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とある教師の職員談話

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とある教師の職員談話



「ふわぁ」

小鳥遊君を、プリントと一緒に送り出した僕は、欠伸に近い何かを出した。
寝不足なのかな。一日七時間も寝てるってのに、まだ足りないのかよ、僕の感覚器官。
あ、紹介が遅れたけど、僕は臺九重。仁科学園の日本史の教師で、高等部一年学年主任をやってる。
ちなみに生まれは7月9日の長崎県の佐世保市出身。
その為か、母親の祖父が駐日軍人、いわばアメリカ人で、その為、僕はクォーターという事だ。まぁこれは関係無いから話を戻すが、僕はこの若さで学年主任をやっている。
その性なのか、僕には尋常じゃない程の書類やプリントとかが来る。
それこそ、まぁいろいろと多種多様なのがあり、この前は確か…そう、プールに夜中忍び込んだ生徒の始末書を、何故か僕が書いたりもした。

「ま、小鳥遊君にプリントはやったとはいえども…まだ仕事はある訳だし、今日も残業かな」

でも教師って残業代出ない事があるから怖いんだよ。
学年主任になっちゃったんなら尚更だ。
それに僕もまだ若いんだから、無理しちゃ駄目だと思うんだがなぁ。
真田先生か大里にでも助けを求めるか…


「呼びましたか?臺先生」
「ふわらばっ!?お、大里!?」

どうしたんだ僕、ふわらばっとか言っちゃって…。
でも、大里は一体どっから出てきたんだろうか、まぁ良いけど…。

「おやおや、これは大変ですね。学年主任は大変だなぁ」
「他人事みたいに言わないでもらえないかなぁ…挙句の果てには泣くよ?」

こいつ、多分Sなんだろうなぁ。なんか、心の底まで…
でも、年下なんだよなぁ確か大里の方が。でも何故か逆らえないんだよね…。
仮に逆らったらその日の寝首をかかれそうだし…

「まぁ今日は早く帰らせてもらうから、頑張るんですよ、臺先生」
「はぁ…頑張るわ」

そう言うと、廊下の方へと大里は消えていく。
僕はそれを見送りながら、ふと、

(おかしいな、一瞬黒色の何かが見えたけど、どうしたんだろうか。まぁ別に良か…)

と、どうでもいい事を考えた後、僕は改めて書類の山に立ち向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


暗い職員室の中、僕のところにある、スタンドタイプのライトの光だけがその部屋を照らす。
携帯を開くと、既に八時に近づきつつあった。
結局今日も「八幡警察所捜査一課」見れないだろうな。悔しい。

「ふわぁ…」

今日何度目か忘れた程した欠伸と同じく、僕は何本目か分からない『サクルト』と書いてある飲み物を飲み干す。

「ぷはぁ」

うん。やっぱ美味い。眠い時にはこれに限る。
少し周りの先生にも勧めてみようかな。
…いや、それより残りの書類を終わらせなきゃならない訳だし。

「残り十枚か。頑張らないと…」

両頬を両手で叩き、気合いを入れ直す。
さぁ、なんとか終電に間に合わせるぞ。
さもないと、またいつもの印刷室にて一人寂しく、ラジオを聞きながら一夜を過ごす事になる。それだけは勘弁だ。
よし、そうと決まればいざ仕事だ。

『…コツン、コツン、コツン…』

ん?何だろう、この足音。いや、靴の音。
この時間、警備員さんは確か外だし、誰も居ないハズなんだけど。

『…コツン、コツン、コツン、コツン…』

しかも早くなってるし、音も大きくなってきている。
不審者か誰か、ここに近づいて来てるんだろうか?


(―――捕まえないと)

そうとなれば話は別だ。
個人情報等を盗まれてしまえば、ココは色々と終わってしまう。

(そうしたら、早速行動に移らねばならないな)

まず、僕はスタンドの電気のスイッチを切り、入り口の扉からの死角となると前教えてもらった掃除用具入れの横に体を潜める。

(さぁ来るなら来てみろってんだ、僕は逃げも隠れもしないから)

すると、先程までの音が止まり、職員室の扉から聞き慣れた音と共に、侵入者が入ってきた。
手には白色の手袋、短い髪に、胸は無い事から、男だと思われたその侵入者は、俺の机を過ぎ、教頭先生の机へと向かっていた。

(やっぱり、個人情報を奪うつもりか!)

そう思っていた時には、体が動いていた。
今までにない、意気揚々とも言えず、後先の事を考えずに、足は前へと進んでいたのだ。
確か反射運動だったっけ?今度大里先生にでも聞いてみようかな。

「待て!」

僕はそいつの後ろに回り込むと、静止を呼び掛けると、僕は近くにあったシャーペンの芯を限界まで出し、そいつに向ける。
武器になるかは分からないが、あくまでもだ。

「い、一体!何しに来たんだ!何処の回し者だ!?男のくせに、正々堂々勝負しないのは卑怯だぞ!」
(回し者…って、言葉おかしいんじゃないか?)

自分に突っ込んだのを確認したあと、その侵入者は僕の方に振り返った。
薄暗い為か、あまり良く見えない。
しかし学年主任たるもの、学校の生徒達を守ると、この心に、大学一年の時、十九歳の時に決めた訳だ。
奮起せよ、臺九重二十五歳!逃げた時、追いかける準備も出来ているんだ。
さぁ、どんな手でも必ず捕まえてや―――


「―――こ、九重君?どうしたんですか、いきなり?」


その…聞こえてきた相手の声は、男じゃない、実に聞き慣れた女性の声。
強めの巻き髪に、正直残念な胸、痛んでいる両手が特徴の家庭科教師。

「…白壁先生ですか?」
「ですか?じゃなくて、そうだけど…何、それ」

指差された先には、芯が出すぎてぐらついている、青いシャーペン。
それを両手で持ち、構える僕。


―――どっからどうみても、僕が変人です。本当にありがとうございました。―――


「ぐああああああっ!すいません!すいません白壁先生ええええええ!」

反射的に土下座。プライド?何それ?おいしいの?

「僕も仕事のしすぎで頭がやられてまして…その…」
「いや、別に良いよ…大事な教科書忘れて来た私が悪いから…でも」
「……でも?」
「武器でそれはちょっと無いかなぁ」

と、苦笑いする白壁先生。
つーか、そんな痛いとこ突かないで下さい。
こっちもどうかしてたんですから。

「そうですよねー…防犯用の電流入り竹刀なら良かったんですけど」

ちなみに、この電流入り竹刀は非売品で、時たまパチパチッと小さい電流が起こる、特製竹刀だとか。そもそもコレ、防犯用というか、凶器に近いけどね。

「で、でも、シャーペンだって立派な武器になるかもしれないから、大丈夫だよ?」

その慰めが更に心をBreakさせるんです白壁先生。
と、その白壁先生は、BrokenHeartのままの僕の方に、話を変える様に話す。

「ところで…九重君、こんな夜まで、仕事してるの?」

「大変だね」と呟く白壁先生。
そうです。大変なんです白壁先生。
学年主任なんて、絶対ならない方が良いですよ。軽く惨図の川へ行けますから。
え?漢字が違う?それは僕がクォーターなんで気にしないで下さい。

「えぇ、まぁ…今、今度の一年生の劇の学園内の施設の使用許可の詳しい事を書いてたところです」
「あぁ。今度皆がやるあの楽しそうなあれ」
「そう、あれ」

あれあれ言うのは信頼からだよ!
大人は皆こうするんじゃないんだからね!

「…もう何年くらいかなぁ。暫く、そういうのやってないや…九重君は?」
「え、僕?…あぁ、小中高、勉強しかしてなかったから、そういう経験無いんですよね」

一日六時間は勉強してたあの時期が懐かしい。
にしても、まさかあの頃の僕がまさかこんな道に進んだとは思ってもいるまいな。

「ふぅん…どこか、意外」
「ど、どうして?」
「九重君、毎日学校が楽しそうだから」

―――学校が楽しい、か…。

「ん、どうかしたの?」
「…いや、少し、喉が詰まっただけです」

喉を指差し、少し笑う僕。
その言い訳に、白壁先生は少しクスッと笑うと、気づく様に時計を見る。
時間が時間だ、なるべく明るいうちに帰りたいのだろう。

「それじゃあ、私はここらへんで失礼しようかな。ごめんね、邪魔になった?」
「いえいえ…そんな事は無いですよ」
「ふふ…あ、九重君」
「はい、なんですか?」

呼び掛けに応じると、白壁先生はその笑顔を見せながら、言う。

「あんまり無理しないでね。私達他の先生にも頼っていいから」

そう言い終えると、白壁先生は入ってきた入り口からその廊下へと出ていった。

「…ありがとうございます」

白壁先生が出ていった後、僕は一人頭を下げる。
どうも、面と向かって言うのは苦手なんだ。

「さて…」

一息つき、机に向き合う。
元の静かな、一人だけの職員室に戻った部屋。
僕は愛用の『サクルト』を体に流し込むと、両頬を軽く両手で平手打ち。
気合いを入れる時は、これが一番だ。

「よっし!また頑張るぞ!」

厄日か吉日かは知らないけど、今日はいつも以上に頑張れると思う。
学年主任たるもの、やらなくていいものなんて無いんだ。
だから、僕は出すぎていた芯を少し戻して、また書類にそのシャーペンを走らせた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


次の日。
真っ先に学校に来た真田基次郎の目に入ったのは。

「Please help me.
I do not want to die yet.」

直訳:私を助けてください。私はまだ死にたくは無いです。

とずっと繰り返していた、書類に包まれたままの臺九重の無惨な姿だったのは、また別のお話…。


ちなみに、その後の真田と臺の会話というと。

「臺。お前はもう少し力を抜け。そのうち死ぬぞ」
「何をSpeakなさるんですか真田Teacher。heはもう何度かdieしてるんですから」
「戻ってこい臺。お前の担当は日本史だぞ」
「Why?僕は生まれはAmericaですけど」
「いや違うからな。そもそもJAPANだから気を付けような」

…久々にまともな奴だと思った人、残念だったね。



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