何も言わなかったが、シンはルナマリアたちにこっぴどく叱られた。
そのお詫びとしてシンは、遊園地「アルテミスランド」への入園料と一日フリーパス券代をおごる羽目になったのだ。「そうよね。こんな馬鹿なことしてないで、まずは……あ、あれ。待ち時間なしだって!」
ルナマリアの指差したのは、「光に挑む速さ!」というキャッチフレーズで人気のジェットコースター、プラズマ百式だった。
「俺はいいよ。今日はちょっと……」
「情けないこと言わないの。はい、一名さまごあんな~い」
「おい、ルナ!わかった。わかったからから服を引っ張るな!」
結局シンとルナマリアだけがプラズマ百式に乗った。
二人は金色のジェットコースターの一番前の席に座った。
二人は金色のジェットコースターの一番前の席に座った。
「キャアアア!」
「ウワアアァァァァ!」
「ウワアアァァァァ!」
「う、うう……」
「だらしないわねえ。ジェットコースターくらいで」
ベンチに横たわって呻いているシンを、ルナマリアがハンカチで仰ぎながら言った。
「バイクは平気なのにね」
「そりゃ、自分で動かすのとは違……うぅぅ」
顔を上げてメイリンに反論しようとしたが、また気持ち悪くなって横になった。
「あのシンが乗り物酔いする何てなあ」
「ホントホント」
「まあ、あのジェットコースターもすごかったのは確かだけど」
「そんなにすごいの?」
「う~ん、光の速さってのはめちゃくちゃだけど、それでも今までに乗った中では一番かも。ものすごい回ってたし、速かったし」
「そうなんだ。私、乗らなくてよかった」
「そうね。メイリンじゃ気絶しちゃうかも」
「え~。お姉ちゃん、ひどい」
シンとしては、寝不足の疲労坤狽であれ乗ってみろ、と大声で叫びたいところであったが、もちろんそんな余力はない。ただ、好き勝手言われてるのを呻きながら聞いているしかなかった。
「だらしないわねえ。ジェットコースターくらいで」
ベンチに横たわって呻いているシンを、ルナマリアがハンカチで仰ぎながら言った。
「バイクは平気なのにね」
「そりゃ、自分で動かすのとは違……うぅぅ」
顔を上げてメイリンに反論しようとしたが、また気持ち悪くなって横になった。
「あのシンが乗り物酔いする何てなあ」
「ホントホント」
「まあ、あのジェットコースターもすごかったのは確かだけど」
「そんなにすごいの?」
「う~ん、光の速さってのはめちゃくちゃだけど、それでも今までに乗った中では一番かも。ものすごい回ってたし、速かったし」
「そうなんだ。私、乗らなくてよかった」
「そうね。メイリンじゃ気絶しちゃうかも」
「え~。お姉ちゃん、ひどい」
シンとしては、寝不足の疲労坤狽であれ乗ってみろ、と大声で叫びたいところであったが、もちろんそんな余力はない。ただ、好き勝手言われてるのを呻きながら聞いているしかなかった。
雑談は雑談でなかなか楽しいものではあったが、遊園地まで来てそれでは意味がない。
「ねえ、シンは私がみてるから遊んで来ていいわよ?」
「そりゃ悪いな。じゃあ、遠慮なく」
「ヨウラン。いくらなんでも……」
「いいからお前はこっち来い」
なおも何か言おうとしていたヴィーノの襟首を引っ張り、ヨウランはどこかへと歩いていった。二人は少し口論していたようだが、ヴィーノが納得したらしく、すぐに治まった。
「レイとメイリンも行ってきたら?」
もとはといえば、ルナマリアが体調の悪そうなシンに無茶をさせた結果である。一応、責任は取るつもりだった。
「でも、お姉ちゃん……」
「いいからいいから。ただの乗り物酔いにこんな大勢で付き合う必要なんてないわよ」
「それもそうだな。だがルナマリア、俺が代わろう。お前はメイリンと遊んでくればいい」
ルナマリアは一瞬考えたようだが、すぐに首を横に振った。
「いいわよ。なんかいつもこういうことレイに任せてるような気がするし。たまにはレイも楽しんできたら?」
「だが……」
なおも何か言いかけたレイを、メイリンが後ろから引っ張っていった。
「じゃ、レイ。メイリンのことよろしくね」
「ちょっと、お姉ちゃん。それ、逆じゃないの?」
「ねえ、シンは私がみてるから遊んで来ていいわよ?」
「そりゃ悪いな。じゃあ、遠慮なく」
「ヨウラン。いくらなんでも……」
「いいからお前はこっち来い」
なおも何か言おうとしていたヴィーノの襟首を引っ張り、ヨウランはどこかへと歩いていった。二人は少し口論していたようだが、ヴィーノが納得したらしく、すぐに治まった。
「レイとメイリンも行ってきたら?」
もとはといえば、ルナマリアが体調の悪そうなシンに無茶をさせた結果である。一応、責任は取るつもりだった。
「でも、お姉ちゃん……」
「いいからいいから。ただの乗り物酔いにこんな大勢で付き合う必要なんてないわよ」
「それもそうだな。だがルナマリア、俺が代わろう。お前はメイリンと遊んでくればいい」
ルナマリアは一瞬考えたようだが、すぐに首を横に振った。
「いいわよ。なんかいつもこういうことレイに任せてるような気がするし。たまにはレイも楽しんできたら?」
「だが……」
なおも何か言いかけたレイを、メイリンが後ろから引っ張っていった。
「じゃ、レイ。メイリンのことよろしくね」
「ちょっと、お姉ちゃん。それ、逆じゃないの?」
「何で、レイと代わらなかったんだ?」
シンは横になったままルナマリアに聞いた。別に深い意味はないが、少し気になった。
「だって、レイったら遊んだりすることとかってないじゃない。たまにはいいかなって」
いつもレイにはみんな世話になっている。むしろ、なりすぎているぐらいだ。無理にでも遊ばせるのはいい考えかもしれない。
シンは、唐突にすさまじい眠気に襲われた。横になっていたことで、疲労と睡魔のピークが来たらしい。
「そっか……。ごめん、ルナ。ちょっと……眠くて……」
「今朝から、なんか体調悪そうだったもんね。いいわよ」
ルナマリアが優しく言い、シンは、ゆっくりと眼を閉じた。
シンの意識は、急激に眠りの世界へと沈んでいった。
俺はいつの間にか、本で顔を覆って、芝生の上に横になっていた。
これは、いつのことだったかな。
そうだ。確か、最後に家族全員で遊びに行ったときだ。珍しく父さんと母さんが二人とも休みを取れて、キャンプをしたんだ。
紅葉のきれいな山だった。家族みんなでテントを立てて、すごく楽しかった。
俺、いや僕は、紅葉を見ながら横になってたんだ。芝生がやわらかくて、日差しも気持ちよくて、いつの間にかうたた寝をしてた。
シンは横になったままルナマリアに聞いた。別に深い意味はないが、少し気になった。
「だって、レイったら遊んだりすることとかってないじゃない。たまにはいいかなって」
いつもレイにはみんな世話になっている。むしろ、なりすぎているぐらいだ。無理にでも遊ばせるのはいい考えかもしれない。
シンは、唐突にすさまじい眠気に襲われた。横になっていたことで、疲労と睡魔のピークが来たらしい。
「そっか……。ごめん、ルナ。ちょっと……眠くて……」
「今朝から、なんか体調悪そうだったもんね。いいわよ」
ルナマリアが優しく言い、シンは、ゆっくりと眼を閉じた。
シンの意識は、急激に眠りの世界へと沈んでいった。
俺はいつの間にか、本で顔を覆って、芝生の上に横になっていた。
これは、いつのことだったかな。
そうだ。確か、最後に家族全員で遊びに行ったときだ。珍しく父さんと母さんが二人とも休みを取れて、キャンプをしたんだ。
紅葉のきれいな山だった。家族みんなでテントを立てて、すごく楽しかった。
俺、いや僕は、紅葉を見ながら横になってたんだ。芝生がやわらかくて、日差しも気持ちよくて、いつの間にかうたた寝をしてた。
「うわぁ!」
顔の上に、いきなり落ち葉が降ってきた。
驚いた僕が落ち葉を払いながら顔を上げると、妹のマユが悪戯っぽい笑顔をしてた。
どうやら、マユが僕の顔に落ち葉をふっかけたみたいだ。
「こら、マユ!」
「うふふ……」
僕が起き上がって捕まえようとすると、マユは笑顔のまま、踵を返して逃げ出した。
マユが木の陰に隠れるようにして、顔だけを出した。僕も木の反対側から、マユにあわせるように顔を出す。
するとマユは逃げるように逆の方から顔を出した。僕もマユの顔を追いかけるように、顔を出した。何てことのない追いかけっこだったけど、僕はすごく楽しかった。
「あはは……」
「いーっ」
顔を合わせた僕に、マユはまた悪戯っぽい笑顔を向け、僕が伸ばした腕から逃げるように、振り返って駆け出した。
もちろん僕は、マユを追いかけた。
「待てよ、マユー」
するとマユはまた振り返って、眩いばかりの笑顔を僕に向けてくれた。
「あはは」
顔の上に、いきなり落ち葉が降ってきた。
驚いた僕が落ち葉を払いながら顔を上げると、妹のマユが悪戯っぽい笑顔をしてた。
どうやら、マユが僕の顔に落ち葉をふっかけたみたいだ。
「こら、マユ!」
「うふふ……」
僕が起き上がって捕まえようとすると、マユは笑顔のまま、踵を返して逃げ出した。
マユが木の陰に隠れるようにして、顔だけを出した。僕も木の反対側から、マユにあわせるように顔を出す。
するとマユは逃げるように逆の方から顔を出した。僕もマユの顔を追いかけるように、顔を出した。何てことのない追いかけっこだったけど、僕はすごく楽しかった。
「あはは……」
「いーっ」
顔を合わせた僕に、マユはまた悪戯っぽい笑顔を向け、僕が伸ばした腕から逃げるように、振り返って駆け出した。
もちろん僕は、マユを追いかけた。
「待てよ、マユー」
するとマユはまた振り返って、眩いばかりの笑顔を僕に向けてくれた。
「あはは」
そこで、いきなり場面が切り替わった。
全てが真っ白な病室。この部屋には、うつむいた少女が腰掛けているベッドしかない。
僕は、その少女に手を差し出した。
少女は顔を上げ、僕の顔をまじまじと見た。
そして、その顔に恐怖の色が広がっていく。
全てが真っ白な病室。この部屋には、うつむいた少女が腰掛けているベッドしかない。
僕は、その少女に手を差し出した。
少女は顔を上げ、僕の顔をまじまじと見た。
そして、その顔に恐怖の色が広がっていく。
「いやぁっ!」
僕の伸ばした手を、目の前の少女、マユは振り払った。
今まで見たこともないような、怯えた表情をしている。
恐怖に震えるすみれ色の瞳に映っているのは、黒髪で真紅の瞳の少年、僕だ。
「……マユ……」
「ちょっと、シン!大丈夫なの!?」
眼を開いたシンの瞳に、心配そうな顔をしたルナマリアが映りこんだ。
「……ルナ……?」
「なんかシン、いきなりうなされて……どうしたのよ?」
「……ちょっと、嫌な夢を見ただけだよ」
シンの額には脂汗が浮かんでいる。相当にうなされていたらしい。
「けど……」
「なんでもないって言ってるだろ!」
シンはつい声を荒げてしまった。ルナマリアはその勢いに押され、何も言えなくなってしまう。
「あ……その、……ごめん」
シンはルナマリアに謝るが、会話は続かなくなってしまった。
二人の間に、気まずい空気が流れる。
僕の伸ばした手を、目の前の少女、マユは振り払った。
今まで見たこともないような、怯えた表情をしている。
恐怖に震えるすみれ色の瞳に映っているのは、黒髪で真紅の瞳の少年、僕だ。
「……マユ……」
「ちょっと、シン!大丈夫なの!?」
眼を開いたシンの瞳に、心配そうな顔をしたルナマリアが映りこんだ。
「……ルナ……?」
「なんかシン、いきなりうなされて……どうしたのよ?」
「……ちょっと、嫌な夢を見ただけだよ」
シンの額には脂汗が浮かんでいる。相当にうなされていたらしい。
「けど……」
「なんでもないって言ってるだろ!」
シンはつい声を荒げてしまった。ルナマリアはその勢いに押され、何も言えなくなってしまう。
「あ……その、……ごめん」
シンはルナマリアに謝るが、会話は続かなくなってしまった。
二人の間に、気まずい空気が流れる。
アルテミスランドのシンボル、大観覧車のゴンドラに二人の男女が向かい合って座っている。普通、そのようなシチュエーションではアベックを思い浮かべるだろうが、この二人の場合、それは当てはまらない。
レイとメイリンだ。二人とも互いの顔を見ることなく、外の景色ばかりに集中している。
「ねえ、レイ?」
「なんだ?」
窓の外を見たまま、メイリンが聞いた。レイも視線を窓の外に固定したまま、聞き返す。
「楽しい?」
「何でそんなことを聞く?」
「だってレイ、いつもクールっていうか何ていうか、顔に出すことないでしょ。ちょっと気になって」
それを聞いたレイはふっと息をついてから言った。
「そうか」
「で、どうなの?」
「さあな」
「なによ、それ~。教えてよ」
メイリンはむきになって追求するが、それをきれいにはぐらかす。
レイの表情は、心なしか楽しそうに見えた。
シンは突然、例の奇妙な気配を感じた。
頭を押さえ、うずくまったシンに、ルナマリアは動揺しつつも、シンの身体を気遣った。
「ちょっと、どうしたの!大丈夫!?」
シンは無理に笑顔をつくった。この感覚は説明できない。
「ごめん、ちょっと喉が渇いちゃって」
「分かった。じゃあ、なんか買ってくるわね」
駆け出したルナマリアに、シンは後ろから大声で言った。
「ルナ!ごめん!」
「いいわよ、気にしないで!」
ルナマリアは一旦立ち止まり、振り返ってから、またも駆け出した。その背中に、シンは再度、小さく呟いた。
「ごめん、ルナ……」
レイとメイリンだ。二人とも互いの顔を見ることなく、外の景色ばかりに集中している。
「ねえ、レイ?」
「なんだ?」
窓の外を見たまま、メイリンが聞いた。レイも視線を窓の外に固定したまま、聞き返す。
「楽しい?」
「何でそんなことを聞く?」
「だってレイ、いつもクールっていうか何ていうか、顔に出すことないでしょ。ちょっと気になって」
それを聞いたレイはふっと息をついてから言った。
「そうか」
「で、どうなの?」
「さあな」
「なによ、それ~。教えてよ」
メイリンはむきになって追求するが、それをきれいにはぐらかす。
レイの表情は、心なしか楽しそうに見えた。
シンは突然、例の奇妙な気配を感じた。
頭を押さえ、うずくまったシンに、ルナマリアは動揺しつつも、シンの身体を気遣った。
「ちょっと、どうしたの!大丈夫!?」
シンは無理に笑顔をつくった。この感覚は説明できない。
「ごめん、ちょっと喉が渇いちゃって」
「分かった。じゃあ、なんか買ってくるわね」
駆け出したルナマリアに、シンは後ろから大声で言った。
「ルナ!ごめん!」
「いいわよ、気にしないで!」
ルナマリアは一旦立ち止まり、振り返ってから、またも駆け出した。その背中に、シンは再度、小さく呟いた。
「ごめん、ルナ……」
ルナマリアが缶ジュースを片手にベンチへ戻ってきたとき、そこにシンの姿はなかった。
「シン、どこ!」
ルナマリアはその辺りを探すが、シンらしき姿は見当たらない。
諦めたルナマリアはベンチに座り、ポツリと呟いた。
「あんなのに調子悪そうだったのに……、どこほっつき歩いてんのよ」
そのとき、大きな衝撃音がした。
「何!?」
その直後、人の波が押し寄せてきた。何かの事故だろうか。
ひょっとして、シン……!?
ここに見当たらない以上、どこかで何かに巻き込まれていないとも限らない。
ルナマリアはその方向へと走った。
「シン、どこ!」
ルナマリアはその辺りを探すが、シンらしき姿は見当たらない。
諦めたルナマリアはベンチに座り、ポツリと呟いた。
「あんなのに調子悪そうだったのに……、どこほっつき歩いてんのよ」
そのとき、大きな衝撃音がした。
「何!?」
その直後、人の波が押し寄せてきた。何かの事故だろうか。
ひょっとして、シン……!?
ここに見当たらない以上、どこかで何かに巻き込まれていないとも限らない。
ルナマリアはその方向へと走った。
シンはルナマリアが見えなくなってすぐにベンチを離れ、その気配が指し示す先へと走った。
体調が悪いせいか、気配がぶれていくつも感じる。だが、MSがいることは間違いないだろう。
仮にそれが勘違いでMSなどいなければ、それが一番だ。
とにかく、自分で確認しなければはじまらない。
一番近くにある気配は、園の中央にある城、アンブレラ城からだ。
城に入ったシンは、関係者以外立ち入り禁止の札を無視して、屋上の扉を開ける。
見た目の華々しさとは裏腹の、殺風景でチャチなつくりの屋上だ。子供に見せたら、夢を壊してしまうことだろう。しかし、今のシンにとってそれは何の意味も持たない。
見晴らしだけはいいので、気配が探しやすい。神経を研ぎ澄まさせるまでもなく、シンはMSの気配を感じた。
すぐ下!?
シンは申しわけ程度につけられた柵から身を乗り出し、下を覗いた。そのすぐ下をムラサメ飛行態が浮遊している。
それを見た人々は、MSの姿にパニックを起こし、悲鳴をあげ、我先にと逃げ出した。
一人の子供が転んだ。母親が助けに行こうとするが、人波に流されて、近づけない。ムラサメはその子に狙いを定め、急降下した。母親の悲鳴がこだまする。
もはや一刻の猶予もなかった。シンは柵を乗り越え、ムラサメへ向かって飛び降りた。
「変身!」
シンの腰にベルトが現れ、戦うための姿、インパルスへと変貌していく。
体調が悪いせいか、気配がぶれていくつも感じる。だが、MSがいることは間違いないだろう。
仮にそれが勘違いでMSなどいなければ、それが一番だ。
とにかく、自分で確認しなければはじまらない。
一番近くにある気配は、園の中央にある城、アンブレラ城からだ。
城に入ったシンは、関係者以外立ち入り禁止の札を無視して、屋上の扉を開ける。
見た目の華々しさとは裏腹の、殺風景でチャチなつくりの屋上だ。子供に見せたら、夢を壊してしまうことだろう。しかし、今のシンにとってそれは何の意味も持たない。
見晴らしだけはいいので、気配が探しやすい。神経を研ぎ澄まさせるまでもなく、シンはMSの気配を感じた。
すぐ下!?
シンは申しわけ程度につけられた柵から身を乗り出し、下を覗いた。そのすぐ下をムラサメ飛行態が浮遊している。
それを見た人々は、MSの姿にパニックを起こし、悲鳴をあげ、我先にと逃げ出した。
一人の子供が転んだ。母親が助けに行こうとするが、人波に流されて、近づけない。ムラサメはその子に狙いを定め、急降下した。母親の悲鳴がこだまする。
もはや一刻の猶予もなかった。シンは柵を乗り越え、ムラサメへ向かって飛び降りた。
「変身!」
シンの腰にベルトが現れ、戦うための姿、インパルスへと変貌していく。
うずくまって泣いている女の子へと、異形の怪物が襲い掛かる。娘の下へと駆け寄れない母親は、一瞬先の惨劇を見まいと、顔を覆った。
辺りに轟音が鳴り響く。
恐る恐る眼を開けた母親は、娘の無事とその先でもつれ合う二体の怪物の姿を目撃した。
辺りに轟音が鳴り響く。
恐る恐る眼を開けた母親は、娘の無事とその先でもつれ合う二体の怪物の姿を目撃した。
変身しながらムラサメに組み付いたシンは、そのまま落下していった。轟音をあげ、アスファルトを撒き散らして地面に激突する。
灰色のインパルスは落下中にムラサメを組み伏せ、下敷きにした。地面にめり込んでいる以上、そうすぐには立ち上がれないだろう。
そう思ったシンは、立ち上がり、女の子のもとに歩み寄り、手を差し出そうとした。少しでも、不安を和らげてあげたかった。
しかし、その子は自分に近寄るインパルスを見て、怯えた表情で叫んだ。
「いやぁっ、来ないで!」
インパルスはその声に動揺したように立ち止まった。
その間にやっと母親が来て、その子を抱き上げて逃げ出す。シンは、呆然と立ち尽くしたままその親子が走り去っていくのを見ていた。
シンの脳裏に、最後にマユと会ったときのことが甦る。
「いやぁっ!」
その時も差し出した手を振り払われ、シンは立ち尽くすしかなかった。
灰色のインパルスは落下中にムラサメを組み伏せ、下敷きにした。地面にめり込んでいる以上、そうすぐには立ち上がれないだろう。
そう思ったシンは、立ち上がり、女の子のもとに歩み寄り、手を差し出そうとした。少しでも、不安を和らげてあげたかった。
しかし、その子は自分に近寄るインパルスを見て、怯えた表情で叫んだ。
「いやぁっ、来ないで!」
インパルスはその声に動揺したように立ち止まった。
その間にやっと母親が来て、その子を抱き上げて逃げ出す。シンは、呆然と立ち尽くしたままその親子が走り去っていくのを見ていた。
シンの脳裏に、最後にマユと会ったときのことが甦る。
「いやぁっ!」
その時も差し出した手を振り払われ、シンは立ち尽くすしかなかった。
突然、シンは背中に強い衝撃を受けた。ムラサメが復帰して、インパルスを後ろから急襲、飛行態で体当たりを仕掛けたのだ。
ムラサメ飛行態は旋回して、片膝をついたインパルスへ光弾を放った。シンは両手で顔をかばうように防御する。
シンは跳躍して、ムラサメ飛行態に飛び掛った。しかし、直前で垂直上昇したムラサメは人型へと変化し、インパルスを蹴り落とした。
「うわぁっ!」
インパルスは背中から地面に激突し、一瞬息が詰まった。そこへムラサメは光弾銃を連射し、追い討ちをかけていく。インパルスは地面を転がりながらそれをかわしつつ、腕の力だけで起き上がった。
動きが早い。なら!
早速、青へと変わろうとした。しかし、インパルスには何の変化も起こらなかった。
シンは動揺するが、ムラサメはそんなことお構いなしに襲ってくる。
変われないんなら、このままでもやってやる!
インパルスは覚悟を決め、ムラサメに立ち向かった。
ムラサメ飛行態は旋回して、片膝をついたインパルスへ光弾を放った。シンは両手で顔をかばうように防御する。
シンは跳躍して、ムラサメ飛行態に飛び掛った。しかし、直前で垂直上昇したムラサメは人型へと変化し、インパルスを蹴り落とした。
「うわぁっ!」
インパルスは背中から地面に激突し、一瞬息が詰まった。そこへムラサメは光弾銃を連射し、追い討ちをかけていく。インパルスは地面を転がりながらそれをかわしつつ、腕の力だけで起き上がった。
動きが早い。なら!
早速、青へと変わろうとした。しかし、インパルスには何の変化も起こらなかった。
シンは動揺するが、ムラサメはそんなことお構いなしに襲ってくる。
変われないんなら、このままでもやってやる!
インパルスは覚悟を決め、ムラサメに立ち向かった。
インパルスは跳躍して手刀を振り下ろすが、ムラサメは瞬時に飛行態へと変化してそれをかわした。
体重をかけた一撃をかわされたインパルスはバランスを崩す。そこへ旋回してきたムラサメが光弾を撃ちこんだ。空中では自由がきかず、インパルスは肩に直撃を受けてしまう。
肩を押さえつつ、かろうじて着地したインパルスは、ムラサメのいる空を見上げた。インパルスに一撃を加えたムラサメは離脱し、再度旋回をしているところだった。
どうやらムラサメはその飛行能力を生かした一撃離脱戦法をとるつもりのようだ。飛行能力を持たないインパルスには反撃のしようがない、かなり嫌な攻撃だ。
体重をかけた一撃をかわされたインパルスはバランスを崩す。そこへ旋回してきたムラサメが光弾を撃ちこんだ。空中では自由がきかず、インパルスは肩に直撃を受けてしまう。
肩を押さえつつ、かろうじて着地したインパルスは、ムラサメのいる空を見上げた。インパルスに一撃を加えたムラサメは離脱し、再度旋回をしているところだった。
どうやらムラサメはその飛行能力を生かした一撃離脱戦法をとるつもりのようだ。飛行能力を持たないインパルスには反撃のしようがない、かなり嫌な攻撃だ。
旋回してきたムラサメの光弾の連射をインパルスはかわした。不意を突かれるのならともかく、狙いを見ていればかわすのはそう難しくはない。
だが、このままではシンも反撃することができない。
今ムラサメはインパルスの頭上を通過しようとしていた。先ほどの攻撃のために、かなりの低空飛行になっている。これなら、届くかもしれない。
シンは意を決して跳躍した。
インパルスに気付いたムラサメは急上昇しようとするが、インパルスの方が早い。
ムラサメにあと少しで手が届く、というところで、シンは背中に強い衝撃を受けた。バランスを失して、インパルスはそのまま落下する。
落下しながらもシンは後ろの方を見た。飛行態のムラサメが接近している。
だが、このままではシンも反撃することができない。
今ムラサメはインパルスの頭上を通過しようとしていた。先ほどの攻撃のために、かなりの低空飛行になっている。これなら、届くかもしれない。
シンは意を決して跳躍した。
インパルスに気付いたムラサメは急上昇しようとするが、インパルスの方が早い。
ムラサメにあと少しで手が届く、というところで、シンは背中に強い衝撃を受けた。バランスを失して、インパルスはそのまま落下する。
落下しながらもシンは後ろの方を見た。飛行態のムラサメが接近している。
二体、いたのか。
シンは先ほどの感覚のブレを思い出した。
あれは、体調が悪いだけのせいではなかった。二体いたのもその理由だった。
だが、それが分かったところでどうしようもない。
インパルスは地面に激突するが、なんとか着地できた。それほど大したダメージではない。
インパルスは瓦礫を押しのけ、何とか立ち上がった。
そんなインパルスの目の前で二体のムラサメは旋回し、人型に変化し降り立った。一撃離脱戦法をやめ、二体がかりで手っ取り早く止めを刺すつもりなのだろう。
二体のムラサメは同時にインパルスへと飛び掛った。
シンは先ほどの感覚のブレを思い出した。
あれは、体調が悪いだけのせいではなかった。二体いたのもその理由だった。
だが、それが分かったところでどうしようもない。
インパルスは地面に激突するが、なんとか着地できた。それほど大したダメージではない。
インパルスは瓦礫を押しのけ、何とか立ち上がった。
そんなインパルスの目の前で二体のムラサメは旋回し、人型に変化し降り立った。一撃離脱戦法をやめ、二体がかりで手っ取り早く止めを刺すつもりなのだろう。
二体のムラサメは同時にインパルスへと飛び掛った。
インパルスの拳は空を切り、ムラサメによる蹴りがインパルスの背中を襲う。インパルスは前のめりに倒れそうになるが、もう一体のムラサメが素早く拳を繰り出した。
インパルスは何とかその攻撃を防ぎ、左で正拳突きを放つ。しかし、目の前のムラサメは流れるような身軽な動きで、インパルスの拳をかわした。
ムラサメは拳も蹴りもたいした威力はなかったが、とにかく手数が多い。激しい攻撃の連続に、シンの体力は徐々に削られていく。さらに、ムラサメは非常に身軽でインパルスの攻撃はことごとくかわされてしまう。
光弾銃は溜めに時間がかかるので、接近戦では使えない。それだけが、救いだったが、相手は二体。見事なコンビネーションで、次第にインパルスは追い詰められていった。
インパルスは何とかその攻撃を防ぎ、左で正拳突きを放つ。しかし、目の前のムラサメは流れるような身軽な動きで、インパルスの拳をかわした。
ムラサメは拳も蹴りもたいした威力はなかったが、とにかく手数が多い。激しい攻撃の連続に、シンの体力は徐々に削られていく。さらに、ムラサメは非常に身軽でインパルスの攻撃はことごとくかわされてしまう。
光弾銃は溜めに時間がかかるので、接近戦では使えない。それだけが、救いだったが、相手は二体。見事なコンビネーションで、次第にインパルスは追い詰められていった。
ムラサメは飛行態へと変化し、上空へと飛び立った。もう一体が、その素早さを活かしてインパルスを翻弄する。
くそぉっ、何で当たらないんだ!
シンはその理由が全く分からない。動揺し、焦燥を深めていく。
焦りはさらにシンの眼を曇らせ、狙いを甘いものとしていく。そんなインパルスの攻撃をかわすなど、ムラサメの身軽さをもってすれば造作もないことだった。
シンは目の前のムラサメに集中し、激しい打撃を繰り出すが、その全てが見事にかわされてしまう。
渾身の力を込めたインパルスの回し蹴りを、ムラサメは必要以上に高く跳躍して避けた。
いかにムラサメとはいえ、人型のままでは空中での動きは制限される。追撃を仕掛けようと、インパルスも跳躍した。だが、ムラサメの影からもう一体のムラサメが人型へと変化、
急降下の勢いを加えての蹴りをインパルスへと炸裂させた。
くそぉっ、何で当たらないんだ!
シンはその理由が全く分からない。動揺し、焦燥を深めていく。
焦りはさらにシンの眼を曇らせ、狙いを甘いものとしていく。そんなインパルスの攻撃をかわすなど、ムラサメの身軽さをもってすれば造作もないことだった。
シンは目の前のムラサメに集中し、激しい打撃を繰り出すが、その全てが見事にかわされてしまう。
渾身の力を込めたインパルスの回し蹴りを、ムラサメは必要以上に高く跳躍して避けた。
いかにムラサメとはいえ、人型のままでは空中での動きは制限される。追撃を仕掛けようと、インパルスも跳躍した。だが、ムラサメの影からもう一体のムラサメが人型へと変化、
急降下の勢いを加えての蹴りをインパルスへと炸裂させた。
蹴り飛ばされたインパルスはそのまま木に叩きつけられる。
「きゃあぁっ!」
いきなり、少女の悲鳴が聞こえた。
みんな逃げたんじゃなかったのかよ!
驚いたシンは倒れたまま、声のしたほうを見た。ちょうどシンが叩きつけられた木の反対側、腰を抜かしたのかぺたんと座り込んでいるルナマリアの姿があった。
「きゃあぁっ!」
いきなり、少女の悲鳴が聞こえた。
みんな逃げたんじゃなかったのかよ!
驚いたシンは倒れたまま、声のしたほうを見た。ちょうどシンが叩きつけられた木の反対側、腰を抜かしたのかぺたんと座り込んでいるルナマリアの姿があった。
「な……!?」
何でルナがここにいるんだよ!?
危うくそう叫びそうになったのをシンはかろうじてこらえた。
ルナマリアは、怯えた表情でインパルスとムラサメを交互に見た。
「くっ、逃げろ!」
シンは叫んだ。ルナマリアはびくっと身体をすくめる。シンは、もう一度叫んだ。
「急げ、ルナ!」
何でルナがここにいるんだよ!?
危うくそう叫びそうになったのをシンはかろうじてこらえた。
ルナマリアは、怯えた表情でインパルスとムラサメを交互に見た。
「くっ、逃げろ!」
シンは叫んだ。ルナマリアはびくっと身体をすくめる。シンは、もう一度叫んだ。
「急げ、ルナ!」
えっ……!?今ルナって言ったわよね……?
ルナマリアは目の前の灰色の仮面ライダーがそう言ったのを聞き逃さなかった。シンは自分の発言に全く気付いていない。
ルナマリアは目の前の灰色の仮面ライダーがそう言ったのを聞き逃さなかった。シンは自分の発言に全く気付いていない。
とにかく、ルナマリアは急いで立ち上がろうとした。普段から見れば、どうしようもない程もたもたとした動きだが、こんな状況でパニックも起こさないのは大したものだ。
しかし、そんなことはムラサメは構いもしない。光弾銃の銃口を、インパルスに向けた。
銃口に光が集まる。
シンは逃げようとして、思いとどまった。
ここで避けたら、ルナに当たる!?
だが、灰色のままでこれ以上ダメージを受けると、戦えなくなるかもしれない。シンはその場で立ち止まり、逡巡した。
ここでルナを見捨てて奴らを倒したって、後で必ず後悔する。
だけど、奴らを倒さないと、他の誰かが犠牲になるかもしれない。
俺は、俺は……。
光弾が二発放たれ、インパルスへと直撃し、火花が散った。辺りを煙幕が包む。
俺は、誰も死なせたくない!
煙が晴れた。青いインパルスが後ろにいるルナマリアをかばうように両手を広げ、仁王立ちしていた。
インパルスはわずかに振り返り、ルナマリアの様子を見た。へたり込んではいるが大きな怪我はないようだ。
ただ彼女の眼は大きく見開かれていた。その瞳は、驚愕と恐怖を映し出している。
そして彼女は、インパルスを見ながらゆっくりと歩き、後ろを振り向いて走り去った。
しかし、そんなことはムラサメは構いもしない。光弾銃の銃口を、インパルスに向けた。
銃口に光が集まる。
シンは逃げようとして、思いとどまった。
ここで避けたら、ルナに当たる!?
だが、灰色のままでこれ以上ダメージを受けると、戦えなくなるかもしれない。シンはその場で立ち止まり、逡巡した。
ここでルナを見捨てて奴らを倒したって、後で必ず後悔する。
だけど、奴らを倒さないと、他の誰かが犠牲になるかもしれない。
俺は、俺は……。
光弾が二発放たれ、インパルスへと直撃し、火花が散った。辺りを煙幕が包む。
俺は、誰も死なせたくない!
煙が晴れた。青いインパルスが後ろにいるルナマリアをかばうように両手を広げ、仁王立ちしていた。
インパルスはわずかに振り返り、ルナマリアの様子を見た。へたり込んではいるが大きな怪我はないようだ。
ただ彼女の眼は大きく見開かれていた。その瞳は、驚愕と恐怖を映し出している。
そして彼女は、インパルスを見ながらゆっくりと歩き、後ろを振り向いて走り去った。
ルナマリアが逃げたのを見届けたインパルスは、二体のムラサメを見据えた。ルナマリアまでも巻き込んだことに、シンは強い憤りを感じていた。
シンは自分の意思でベルトのエネルギーを右足へと流し込んだ。力がみなぎっていく。
ルナマリアの目の前で、強く地面を蹴ったインパルスはムラサメへ突進した。
二体のムラサメは光弾銃で応戦するも、インパルスは走りながら両腕で完全に防御した。
「うおおぉっ!」
ムラサメの手前でインパルスは跳躍、右足から突っ込んでいく。
最後に放たれた光弾もその威力を相殺することは出来ず、一体のムラサメの胸部へとインパルスの右足がめり込んだ。
シンは自分の意思でベルトのエネルギーを右足へと流し込んだ。力がみなぎっていく。
ルナマリアの目の前で、強く地面を蹴ったインパルスはムラサメへ突進した。
二体のムラサメは光弾銃で応戦するも、インパルスは走りながら両腕で完全に防御した。
「うおおぉっ!」
ムラサメの手前でインパルスは跳躍、右足から突っ込んでいく。
最後に放たれた光弾もその威力を相殺することは出来ず、一体のムラサメの胸部へとインパルスの右足がめり込んだ。
フォースキックの直撃を受けたムラサメは爆散するが、もう一体のムラサメは飛行態に変化し、爆風に紛れて空へと逃亡した。
シンはそれをも見逃すことはなかったが、既にムラサメはインパルスの手の届かないところへと逃げている。
バイクのない今、インパルスに追跡手段は無い。
だが、直撃を受けなかったとはいえ、あのムラサメもフォースキックのダメージを受けていたらしい。
高く飛翔していたのが、徐々に高度を落としている。
「あれは!?」
「なになに、どうしたの?」
レイたちの乗ったゴンドラは今頂点に差し掛かろうとしていた。反対側の景色を見ていたメイリンは移動し、レイの見ている方の窓を見た。
「別に何も……って何、あれ!?」
言いかけたメイリンは、空の方を見上げて素っ頓狂な声を出した。
白と赤の鳥のような姿をしている。しかし、その硬質な皮膚が鳥、いやメイリンの知るあらゆる生物の範疇に入らないことを示していた。
ある単語が、メイリンの脳裏に浮かび上がる。
MS。前に姉が言ったときには、ありえないと口論になった。
だが、目の前にそれがある以上、信じざるを得なかった。
しかも、そのMSは……。
「ウソ!こっちに来てる!?」
シンはそれをも見逃すことはなかったが、既にムラサメはインパルスの手の届かないところへと逃げている。
バイクのない今、インパルスに追跡手段は無い。
だが、直撃を受けなかったとはいえ、あのムラサメもフォースキックのダメージを受けていたらしい。
高く飛翔していたのが、徐々に高度を落としている。
「あれは!?」
「なになに、どうしたの?」
レイたちの乗ったゴンドラは今頂点に差し掛かろうとしていた。反対側の景色を見ていたメイリンは移動し、レイの見ている方の窓を見た。
「別に何も……って何、あれ!?」
言いかけたメイリンは、空の方を見上げて素っ頓狂な声を出した。
白と赤の鳥のような姿をしている。しかし、その硬質な皮膚が鳥、いやメイリンの知るあらゆる生物の範疇に入らないことを示していた。
ある単語が、メイリンの脳裏に浮かび上がる。
MS。前に姉が言ったときには、ありえないと口論になった。
だが、目の前にそれがある以上、信じざるを得なかった。
しかも、そのMSは……。
「ウソ!こっちに来てる!?」
このままじゃ、観覧車にぶつかる!?
ムラサメの動きを地上から見ていたシンは、その恐ろしい想像に身震いした。
そんなことになったら、どれだけの人が犠牲になることか。
しかし、ムラサメがこのままのコースで飛んでいたら、そうなることは間違いない。
ムラサメの動きを地上から見ていたシンは、その恐ろしい想像に身震いした。
そんなことになったら、どれだけの人が犠牲になることか。
しかし、ムラサメがこのままのコースで飛んでいたら、そうなることは間違いない。
くそぉっ!何にも出来ないのかよ!?
そのとき、インパルスの身体が緑色に変化した。
「なんだよ、これ!?」
色が変わったことにシンは驚く。
シンの視界がクリアになり、ムラサメの動きが手に取るようにはっきりと見えた。
ムラサメがぶつかろうとしているゴンドラの乗客さえも。
「レイ!?メイリン!?」
このままムラサメがぶつかれば、二人とも無事ではすまない。
シンは焦るが、何とかできる、というような不思議な安心感があった。
そのとき、インパルスの身体が緑色に変化した。
「なんだよ、これ!?」
色が変わったことにシンは驚く。
シンの視界がクリアになり、ムラサメの動きが手に取るようにはっきりと見えた。
ムラサメがぶつかろうとしているゴンドラの乗客さえも。
「レイ!?メイリン!?」
このままムラサメがぶつかれば、二人とも無事ではすまない。
シンは焦るが、何とかできる、というような不思議な安心感があった。
シンは、腰の前に左手をかざす。
ベルトが強い光を放ち、シンに新たな力を与えた。
緑色のインパルス専用の大型銃、ケルベロス。
それが、シンの左手に握られた。
インパルスは銃身に右手を添えるような形で銃を構えた。
シンはケルベロスがまるで四肢の一部であるかのような錯覚を感じた。
確かに、ベルトが生み出したケルベロスは、インパルスの一部であるといえるだろう。
それが、緑のインパルスの超感覚の力を借りて、ムラサメに狙いを定める。
照準、目標、空気の流れ。全てが一つにつながった、そう感じたとき、シンはためらわずに引き金を引いた。
「いけぇっ!」
ムラサメが持つのと同様の、しかし桁違いに強いエネルギーの波動が目標を貫いた。
ムラサメはゴンドラの直前で爆発、四散した。
ベルトが強い光を放ち、シンに新たな力を与えた。
緑色のインパルス専用の大型銃、ケルベロス。
それが、シンの左手に握られた。
インパルスは銃身に右手を添えるような形で銃を構えた。
シンはケルベロスがまるで四肢の一部であるかのような錯覚を感じた。
確かに、ベルトが生み出したケルベロスは、インパルスの一部であるといえるだろう。
それが、緑のインパルスの超感覚の力を借りて、ムラサメに狙いを定める。
照準、目標、空気の流れ。全てが一つにつながった、そう感じたとき、シンはためらわずに引き金を引いた。
「いけぇっ!」
ムラサメが持つのと同様の、しかし桁違いに強いエネルギーの波動が目標を貫いた。
ムラサメはゴンドラの直前で爆発、四散した。
「それでね、目の前で爆発したのよ!ガラスにもなんか当たったし、もう、すっごい怖かったんだからぁ!」
帰りの車の中で、メイリンが一人まるで喋りまくっている。
幸い死傷者こそ出なかったものの、遊園地は緊急閉鎖されてしまった。おかげで六人の乗った車は渋滞に巻き込まれている。
そんな中、なぜかメイリンが観覧車に乗っていたときに起こったことをひたすらに喋りつづけていた。
ぱっと見元気そうに見えるが、その眼はいまだ怯えている。
おそらく、話し続けることで恐怖を紛らわせているのだろう。
それがわかっているからこそ、運転席でなぜかずっと不機嫌そうにしているヨウランもヴィーノも、もちろんレイも、何も言わずにメイリンの話を聞き続けていた。
帰りの車の中で、メイリンが一人まるで喋りまくっている。
幸い死傷者こそ出なかったものの、遊園地は緊急閉鎖されてしまった。おかげで六人の乗った車は渋滞に巻き込まれている。
そんな中、なぜかメイリンが観覧車に乗っていたときに起こったことをひたすらに喋りつづけていた。
ぱっと見元気そうに見えるが、その眼はいまだ怯えている。
おそらく、話し続けることで恐怖を紛らわせているのだろう。
それがわかっているからこそ、運転席でなぜかずっと不機嫌そうにしているヨウランもヴィーノも、もちろんレイも、何も言わずにメイリンの話を聞き続けていた。
一方、ルナマリアは珍しく静かにしていた。
MSに襲われたことも、インパルスに助けられたことも何も、誰にも話してはいない。
MSに襲われたことも、インパルスに助けられたことも何も、誰にも話してはいない。
確かにルナって呼んでた。けど……。
ルナマリアは、シンの寝顔を見た。シンは車に乗ってすぐに寝息を立て始めた。
今日は調子が悪かったのをみんな知っているので、誰も邪魔をしなかった。
今はベンチで寝てたときと違って、とても穏やかな寝顔をしている。
ルナマリアは、シンの寝顔を見た。シンは車に乗ってすぐに寝息を立て始めた。
今日は調子が悪かったのをみんな知っているので、誰も邪魔をしなかった。
今はベンチで寝てたときと違って、とても穏やかな寝顔をしている。
まさかね……。