漢魏革命
220年冬十一月、漢の献帝から魏の文帝（曹丕）へ禅譲が行われたが、その過程を列挙してみる。
- 左中郎将の李伏は魏王に上表して、武都出身の預言学者である姜合と、同郷の李庶が漢中に身を寄せていたときの言葉と、それを鎮南將軍張魯に語ったときの話を引用し、孔子の玉版によれば魏王曹丕が天下を平定するというもの。曹丕はこれを外部に示させ、先王の徳によるものであると否定。《三国志魏書文帝紀に引く献帝伝》
- 魏王の侍中劉廙、辛毗、劉曄、尚書令桓階、尚書陳矯、陳群*、給事黃門侍郎王毖、董遇等が言う。「左中郎将の李伏の上書を見ました。周の武王、漢の高祖、孝宣帝、光武帝の例をから見ても、天の意志は言葉などわかりやすいものではなく、事象となって表されただけで、また予言書の形となって至徳を表したものです。合わせて随所に瑞兆が見られます」之に対して曹丕は似て非なるものがある。自らの不徳であるとして拒否した。尚書僕射が官僚に聞き知らせた。《三国志魏書文帝紀に引く献帝伝》
- 辛亥、太史丞の許芝は漢が魏に代わる件を書き並べて讖緯を魏王に見せた。易伝、春秋漢含孳、春秋玉版讖、春秋佐助期、白馬令の李雲が上表した当塗高の話、孝経中黃讖、易運期讖などが挙げられている。また天文を見て、歳星が大梁（魏）にあることから漢が魏に代わると説いた。これに対して曹丕は布令して、「周の文王、周公旦の例を踏まえ、徳は二人に及ばないが目標としたいのだ」とした。《三国志魏書文帝紀に引く献帝伝》
- 侍中辛毗、劉曄、散騎常侍傅巽、衛臻、尚書令桓階、尚書陳矯、陳群*、給事中博士騎都尉蘇林、董巴等が奏上するに、「布令を踏まえ、太史丞許芝の上書を読みました。許芝の上書が中黃、運期、姓緯を予言書を取り上げた理由を示します。これらから天命は長期に渡っており拒めるものではありません。」布令にいう、「諸卿が指めす論は私が審理したものではなく、また百姓の面に飢色があるなどは私の不徳である。尚徳は一遍の王にも耐えられないのだ。どうかこの議論を止して私の不徳を重ねないでくれ」。《三国志魏書文帝紀に引く献帝伝》
- 癸丑、督軍御史中丞司馬懿、侍御史鄭渾、羊祕、鮑勛、武周等が言上するに、「布令を踏まえ、太史丞許芝の上書を見ました。唐・虞・夏の移り変わりを考えますと、天地の霊、曆数の運び、天命の移り変わりはただ徳のあるところです。漢は長きに渡って天命を失っていき、殿下が王位を継承してより至徳は広く行き渡り、瑞祥が並び現れています。周の文王を越える道義は過ぎた謙譲です」。《三国志魏書文帝紀に引く献帝伝》
山陽公（漢献帝）崩御の礼
- 青龍二年（234年）四月丙寅
- 獻帝傳曰：帝變服，率臣哭之，使使持節行司徒太常和洽弔祭，又使持節行大司空大司農崔林監護喪事．詔曰：「蓋五帝之事尚矣，仲尼盛稱堯﹑舜巍巍蕩蕩之功者，以為禪代乃大聖之懿事也．山陽公深識天祿永終之運，禪位文皇帝以順天命．先帝命公行漢正朔，郊天祀祖以天子之禮，言事不稱臣，此舜事堯之義也．昔放勛殂落，四海如喪考妣，遏密八音，明喪葬之禮同於王者也．今有司奏喪禮比諸侯王，此豈古之遺制而先帝之至意哉？今諡公漢孝獻皇帝．」使太尉具以一太牢告祠文帝廟，曰：「叡聞夫禮也者，反本脩古，不忘厥初，是以先代之君，尊尊親親，咸有尚焉．今山陽公寢疾棄國，有司建言喪紀之禮視諸侯王．叡惟山陽公昔知天命永終於己，深觀曆數允在聖躬，傳祚禪位，尊我民主，斯乃陶唐懿德之事也．黃初受終，命公于國行漢正朔，郊天祀祖禮樂制度率乃漢舊，斯亦舜﹑禹明堂之義也．上考遂初，皇極攸建，允熙克讓，莫朗于茲．蓋子以繼志嗣訓為孝，臣以配命欽述為忠，故詩稱『匪棘其猶，聿追來孝』，書曰『前人受命，茲不忘大功』．叡敢不奉承徽典，以昭皇考之神靈．今追諡山陽公曰孝獻皇帝，冊贈璽紱．命司徒﹑司空持節弔祭護喪，光祿﹑大鴻臚為副，將作大匠﹑復土將軍營成陵墓，及置百官吏，車旗服章喪葬禮儀，一如漢氏故事；喪葬所供官之費，皆仰大司農．立其後嗣為山陽公，以通三統，永為魏賓．」於是贈冊曰：「嗚呼，昔皇天降戾于漢，俾逆臣董卓，播厥凶虐，焚滅京都，劫遷大駕．于時六合雲擾，姦雄熛起．帝自西京，徂唯求定，臻茲洛邑．疇咨聖賢，聿改乘轅，又遷許昌，武皇帝是依．歲在玄枵，皇師肇征，迄于鶉尾，十有八載，寇殲殄，九域咸乂．惟帝念功，祚茲魏國，大啟土宇．爰及文皇帝，齊聖廣淵，仁聲旁流，柔遠能邇，殊俗向義，乾精承祚，坤靈吐曜，稽極玉衡，允膺曆數，度于軌儀，克厭帝心．乃仰欽七政，俯察五典，弗采四嶽之謀，不俟師錫之舉，幽贊神明，承天禪位．祚(建)[逮]朕躬，統承洪業．蓋聞昔帝堯，元愷既舉，凶族未流，登舜百揆，然後百揆時序，內平外成，授位明堂，退終天祿，故能冠德百王，表功嵩嶽．自往迄今，彌歷七代，歲暨三千，而大運來復，庸命厎績，纂我民主，作建皇極．念重光，紹咸池，繼韶夏，超群后之遐蹤，邈商﹑周之慚德，可謂高朗令終，昭明洪烈之懿盛者矣．非夫漢﹑魏與天地合德，與四時合信，動和民神，格于上下，其孰能至於此乎？朕惟孝獻享年不永，欽若顧命，考之典謨，恭述皇考先靈遺意，闡崇弘諡，奉成聖美，以章希世同符之隆，以傳億載不朽之榮．魂而有靈，嘉茲弘休．嗚呼哀哉！」八月壬申，葬于山陽國，陵曰禪陵，置園邑．葬之日，帝制錫衰弁絰，哭之慟．適孫桂氏鄉侯康，嗣立為山陽公．《三国志魏書明帝紀に引く献帝伝》
